履歴書の家族構成欄の書き方 続柄チェッカー付き完全ガイド

「合否に影響するのか」「要介護者がいたら不利か」など、採用担当者が実際に何を確認しているのかを解説。続柄の間違いやすいポイント一覧、2021年厚労省新様式による変化、続柄クイックチェッカーも収録。

履歴書の家族構成欄の書き方 続柄チェッカー付き完全ガイド

履歴書の家族構成欄とは何か:書く義務はあるのか

履歴書に家族構成欄が設けられていることは、今も少なくありません。しかし、そもそも家族構成の記入に法的な義務はなく、採用選考の合否に直接影響を与えることも、本来は許されていません。まずこの前提を正確に理解した上で、企業がなぜ家族構成の情報を求めるのか、どう対応すべきかを把握しておきましょう。

厚生労働省の「公正な採用選考」ガイドラインと履歴書の変化

厚生労働省は「公正な採用選考の基本」として、①応募者に広く門戸を開くこと、②本人の適性・能力以外のことを採用基準にしないことの2点を定めています(出典:厚生労働省「公正な採用選考をめざして」)。家族構成・家族の職業・学歴などは「本人の適性・能力」とは無関係の情報にあたり、原則として採用選考で収集することは推奨されていません。

こうした考えを受け、2021年4月には厚生労働省が新しい履歴書の様式例を公表し、「扶養家族数」「配偶者」「配偶者の扶養義務」の3項目を様式から削除しました。また2020年7月にはJIS規格協会が履歴書の様式例を規格集から削除しており、家族構成欄のない履歴書フォーマットが標準的な選択肢として広まっています。

採用担当者の立場から見ると、家族構成欄を設けているかどうかは企業側の判断であり、新様式に法的拘束力はないため、従来型の書式を使い続けている企業も依然として存在します。そのため、規定フォーマットに家族構成欄がある場合は記入するのが実務上の対応になります。

記入義務はないが、欄があれば正直に記載するのが原則

規定フォーマットに家族構成欄が存在する場合、プライバシーを理由に記入を拒否することは現実的ではありません。採用担当者から見ると、記入漏れは「意図的な情報の隠蔽」ではなく「書き忘れ」と受け取られる場合がほとんどですが、欄があって何も書かれていない状態は書類の不備として処理されるリスクがあります。記入する際は正確な情報を記載することが基本です。

企業が家族構成の情報を確認する3つの実務的な理由

選考上の合否には直接関係しないとはいえ、採用後の実務手続きの観点から、企業が家族構成の情報を確認する理由は主に以下の3点です。

第一に、社会保険・健康保険の加入手続きのためです。被扶養者(配偶者・子どもなど)がいる場合、入社後に健康保険の被扶養者として登録する手続きが必要になります。企業の人事部門が事前に家族構成を把握しておくと、入社時のオンボーディング手続きがスムーズになります。

第二に、家族手当・扶養手当などの給与計算のためです。扶養家族の有無・人数によって、所得税の控除額や企業独自の家族手当の支給額が変わります。

第三に、勤務形態や配置の検討材料にするためです。特に転職活動の場合、子どもの年齢や介護が必要な家族がいるかどうかは、残業対応や転勤の可否に関わることがあります。採用現場では、「入社後に実は対応できない」という状況を双方が避けるための確認という意味合いが強く、選考上の不利には直結しません。

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履歴書の家族構成欄の正しい書き方

家族構成欄の書き方には、いくつかの基本ルールがあります。複雑に思えますが、「同居している家族を世帯主から順に記載する」という原則を押さえておけば、ほとんどのケースに対応できます。

本人を記入する必要はあるのか

履歴書の家族構成欄に本人(応募者自身)を記入する必要はありません。履歴書そのものが応募者本人の情報を示す書類であるためです。ただし、Oggi.jpなどの解説記事では「本人を含めて書く」のが基本とする見解もあり、提出先の指示や書式の表記(「本人を含む世帯全員」などの記載があるかどうか)を必ず確認してください。指示がない場合は、本人を除いた家族のみ記載するのが一般的です。

同居している家族全員を世帯主から順に記載する

家族構成欄には、同居している家族を世帯主を筆頭に、年齢が上の人から順に記載していきます。血縁関係がなくても同居している人(内縁のパートナー、養子縁組した家族など)は原則として記載します。逆に、血縁がある兄姉でも別居している場合は記入不要です。

記載する内容は、名前(苗字は省略可)・続柄・年齢が基本です。職業欄が設けられている場合は「会社員」「自営業」「無職」「主婦(主夫)」「学生」など雇用形態の大枠を記入します。勤務先名など詳細な個人情報は記入不要です。

一人暮らしの場合の記入方法

一人暮らしの場合は、住民票の状況によって書き方が変わります。

住民票を実家から移して本人が世帯主になっている場合:同居している家族がいないため、家族構成欄への記入は原則不要です。緊急連絡先として実家の家族を挙げている場合は、任意で実家の家族構成を記入することもあります。

住民票を実家から移していない場合(多くの大学生・新社会人に該当):住民票上は実家の世帯に属しているため、実家の家族構成を記載します。世帯主(多くの場合は父親)から順に記入してください。

単身赴任・別居中の家族がいる場合

配偶者や子どもが単身赴任などで一時的に別居している場合、住民票が同一世帯に紐付いていれば家族構成に含めます。完全に別世帯として住民票が分離されている場合は、記載不要が原則です。ただし、企業の書式に「扶養家族を含む」旨の記載があれば、別居していても扶養に入れている家族を記載します。

要介護者・幼い子どもがいる場合は明記する

同居する家族に要介護者がいる場合、または小さな子どもがいる場合は、その旨を家族構成欄に明記することを推奨します。採用後に「実は介護が必要で残業が難しい」「子どもの急病で早退が必要になることがある」といった状況が発生すると、双方にとって不利益が生じることがあります。

採用担当者から見ると、事前に家族状況を把握しておくことで勤務形態や業務配分を事前に検討できるため、むしろ誠実に記載してくれる応募者の方が入社後のトラブルが少ないという現場の声は多くあります。採用の可否には直接影響しませんが、入社後の働きやすさを確保するためにも、要介護者の状況や子どもの年齢は記載しておく方が得策です。

事実婚・同性パートナーがいる場合

法的な婚姻届を提出していない事実婚・内縁関係のパートナーと同居している場合は、「夫(未届)」「妻(未届)」または「同居人」と記載することができます。同性パートナーの場合は「パートナー」や「同居人」とするケースが多く見られます。記載するかどうかは本人の判断に委ねられており、記入しないことも選択肢の一つです。

三世帯同居の記入例

三世帯同居の場合の家族構成欄記入例

【家族構成】
佐藤一郎(父・世帯主) 58歳 会社員
花子(母) 55歳 主婦
正男(祖父) 82歳 無職
良子(祖母) 79歳 無職
次郎(弟) 24歳 会社員

記載順は世帯主を筆頭に年齢の高い順が基本です。年齢の表記は実年齢を記入します。同一年齢の場合は、戸籍上の続柄の近い方を先に記載するのが一般的です。

既婚・子どもありの場合の記入例(転職応募者向け)

既婚・子ども2人の場合の記入例

【家族構成】
田中美咲(妻) 35歳 会社員
健太(長男) 6歳 小学生
さくら(長女) 4歳 保育園

転職活動の場合、子どもの年齢を明記しておくことで採用担当者が勤務形態の調整を検討しやすくなります。「小学生」「保育園」などの記載を添えると、ライフステージをより明確に伝えることができます。

続柄の正確な書き方と間違いやすいポイント

続柄(つづきがら)とは、親族間の関係性を公的な書類で表すための表記です。日常会話で使う「お父さん」「旦那」といった呼称は公的書類には使わず、「父」「夫」などの正式な続柄で記載します。

続柄の起点は「応募者本人」

履歴書の家族構成欄における続柄は、原則として「応募者本人から見た関係」で記載します。住民票の世帯主を起点にする書類(住民票など)とは異なる点に注意が必要です。書類によって「あなたからの続柄」「世帯主からの続柄」と明記されている場合は、必ずその指示に従ってください。

間違いやすい続柄一覧

関係 正しい続柄 よくある間違い・注意点
法律上の夫 「主人」「旦那」はNG
法律上の妻 「嫁」「家内」はNG
第一子(男) 長男 戸籍正式表記は「二男」(次男も可)
配偶者の父 義父 養父(養子縁組)とは別
配偶者の兄 義兄 実兄とは区別して記載
自分の親の兄(年上) 伯父 親の弟(年下)は「叔父」
自分の親の弟(年下) 叔父 親の兄(年上)は「伯父」
自分の親の姉(年上) 伯母 親の妹(年下)は「叔母」
自分の親の妹(年下) 叔母 親の姉(年上)は「伯母」

「伯父・叔父」「伯母・叔母」の区別は日常生活でほとんど意識しないため、混同が多い典型的なミスポイントです。覚え方としては、「伯」は「伯爵」など「上位・年長」を表すニュアンスがあり、自分の親より年上(兄・姉)のきょうだいに使います。

養子縁組・再婚家庭での続柄の扱い

養子縁組が法的に成立している場合は、養父・養母も「父」「母」と記載します。再婚家庭で戸籍上の親子関係が成立していない場合は「養父」「養母」と記載する場合もありますが、実態として養子縁組が完了していれば「父」「母」で問題ありません。不安な場合は戸籍謄本を確認した上で記載してください。

面接で家族構成を聞かれたときの答え方

採用面接で家族構成を尋ねられることは、厚生労働省のガイドラインでは推奨されていない行為ですが、現実の選考現場では依然として行われているケースがあります。聞かれた際に慌てないよう、答え方のパターンを事前に整理しておきましょう。

素直に答えてよいケース

「何人家族ですか?」「ご両親とお住まいですか?」程度の質問であれば、差し支えなければ簡潔に答えて問題ありません。採用担当者の多くは、引っ越しの必要性や通勤状況の確認など、業務上の配慮から聞いているケースがほとんどです。

例:「父と二人暮らしです。転勤があっても柔軟に対応できます」のように、仕事への影響についても補足で伝えると、担当者が気にしているであろう点を先回りして払拭できます。

答えたくない場合の対処

プライバシーの観点から答えたくない場合は、丁寧にかわすことができます。大切なのは、不信感を与えず、業務への支障がないことを伝えることです。

例:「プライベートな部分でお伝えしにくい事情がありますが、業務への影響は一切ございません。ご安心ください」

採用担当者の立場から見ると、家族構成の質問に対して過度に防衛的な反応をするよりも、業務への影響についてのみ答えてくれる応募者の方が好印象を与えることが多いです。「個人情報ですので答えられません」と強く拒絶するよりも、仕事に問題がないことを伝えながら柔らかくかわす方が無難です。

介護・育児について聞かれた場合の考え方

「介護が必要なご家族はいますか?」「小さなお子さんはいらっしゃいますか?」という形で実態を確認してくる場合は、選考よりも入社後の勤務調整を見据えた質問である可能性があります。隠して入社した後でトラブルになるよりも、正直に伝えた上で働き方について話し合う方が長期的には双方の利益になります。

よくある質問(FAQ)

Q1:一人っ子で実家を離れて一人暮らしをしています。住民票は実家のままです。家族構成欄はどう書けばよいですか?

住民票が実家にある場合は、実家の家族構成を記載します。世帯主(父または母)を筆頭に、同居している家族を年齢順に記入してください。自分自身は家族構成欄には記入しないのが一般的です。

Q2:父親が単身赴任中で、母親と自分の二人暮らしです。父は家族構成に含めるべきですか?

住民票が同一世帯の場合は、単身赴任中の父親も含めて記載するのが原則です。ただし、住民票が単身赴任先に移っている場合は、別世帯として扱い、記載しなくて構いません。不明な場合は住民票を確認してください。

Q3:祖父が要介護状態で同居しています。採用に不利になりませんか?

採用の合否に直接影響することは、公正採用の原則上あってはなりません。ただし、介護の状況(要介護度や介護頻度)によっては残業や転勤の可否に影響する場合があるため、採用後の勤務形態について率直に話し合っておくことが重要です。介護サービスを活用して勤務に支障がない状況であれば、その旨も添えて伝えることができます。

Q4:企業指定の履歴書フォーマットに家族構成欄がありません。記載しなくてよいですか?

記載不要です。厚生労働省が2021年4月に公表した新様式にも家族構成欄は設けられていません。企業指定のフォーマットに欄がない場合は、記入する必要はありません。

Q5:「次男」と「二男」はどちらが正しいですか?

戸籍上の正式な表記は「二男」ですが、履歴書では「次男」でも一般的に許容されます。迷う場合は「二男」を使うのが無難です。同様に、第二子の女の子は「二女」が戸籍上の正式表記、「次女」も許容範囲です。

まとめ:家族構成欄は正確に、過不足なく記載する

履歴書の家族構成欄は、自己アピールをする欄ではなく、採用後の社会保険手続きや勤務形態の検討に必要な実務情報を伝えるための欄です。基本ルールは「同居家族を世帯主から順に、続柄と年齢を記載する」のみです。

採用担当者から見ると、家族構成欄の内容そのもので合否が変わることはありませんが、記入漏れや誤った続柄の記載は「書類管理の不正確さ」として映ることがあります。特に続柄の間違い(「伯父・叔父」の混同、配偶者の親を「父・母」と書くミスなど)は、丁寧に確認すれば防げるポイントです。提出前に一度、戸籍謄本や住民票を参照しながら確認することをおすすめします。

2021年以降は厚生労働省の新様式が普及し、家族構成・扶養家族欄のない履歴書が標準的になりつつあります。企業指定のフォーマットに欄がない場合は記入不要であり、欄がある場合のみ正確に記載すれば十分です。

参考文献