退職願・退職届・辞表の違いと書き方 状況別チェッカー付きテンプレートダウンロード

退職願・退職届・辞表の違いから正しい書き方・提出マナーまで詳しく解説。状況別チェッカーでどの書類を出すべきかを確認でき、WordとPDFのテンプレートも無料ダウンロード可能。封筒の選び方・入れ方・渡し方など手続き全体を網羅しています。

退職願・退職届・辞表の違いと書き方 状況別チェッカー付きテンプレートダウンロード

退職願・退職届・辞表の違いと選び方

退職時に提出する書類には「退職願」「退職届」「辞表」の3種類があります。名前が似ているため混同されがちですが、それぞれ法的な位置づけと提出タイミングが異なります。適切な書類を適切なタイミングで提出することが、円満退職の第一歩です。

書類名 役割・性質 撤回 使える人
退職願 「退職したい」と会社に申し出るための書類。会社の承諾で退職が確定する 承諾前なら可能 一般社員全員
退職届 退職が確定した後に届け出る書類。一方的な意思表示で効力が生じる 原則不可 一般社員全員
辞表 役職・地位を辞する意思を表明する書類。役員(取締役等)は雇用契約ではなく委任契約のため、厳密には「辞任届」が正確な名称 原則不可 役員・公務員のみ(役員は厳密には辞任届)

退職願とは:退職を「お願いする」書類

退職願は、会社に対して「退職したいのでご承諾ください」と申し出るための書類です。労働契約の合意解約を求める申し入れであり、会社側(人事権限を持つ者)が承諾した時点で退職が確定します。承諾される前であれば、本人の意思で取り下げることが可能です。

口頭での申し出でも法的には問題ありませんが、書面で残すことで申し出の証拠になるため、退職願の提出が慣行となっている企業が多くあります。会社や上司から特に指定がない場合は、退職願を選ぶのが一般的です。

退職届とは:退職を「通知する」書類

退職届は、退職が確定した後に提出する書類です。退職願の段階で双方が合意し退職日が決まったら、最終的な事務手続きとして提出します。退職届は一方的な意思表示であるため、提出(会社への到達)後の撤回は原則できません。

民法627条により、期間の定めのない雇用契約では退職の申し入れから2週間を経過すれば退職できます。そのため、会社が退職を承認しない場面で強い意思表示として退職届を提出するケースもあります。ただし、就業規則で1〜2カ月前の申し出を義務づけている企業が多く、突然の退職届提出はトラブルの原因になることがあります。

辞表とは:役員・公務員のみが使う書類

「辞表」は役員や公務員が使う書類として広く知られていますが、正確な法的理解としては注意が必要です。取締役などの会社役員は会社と「雇用契約」ではなく「委任契約」を結んでいるため、「退職」ではなく「辞任」という手続きになります。このため厳密には「辞任届」が正しい名称です。「辞表」は慣行的に使われてきた呼称で、会社によっては辞表でも受け付けることがありますが、登記上の手続き(取締役の変更登記など)を伴う場合は、会社の顧問弁護士や司法書士に適切な書式を確認してください。

公務員については所属機関によって書式が定められており、退職届に相当する「辞表」を提出します。いずれも一般社員が使う書類ではないため、一般社員はどれだけキャリアが長くても辞表・辞任届は使いません。

人事担当者の立場から見ると、一般社員が誤って辞表を提出してくるケースが稀にあります。受け取る側は「書類の種類を理解していない」という印象を受けることがあるため、自分の立場に応じた書類を選ぶことが大切です。

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退職願と退職届と辞表の違いとは?それぞれの書類の特徴

【退職願のフォーマット】退職する時に提出する一般的な書類

退職する場合のほとんどの方が使う書類が退職願です。縦型レイアウトでどのようなケースでも使用できます。印刷用のPDFファイルとパソコンで編集可能なWordタイプの形式を用意していますので、お好きな方をダウンロードしてお使いください。

会社や上司から指定がない場合はこちらの退職願を使用しましょう。書き方がわからない方は記入例も合わせてダウンロードしてください。

【退職届のフォーマット】提出した時点で退職日が決まる書類

こちらは退職届のフォーマットです。退職願との変更点はタイトルの「退職願」→「退職届」と、本文末尾の「退職いたしたく、ここにお願い申し上げます」→「退職いたします」の2点です。

上司などと相談して退職届を提出することになった場合はこちらのフォーマットを使用しましょう。退職願と同じく印刷用PDFとWord形式のファイルを用意しています。

【辞表のフォーマット】公務員の方はこちらを選択

このフォーマットは公務員の方が使用するものです。公務員は所属機関の規定に基づき「辞表」を提出します。タイトルが「辞表」になる以外、書式の内容は退職願と同じです。

なお、取締役などの会社役員は労働者ではなく委任契約のため、このフォーマットは対象外です。役員が役職を辞する際は「辞任届」を用いる手続きになり、登記変更も伴うため、会社の顧問弁護士や司法書士に書式と手続きを確認してください。一般社員はいずれの辞表フォーマットも使用しません。

退職願・退職届の書き方と注意点

フォーマットをダウンロードしたら、各項目を正しく記入しましょう。書き方の基本は退職願・退職届に共通しており、タイトルと本文末尾の表現だけが異なります。

手書きとパソコン作成どちらが正しいか

退職願・退職届は手書きが慣行とされてきましたが、パソコンで作成したものを印刷しても問題ありません。重要なのは書類の内容であり、作成方法は問われないケースがほとんどです。ただし、企業によっては就業規則で「手書き」を指定しているケースや、「署名のみ直筆」を求めるケースもあります。事前に就業規則を確認するか、上司に確認しておきましょう。

手書きする場合は黒のボールペンまたは万年筆を使用します。摩擦で消えるタイプのペンは時間経過で文字が消える可能性があるため使用を避けてください。

各項目の書き方のポイント

  • タイトル:「退職願」または「退職届」と中央に記載。辞表の場合は「辞表」
  • 私儀(わたくしぎ)・私事:一行目の下部に小さく記入。「わたくしごとではありますが」という謙遜の意味を持つ慣例表現
  • 退職理由:自己都合退職の場合は「一身上の都合により」と記載。具体的な理由は書かないのが一般的
  • 退職日:退職願には「退職を希望する日付」、退職届には「会社と合意した確定日」を記載する。縦書きの場合は漢数字を使用
  • 提出日:実際に書類を提出する日付を記入
  • 所属・氏名・捺印:部署名とフルネームを記入し、氏名の下に印鑑を捺印する。認め印で可。スタンプ式印鑑は避けることが望ましい
  • 宛名:代表取締役社長の氏名(または「代表取締役社長 殿」)を記入。宛名の位置は氏名より上

採用・人事担当の立場から見ると、退職願・退職届で最も多い記入ミスは「退職日の誤り」です。退職願には希望日を、退職届には確定日を書くというルールを混同して、合意前に退職届の文面で「退職いたします」と書いてしまうケースがあります。提出する書類の種類を確認してから記入しましょう。

会社都合退職の場合の書き方

リストラや事業所閉鎖などの会社都合で退職する場合、基本的に退職届の提出は必要ありません。ただし会社側から提出を求められた場合は従いましょう。この場合「一身上の都合により」とは書かず、「部門縮小のため」「退職勧奨に伴い」など、会社と合意した具体的な退職理由を記載します。

会社都合退職を自己都合として処理されると、失業給付の受給期間や待機期間に不利な影響が出ることがあります。会社都合退職であることを確認した上で手続きを進めましょう。

名前は必ず直筆で書くこと

退職願・退職届のすべての書類に共通する重要なルールが、氏名の直筆記入です。タイトルや本文はパソコンで作成しても問題ありませんが、氏名だけは手書きで記入することが書類の信頼性を担保する慣習として定着しています。

書類を作成する際はこの点を必ず守りましょう。

退職願・退職届の封筒の書き方と渡し方

封筒の選び方と書き方

退職願・退職届は封筒に入れて提出するのがマナーです。封筒は白の無地(郵便番号枠なし)を使用します。コンビニや文具店で購入できる一般的な白封筒で問題ありません。

  • 封筒の表面(おもて):中央に「退職願」または「退職届」と記入
  • 封筒の裏面:左下に自分の部署名と氏名を記入
  • 封入方法:書類を三つ折りにして封筒に入れる。「退職願」の書き始め部分が上になるよう折る
  • 封の仕方:のり付けは不要(すぐ確認できるよう「〆」マークを書かずに提出する企業も多い)

提出方法と渡し方のマナー

退職願・退職届は必ず直接手渡しが原則です。机の上に置いたり、同僚に頼んで渡してもらったり、メールで送ることは避けましょう。渡す相手は直属の上司です。宛名が代表取締役社長であっても、書類を手渡しする相手は直属の上司になります。

退職の意思を伝える場面は、他の社員がいない会議室など、二人で話せる場所を選びましょう。「ご相談したいことがあるのですが、少しお時間いただけますか」と場を設けてもらうのがスムーズです。

上司が退職届の受け取りを拒否する場合は、さらに上位の上司や人事部に相談します。それでも受け取ってもらえない場合は、内容証明郵便で送付するという方法もあります。

退職願・退職届を提出するタイミングと退職までの流れ

退職願・退職届を提出する前に、在籍中の会社の就業規則を必ず確認してください。多くの企業は退職希望日の1〜2カ月前までに申し出ることを義務づけています。この期限を守らないと退職交渉が難航したり、最悪の場合は損害賠償請求につながるリスクもあります。

一般的な退職の流れは以下の通りです。

ステップ 内容
1. 退職の意思を固める 就業規則で申し出期限を確認し、退職希望日を決める
2. 直属の上司に口頭で伝える 他の社員がいない場所で退職の意思を申し出る。退職願を手渡しする
3. 退職日の決定・承認 退職日や業務引き継ぎのスケジュールを上司と調整する
4. 退職届を提出 退職日が確定したら退職届を提出。会社規定の書式がある場合はそちらを使用する
5. 業務の引き継ぎ・退職手続き 後任への引き継ぎ、社内外への挨拶、各種書類の返却・受け取り

退職願・退職届に関するよくある質問

退職願を出したら必ず退職できますか?

民法上、期間の定めのない労働契約では、退職の申し入れから2週間が経過すれば退職できます(民法627条)。しかし就業規則で1〜2カ月前の申し出が義務づけられている企業が多く、急な退職は引き継ぎや人員補充の観点から会社に負担をかけます。就業規則の期限を守った上で申し出ることが、円満退職のためにも重要です。

退職願を提出した後に撤回することはできますか?

退職願(合意解約の申し入れ)は、会社が承諾する前であれば撤回が可能です。ただし退職届(一方的な意思表示)は提出後の撤回が原則できません。退職の意思が100%固まってから提出することが大切です。

退職届を受け取ってもらえない場合はどうすればいいですか?

上司が退職届を受け取らない場合は、人事部に直接提出します。それでも受け取ってもらえない場合は、内容証明郵便で会社宛に送付することで「提出した」という証拠を残すことができます。退職を不当に引き止められる場合は、労働基準監督署や弁護士に相談することも選択肢のひとつです。

退職理由は正直に書かなければいけませんか?

自己都合退職の場合、退職願・退職届の退職理由は「一身上の都合により」と書くのが一般的です。転職・家庭の事情・健康上の理由など詳細を書く義務はありません。ただし会社都合退職の場合は具体的な理由を記載します。

退職願・退職届はパソコンで作成してもいいですか?

問題ありません。会社から手書きの指定がなければパソコン作成でも受理されます。重要なのは氏名だけは直筆で書くことです。会社に指定のフォーマットがある場合はそちらを優先してください。

各書類を正しく理解して円満退社をしよう

退職時に使う書類は状況によって異なります。通常は退職願を提出して退職日が確定した後に退職届を提出するのが一般的な流れです。役員・公務員のみが辞表を使います。

会社から特に指定がない場合は退職願を選択してください。提出前には就業規則の申し出期限を必ず確認し、直属の上司への手渡しを原則として進めましょう。同じ業界への転職では元の会社と取引関係が生じる場合もあります。円満退職を意識した手続きが、転職後のキャリアにも良い影響をもたらします。