AI採用とは?企業が人工知能を活用すると就活はどう変わる?

AI採用を導入する企業が少しずつ現れており、就職活動をする学生の間でも関心が高くなってきています。AI採用では今までの就活のノウハウが通用しないと恐れる人も多いですが、実際のところはどうなのか、採用側の視点からも考えてみましょう。

AI採用とは?企業が人工知能を活用すると就活はどう変わる?

AI技術を採用活動に活かす試みが始まった

採用を告げるロボットの腕と追従する男性

今はAI(人工知能)ブームと言われていますが、そのAIの技術を活用して企業が採用活動に活かそうという試みが始まっています。従来の採用とはまた大きく違ってくるために、就職活動を行う学生たちの中では警戒心を高めている人もいます。

大学で就活サークルを運営している酒井君は、AI採用が気になる学生の一人です。企業の人事分野に詳しい経営コンサルタントのK・エーイ氏に最新の状況について尋ねてみることにしました。

AI採用は学生にとって怖いもの?

ロボットによる採用・不採用ふるい分け

酒井君

―エーイさん、大変なことが起こりました!

エーイさん

酒井君、どうしました?何かあったんですか?

酒井君

―大手のS社などで、AI採用が始まっているそうです!

エーイさん

…ああ、なんだ、その件ですか。事故でもあったのかと思いました。

酒井君

―「なんだ」じゃないですよ!これは一大事ですよ!就活が思いっきり変わってしまうほどの一大事件ですよ!恐ろしいことですよ!

エーイさん

すごい剣幕ですね。まあ、でも酒井君の言っていることは一理ありますね。確かにAI採用は、就活のカタチを大きく変える可能性がありますから、注目しておいて損はないかもしれません。

酒井君

―今までサークルでやってきた就活対策が全く役に立たなかったらどうするんですか!エーイさん、対策を立てたいのでAI採用について教えてください!

エーイさん

ちょっと酒井君、鼻息荒いですよ。わかりましたわかりました。では、AI採用についてお話しましょう。酒井君は、AI採用ってどんなものだと思ってます?

酒井君

―えーと、エントリーシートなどのデータを機械が読み取って合否をつけたり、ペッパーくんみたいなロボットだったりコンピュータを相手に面接をしないといけなくなるものだと思ってます。

エーイさん

なるほど。間違ってはいませんが、ちょっと極端な感じですね。

酒井君

―え?何か違うんですか?

エーイさん

はい、AI採用はそこまでまだ完全に自動化されているわけではありません。企業側も実際、完全にAI任せにするのは怖いですからね。人の手が完全に入らないわけではないですよ。

酒井君

―あれ?そうなんですか?

エーイさん

そうです。ちょっと言葉がひとり歩きしていて、AIについてあまり知らない人ほど極端に考えて怖がっている傾向がありますね。ちょっとAIについての基本的なことからお勉強してみましょうか。

AI採用を支えるのは「機械学習」

エーイさん

酒井君、機械学習って知ってますか?

酒井君

―うーん、言葉は聞いたことがありますが、中身はちゃんと知りません。AIとよくセットで出てきますけど、何が違うんですか?

エーイさん

簡単に言えば、AIは完成物で、機械学習というのはAIを作るための技術です。酒井君、AIは何で物事を判断していると思いますか?

酒井君

―え?そんなの簡単です。データですよね。

エーイさん

はい、データです。では、データをもとにどうやって判断していると思いますか?就活的に考えてみてください。

酒井君

―えーと、そうですね。たとえば、学歴を見て東大はプラス100点、仕事に関連する資格はプラス50点、あとはエントリーシートがちゃんと書けてたらプラス50点みたいな計算をして、最終的に上位何人を合格とするみたいな感じじゃないでしょうか。

エーイさん

ありがとうございます。実は、酒井君が今話していたのは、普通のプログラムの考え方で、機械学習の考え方とは違うんです。普通のプログラムは「人間が判断基準を入力・設定する」のに対し、機械学習では「判断基準は機械がデータから作る」という違いがあります。

過去のデーターをスマホで調べるロボット

酒井君

―えーと、つまり、何が違うんですか?

エーイさん

まあ、ざっくり言えば、作った人も「何を基準に機械が判断しているかわからない」ってことです。

酒井君

―ええっ!そんなことでいいんですか!

エーイさん

はい。基準はわからないとしても、結果が合っていればいいというのが機械学習の考え方です。その精度が問題となるのですが、その精度が実用可能と判断できるレベルにまで上がったことで、採用活動にも活かされるようになったんですね。

酒井君

―余計に怖くなってきました。AI採用ってどういう基準で判断されているんだろう?

エーイさん

大丈夫ですよ。評価基準がわからないとは言いましたが、実際には評価基準は多少手を入れることで企業の希望を判断に反映させることは可能になっています。「積極的」な特性の採点を良くしたりするのは可能です。

酒井君

―それなら良かった、のかな。ところでエーイさん、AI採用の「判断基準は機械がデータから作る」っておっしゃいましたが、このデータってどういうデータなんですか?

エーイさん

いいところに気づきましたね。採用に関して言えば、判断基準を作るデータは応募者のデータとは別になっているんです。企業のAI採用では、過去のエントリーシートや履歴書をデータとしています。そして、採用された人のデータと、採用されなかった人のデータから、採用される人の判断基準をコンピュータが作ってくれます。作られた判断基準の中に、新たな応募者のデータを入れることで合否の判断がされるという仕組みになっているんです。

酒井君

―わかった!企業にとっては、毎年の採用方針があるから、結果的にAIに採用活動させたとしてもその方針を引き継いだような結果が出てくるということなんですね。

エーイさん

はい、そういうことです。逆に言えば、企業の方針転換やM&Aなどで急に採用方針が変わる場合などは注意が必要になりますし、同じような人が合格者として出てしまいやすい点に注意が必要ですけどね。

AI採用を導入することは企業にとってメリットが多い

酒井君

―しかし、何で今になって企業はAI採用を始めたんでしょう?やっぱりメリットがあるんですか?

エーイさん

企業にとってメリットは多いと思いますよ。まず、何よりも大きいのは「採用業務の効率化」ですね。

効率的に採用可否を決めるロボット

酒井君

―採用活動って大変なんですか?やっぱり。

エーイさん

そりゃあ大変です。学生の皆さんも就活で50社回るなら大変でしょう?企業は来てもらう立場だとしても、人を呼び込むのも大変ですし、また企業によっては数百人を受け入れ、評価しなくてはなりません。エントリーシートだけでも数百件読まなければならないこともあります。人事部の人に言わせれば、自分が就活する10倍は大変だそうですよ。

酒井君

―そうなんですね。全然わかってませんでした。

エーイさん

大変ですから、新卒採用業務がある時期だけ派遣社員を雇って人員を増員することも大きな企業だと少なくありません。採用活動は将来にわたって企業の地力の礎になりますから、役員などの関心も高く、相談も頻繁に行われるから大変なんですよ。

酒井君

―採用業務がちょっとでも楽になってほしいというニーズがあるんですね。

エーイさん

はい、そういうことです。結局、採用活動がAIを使うことによって効率的になれば、それだけ「人件費や様々なコストも大きく削減できる」ため、企業にとってメリットが多いんです。まあ、採用のためのAIの開発費や導入費用を考えると割に合うのかはまだ微妙なところですから、今はAIの研究をしている企業が主ですけどね。

酒井君

―AI採用の導入は、効率化の他のメリットはないんですか?

エーイさん

効率化の他には「主観的な評価を排除できる」というものがあります。採用担当者や面接官は人間ですから、その日の気分や、極端な話では人に会ったり資料に目を通す順番でも評価が変わってしまいます。時には「顔採用」と言われたりするほど外見的な部分を評価したりとか。

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酒井君

―なるほど、コンピュータが判断してくれるAI採用では、そういうのが無くなるんですね。これは学生の多くにとってもいいのかも。

エーイさん

他にも、採用活動、学生においては就職活動におけるステップを簡略化したり、評価や判断を速くできるようになるので、内定者の決定までの期間が短くて済むのもメリットでしょうね。先に内定を出しておけば、他社へ流れることがないように牽制もしやすいですから。

酒井君

―そう考えると、AI採用も悪いことばかりじゃないですね。企業にとっては嬉しい話が多くて、できれば使ってみたいと考えるのもわかります。しかし、学生の立場からするとどうしても気持ち悪い感じもしますし、不安があります。

AI採用にはデメリットもある

エーイさん

AI採用がこれだけメリットがあるのに、企業が導入に躊躇するのは、やはりデメリットもあるからです。何となく不安に感じるというだけでなく、実際に問題点がいくつかあります。

酒井君

―どういったものがあるんですか?

エーイさん

まず、機械学習が持っている「判断基準が不明」という部分です。先日、大手の企業のAI採用において「女性が不利な評価を受けている」ということがわかりました。技術系の仕事でしたから、男性の応募者、採用者が多く、それを機械学習で「男性が好ましい」という風に読み取ってしまったそうです。

男性有利を導き出す男性型ロボットと嘆く女性型ロボット

酒井君

―それは困りますね。それで落とされてしまったら女性は怒りますよ。

エーイさん

一応、企業側では男女差に関しては考慮しないようにプログラムを修正したそうですが、結局は人間がわかる範囲でしか修正ができません。そのため、性差をつける未知の判断基準が残っている可能性があるんです。そのため、この企業ではAI採用を一旦凍結したようです。

酒井君

―データの種類さえ整えればいいような気がしますけど、そういうものではないんですか?

エーイさん

たとえばですが、これと同様のことが、人種、出身地、信仰などで生じたら大変な問題になると思いませんか?もちろん、企業に入る時点で提出する書類や面接の内容では出てきませんが、合格者・不合格者にはこれらの属性に偏りが見られた場合、差別だと問題になるんじゃないでしょうか。

酒井君

―確かに、そういう可能性があるってことですよね。もしそうなればイメージダウンは避けられませんね。

エーイさん

それに、AIはあくまで機械ですから、人間のように何かを感じることはできません。そのため、「印象が良い」という対人関係で大事なことが軽視される可能性もあるんです。一部では「賢いけど少々暗い印象の人が得をする」とまで言われてたりします。データにもよるのでしょうが、採用と判断される人に多様性が確保できるかという問題もありますね。

酒井君

―なるほど。僕みたいに愛嬌と勢いで売っているタイプはちょっと不利になるのかな。だとしたら困りますね。企業としてもAI採用に大金を使ってみるには、まだまだ心配があるって感じなんですね。

AI採用の攻略法は存在するのか?

酒井君

―エーイさん、AI採用って何か攻略法はあるんですか?従来の就活対策とはまるで違ってくると耳にしたんですけど。

エーイさん

うーん、現段階では何とも言えないんですが、今までと比較すると印象を良くするだけでなく、中身が問われてくるんでしょうね。

酒井君

―中身ですか。

エーイさん

はい、中身です。たとえば、よく「制限文字数いっぱいに使おう」などと言いますけど、熱意を見せるにはそれが大事でした。しかし、AI採用になると、その熱意は判定されず、内容に企業の求める人間像を感じさせるキーワードが入っているかが問われる可能性があります。

酒井君

―ブログの作り方とかで聞いたような話ですね。

エーイさん

他にも、顔写真の撮り方や雰囲気なども決まってくるでしょうね。髪型や髪の色、表情、もしかすると体型なども画一化が進んでくるんじゃないかと。

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酒井君

―でもそれって、印象ってことじゃないんですか?

エーイさん

いや、AIは印象や意味を読み取ることはできないので、あくまで画像の情報として判断します。写真から読み取れる情報をどう評価に結びつけるかはわかりませんが、これは対策は立てやすいと思います。合格者の提出した顔写真データを集めて機械学習で分析したら良いだけですから。

酒井君

―何だかわかるようなわからないような対策ですね。

エーイさん

まあ、対策と言っても、大きく変わることは無いんですけどね。ただ、AI採用になると、今まで以上に「ごまかしが利かない」「挽回が難しい」就活になる可能性があります。個人の実力だけでなく、しっかり企業の特性を理解することや、過去のデータをもとにした対策が必要になってくるでしょうね。受験に近い雰囲気になってくる可能性が高いです。

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AI採用は今後は広がる?

酒井君

―最後になりますが、AI採用って今後は広がっていくんでしょうかね?

エーイさん

これについてはいろんな意見がありますが、基本的に広がっていくんじゃないかと私は思っています。やはり、今後は働き手の不足によって採用の分野にはあまりリソースを割けなくなります。また、企業としても高齢の人や外国人など、採用ノウハウの無い人を雇用する必要に迫られますから、AIはその時に頼れるツールだというのは間違いありません。

酒井君

―なるほど、AI採用を導入する企業側のニーズが高まっていくとエーイさんは予想しているんですね。

エーイさん

はい。でも一方で、AI採用が広まるためには、成功例と失敗例がもっと出てくる必要があると思います。どういう企業では成功し、どういう企業では失敗するのかがわからないと、特に費用対効果を考えると投資しにくいのかなと。

酒井君

―学生としてはあまり広がってほしくないなぁと思うんですけど、時代の流れなのかなあ。

エーイさん

どうして広がってほしくないんですか?

酒井君

―だって、機械に評価や判断されるなんて気持ち的に嫌じゃないですか。断られてばかりだったら、評価に値しないのかなって本気で落ち込んじゃうと思いますよ。

エーイさん

そうですよね、もっともなことだと思います。AI採用については、人間性に与える影響とか、人権とかまで踏み込んでもっと議論していくことが必要ですね。

酒井君

―でも、AI採用についてだいぶわかってきましたので、今日のところはこのくらいにして対策など考えてみたいと思います。貴重なお話を本日もありがとうございました。AIに負けないように頑張ります!

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AI採用は今後の動向に注目しておこう

AI採用が就職活動でも話題になっていますが、AIの仕組みがわかっていれば、ある程度の対策はできると言われています。そのため、過剰に恐れる必要はありません。

AI採用は世界的にもまだまだ始まったばかりです。今後の広がりは未知数ですが、就職を意識するタイミングでは、その最新動向には注意を払っておいた方が良いでしょう。

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