外国人留学生の就活と採用で学生が知っておきたいこと

外国人の採用に関して、興味を持つ企業が増えています。今後、入管法の改正や高まるニーズなどを背景に外国人労働者が増えることになりますが、外国人留学生はもとより日本の就活生もそのメリットや問題点なども知っておくと良いでしょう。

外国人留学生の就活と採用で学生が知っておきたいこと

増える外国人採用に企業も学生も戦々恐々?

採用された外国人たち

現在、外国人の労働者は増加の一途をたどっており、減少が続く国内の労働者人口を補うものとして期待も高まっています。とはいえ、まだまだ外国人の採用に躊躇する企業も多いですし、留学生や日本人の学生からも外国人採用はまだまだなじみが薄く、どうやっていいかわからないという声も多いです。

大学生の酒井君は、就活サークルに外国人が入ってきたことをキッカケに企業の外国人採用に興味を持ちます。経営コンサルタントである知人のK・エーイ氏に実際の状況を尋ねてみることにしました。

外国人採用は今後は当たり前になっていく

外国人の履歴書

酒井君

―エーイさん!ビッグニュースですよ、Big News!

エーイさん

どうしたんですか?変な発音まで混ぜてきて(笑)。

酒井君

―それがですね、僕のやってる就活サークルに、外国人が入ってきたんですよ。中国人とベトナム人の留学生です!

エーイさん

おお、それはすごいですね。手広く受け入れて対応してるんですね。

酒井君

―「外国人も入れるか?」って聞かれたので「オフコース」って答えたんですけど、そもそも外国人の就活って考えたことも無かったので、エーイさんに聞いてみようと今日は訪ねてきました。

エーイさん

何がオフコースなんですか、まったく。無責任な感じもしますけど、まあいいでしょう。酒井君はともかく、その外国人の留学生たちが困ってしまったらかわいそうですしね。

酒井君

―はい、ぜひお願いします!

エーイさん

ところで、酒井君は今日本でどのくらいの外国人が働いているかわかりますか?

酒井君

―えーと、全然わかりません。20万人くらいですか?

エーイさん

根拠はあります?就活で言うフェルミ推定(正解がわからない問題に関して答えを理論的に推定させる問題)だと思って考えてみてください。

フェルミ推定で出題される頻出問題と解き方のポイント

酒井君

―わ、ちゃんと考えてなかった。えーと、僕の高校生の頃は、1学年が200人で、その中に外国人が1人だったから、だいたい200人に1人が外国人だと考えて、日本の労働人口が1億人ならその200人に1人が外国人として50万人。あ、やっぱり20万人じゃなくて50万人で!

エーイさん

はい、ありがとうございます。考え方はいいですよ。答えはまるで違いますけど(笑)。

酒井君

―ひどい!ほめてない!答えはどうなんですか?

エーイさん

答えは約127万人です。酒井君が考えているよりも2.5倍もいますね。さらに言えば、日本の労働人口は今のところ約6500万人です。割合で言ってもイメージより多いですよね。

酒井君

―確かに、外国人が働いている姿を見かける機会も多くなってきましたね。

エーイさん

はい。外国人の労働者は増加傾向で、日本の労働人口は減少傾向ですから、今後はますます増えてくると思います。それに伴って、外国人の就労に関する法律も改正される予定です。入管法の中にその内容がありますが、ニュースなどで最近は話題になることも多いので耳にしたことはあるんじゃないでしょうか。

外国人の就労には様々な条件がある

面接を受ける外国人

酒井君

―入管法の話はテレビとかで見た気がします。自分には関係ないかなと思って流して見てるからか、全然頭に入ってこないですけど。

エーイさん

正直すぎて反応に困りますね(笑)。それはさておき、「入管法」というのは「入国管理法」のことなんですが、この中で外国人が入国する際にはその目的があることが条件となっていて、それにともなってビザが発行されます。そのビザの種類によって就ける仕事や働ける時間に制限があるんです。

酒井君

―ほうほう。確かに、観光で来たという人がずっと働いてたらおかしいですよね。

エーイさん

そうですよね。今は外国人労働者をビザの観点から見ると、「永住者・日系人」「留学生(資格外活動)」「技能実習」「専門的・技術的分野」となっているんです。

酒井君

―違いがありそうなことはわかりますが、何がどう違うんですか?

エーイさん

まず、「永住者・日系人」は特に就労上の問題はないですよね。国籍などで制限される仕事は一部あるものの、たいていの仕事は制限もなくできます。「留学生」は勉強が目的の人たちなので、基本的に仕事はアルバイトで、週に28時間まで労働時間が制限されています。「技能実習」は働きながら技能を学ぶというスタンスの人たちで、いずれは国に帰ってその技能を活かすことが目的です。「専門的・技術的分野」は通訳やエンジニアなど高度な職業能力を有しており、仕事における必要性から日本にいる人たちです。

酒井君

―ふむふむ。妥当と思える違いですね。でも、改正されるんですよね?

エーイさん

はい。実は労働力を増やすために、働くことのできる職種を増やしたり、また新しい在留資格を設けることが改正の目的になっているんです。審査用件やバックアップのための仕組みも整備して、海外から多くの労働者が入ってくる形を政府は作ろうとしているんですね。

酒井君

―なるほど。ごもっともな話だと思います。

エーイさん

日本で働きたいという海外からのニーズも多いですし、日本でも労働者が不足している状況で、特に製造業やサービス業における人材不足が深刻化しています。互いにとって良い状況が作られていくと良いですよね。

外国人を採用するメリットと問題点

インターナショナルなスタッフ

酒井君

―それにしても、外国人が日本で働くってすごく大変なことではないかと思うんですが、彼らにとってはどういうメリットがあるんでしょうね?

エーイさん

いくつかありますけど、代表的なものとしては「給料が高い」「技術・サービスのレベルが高い」「治安や生活環境が良い」という所でしょうね。

酒井君

―そういう話を聞くと、やっぱり日本はいい国なんだなぁって。

エーイさん

そうですよ、いい国ですよ。たとえば「給料が高い」と言いますが、日本の外国人労働者の3割程度が中国からで、最も多くなっています。他は東南アジアの国が上位を占めています。中国はアジアで日本と並び世界的に有力な国ですが、大卒者の初任給はそれでも10万円くらいなんです。

酒井君

―そうなんですか?日本だと20万円くらいはありますよね?

エーイさん

はい。しかも、中国は人も多く、競争も激しいので、成功するのも大変です。それよりも日本で比較的のんびり働きながら安定して良い収入がある方が良いと考える人も多いのです。これは他の国でも同じです。さらに言えば、帰国してからも箔がつくってところがありますね。

中国人のOL

酒井君

―なるほど。技術やサービスの高さや、治安の良さなどはもう言うまでもないですね。

エーイさん

はい。最近は日本の文化のファンも多く、単純に日本が好きだからという人も多いみたいです。

酒井君

―でも、企業側も採用したり、雇用する上で色々大変じゃないですか?

エーイさん

そうです。でも、それでも今はメリットの方が強くなっているんですよ。留学生なら複数の言葉を話せるマルチリンガルの人も多いですし、何より日本に来て働こうという人は真剣で意欲も高い。さらに文化や環境が違うため、そもそも発想が違っていて、それがイノベーションに繋がる可能性もある。さらには職場に一人外国人がいることで、外国人への苦手意識も払拭できるなど、メリットは多いです。

酒井君

―なるほど。確かに外国人の留学生などは意識が高いなあと大学の授業時間を見ていても思います。

エーイさん

でも、やっぱり採用する側は大変で、日本人とは違うために採用のノウハウが無かったり、また様々な日本の生活ルールへの適応をサポートしたり、社内の風習やコミュニケーションを助けて早く組織に馴染んでもらう必要があるなど、ずっと手間が必要になります。

外国人とのコミュニケーション術!円滑に仕事を進めるコツ

酒井君

―新入社員の扱いと変わらないような気がしますが、外国の人が日本で働くって、やっぱり大変なんでしょうか?

エーイさん

ずっと大変みたいですよ。まず言葉が十分に通じないケースも少なからずありますし、場合によっては住民登録を行うことができていなくて必要な書類が作れなかったり、ビザの切り替えができていなくて違法就労になっている場合もあります。その場合には事業者が管理責任を問われます。色々な手間もある一方で事業者にかかる責任負担も大きいので、まだまだ避ける事業者も多いんですよね。

外国人の採用ってどうやってるの?

酒井君

―そろそろ本題に入りたいんですが、企業は外国人の採用ってどうやってるんですか?

エーイさん

外国人の採用については、留学生なら日本人と同じように新卒採用枠で同じプログラムの中で募集している企業もありますし、外国人採用枠を別で設けて募集している企業があります。そういう企業は直接応募してもらって大丈夫です。

酒井君

―外国人の募集枠が出ていないとダメってことですか?

エーイさん

そんなことはありません。実は、外国人の採用に関してノウハウが無かったり、わざわざ特別に枠を作ったり募集・採用活動をするとコストアップになる場合は、大学や地域の外国人向けの就労センターに直接求人依頼を出したりしています。

酒井君

―なるほど、一般的な新卒の就活とは別の入口があるんですね。

エーイさん

はい。また最近では民間の人材紹介サービスなどでも外国人労働者や留学生の採用をサポートするようになっているので、そういった入口からも採用を行っています。民間サービスの場合は、外国人労働者へのサポートも手厚く、基本的な日本での生活習慣や言語に関しても事前に教育してくれるところも多いので利用する企業は増えています。

酒井君

―なるほど。逆に考えると、留学生側がどういう所で準備したら良いかもわかりますね。

エーイさん

はい。基本的には積極的に留学生向けの支援サービスを活用して就活をすることですね。就活する側の学生も、採用する側の企業も、慣れないことも多いため無理に何でも自力でするのは非効率と言えるでしょうね。

外国人採用が適している企業、適していない企業

インターナショナルが企業のイメージ

エーイさん

また、もう少し採用という面から見ていくと、外国人採用が適している企業と適していない企業があります。「とりあえず労働力確保」という目的だと失敗しやすいですね。これは学生側も知っておくべきことだと思います。

酒井君

―どういう企業が適しているですか?

エーイさん

一番適しているのは、「外国人のスキルが活かされる仕事のある企業」です。たとえば海外展開をしていて現地の言葉が話せる人材が必要などという場合ですね。当たり前のようですが、意外と日本人よりも外国人にさせた方がスムーズな仕事をさせているケースが多いんです。

酒井君

―そうなんですね。せっかく外国人を採用するなら、うまく使ってほしいですよね。

エーイさん

そして、「他に外国人が働いている企業」は外国人の採用がしやすいですね。やはり、外国人労働者の心境などは同じ状況の人にしかわからないところがあります。仲間意識もありますから、サポートなども献身的に行ってくれるので離職率も低くなります。

酒井君

―なるほど。

エーイさん

他に働いている外国人がいて、母国が同じだと採用の時にも非常に有利になるんですよ。日本の企業ってどこも待遇は良く感じられるそうですから、問題になるのは働きやすい環境があるかは重要で、同じ国の人が働いているだけでも安心感があるそうです。

外国人労働者の採用が日本の学生に与える影響は?

酒井君

―エーイさん、外国人労働者が増えてくると、僕たちみたいな日本の学生たちが就職する際には何か影響が出てきたりするんでしょうか?日本人の採用枠が減っちゃうとか。

エーイさん

そうですね、危機感を感じることはいいことですね。でも、多分影響は無いと思います。入管法の改正にしても、あくまで「足りない部分を補う」が目的ですから。

酒井君

―そうですか。それを聞いて安心しました。外国人労働者って有能そうですから。

エーイさん

まあ、少なくとも日本人にとっては日本人が疎通しやすいですし、外国人が有能だったとしても、専門職はともかく、コミュニケーション力が問われる管理職などはなかなか任せにくいと思います。そういう点で日本人の採用が減ることはしばらくは無いでしょうね。

酒井君

―でも、外国人留学生は大手企業の採用が多いイメージがあります。

エーイさん

それはおそらく、日本の中小企業にはまだ外国人留学生を雇うというイメージが持てていないからだと思います。それで募集がある大手に就職することになった人が多いだけですよ。

酒井君

―なるほど。それなら良かったです。最後に、外国人の就活でのポイントがあれば教えてください。

エーイさん

就活の内容自体は日本人の新卒採用などとあまり違いは無いと思います。ただ、やはり日本の生活や文化にどれだけ適応する姿勢があるのかは問われますので、その部分は周囲からアドバイスをもらってしっかり対応するべきです。

酒井君

―それなら就活サークルでも一緒に対策を頑張れそうですね。

エーイさん

また、日本企業では入社時に待遇や職責や仕事内容が明確になっていることが少ないため、不審に思うより、気になる点があれば確認した方がいいですね。海外ではこれは一般的ではありません。企業側もそういった文化の違いをわかって採用しないと、優秀な人材を逃すこともあるので注意した方がいいですね。

酒井君

―外国人労働者は、外国人だけでなく受け入れ側の企業の準備も大事ですね。今回のお話で、外国人の採用や就労についてずっと身近に考えられるようになりました。仲良くやりながら、メンバーがみんな就職できるように頑張っていきたいです。ありがとうございました。

日本人と外国人の面接者

外国人の採用はまだまだ始まったばかり

外国人の採用は、多くの企業ではまだまだ始まったばかりのところで、ノウハウも情報も不足しているところがあります。また、政府において作られている法案なども、その内容の改正などがしばらくは続くと予想されます。サポートしてくれる機関をうまく使いながら、最新の情報や動向に常に注意を払っておくようにしましょう。