企業に採用される「優秀な学生」になるためにできること

優秀な学生を求める企業も多く、優秀な学生は就活もスムーズに進むような印象があります。しかし、優秀な学生についての定義はありません。学生と社会人で優秀な人材へのイメージも異なります。どのようにしたら優秀な学生と評価されるか考えてみましょう。

企業に採用される「優秀な学生」になるためにできること

「優秀な学生」を企業は求めているそうですが…。

優秀な学生とは何かを問いかける、あまり優秀には見えない男子学生

就活生が新卒採用のWebサイトを見ていると、「優秀な学生の皆様のご応募をお待ちしています」という一言が添えられた求人案件も少なくありません。企業は採用活動を通して「優秀な学生」を求めていることは間違いありませんが、優秀な学生の定義は実は企業でも曖昧なことが多いです。

就活サークルを大学で運営している酒井君は、「優秀な学生」を目指して頑張っている一人です。酒井君はメンターである経営コンサルタントのK・エーイ氏に、企業が求める「優秀な学生」について質問してみることにしました。

「優秀な学生」なんて誰にも本当はわからない

酒井君

―エーイさん、おはようございます。ちょっと社会人の方のご意見を頂戴したいのですが、よく採用サイトで見かける「優秀な学生」ってどういう学生のことを言うんでしょうか?

エーイさん

ああ、よくあるやつですよね。あれ、特に意味はありませんよ。

優秀そうな自称優秀な男子学生に疑問を投げかける、あまり優秀そうに見えない男子学生

酒井君

―ええっ!そんなことないでしょ!

エーイさん

うーん、本心だとは思うのですが、企業側もそんな「優秀な学生」なんて定義しているわけでもありませんし、結局はたくさんの人の中で「優秀な学生」を決定しているだけですからね。

酒井君

―「優秀な学生」って決まってないんですか?

エーイさん

そうです。だって、「優秀」って比較から生まれるものでしょう?「優秀な学生」は選考の中で決定していくことはできても、最初から優秀な学生になって選考に臨むのは無理ですね。評価基準だって企業によって違うのですから、優秀さの形は企業によっても違います。

酒井君

―では、企業の言う「優秀な学生」って何なんですか?

エーイさん

だから、特に意味は無いんですよ。強いていえば、内定が出た人は優秀な学生ってことですね。

酒井君

―そんなドライな。

エーイさん

まあ、ぶっちゃけて言えば常套句ってことですね。とはいえ、やはり優秀な学生、競争に強い学生っていうのは確かにいます。広い意味での優秀な学生というのは確かに存在するとは思います。でも、あまりそのフレーズに自分を当てはめて就活の準備をするのはおすすめできませんね。

学生の考える「優秀な学生」と企業の考える「優秀な学生」の違い

優秀な成績を収める学生の男女と並みの学生

酒井君

―でも、就活をすることになれば、やっぱり学歴だったりとか、資格だとか、部活動の実績だとか、そういうものから優秀さって表れて評価されるんじゃないですか?

エーイさん

評価するところが無いわけではないですね。それらは間違いなく、就職活動を行う学生たちが通ってきた競争の軌跡ですから。競争に打ち勝ち、優秀だと称されてきたことはわかります。

酒井君

―じゃあ、やっぱりそれが優秀な学生ってことじゃないんですか?

エーイさん

いや、そうとは言い切れません。そもそも、ビジネス社会と学校や部活動では、そもそも競争のルールそのものが違っていますから。プロ野球選手が将棋をしたらアマチュアの段位者が相手でもまず勝てないのと同じです。

酒井君

―ビジネスの能力は、それまでの優秀さでは測れないということですか?

優秀な成績を収める学生の男女と並みの学生の辿る道

エーイさん

はい、そういうことになります。もちろん、それだけの優秀さを証明する実績を持っている人であれば、たとえば努力家なのだろうとか、勉強の仕方を知っているのだろうとか、そういった期待は多少できると思いますが、それくらいだと思ってください。

酒井君

―じゃあ、企業で求められる「優秀な学生」ってどういう能力がある人なんでしょう?

エーイさん

企業で求められている「優秀な学生」には、正解を求めるのが難しいんです。というのは、回答が出てくるのが数年後、数十年後だからです。それに、会社の状況や時代の流れによって、求める能力も異なっています。以前は「人格重視」でしたが「学校の成績も大事」になったり「コミュニケーション能力」だったり、「行動性向が大事」と言ったり、様々ですね。結局面接の印象で決まることも多いですし。

酒井君

―対策のしようがないですね。これだと。

エーイさん

その時その時トレンドはありますから、そのトレンドは掴んでおく必要はあると思いますが、優秀な学生に無理になろうとする必要はありませんよ。あまり深く考えすぎないのが一番だと思います。

優秀な学生になるためにはビジネスコンテストやインターンシップに参加する

真剣にやり取りする男子学生とビジネスマンと我関せずの女子学生

エーイさん

もしも今、企業で求められている優秀な学生になりたいのであれば、ビジネスコンテストやインターンシップに参加するのが一番いいと思います。

酒井君

―あれ?エーイさんは、「優秀な学生なんてない」って立場でお話されていませんでした?

エーイさん

はい、そういう立場です。でもそれは、時代や企業によって変わるからという理由です。ただ、その時その場所で求められる能力を理解し、磨くなら、ビジネスコンテストやインターンシップは最適だと思います。なぜなら、ビジネスの現場と同じ尺度で競争ができるからです。

インターンシップ7つの目的

酒井君

―理屈は納得できるのですが、競争になってしまうと、負けてしまった場合にかえって自信が無くなってしまいませんか?

エーイさん

そこは個人の考えにもよりますが、こういう機会は良い成果を挙げることができれば、実績という評価される材料を得ることができますし、うまく行かなかったとしても自分に足りないものを見つけることができたり、ビジネスの場で輝く人はどんな人かを知ることができるはずです。具体的にどういう優秀な学生を目指したいか、考える上で良い機会になると思います。

酒井君

―なるほど。確かにそういう目線で参加している人は多くなっている気がします。

エーイさん

こうした活動を採用の評価に少なからず取り入れている企業もありますからね。それだけビジネスの現場で力を発揮できる人が求められているということですね。昔と比べて離職率が高まっている中で、企業は自社での教育に対してできれば時間やお金をかけたくないと思っていますから、できるだけ即戦力に近い人材がいると助かるという事情もあると思いますね。

企業は「優秀な学生」を「学歴・語学・資格」で判断していない

学歴より人柄・能力をピックアップされた学生

酒井君

―学歴や、語学、資格といったものは就活では強いと学生は考えているのですが、こうしたものも意味はないんでしょうか?留学経験なんて、行ったことがない身からすると優秀さの象徴みたいな感じですけど。

エーイさん

企業にもよりますが、多くの場合はさほど評価しないと思います。語学や資格は即戦力が必要な企業であれば評価されるでしょうし、学歴については先輩社員でパフォーマンスの高い人が多かった場合に考慮される場合もあります。高学歴と言われる学歴であれば、とりあえず損はしないでしょうね。同様に留学経験も、仕事に直接的に関係がなければ損をしない程度です。

学歴フィルターを企業が導入する理由と就活生ができる対策

酒井君

―逆に学歴が低い場合はどうなんでしょうか?

エーイさん

学歴が低いということで減点されるという話は聞いたことがありません。一定以上の学歴を持っている層からある程度の人数は取りたいという話はあっても、学歴が低いから採点を下げようということは無いですね。むしろ学歴でポイントが無い方が、純粋に実力や企業との相性が見られると考えた方が良いと思います。

酒井君

―学歴で卑屈になってしまう人が多いですが、企業側の見方は少し違うんですね。

エーイさん

そうですね。卑屈な考え方の人はそれだけで減点になりかねませんから、過度に学歴を意識するのは良くないですね。また、学歴の不利を埋めようと「就活対策をバッチリやってきました」という感じの人も没個性で採用しにくいという場合もあります。人の感じ方って難しいですね。

酒井君

―優秀な学生だと思っていたイメージも、意外と企業の人から見た場合にはウケないものなんですね。やっぱり企業の考えている形で自分を作っていく必要があるように思います。学生が考えている企業ウケする人材像って、やっぱり学生なりなのかもしれません。

これから優秀な学生として企業に求められる人材は「ジョブ型」

電卓を手に成果を掲げるスーツ姿の男子学生

エーイさん

企業の求める優秀な人材を目指すのであれば、今後はぜひ「ジョブ型」の人材を目指していってほしいですね。

酒井君

―何ですか?「ジョブ型」って。

エーイさん

「ジョブ型」というのは、欧米式の就職の仕方を言うのですが、「どういう仕事をするのか」が明確になっている就職の形です。今までの日本の就職では、総合職や一般職という名前がついていて、様々な職務をローテーションすることが前提となっていました。「入社する」が優先で「何をする」が決まっていなかったことから、「メンバーシップ型」と言われていました。

酒井君

―じゃあ、今後は「何をする」が明確な就職をすることが多くなるってことですか?

エーイさん

はい。新卒よりも中途採用でその傾向が顕著になると予想されますが、「自分には何ができる」「自分は何がしたい」をしっかり持って就職することが必要になってくるでしょう。ダイバーシティが重要になる中で、個人の強みを発揮させ、最低限の時間で最大の成果を生むためにも「何でもやってもらう」というスタイルの企業は少なくなってくると思います。

酒井君

―なるほど。その代わり、能力が求められそうですね。

エーイさん

はい。ここで問われる能力というのは「職務を遂行し、成果を出す」能力です。専門性のある知識やスキルだけでなく、周囲と上手くやり取りをしたり、チームを動かしたり、様々な能力が求められることになります。

スーツを着てディスカッションする男子学生たち

酒井君

―結局何をしたらいいのか良くわからないんですけど、どうしましょう?

エーイさん

そうかもしれませんね。でも、ジョブ型を目指すためのトレーニングって、実はそれほど難しく考える必要がないんです。

酒井君

―そうなんですか?

エーイさん

はい。「目の前のことを、本気でやって」ください。それが一番いいトレーニングになります。

酒井君

―何がトレーニングになるのかはよくわかりませんが、納得いきません!

エーイさん

ははは。たとえば酒井君なら、就活サークルをやってますよね。これを「本気で」やるんです。成果が出ないと潰れる、メンバーから一生恨まれるとか思ってみてください。逆に全員受かったら、どれほど彼らの人生に素敵な影響を残せるか考えてみてください。

酒井君

―おお、ちょっと汗かいてきました(笑)。

エーイさん

それがビジネスで求められる「成果を求められる」の感覚です。成果を出すために「本気で」いろんなことに挑戦すると、そこで専門性やスキル、コミュニケーション能力や考え方など、いろんなものが磨かれ、目的を達成したり問題を解決するための能力が身についていくんです。

酒井君

―そういうことでしたか。もっと真剣にサークル活動に取り組まないといけませんね。認識が甘かったかもしれません。

エーイさん

いわゆる体育会などの目的が明確な部活動の場合、こういうステップを自然に踏んでいるために評価される人材が多い傾向があります。サークルの場合は、楽しむことが目的なのでゆるくやっていると思いますので、雰囲気を良く考えながら行う必要がありますね。

「優秀な学生」は一日にしてならず

積極的に手をあげる優秀な学生

酒井君

―優秀な学生になることは、簡単ではないということがよくわかりました。

エーイさん

そうですよね。いきなり優秀な学生になることはできません。方向性をしっかりわかった上で、学生生活を通して様々な経験をしながら、ゆっくり自分を作っていってほしいですね。

酒井君

―方向性がわかってないまま過ごした期間が長かったように思います。

エーイさん

そう悔やむ人は就活生では多いですよ。でも、受験のように早めに次のステージを意識しておくだけでも、同じ生活も全然違った経験になってくれるはずです。新聞やテレビなど、様々な情報源から社会の動きに関心を払っているだけでも自分の作り方は違ってくるはずです。

酒井君

―娯楽だけじゃダメですね。1~2年生だった頃の自分に言って聞かせたい。

エーイさん

でも、逆に考えれば今は3年生の後半からはみんな就活を意識しますから、その時点からでも十分自分を作る時間も機会もあります。大事なことは、先伸ばしにせず、気づいた時から意識や行動を変えていくことだと思います。

大学3年生が就活に向けて準備しておくべき6つのこと

酒井君

―うう、優秀な学生になりたい~!

エーイさん

最終的には企業との相性ですけどね。でも、社会の様子から求められている人がわかる人は、きっと企業が求めている人材についても理解できるはずです。だから、そういう感受性を日々磨いて、自分作りに反映させてください。そういう努力をしている人は、きっと企業の求める優秀な学生になれます。

酒井君

―大事なお話も聞けましたし、今日から早速頑張ります!本気で成果を考えてサークルも運営したいと思います。優秀な学生であるという自信はないですが、優秀な学生になりたいと思って一日一日努力してみますね。エーイさん、ありがとうございました!

「優秀な学生」は日頃の活動から作られる

ノートPCを見ながら熱心にノートに書きこむ男子学生

企業は「優秀な学生」を募集してはいますが、その中身がハッキリ決まっているわけではありません。また、学生が考えるように学歴や資格、語学能力や各種活動の実績で優秀さを决めているのでもありません。

就職活動における「優秀な学生」は企業によっても異なり、また時代や社会環境によっても異なります。学生の尺度でなく、各企業の立場で考えることが大切です。日頃行っている活動からビジネス目線で活動し、成果を生み出すために努力することが優秀な学生になるための近道です。