奨学金の猶予申請に必要な書類や審査に通る理由の例文

奨学金の猶予を願出したいと思ったことはありませんか?どのような時に奨学金を猶予できるのか、また、どのように返還猶予の申請をすればよいのか、傷病で失業中、生活保護や入学前など理由の文例も紹介します。このコラムを読めばあなたも返還猶予の申請書を書けるようになりますよ。

奨学金の猶予申請に必要な書類や審査に通る理由の例文

奨学金は返還を猶予できる?必要書類・審査を通すための理由の例文

大学の学費は国立大学でも60万ぐらいかかり、私立ではそれ以上かかります。それに加えて生活費も自分で払わなければならないとなると、学校に行かずにバイトしないといけなくなります。勉強するために大学に行ったはずなのにバイトばかりするのはおかしいですよね。
では他にないかと考えたときに奨学金が選択肢になります。しかし、奨学金は有利子のものも多く、いずれ返還しなければならないものです。

大学は卒業したのに就職できなかった、就職はしたけど給料がそんなに高くなかった場合に奨学金を返還できない可能性もあります。そうなったときにどうすれば良いのでしょうか。

実は奨学金には返還を猶予する制度があります。このコラムでは奨学金の返還の猶予制度についてご紹介します。

奨学金の返還猶予制度とは?

奨学金の猶予について考えるOL

奨学金には返還が難しい時、返還期限猶予の制度があるのですが、そもそも返還期限猶予の制度とはどのようなものでしょうか、またどのような時に返還の猶予が認められるのでしょうか。ここでは返還期限猶予の制度についての説明とそれがどのような場合に認められるのかについてご紹介します。

奨学金の返還期限猶予は奨学金の返済を延ばすことができる制度のこと

奨学金を返還できるのに返還しないというのは問題ですよね。もし奨学金を返還しない人がたくさん出てきてしまったら奨学金制度そのものが崩壊してしまいます。しかし、返還できる状態にない人に返還を迫ることはできません。
そのため、やむない理由で返還が困難になった場合、返還期限の猶予を申請することができます。変換猶予に必要な書類を提出し、それが審査によって認められた場合に限り、返還が猶予されます。

その際に返還が猶予される期間も決まっているので、その期間が終了すれば返還を再開しなければなりません。また、返還の猶予が認められなかった場合も、返還を継続する必要があります。この返還期限の猶予はあくまでも、一定期間の返還を延期する制度なので、返還すべき元金や利息が免除されるわけではないという点には注意が必要です

奨学金の返還猶予制度の適用条件

返還期限を猶予したいと言っても誰でも猶予されるわけではありません。返還が猶予されるには条件が必要です。
返還猶予が認められるのは災害、傷病、経済困難、失業などの返還に困難な事態が起こった場合であり、給与所得の方の場合は年間収入金額が300万円以下、給与所得以外の所得のある方は年間所得金額が200万円以下の場合に認められます
被扶養者がいたり、親に対して援助する必要があったりする人は、一定額を控除して収入基準以下になる場合があります。

その場合には返還が猶予される場合があります。誰でも返還が猶予されるわけではないということは覚えておく必要があるでしょう。また、それぞれの返還を求める事由によって用意する書類も違いますので注意しましょう。

奨学金の返還猶予を申請するために必要なこと

奨学金を使って大学に行こうと考える高校生

奨学金の猶予が出来ることは分かったのですが、実際にどのような手続きをすればよいのでしょうか。前述したように奨学金の返還猶予の手続きは、事由によって揃える書類が違います。ここでは奨学金の猶予の申請方法についてご紹介します。

猶予願とチェックシートを入手する

申請書類は日本学生支援機構のホームページからダウンロードできます。こちらを入手しなければ申請ができませんので、必ず入手するようにしましょう。ホームページからダウンロードする以外にはファックスや電話で請求することもできますので、出来る方法で用意しましょう。

猶予願を記入する

まず猶予願を記入します。猶予願には申請する理由として返還困難な事情について説明することと、今後の返還の見通しについて説明する必要があります
こちちらは願出の事由によって書く内容が異なりますので、後で書く例文を参考にして書いてみましょう。返還を猶予してもらうわけですから、現在の事情を踏まえ、なぜ猶予を願い出ているのか、また、今後の見通しは立っているのかどうか、丁寧に説明するようにしましょう。

返済猶予申請に必要な証明書を準備する

返還猶予の申請書類は願出の事由によって異なるので事前に確認しておく必要があります

傷病の場合

発行2か月以内の診断書が必要です。

就労している場合

傷病に必要な書類と所得証明書、市県民税証明書、住民税非課税証明書のいずれかが必要です。

生活保護受給中の場合

生活保護受給証明書か民生委員の証明書のいずれかが必要になります。

入学準備中の場合

予備校の在籍証明書、出身学校長または出身学校教職員などの入学準備中であることを証明する書類が必要になります。

失業中の場合

雇用保険受給資格者証のコピー、雇用保険被保険者離職票のコピー、失業者退職手当受給資格症のコピー、雇用保険被保険者資格喪失確認通知書のコピーのいずれかが必要になります。これらの取得が困難な場合は退職証明書か、健康保険厚生年金保険資格取得(喪失)証明書のコピーのいずれかが必要になります。

経済困難の場合

所得証明書、市県民税証明書、住民税非課税証明書のいずれかが必要です。

他にもその他の部分でいろいろな理由を書くことができます。その際にはどのような書類が必要なのか必ず確認しておきましょう。

必要な書類に漏れがないか確認して提出

ダウンロードしたチェックシートをもとに、内容や証明書にもれがないかチェックしましょう。不備があった場合は再度書類を提出し、また審査が必要になるので、書類に不備がないように注意しましょう。一刻も早く返還を猶予したいのに、書類の不備でそれができないのは困りますからね。

奨学金の猶予申請の提出期限と書類の送付先は

延滞している人は一刻も早く書類を提出する必要があります。延滞をしていない場合は猶予開始希望月の3カ月前から前々月末までに提出する必要があります。それよりも前に提出してしまうと返送されてしまうので注意しましょう。また、提出時期を過ぎた場合は猶予が希望月から開始できない場合があります。期限はしっかりと守るようにしましょう。送付先は以下のように書く必要があります。間違えないで落ち着いて書くようにしましょう。

「〒162-8412 東京都新宿区市谷本村町10-7 日本学生支援機構 返還部 返還猶予課」

手続き方法|日本学生支援機構

これで大丈夫!奨学金猶予願の文例を考えよう

申請書類を記入する男性

前述した通り、奨学金を猶予願には返還猶予を願い出る事情と今後の見通しについて書く必要があります。ここではそれぞれの事情による例文をご紹介します。これらの例文を参考にして自分なりの文章を書いてみましょう。

傷病で会社を辞める場合の文例

傷病でやむなく会社を辞めるなどして、返還猶予を申し込む際の文例をご紹介します。

傷病の事由で使える文例

3年間運送会社に勤めていましたが、運送途中に事故に合いムチ打ちになってしまい、仕事を続けることができずやむなく退職をすることになりました。現在は、アルバイトで生計を立てていますが、月の給与は15万円程度で、昇給も見込めません。支出は家賃、食費、光熱費を始め、治療費もかかるので、ほとんどの給与がなくなってしまいます。そのため奨学金の返還が困難ですので、返還期限の猶予をお願いします。


現在治療中のむちうちの症状は改善してきており、あと半年もすれば完治すると医者には言われています。むちうちの症状が完治した際には就職をして、なるべく早く通常の月賦金額での返還を再開したいと考えています。思った以上に治療が速く進み、就職もうまく行った際には猶予期間短縮願を提出して、通常の返還を再開します。

生活保護を受給する場合の文例

生活保護を受給せざるを得ない状況になり、返還猶予を申し込む際の文例をご紹介します。

生活保護受給中で使える文例

5年間勤めていた会社が突然の倒産。再就職を希望しましたが、それも叶わず、さらに体調も悪いため、生活保護を受給することになりました。現在は生活保護費のみで生計を立てており、奨学金の返済にまでお金が回りません。そのため奨学金の返還が困難ですので、返還期限の猶予をお願いします。


生活保護費をもらってはいますが、ハローワークの職業訓練を受講しており、体調も徐々にではありますが、回復してきています。職業訓練を受け、資格を取ったらすぐに生活保護を打ち切り、就職して通常の月賦金額での返還を再開します。12か月以内に就職が決まった場合には、猶予期間短縮願いを提出しますので、それまでは奨学金の返還猶予をお願いします。

別の学校に入学準する場合の文例

奨学金で大学に通う女性

新たに別の学校に入学することになり、返還猶予を申し込む際の文例をご紹介します。

入学準備中の事由で使える文例

大学を卒業し就職して3年間働いてきましたが、自分がやりたい研究を深めたいと思い、この度、大学院を受験することにしました。大学院受験に集中するために会社を辞め、現在はアルバイト12万円を稼ぎ生活しています。支出は家賃だけでなく光熱費や食費もかかるため、ほとんど手元には残らず、奨学金を返還することが困難ですので、返還期限の猶予をお願いします。


大学院は2年間ですので、今年1年間で大学院に合格し、大学院を修了したら再び奨学金の返還を開始したいと考えています。必ず今年1年で大学院に合格しますので、奨学金の猶予をお願いします。

失業した場合の文例

会社の倒産などにより失業したことで、返還猶予を申し込む際の文例をご紹介します。

失業中の事由で使える文例

5年間勤めていた会社が倒産し、再就職を試みましたが、うまくいかず、現在はアルバイトで生計を立てています。アルバイトの給与は15万円程度で、生活費の支払いでほとんどが消えてしまい、奨学金の返還が困難になってしまいましたので、返還期限の猶予をお願いします。


現在、失業中ではありますが、職業訓練学校に通い、資格を取得して再就職を試みています。資格取得は1年以内に可能ですので、なるべくはやく資格を取得して再就職することで、通常の月賦金額で返還を再開する予定です。思った以上に早く就職できた際には、猶予期間短縮願を提出して、通常の返還を再開しますので、それまでの間、奨学金の返還猶予をお願いします。

経済的に苦しくなってしまった場合の文例

起業をしたが収益が安定しないなど経済的に困難な場合に、返還猶予を申し込む際の文例をご紹介します。

経済困難の事由で使える文例

30年間勤めた会社を昨年退職し、自分で会社を作り起業しました。まだスタートしたばかりの会社なので収入が安定せず、苦しい生活が続いています。平均して20万円程度の収入で出費もあるので、生活費を除くとほとんど手元に残りません。ある程度あった貯金も無くなってしまいましたので、奨学金の返還期限の猶予をお願いします。


来年には大口の顧客との契約が決まり、安定して収入が得られる目処が立っています。それまでの間、奨学金の返還期限の猶予をお願いします。ただし、思った以上に早く収益が改善した場合には、猶予期間短縮願いを提出し、通常の月賦返還に戻しますのでよろしくお願いします。

奨学金には猶予申請の他に減額返還制度もある

奨学金の減額返還制度を初めて知った女性

これまで奨学金の返還期限猶予について説明してきましたが、奨学金に関してはもうひとつ、減額返還制度というのがあります。こちらも利用する機会があるかもしれませんので、ここでご紹介しておきます。

減額返還制度とは月々の返還額を半分にしてくれる制度

全額を毎月返還することは無理ですが、半額なら払うことができることもありますよね。そんな方には減額返還制度がお勧めです。減額返還制度とは毎月の返還額を半分にして返還する制度です。こちらも返還期限猶予制度と同じで、傷病や経済的にこんな場合に申請することができます。全体の返還額が減るわけではなく、返還期間が2倍になりますので注意しましょう。

減額返還制度の適用条件

経済的事由の場合は所得証明書などの年間収入金額が325万円以下、給与所得以外の所得を含む場合は、年間所得金額225万円以下の場合に申請できます。また、延滞をしている人は適用されませんので、延滞を解消してから申請するようにしましょう。
他には口座振替(リレー口座)加入者のみ利用可能ですので、未加入の方は口座振替の手続き終了後に申請しなければなりません。さらに月賦での返還方法のみで利用ができ、年賦や半年賦を利用している人も自動的に月賦に変更されますので注意しましょう。

奨学金は猶予を考えるより前に返還する必要があるものだという意識を持ちましょう

奨学金を借りて大学や大学院に行っている時は気付かないかもしれませんが、卒業した後に返還をしなければならないのが奨学金です。大学や大学院を卒業した後に返還しなければならないという意識を持って、借りるようにしましょう。
その際に毎月いくらずつ返還しなければならないのかしっかりと把握し、卒業した後に計画的に返還できるようにしましょう。ただしどうしても返還できない事情が出てきた場合には、そのまま払わないのではなく、返還期限猶予制度や減額返還制度を利用して、少しでも返していくようにしましょう。あなたと同じように奨学金を借りたい学生がいます。その人たちのためにも返還はするようにしましょうね。