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自己PRで「優しさ」を使ってうまくアピールする方法

自己PRで「優しさ」をアピールする場合、ちょっとした工夫が必要になります。どうしても「優しさ」は主観的で曖昧な表現ですので、具体化したり、企業のニーズに合わせた加工が必要になります。「優しさ」を自己PRで表現する時に使えるノウハウを紹介します。

自己PRで「優しさ」を伝えるのは結構むずかしい

就職活動で学生が悩ましく感じるものが自己PRです。自分のことを改めて考え、長所をアピールすることが必要になりますが、長所がなかなか見えなかったり、自信が持てないと感じる人も少なくありません。自己PRの要素として「優しさ」を挙げる人もいますが、実は「優しさ」のアピールはかなり難しいと言われています。就活の自己PRで効果的に「優しさ」をアピールするにはどうしたらいいか考えてみましょう。

そもそも「優しさ」とは何か

長所としての「優しさ」をアピールしたいと思ったときに、まずしっかり考えておきたいのが「優しさ」とはそもそも何を指しているのかが曖昧だということです。自分が考えている内容は本当に「優しい」と言うことができるのか、そしてその「優しさ」は誰が見聞きしても優しいと受け取ってもらえるものなのか、きちんと考える必要があります。

「優しい」という概念が、そもそも曖昧であり、人によって感じ方が様々になります。しかも、その優劣を判定するのが非常に難しいもので、かつ表現で伝えるのが難しいものであることに注意しましょう。

自分の考えている「優しさ」を明確にするためには、同じ内容を他の言葉で言い換えたらどうなるか考えてみてください。より正確に内容を表すことができるなら、優しさ以外の表現を使った方がうまく伝わりますし、仕事をする上でのイメージも湧いてきます。

優しい人が企業にとっても好ましいのは間違いないのですが、あえて長所としてアピールする以上は、明確な強みになっていることを示す必要があることを忘れないでください。

自己PRで「優しさ」を伝えるときに大事なことは?

就職活動の自己PRで「優しさ」を伝えるために、大事なことがいくつかあります。「優しさ」ということをイメージしながら確認してみてください。

嘘が無いこと

自己PRで紹介する長所について、嘘があってはいけません。もちろん、完全に確認する術を企業の採用担当者が持っているわけではありませんが、SNSのアカウントを確認したり、実際に書類や連絡のやり取りの中で、また面接の中で嘘だとわかると評価を大きく損ないます。ビジネスパーソンは信用が命ですから、就職活動の段階からでも虚偽の内容を伝えないよう注意しましょう。

説得力があること

たとえ嘘はついていないとしても、説得力があり、真実味のある内容であればさほど評価されません。優しさアピールに説得力があるかどうかは、自己PRのテーマによって決まるのではなく、エピソードの内容によって左右されます。エピソードの内容に「優しさ」の具体性がないと、今ひとつ説得力に欠ける内容になるので注意してください。

「優しさ」がビジネスに活用できること

自己PRで最も大事なことは、就職活動のための自己PRですから、ビジネスで活用できる特徴を示すということです。たとえば、昆虫の名前を10,000種類言えるとしても、それが仕事上活用されるイメージがまるで無いなら意味がないのです。自分のアピールする特徴がビジネスで使えることを示すためには、エピソードの内容が問題解決型になっているのが一番です。ビジネスシーンで活かされる具体的なイメージが湧けば、採用担当者も好意的な評価・判断がしやすくなります。

介護や医療分野、子供に接する分野では優しいことが仕事においてアドバンテージになりますが、その他の仕事ではいまひとつメリットが見えにくいため、ビジネスシーンでの活用がイメージできるよう工夫してみてください。

「優しさ」をアピールする自己PR例文

自己PRの例文で「優しさ」をアピールした場合の注意点を確認しましょう。採用担当者にどうしたら「優しさ」をしっかり伝えられるのか、自己PR文を作成する際の参考にしてください。

「優しさ」をアピールする自己PR例文1

私の強みは、気配りが上手なところです。友人たちにもよくそう言ってもらえます。

私はアルバイトでカフェで働いていましたが、カフェの方針で「ゆっくりとした時間を過ごしてもらえるように接客する」ということを叩き込まれました。その中で、多くのことを学ぶことができました。

社会人になっても、気配り上手という自分の特徴を活かして、周囲の方々が気持ちよく仕事ができるようにサポートしていけたらと考えています。よろしくお願いします。

「優しさ」を「気配りができる」と言い換えてアピールしているのが自己PRの例文1です。

非常に簡潔な内容になっていて、ちょっと物足りない印象になっています。特にエピソード部分が貧弱で、「気配りができる」様子があまり伝わってきません。「カフェで働いていたので、サービス業的な気配りができるのだろうな」とは思うかもしれませんが、優しさを企業に推測をさせるのではなく、明確なアピールをすることを考える必要があります。また、「多くのことを学ぶことができました」は具体性がなく、何を言わんとしているのかよくわかりません。

就職活動の初期では特にこういった曖昧なエピソードでエントリーシートや面接に臨む人が多いです。しかし、曖昧すぎて採用を決断するには情報不足です。より具体的な内容を考えるようにしてください。

「優しさ」をアピールする自己PR例文2

私の長所は「相手を認められること」にあると思います。

私はよく優しいと言われます。誰かのことを否定するのではなく、受け入れようと努力しているからだと思います。部活動でハンドボールをしていましたが、大学から始めた初心者の同級生は、経験者が揃う中でやはり見劣りしました。彼は周囲とは別メニューで練習していましたが、私は彼が腐らずに努力している様子を見て、空いた時間に一緒に練習したり、経験者の考え方などを伝えて、周囲に追いつけるようにサポートしました。

初心者ではありましたが、体格と基礎体力に優れていた彼は1年後には交代で流れを変える選手に成長しました。「恵まれたヤツはいいよな」とやっかむ周囲に、私は彼の努力を伝えてあげました。3年の秋頃に私はポジションを彼に取られましたが、彼の実力を知っているからこそ、後悔も無く、むしろ自分が育てたことを誇らしく思いました。

私は社会人になっても、相手の良い所をしっかり認めて、尊敬し合える関係を多くの人と作っていきたいです。同僚や顧客に対し、誠意をもって接しながら良好な関係を作って行きたいと思います。よろしくお願いします。

例文2の自己PRでは、「優しい」という内容が「相手を認められる」という内容で言い換えられています。この例に見られるように「優しいと言われます」と他人からの評価を入れることは主観的な評価でないことを示すために有効です。

このエピソードでは、具体的に内容が描写されており、どのように優しいのかが良くわかります。同級生の努力する姿や能力などを素直に認める様子や、認めるからこそ協力を惜しまない姿勢が見て取れて「いいやつだな」と思わせる内容になっています。

仕事をする上でこうした周囲を認められることはとても大事なことでもあります。ただ、少し競争意識が弱いと思われるかもしれませんので、営業職など競争が求められる職種に応募している場合はその点についてもフォローがあった方が良いでしょう。

「優しさ」をアピールする自己PR例文3

私の長所は、他の人の立場を思いやって行動できるところです。

友人から相談を受けることも多く、友人たちは私のことを優しいから相談しやすいと評価してくれます。

ある友人がアルバイトを辞めるべきかどうか相談をしてきたことがありました。人間関係が険悪になっており、アルバイト代は欲しいけど、あまり働いていて気持ちよくないとのことでした。

私は、その子が経済的に困っているというほどではないことを知っていましたし、話しぶりから「辞めたいけど踏ん切りがつかないから、背中を押してほしいのだ」と察しました。それで、「やめたらいいじゃん。アルバイトなら、私のバイト先紹介するよ」と言いました。その子は1週間後にはアルバイトを辞めて、私のアルバイト先のお店に面接に来ました。

貴社は多くの店舗を運営し、社員が直接お客様に接する機会が多いと聞いています。私は持ち前の思いやりを活かし、相手の気持ちに沿った提案をしてお客様の信頼を掴んでいきたいと思います。よろしくお願いします。

例文3は、「優しさ」を「他の人の立場を思いやった行動」として自己PRをしている内容です。

優しさをアピールするために、相談を受けたエピソードを紹介していますが、その中で「背中を押してほしい」と察することができたというのが非常にその特徴を印象づけています。また、ただ「辞めたらいい」というだけでなく、自分のアルバイト先を紹介したことも、無責任な提案ではなく相手の状況を踏まえていて、人柄を感じさせます。

顧客と直接接する中で、こうした相手の立場を思いやることができることや、提案力があることは強力な武器になりますから、高い評価を受けるでしょう。とてもまとまっていて良い内容です。

自己PRで「優しさ」を上手に伝えるためのポイント

優しさはあいまいな表現ですから相手に伝わるように表現するのはけっこう難しいことです。自己PRで優しさを伝える際のポイントについて確認しましょう。

優しさの意味を言い換える

優しいという特徴は主観的で曖昧なものになりやすいので、より客観性のある言い回し、具体性を伴った言い方に変えるのが良いアピールを作るコツです。「気が利く」「気配りができる」「悪口は言わない」「話を最後まで聞いてあげられる」「チームワークを大事にできる」など、様々な言い方があるはずです。

自己PRの気配りアピールで差別化を図るポイントは?

具体的な優しさをエピソードに入れる

自己PRで優しさをアピールする場合、相手によく伝わるように具体的なエピソードを用いて話しましょう。「自分は優しいです」と述べるだけでは、説得力がありません。「優しい」という情報を提供することではなく、自分の経験などを通して、相手に「優しい人だ」と感じてもらえることが大事です。

優しさのデメリットはできるだけ打ち消す

優しいという特徴は素敵で魅力的ではありますが、その裏には「主張ができない」「厳しいことが言えない」「競争意識が弱い」など様々なデメリットがあることも考えられます。自分の長所を示すだけでなく、想定されるネガティブな内容については打ち消すことも考えましょう。

自己PRで「優しさ」をアピールするエピソードの作り方

自己PRで「優しさ」をアピールしたい場合、エピソードの中身を工夫する必要があります。具体的に言うと、

をしっかり示す必要があります。

特に大事なのが最初の「問題を明確にする」ことで、問題を聞き手がしっかり把握できてこそ、その問題解決の取り組みを評価することができます。

具体性を出すには、「たくさんの人」ではなく「100人」など数字を用いたり、「転んでケガをした」ではなく「転んで大量の出血を伴うケガをした」など視覚的に状況が浮かぶような表現を心がけましょう

また、「優しさ」が表す概念は非常に曖昧です。そのため、自分が伝えようとしているエピソードが、本当に伝えたい内容に合致しているかをよく考えてください。優しいことを伝えようと躍起になると、余計な内容が増えてしまいますので、テーマを明確に絞り込み、うまく伝わるように工夫しましょう。

自己PRで語る「優しさ」が求められる人物像に合っていることが大事

自己PRは企業に対して自分の良さをアピールする機会ですが、その内容は何でも良いということではありません。

企業は採用サイトなどで、学生に対して「求める人間像」を持っているものです。この求める人間像に沿った内容で自己PRをしていくのが第一になります。「求める人間像」というのは、いわば募集要項ですから、その内容から外れているなら企業に入るのが難しくなるのは当然とも言えます。

「優しさ」という概念は曖昧である分、企業の求めるイメージに沿って柔軟にその形を整えることができる利点もあります。企業の求める人材としてふさわしい優しさを持っているのであれば、うまくアピールすることで担当者に響く内容になるでしょう。

「優しさ」を自己PRするときは何を伝えたいのかよく考えよう

「優しさ」を自己PRするときには、自分自身が持つ優しさによってどのようなメリットがあるかを伝えたいと考えることが重要です。例えば、コミュニケーション能力が高く、人々を思いやる気持ちを持っていることで、仕事やプロジェクトの進行がスムーズになることがあげられます。また、優しい対応をすることで、クレームやトラブルを未然に防ぐことができるかもしれません。自分自身が持つ優しさが、自分自身や周りの人々にどのようなメリットをもたらすかを具体的に考え、自己PRの中でアピールすることが重要です。