フリーランスの履歴書・職務経歴書の書き方を知ろう
フリーランスとして活動していると、日常的に履歴書や職務経歴書を書く機会はほとんどありません。しかし、案件を受注する際・エージェントサービスへの登録時・就職・アルバイトの際など、意外と作成を求められる場面は多くあります。
「普通の会社員と同じように書けばいいのか?」と悩む人も多いですが、フリーランスには通常の在職者とは異なる書き方のポイントが存在します。この記事では、フリーランス・個人事業主の履歴書と職務経歴書の書き方を、記入例・NGパターンとともに実践的に解説します。
フリーランスでも履歴書が必要となる機会は多い
フリーランスが履歴書・職務経歴書の提出を求められる主な場面は以下の3つです。
1 案件を受注する場合
大企業クライアントを中心に、発注先の身元・能力・実績確認のために提出を求めるケースがあります。長期プロジェクトや業務委託契約の際に要求されることが多いです。
2 案件紹介サービス(エージェント)を利用する場合
フリーランス向けのエージェントサービスに登録する際に履歴書の提出が必要になるケースがあります。長期の継続案件につながることもあるため、質の高い内容を用意しておきましょう。
3 一般企業への就職・アルバイトをする場合
フリーランスとの兼業・副業・廃業後の就職など、一般企業で働く場合は当然、通常の採用選考と同様に履歴書の提出が必要です。
フリーランスと個人事業主の違いを理解して履歴書を書こう
履歴書を書く前に、この2つの違いを正確に把握しておくことが重要です。履歴書上でどちらの表現を使うべきかに直結します。
- フリーランス:個人で独立して仕事を請け負う「働き方のスタイル」を指す言葉。法律上の区分ではない
- 個人事業主:法人登記をせずに個人で事業を営む者。税務署に開業届を提出した場合に該当する法律・行政上の区分
フリーランスは基本的に個人事業主ですが、個人事業主が全員フリーランスというわけではありません(旅館や農家など、自営業一般も個人事業主に含まれます)。履歴書の職歴欄には、「フリーランス」ではなく「個人事業主」と記載するのが正しい表現です。
フリーランスの履歴書の書き方
職歴欄:業務内容がわかるように「個人事業主」として記載する
フリーランスとして働いていた期間は、職歴欄に「個人事業主」として明記します。業種・業務内容がわかるようにカッコ書きで補足し、屋号がある場合は屋号も記載しましょう。
【記入例①:開業届提出済みの場合】
2022年4月 個人事業主(Webデザイナー業)として開業
2024年3月 一身上の理由により廃業
【記入例②:開業届未提出の場合】
2022年4月 個人事業主としてWebデザイン業務を開始
2024年3月 活動を終了
開業届を提出していない場合でも、「個人事業主として活動を開始/停止」という表現で問題ありません。
クラウドソーシングサービスを利用して受注していた場合は、以下のように記載します。
【記入例③:クラウドソーシング利用の場合】
2023年6月 ○○クラウドソーシングサービスに登録、Webライティング案件の受注を開始
2024年8月 同サービスにおける活動を終了
案件ごとの記載は煩雑になりがちなので、職歴欄では活動期間の記録にとどめ、具体的な案件内容は職務経歴書に委ねるのが実務的に適切です。
志望動機:ポジティブな内容を意識する
フリーランスが就職・アルバイトを希望する背景には、「収入の不安定さ」「福利厚生の必要性」「廃業」など、ネガティブな事情が含まれることもあります。しかし、それをそのまま書くと「フリーランスとして失敗した人」という印象を与えます。
採用側がフリーランス経験者に期待するのは、多角的なスキルと自己管理能力です。「個人では携われない規模の仕事に挑戦したくなった」「チームで取り組む組織的な仕事の経験を積みたいと思った」など、能力への不安を感じさせないポジティブな表現で志望動機を組み立てましょう。
資格:業務に関連するものを厳選して記載する
フリーランスは多くの資格を保有していることがありますが、すべてを列挙する必要はありません。応募する仕事や案件に関係するものに絞って記載しましょう。失効している資格・虚偽の資格は絶対に記載しないでください。
フリーランスの職務経歴書の書き方
フリーランスにとって、履歴書よりも採用・発注の決め手になることが多いのが職務経歴書です。履歴書は採用後も人事に保管されますが、職務経歴書は主に選考時に使われるもので、自分のスキルと実績を最大限アピールする場として捉えましょう。
以下の5つのポイントを押さえて作成してください。
1 案件・業務は箇条書きでわかりやすく整理する
フリーランスのキャリアは案件が多く煩雑になりがちです。特に過去の業務は箇条書きにして読みやすく整理しましょう。応募・受注する案件に関連する業務のみを選んで記載するのが効果的です。すべての実績を網羅しようとせず、相手が知りたい情報に絞ることが重要です。
2 業務内容は具体的な数字と技術で記述する
職務経歴書の大きな目的は「採用・発注側がスキルと経験を正確にイメージできるようにすること」です。抽象的な表現は避け、具体的な技術・期間・成果を明記しましょう。
- NG例:「金融機関向けのプログラム開発に関わった」
- OK例:「Javaによる金融機関向け決済管理サービスの開発を3年間担当。○○機能の実装を主導」
デザイン系であれば制作物のURLや画像、エンジニアであれば使用言語・フレームワーク・取得資格なども記載してください。
3 取引先の企業名を記載できる場合は積極的に書く
秘密保持契約(NDA)などによる制約がなければ、取引先の企業名・案件名を記載することが有効です。業種・業界規模から個人のスキルや信用を推し量ることができるためです。
【記入例:企業名入り】
2023年4月〜2023年9月 株式会社○○よりコーポレートサイトリニューアル案件を受注。ディレクション・デザイン・実装を一貫して担当。
NDAにより企業名を出せない場合は「大手製造業A社」「国内上場IT企業B社」のような匿名表現でも構いません。企業の規模感が伝わることが重要です。
4 スキル・使用技術をまとめたセクションを設ける
フリーランスの強みはスキルの幅広さです。職務経歴書の末尾や冒頭に「スキルサマリー」として使用言語・ツール・資格・得意分野などをまとめたセクションを設けると、採用担当者がスキルを一目で把握できます。
5 熱意のある志望動機を必ず記載する
実績だけが淡々と並んだ職務経歴書より、なぜこの仕事・企業に応募するのかという動機が書かれた職務経歴書の方が採用担当者の印象に残ります。就職が目的でも案件受注が目的でも、「なぜここに応募するのか」「入社・受注後にどう貢献したいか」を必ず盛り込みましょう。
以下のチェックリストで、提出前に書類の完成度を確認してみましょう。
履歴書では「フリーランスであること」を過剰に売り込まないこと
フリーランス経験者の書類でよく見られる失敗の一つが、「フリーランスであること」そのものを過剰にアピールするケースです。「フリーランスとして」という表現が繰り返し出てくる場合は要注意です。
フリーランスとして独立して働けることは確かに能力の証明になりますが、採用・発注側からすると「この人は本当に組織で協調して動けるのか」という懸念も同時に生まれます。プロジェクトの受注金額や売上成長率など、経営者視点のアピールを詳細に書いても、採用担当者が知りたいのは「欲しいスキルを持った人かどうか」であり、フリーランスとしての成功談は基本的に採否とは関係がありません。
「一人でここまでやった」という自己主張が強い書類は「空気が読めない人」と判断されるリスクがあります。フリーランス活動の期間・業務内容・スキルを端的に示しつつ、「この企業・クライアントで何ができるか」を中心に据えた書類作りを心がけましょう。


















