フリーランスの履歴書と職務経歴書の書き方のポイント

フリーランスの人にも履歴書や職務経歴書を必要とする場面がいくつかあります。しかし、職歴などの書き方に悩むという方も多いもの。フリーランスであることを履歴書や職務経歴書に書くときに注意すべきポイント、自己アピールの仕方、志望動機の書き方にも触れていきます。

フリーランスの履歴書と職務経歴書の書き方のポイント

フリーランスの履歴書の書き方のポイントを知ろう

フリーランスという言葉が一般的に認知されるようになってきて久しいですが、その一方でフリーランスとして必要な知識や情報というのはまだまだ少ないものです。

自分で営業や経理など必要な仕事をこなしてきたフリーランスの猛者だとしても、意外に困るのが履歴書や職務経歴書を作らなければならないときです。

履歴書や職務経歴書を普段作る場面がないフリーランスは、その特殊な状況も相まって応募書類を書くことに慣れていない方も多いもの。今回はフリーランスの履歴書・職務経歴書の書き方のポイントを詳しくまとめました。

フリーランスでも履歴書が必要となる機会は多い

中にはフリーランスが履歴書を作るということに違和感を覚える人もいるでしょう。
フリーランスの働き方をしている人が履歴書を必要とする場面として、簡単には以下のようなケースが挙げられます。場合によっては、職務経歴書の提出を求められることもあります。

取引先と握手しながら経歴書に言及される

1 案件を受注する場合に履歴書の提出を求められることがある

大企業クライアントなどで、発注先の身元や能力・実績の確認のために履歴書の提出を求められることがあります。

2 案件紹介サービスを利用する場合に履歴書の提出を求められることがある

こういった紹介サービス(エージェントサービス)に登録する際に履歴書の提出が必要となることがあります。案件ごとではなく長期契約となりますので、履歴書の情報も大事にしましょう。

3 一般の企業に就職をする場合に履歴書の提出を求められることがある

フリーランスとの兼業の場合でも、廃業する場合でも、一般の企業で就職やアルバイトをするなら、当然履歴書の提出は必要となります。

フリーランスと個人事業主の違いを理解して履歴書を書こう

フリーランスと個人事業主

履歴書を書く前にしっかり理解しておきたいのが、フリーランスと個人事業主の違いです。

「フリーランス」というのは、「個人で独立して仕事を請け負っている人」です。いわば、ひとつの働き方のスタイルと言えます。
一方、個人事業主というのは、法人登記をせずに「個人で事業を営む人」を言います。つまり「自営業者」という意味です。

フリーランスは基本的に個人事業主になりますが、個人事業主はフリーランスとは限りません。「独立してフリーランスで家業の旅館を経営している」という言い方をすると変になります。履歴書の上では「個人事業主」という書き方をするのが正解です。

フリーランスの履歴書の書き方

フリーランスの方が履歴書を書く場合、仕事相手に伝わりやすい内容にすることが大切です。ここで、フリーランス向け履歴書の書き方ポイントを見ていきましょう。

履歴書の職歴欄には業務内容がわかるように書く

ラップトップを操作するフリーランス

フリーランスとして働いていた期間を履歴書に記載する場合、学歴や職歴の欄には「個人事業主」という立場で事業を行ったことを明記します。「フリーランス」は労働のスタイルですから、「チームで」「グループで」という内容を学歴・職歴に書くことがないのと同様、記載する必要はありません。

【記入例】

平成29年4月1日 個人事業主(Webデザイナー業)として開業
平成29年7月1日 一身上の理由により閉鎖

この場合、「個人事業主として開業」だけでも良いですが、どういった仕事をしていたかが伝わらないため、カッコ書きで業務内容についても記載しておくようにします。屋号があれば屋号も記載します。改行届を出していない場合は「個人事業主として活動を開始(停止)」などの表現にしておけば大丈夫です。

また、クラウドソーシングサービスなどに登録して受注を受けていた場合、以下のような書き方が適切です。

【記入例】

平成29年5月1日 ●●クラウドソーシングサービスに登録
平成29年5月12日 △△社から××の案件を請け負う
平成29年6月30日 ●●クラウドソーシングサービスを一身上の理由で退会

志望動機はポジティブに書く

志望動機については採用側も非常に気にしているポイントです。履歴書を書く側としても、できるだけポジティブな記載をする必要があります。

フリーランスをしていた人が就職やアルバイトを行う場合には、何かネガティブな事情があるケースも少なくありません。「収入が不足している」「福利厚生がほしいと感じた」「事業を廃業せざるを得ないミスがあった」など、その理由は様々にありますが、それをそのまま記載すると能力不足を疑われるようになります。

採用側がフリーランスやフリーランス経験者に魅力を感じるのは、多角的な「能力」を持っているということです。「個人ではできない大きな仕事に取り組みたくなった」など、能力について不安を感じさせないポジティブな内容を記載しましょう。

資格は必要なものを厳選して書く

フリーランスの人は様々な資格を持っていることが多いですが、その資格を全て記載するのはあまり意味がありません。業務上の意味があると思われるものを選んで記載しましょう。もちろん、虚偽の記載や失効している資格の記載は避けてください。

フリーランスの職務経歴書の書き方

過去の受注歴を調べる

フリーランスの人にとって、履歴書よりもさらにアピールにつながるのが職務経歴書です。履歴書と同様、職務経歴書の記載の際にもいくつか押さえておくべきポイントがあります。

基本的に履歴書は採用後も人事に保管されますが、職務経歴書は選考時に使われるものとなりますので、しっかり書いて選考を有利に進めましょう。

1 箇条書きでわかりやすく書く

フリーランスの人の経歴はベテランになるほど煩雑になりがちです。特に過去の業務案件については、箇条書きでわかりやすい記載を心がけましょう。今回の業務に関連すると思われる内容のみを具体的に記せば大丈夫です。

2 職務経歴は具体的に書く

わかりやすいことが大事ではありますが、相手側にどういった仕事をしてきたのか具体的にわかるように表記する必要があります。内容や数字を入れることを意識して記載しましょう。

「金融機関向けのプログラム開発に関わる」ではなく、「Javaによる金融機関向けの決済管理サービスのプログラム開発を3年経験」の方が相手にイメージしやすくなります。

3 企業名を書くと有効になる場合がある

ビジネスマンが握手する

秘密保持契約などによる制約がなければ、どういった企業との間で案件があったのかを示すことも有効な場合があります。それによって業種や業界がわかり、また企業規模などから個人のスキルや信用を推し量ることもできるからです。

職務経歴書には、「平成27年6月 株式会社●●よりサテライトブログ作成案件を受注」といった形で記載します。また、いつまでその案件に携わっていたのかも明記しましょう。

4 スキル・技術が伝わるように書く

受注のための職務経歴書では特に、持っているスキルや技術に焦点を当てて作成することが重要です。

業務の経歴などからは伝わりにくい場合には、制作物について紹介をして実績をアピールするのもひとつの方法です。デザイン系の仕事であれば、携わった作成物のURLなどを記載しておくのも良いでしょう。エンジニアなどの場合は、得意な言語やフレームワーク、取得資格などを記載しておくのも効果的です。

5 熱意が感じられるように書く

就職が目的の職務経歴書だとしても、あるいは案件受注のための職務経歴書だとしても、その目的達成のために熱意のある志望動機を記載するようにしてください。淡々と実績ばかりが記載された職務経歴書よりもずっと採用担当者の目に止まる仕上がりになります。

履歴書では「フリーランスであること」を過剰に売り込まないこと

自慢話をするフリーランスと迷惑な企業担当者

フリーランスの人の履歴書でよくある失敗のひとつが、「フリーランスであること」そのものを過剰に売り込むというものです。履歴書を見返した時に「フリーランスとして」という表現が多い場合は要注意です。

フリーランスで活躍できる人は素晴らしい能力を持っています。しかし、採用・発注側からはフリーランスの人は得体のしれない「馬の骨」であり、協調性に欠ける人なのではないかという疑念もあります。

フリーランスでの実績を示したいがために、プロジェクトの成果や受注金額、事業としての売上や成長率を事細かに書く人がいます。
「一人でもこれだけの実績を出した」というアピールだと理解はできるのですが、採用側としては「欲しいスキルを持った人なのかどうか」を知りたいのであって、経営者を採用するケースを除けばフリーランスとしての成功は採用や発注には関係がありません。

こうしたアピールは「空気の読めない人だ」と、逆に採用や発注を躊躇されてしまう恐れがあります。採用や発注と関係のない「フリーランスであること」を過剰に売り込まないように注意しましょう。

フリーランスの履歴書や職務経歴書もコツを掴めば書き方は簡単

フリーランスの履歴書や職務経歴書は、従業員として働いていた場合と異なり、業務の種類や時間、取引先などが多岐にわたり、書き方に苦戦する人も多いかもしれません。しかし、適切なコツを掴めば、履歴書や職務経歴書の書き方は簡単になることがあります。

まず、フリーランスの場合は、仕事の内容や実績を具体的に表現することが重要です。自分がどのような業務を行い、どのような成果を出したかを具体的に記載し、数値やデータなどを用いて裏付けることが必要です。例えば、クライアントからの評価や業務完了までの期間、売上や利益の増加などを示すことで、自分のスキルや実績をアピールすることができます。

また、フリーランスの場合は、自己PRや志望動機を盛り込むことも重要です。自分が得意とする分野や強み、また、自分がフリーランスになった背景や志向などを明確にし、それを応募する企業や業界と関連付けることで、採用担当者にアピールすることができます。

転職準備の進め方・活動の完成度を確認するチェックリスト