失業保険がもらえる条件とは?退職してからもらうまでの資格

失業保険の給付期間や金額は、どのような条件によって決まるかご存知ですか?ここでは、離職、受給資格の決定、求職活動、失業の認定など、手続きごとに必要な条件についてご紹介。さらに、アルバイト・パート・派遣社員への給付などの、よくある質問にもお答えしています。

失業保険がもらえる条件とは?退職してからもらうまでの資格

退職後、失業保険をもらうために知っておくべき条件

仕事をやめたら失業保険を受け取れるだろう…となんとなく思っていても、具体的な給付条件をきちんと把握していないという方は多いのではないでしょうか。一般的に「失業保険」と呼ばれている雇用保険の基本手当には、受給要件という条件があることから、自分がどの条件に合っているのか確認しておくことが大切です。

そこで、ここでは次のような離職してから受給するまで手順に沿って、必要とされる条件について解説していきます。失業保険を正しく受給するためのさまざまな条件について、しっかり理解しておきましょう。

  1. 離職
  2. 受給資格の決定
  3. 受給説明会への出席
  4. 求職活動をする
  5. 失業の認定を受ける
  6. 失業保険の受給

離職時の自己都合・会社都合などの離職理由の条件

失業手当について調べる女性

失業保険の基本手当が支給される期間は、雇用保険に加入していた期間のほか、離職の理由によって異なることから、自分の離職理由を正しく理解しておく必要があります。特に、次のような自己都合以外の条件の人は、長期の給付を受けることができます。

特定受給資格者と判断される条件

いわゆる「会社都合」といわれる離職理由の人のことを特定受給資格者といいます。会社の倒産、事業所の廃止や移転、30人以上の離職による大量雇用変動の届け出があった場合は、特定受給資格者に該当します。

また、会社からの解雇や賃金の未払いのほか、セクハラ・マタハラ・いじめ、月80時間以上の時間外労働、会社都合で3ヶ月以上の休業など理由により離職した場合、自己都合の離職者よりも給付日数が長くなります。

特定理由離職者と判断される条件

労働契約が期間満了となり、更新したいと申し出ても更新できない場合のほか、次のような自己都合により離職した場合は特定理由離職者に該当します。

  • 心身障害、病気、ケガのほか、視力・聴力・触覚の衰えなど
  • 妊娠、出産、育児
  • 父または母の死亡による家族の扶養
  • やむを得ず通勤不可能または困難になった
  • 希望退職者募集に応じた場合
失業保険の会社都合と自己都合の受給期間・待期期間の違い

失業保険をもらうために必要な条件とは

会社をクビになり呆然自失の女性

失業保険(雇用保険)は、失業すれば誰でももらえるというわけではありません。次の2つの条件のうち、いずれかを満たしている場合、受給資格があると判断されて、失業保険の基本手当を受給することができます。

就職の意思があるにもかかわらず仕事が見つからない

ハローワークで求職の申込みを行い、ハローワークや本人が努力しているのにもかかわらず、就職できない場合は基本手当の受給が可能になります。

ただし、病気やケガのほか、妊娠・出産・育児などの理由によって就職できない場合や、結婚後に家事に専念したい、退職後にしばらく休みたいという場合は対象外となります。

退職前に1年以上雇用保険に加入していた

被保険者になっていて、退職する日の前の2年間で、被保険者だった期間が通算で12ヶ月以上あることが2つめの条件です。ただし、特定理由離職者は、離職する日の前の1年間で、被保険者だった期間が6ヶ月以上の場合、受給が可能となります。

また、ハローワークに失業保険の申請に行く際は、次のものを必ず持っていく必要があります。

受給資格の決定の際に持っていくもの

1.本人証明写真2枚(縦3cmx横2.5cm)
2.本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード等)
3.マイナンバー確認書類(マイナンバーカード、マイナンバーが記載された住民票等)
4.印鑑
5.普通預金通帳
6.雇用保険被保険者離職票(1)
7.雇用保険被保険者離職票(2)

失業保険をもらうための失業の認定に必要な条件

失業保険を受給しに向かう女性

失業給付を受けるためには、積極的に求職活動を行っている実績が必要なため、失業認定を受けるまでの期間中に、2回以上の求職活動を行わなければなりません。

ただし、自己都合で離職した人の中には、離職理由による給付制限がつくことから、基本手当が支給されるまでの待機期期間満了後3か月間に、3回以上の求職活動が必要となります。

失業保険をもらうために必要な就職活動の条件は5つ

求職活動をしなければ失業の認定が受けられないとはいえ、新聞や雑誌を買って求人欄を見たり、家族や友人に働きかけたりするなど、ただ闇雲に活動すればいいというわけではありません。主に、次のような活動が求人活動として認められます。

  1. ハローワークを行う職業相談や職業紹介を受けた
  2. ハローワークが開催した講習やセミナーを受講した
  3. ハローワークの求人に応募した
  4. 公的期間の職業相談やセミナー、企業説明会などに参加した
  5. 国家試験や検定試験などの、再就職につながる資格試験を受けた

失業保険の受給についてのQ&A

指さしで案内をする女性

失業保険は様々な条件によって、失業認定までの期間や受給期間、受給金額が異なるため、自分がどの条件に当てはまるのかよく分からないという人は多いようです。そのため、受給についてよくある質問として、次のような4つの疑問にお答えしていきます。

Q1.アルバイト・パート・派遣でも失業保険をもらえるの?

失業保険は、正規雇用や非正規雇用に関わらず、雇用保険に加入していれば誰でも受給できます。アルバイトやパートタイム、派遣社員のような非正規雇用の人は、次のような条件を満たしている場合に雇用保険への加入の対象となります。

・雇用保険の適用事業所で働いている
・週の所定労働時間が20時間以上
・31日以上の雇用見込みがある

Q2.病気や妊娠による離職時の失業認定は?

病気やケガ、妊娠、出産などの、特定の自己都合によって働くことができない場合、失業とは認められないため失業保険の給付が受けられません。ただし、これらの理由によって離職した人は、特定理由離職者として一般的な自己都合の人と区別され、働くことができなくなった日数分、受給期間が延長となります。

失業保険の延長制度とは?受給の流れ・申請方法

Q3.雇用保険の加入期間が1年未満の場合はどうなる?

雇用保険の基本手当の給付の期間は、雇用保険の加入期間のほかに、離職理由、離職時の年齢の3つによって決まります。基本的に年齢に関係なく、雇用保険に加入してから1年未満に自己都合で離職した場合、基本的に失業保険の給付は受けられません。

それに対して、会社都合で離職した特定受給資格者や、特定の自己都合によって働くことができない特定理由離職者は年齢に関係なく、次のように1年未満でも90日以上の基本手当の給付が受けられます。

表-特定受給資格者・特定理由離職者の基本手当の所定給付日数
退職時の年齢 労働期間
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上
35歳未満
90日 90日 180日 210日 240日
35歳以上
45歳未満
90日 90日 180日 240日 270日
45歳以上
60歳未満
180日 180日 240日 270日 330日
60歳以上 90日 150日 180日 210日 240日

Q4.給付される失業保険の金額はどれくらい?

失業保険の基本手当は、基本手当日額と呼ばれる1日当たりの決められた金額が支払われます。金額は、離職時以前の6ヶ月間に支払われていた月給の合計を180で割った金額の5~8割で、次のような上限があります。

基本手当の支給額の上限

・30歳未満…6,395円
・30歳以上45歳未満…7,100円
・45歳以上60歳未満…7,810円
・61歳以上65歳未満…6,808円

失業保険の金額・種類・受給期間など失業後の給付金を解説

退職を考え始めたら失業保険がもらえる条件をチェックしておこう

節約生活で貯金をする女性

失業保険がもらえる条件は、雇用保険の加入年数期間や離職理由、離職時の年齢によって異なることが分かりました。特に、雇用保険に加入していた期間が短く、自己都合で離職した年齢が低い人は、失業保険をもらえる期間や金額の条件はあまりよくないということを、理解しておく必要があります。

そのため、基本手当の給付を受けて求職活動を積極的に行い、自分の希望にあった就職先を見つけられるよう努力しましょう。