自己PRの気配りアピールで差別化を図るポイントは?

自己PRで気配りアピールをする就活生は多いのですが、それだけ埋まりやすいテーマでもあります。気配り上手な性格のアピール方法で、他の人とは違う「深み」を出す視点やエピソードの作り方を解説。面接や応募書類上で企業の採用担当者の心を惹きつけられるよう、コツを意識して作成しましょう。

自己PRの気配りアピールで差別化を図るポイントは?

自己PRの定番「気配り上手」は説得力が肝心

就活ではエントリーシートや面接などの場面で自己PRが求められます。自己PRでは様々なアピールをすることが可能ですが、定番と言ってもいいほど多く見られるのが「気配り」を強みとする自己PRです。

「気配りができる人」は企業も欲しいと思う素晴らしい人材であることには間違いありません。しかし、同時に人事担当者は自己PRのネタに困った就活生が苦し紛れに書きがちな内容であることも理解しています。非常に多くの学生が自己PRとして「気配りのできる自分」をアピールしてくるため、その中で自分の存在を差別化するにはテクニックが必要となります。

「気配りができる」とは?

社内チームでデータを検証する

気配りで自己PRをする人は、「気配り」が非常に抽象的な言葉であることを理解しておく必要があります。気配りにもいろんな種類があり、ゴミを拾ってくれる人もいれば、こまめに声をかけてくれることもありますが、これらは全く別の気配りです。

学生の考える「気配り」と企業で求められる「気配り」は違います。「場を乱さないために発言を控える」気配りができることを求めない企業もあります。企業で求める気配りは誰かの気を害さないことや優しいことではなく、利益を生み出すことにつながる気配りです。

表現を「気配り」とするとしても、他の言葉で言いかえるならどんな言葉になるのかを考えてみることが大切です。自分に秘められている「気配り」の能力がどんなもので、それがどのように企業活動に貢献できるかが明確になっていきます。

自己PRでの「気配り」は行動が伴わないとマイナス評価になる

「気配り」を自己PRする場合、最も気を付けないといけないのは自己PRと実際の行動が矛盾しているケースです。万が一、選考の場でそれが露呈した場合には、「嘘をついた」から選考に落ちるのではなく「自己分析が足りない」ために落ちることとなります。

短期決戦となる面接などの場では、実際の行動が伴っていない自己PR内容だとマイナス評価になります。気配りを自称しているのに他の人の話を遮って話したり、企業の問題点の指摘を面接の場で行ったり、時間に遅れてくるようなことがあってはいけません。少なくとも周囲に失礼のないように心がけましょう。

自己PRで「気配り」をアピールする際のポイントと注意

自己PRで「気配り」をアピールする人は多いです。そのため、しっかりポイントを押さえてアピールしなくてはなりません。

1 できれば「気配り」以外の表現をしよう

障害物を乗り越えるビジネスマン

就活中に自己PRとして「気配り」をアピールする学生は多いため、読む側としては「またか」という印象を感じてしまう懸念があります。人によっては「後で読む」「最初から読まない」などの対応をすることもあります。できれば他の表現や、何か差別化する表現を考えてみましょう。

例えば、「私の長所は『気配り』です」ではなく、「私の強みは『自分がつらい時でも周囲に気を配れること』です」など、シチュエーションを限定することで差別化し、興味を引くことができます。

2 結論は最初に持ってくる

ビジネス用の書類などの基本中の基本ではありますが、できていないことが多いです。特に採用現場では、多くの書類に目を通すことになりますので、何を言いたいのかわかりにくい、再度読み直しが必要な書き方はそれだけで悪印象です。「私の強みは気配りです」と結論を最初に持ってくるようにすることで要点がわかりやすく伝わります。

3 気配り上手なことが根拠になるエピソードを具体的にする

自己PRでは、最初に結論、そしてその後に結論の根拠になるエピソードを添えていきます。そのエピソードも、単純に「友人たちから『気が利くね』とよく言われます」で終わるのではなく、どのような行動によってそのような評価を受けているのかを記述する必要があります。「セルフサービスのお店で率先してお水を持ってきている」などの具体的な内容が求められます。これは、採用を考える企業側としては、評判ではなく行動こそが利益を生み出すものですから当然のことなのです。

4 「気配り」は成果に結びつくことをアピールする

気配りの成果は何?

「気配り」が長所であることをアピールして、それを企業側が確認することはほぼありません。しかし、選考が進むか進まないかを左右するのは、その気配りが成果に結びつくのかということです。

「誰かが辛い時にそっと側にいてあげられる」ことは素晴らしいことですが、それが成果につながるのかはわかりません。「辛いと感じている人を見つけ出し、その人を励ますのが上手」であれば、マネージャーや人事としての資質がある将来有望な人材とみなされるでしょう。自分の持っている気配りが具体的にどのように企業活動に役立つのかまでを考え、自己PRの内容に盛り込む必要があります。

「気配り」をアピールする自己PR文例

実際に、自己PRで「気配り」を扱った例文を見てみましょう。ここでは、2つの例文を紹介するので、気配りをテーマに自己PR文を考える際に役立ててください。

「気配り」を使った自己PR例文1

私の強みは「気配り」だと良く言われますし、私もそう思っています。

私は大手ハンバーガーチェーンでアルバイトをしていましたが、セットメニューのご注文をいただいた時に、ホットコーヒーが切れてしまってすぐに出せない状況がありました。その際に、数分待っていただく方法もありましたが、お客様が少し時間を気にしていらっしゃるようだったので、ハンバーガーとポテトを先に出し、注文いただいていなかったお水を一緒につけて「コーヒーは後程お持ちいたします」とお伝えしました。その後、コーヒーを持って行ったお客様から「ありがとう。早く席に座って済ませたい用事があったんだ」とお礼の言葉をいただきました。

気づくこと、そして気づいたことに合わせて行動できるという自身の強みを通し、ビジネスの場でも周囲のサポートや顧客開拓などに貢献できればと考えております。

冒頭では「気配り」という表現を使っていますが、最後の部分でのアピールでは「気づくこと、そして気づいたことに合わせて行動できる」と言い換えています。これによって「気づく力」と「対応力」があるというアピールになっています。エピソードも具体的で状況が良く伝わる構成になっています。

同僚をサポートする社員

「気配り」を使った自己PR例文2

私の強みは「嫌われないこと」です。

父が機械メーカーの営業をしているのですが、昔から「人間関係で大事なことは、好かれることより嫌われないことだ」と私を教育してくれたこともあり、小さい頃から自然と意識しています。

ずっと部活動やサークルで野球をしてきましたが、チーム内でトラブルがあった時、よく調停する役割を任されました。私は気配りができて相手に嫌われないように意見を伝えたり拾ったりできるからだそうです。

特別に気配りをしているつもりはないですが、自分の主張をする前に必ず相手の意見を引き出すこと、相手の意見に対して感想を述べたり、反応をしっかり見せるように心がけています。

貴社への入社が叶いましたら、私の強みを生かして、顧客の小さな声を拾いながら商品やサービスの改善に役立てることができたらと思います。

「嫌われない」というユニークな強みの表現から始まる内容です。「つかみ」の段階ではよほどビジネスに沿わない内容、もしくは曖昧な内容でなければ切られることはありません。エピソードを見ていく中で、哲学と実践が根付いている人だということがわかってきます。具体的にその強みがどのように仕事に活かされるのかも明確です。

さらに欲を言えば、「話を引き出すのが上手」などと表現すると、あとで採用担当者が思い出すときに「嫌われないA君」よりも「話を引き出すのが上手なA君」の方が、企業に役立つ印象の就活生として思い出されます。

「気配り」を自己PRするなら一段階「深める」意識を持とう

一般的に「気配り」とは、他人の気持ちや立場を考慮し、相手に合わせた言動をすることを指します。しかし、ただ相手に合わせるだけではなく、相手の本当のニーズや欲求に気付き、それを満たすための行動を起こすことが、より深い「気配り」であると言えます。

例えば、同僚が忙しい時には、単に手伝いを申し出るだけではなく、具体的にどのような部分を支援すると効果的かを考え、それに応じたアクションを取ることが大切です。あるいは、相手が自分で言い出せない悩みや問題を抱えている時には、相手の表情や言葉からそれを察知し、的確なアドバイスやサポートを提供することが求められます。

このように、ただ相手に合わせるだけではなく、相手の本当のニーズや欲求に気付き、それに応じたアクションを起こすことが、より深い「気配り」であると言えます。自己PRで「気配り」をアピールする場合には、こうした深い「気配り」について具体的な事例を挙げ、自分自身がそれを実践していることを示すことが重要です。また、これまでの経験やスキルを通じて、深い「気配り」をするための意識や技術を磨いていることをアピールすることで、より説得力のある自己PRとなるでしょう。