再就職手当の支給条件は?最大いくらまで給付される?

再就職手当という給付金は雇用保険の失業等給付の就職促進給付のひとつで、早期に再就職をすることでもらえるお祝い金です。金額面でも制度面でも求職者にとってはメリットが多い制度ですので、制度について正しい知識を身に着けておきたいところです。

再就職手当の支給条件は?最大いくらまで給付される?

求職者の味方!再就職手当をもらおう

雇用保険に加入していると、失業して転職までの一定の間、一定の条件を満たすことで失業給付金がもらえることはよく知られていますが、一方であまり知られていないのが再就職手当です。

再就職手当は早期に就職を決定できた場合にもらえるお祝い金のことで、これは条件次第で最大100万円以上の支給を受けられる大きなものです(注1)。この制度があることを知らずに、早期に就職できるのにのんびりと再就職を考えてしまっている人も少なくありません。

再就職手当は求職者にとってかなり有利な制度になっていますので、知っているのと知らないのとでは再就職に関する計画も大きく変わってきます。再就職手当についての概要や仕組み、使い方について理解しましょう。

再就職手当とは何か?

こたつに入りお茶を飲みながら、お菓子を食べる男性

再就職手当とは、求職者の早期再雇用を促進することを目的とした、国が支給する「就業促進手当」のうちのひとつです。就業促進手当には再就職手当のほか、「就業促進定着手当」「就業手当」などがあります。

再就職手当は雇用保険の基本手当の受給資格がある人が安定した職業に就いた場合に、特定の条件を満たしている場合に支給される給付金です。早期の再就職、特に長期の安定した就職を促すためのものですので、それに沿った就職が必要となります。

再就職手当の支給条件

再就職手当の支給条件は、雇用保険へ加入していたことが大前提です。また、その上で8つの条件を満たしている必要があります。

  • 基本手当の支給残日数(就職日の前日までの失業の認定を受けた後の残りの日数)が所定給付日数の3分の1以上ある
  • 1年を超えて引き続き雇用されることが予想される職業に就いている
  • 待機満了後の就職である
  • 給付制限期間が開始してから1ヶ月以内の再就職の場合、ハローワーク等で紹介で就職した者である(給付制限期間を1ヶ月経過していれば、ハローワーク等以外の紹介による就職でも構わない)
  • 離職前の事業主に再び雇われたものではない
  • 就業日前の3年間において再就職手当をもらっていない
  • 失業保険の手続きをする前に雇用が約束されていない
  • 雇用保険の被保険者資格取得の条件を満たした上での雇用である

再就職手当の支給条件について自分が該当するか自己判断できない場合は、ハローワークで聞いてみるとすぐに該当するかどうか調べてくれます。

再就職手当はいくらもらえる?計算式と計算項目を確認しよう

再就職手当の支給額は、所定給付日数の支給残日数×給付率×基本手当日額(※一定の上限あり)となっています(注2)。

所定給付日数の支給残日数

自宅で横になりながらせんべいを食べる男性

所定給付日数の支給残日数というのは、失業保険をもらうことができる日数のことです。これが3分の1以上残っていることが給付のための最低条件となります。
もともとの所定給付日数は、雇用保険に加入して就業していた期間や退職理由などによって違います。

給付率

給付率には、基本手当の支給残日数と就職日によって違いがあります。

「基本手当の支給残日数」が所定給付日数の3分の2以上の場合、給付率は70%ですが、就職日が平成29年1月1日前の場合は60%になります。「基本手当の支給残日数」が所定給付日数の3分の1以上の場合、給付率は60%です。ただし、就職日が平成29年1月1日前の場合は50%となります。

基本手当日額

基本手当日額は、失業保険の基本手当としてもらえる額を日割にしたものです。これは、前職における賃金の日割り(賞与除く)のおよそ50~80%となっており、賃金が低いほど割合が高くなるようになっています。

基本手当日額の上限は再就職手当については6,070円(60歳以上65歳未満は2017年現在で4,914円)となります。失業手当の基本手当とは上限額に違いがあるため注意が必要です。

再就職手当は最大どれくらいもらえる?

再就職手当の計算式から、理論上は最大いくらもらえるのか具体的な数字を計算してみましょう。

ノートパソコンを使っている男性

一般受給資格者(最大給付日数150日)の場合

150日×70%×6,070円 = 637,350円

特定受給資格者・会社都合などによる特定理由離職者(最大給付日数330日)の場合

330日×70%×6,070円 = 1,402,170円

一般受給資格者と特定受給資格者・特定理由離職者のそれぞれの金額を見てみると、非常に大きな金額であることがわかります。これらのルールについては見直しも多く行われていますので、詳しくはハローワークのWebサイトから最新の情報を確認するようにしてください。

再就職手当と似ている就業手当も知っておこう

再就職手当と似ているものに就業手当があります。再就職手当と就業手当の違いについても確認しておきましょう。

就業手当とは

就業手当は、基本手当の受給資格がある人が、常用雇用等以外の形態(アルバイトなど)で就業した場合に、一定の要件に該当する場合に支給されるものです。
支給額は就業日×30%×基本手当日額(一定の上限あり)となっており、1日当たりの支給額の上限は、1,821円(60歳以上65歳未満は1,474円)となっています。

再就職手当と就業手当では所定給付日数の扱いが違う

就業手当については支給された日数分だけ所定給付日数が減少しますが、再就職手当の場合には、支給された日数分が単純に減少するのではありません。単純にもらった日数だけ給付日数が減るのではなく、金額をもとに失業保険としてもらった日数として計算されるため、失業保険の残りの給付日数が有利になります。

再就職手当の申請手続き

タスキをかけてガッツポーズを取る男性とハローワークのイラスト

再就職手当をもらうための申請手続きについても確認しておきましょう。原則ハローワークで、本人が手続きを行うことになっています。

再就職手当の申請期限

申請期限は、就職日の翌日から1か月以内となっています。この期限を過ぎてしまうと支給申請は受理できないため注意が必要です。

再就職手当の申請における必要書類

再就職手当の申請には、以下の書類が必要となります。

  • 再就職手当支給申請書(就職先の事業主の証明が必要)
  • 雇用保険受給資格者証
  • その他、ハローワーク等の求める書類

提出は郵送でも問題ありません。ただし、届け出に必要な書類は事前にもらっておく必要がありますが、電子申請によって行うことも可能となっています。

再就職手当を利用する上での注意点

タスキをかけた男とハローワークの手続きのイラスト

ハローワーク等で就職の届け出を行ってからでないと、再就職手当の申請手続きはできないことになっています。就職が決まったらハローワークへ早めに就職の届出を行うようにしてください。

また、再就職手当は申請してすぐにもらえるわけではありません。安定した雇用の促進や支援を目的とするものですので、就職から約1か月後にハローワークを通して会社で在籍確認が行われ、その後の支給日に再就職手当が所定の口座に支給されるようになります。

再就職手当と併せて知っておきたい「就業促進定着手当」

再就職手当を受給した人で、再就職先の給料が前職の給料よりも低い場合は「就業促進定着手当」を受給することができます。

受給のためには以下の条件を満たしている必要があります。

  • 再就職手当の支給を受けた人で、その再就職先に引き続き6か月以上雇用されている
  • 再就職先で6か月の間に支払われた賃金の1日分の額が雇用保険の給付を受ける離職前の賃金の1日分の額(賃金日額)に比べて低下している

支給額は(離職前の賃金日額-再就職後の6か月間の賃金日額)×賃金の支払いの基礎日数となります。上限額は基本手当日額(※1)×基本手当の支給残日数に相当する日数(※2)×40%(※3)です。

※1 基本手当日額の上限は6,070円(60歳以上65歳未満は4,914円)です。
※2 再就職手当の給付を受ける前の支給残日数です。
※3 再就職手当の給付率が70%の場合は30%です。

就業促進定着手当は前職よりも収入が下がることによって定着意欲を失わないようにするための制度です。もしも収入ダウンがあった場合は活用できる可能性が高まりますので、これも活用できるかどうかハローワークで確認し、使えるようならすぐに申請しましょう。

早めに就職を決めて再就職手当をもらおう

再就職手当は早期の再就職や安定した就職をして、しっかり定着することを促すための制度です。給付される金額はもちろん、万が一その後に再び退職したときのことを考えてもメリットが多いため、うまく利用することができれば、じっくり時間をかけて就職先を探し、失業給付をもらうよりもずっと良い条件になることも少なくありません。

就職促進給付は以前より充実しており、就職したい会社が見つかった場合、基本的には早めに就職を決めてしまった方が有利になります。
再就職手当やその他の就職促進給付については毎年のように見直しが行われているため、利用する際には必ずハローワークのWebサイトを確認し、最新の情報を得るようにしてください。

再就職するために必要な求職活動コツ4つ

参考文献