面接で希望年収を聞いてくる企業の意図と上手な答え方

いざ面接で聞かれて困るのが希望年収について。スキルアップやキャリアアップを目指して転職する方も多いですが、なぜ企業が希望年収についての質問をするのかという企業側の意図を示しながら、自分の希望も伝えつつ、企業に悪い印象を与えない希望給与額の答え方についてまとめました。

面接で希望年収を聞いてくる企業の意図と上手な答え方

面接で希望年収を聞かれたらどう答えるのがベスト?

転職をする時に気になることと言えば、仕事内容や自分のスキルを活かせるかどうか、職場の雰囲気などと答える方は多いでしょう。しかし、なかなか人には言えないけれど、最も気にしていることのひとつとして「年収」と答える方もやはり多いのではないでしょうか。

実際に転職をして、業界や職種を問わず、前職より年収が上がる人もいれば下がる人もいます。また、年収アップを目的に転職を考える方も少なくありません。しかし、いざ面接で年収のことを聞かれるとどう返答すべきか困ってしまう方も多いことでしょう。

なかなか踏み込んで話しにくいのが「年収」の話題ですが、しっかりと伝え方を学ぶことで、入社を希望する会社に対しても印象良く希望給与額を伝えることができます。では、面接で希望年収を印象良く伝える方法について、具体的にチェックしていきましょう。

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企業が面接で希望年収を聞く3つの理由

面接の時、誰もが一度は戸惑ってしまう質問が希望年収についてですが、「なぜ企業がその質問をするのか」という理由を知ることができれば安心して面接に臨むことができます。
まずは、企業が面接で希望年収を求職者に質問する理由についてしっかりと理解することから始めましょう。

1 求職者の価値を確かめるため

面接担当者が並んで品定め

まず、企業側が希望年収を聞いてくる1つ目の理由として、求職者の「価値」を知ることが挙げられます。転職先の企業は履歴書や職務経歴書、キャリアシートといった紙媒体を通すことでしか求職者のことを知ることができません。文字として書かれた情報だけで判断をするということは、採用側にとっても非常にリスクが高いことです。そこで面接で「希望給与額」を知ることによって、求職者の実力やレベル、市場価値を図ろうとしているのです。

2 入社後の給与設定の参考にするため

2つ目に挙げられるのは、実際に入社をした後の給与額の参考にするためです。採用する時に適正な給与額を設定するため、一つの基準として「給与希望額」を聞く場合があるのです。これは、求職者が実際に採用された時、前職との給与額の開きにギャップを感じてしまうリスクを軽減し、尚且つ採用側もある程度の給与額の目安を知ることにつながります。あらかじめ希望年収や希望給与額が明確になっている場合は、一人当たりの採用後のコストがすぐに計算できるため、採用がスムーズに進む場合もあります。

3 希望年収額が本人に実際に見合っているのかを判断するため

並ぶ面接担当者

最後の理由は、求職者の希望する給与額が、本当に求職者本人に見合っている額なのかを判断するためです。
希望する給与額を聞かれると、どうしても「自分が本当に欲しい金額」を答えてしまいたくなります。しかし、ここで聞かれているのは自分が欲しい金額ではなく、あくまでも「自分の価値を示す金額」です。ここで答えた金額が、履歴書などの書面だけでは読み取ることができない「求職者の市場価値」を企業が判断する基準となります。

面接での希望年収の伝え方のコツ3つ

では、実際の面接時に希望年収について質問をされた時には、どのように答えることがベストな対応と言えるのでしょうか。ポイントを押さえて面接時に活用しましょう。

1 基準となる前職の年収額を希望として伝える

笑顔のOL

希望年収を聞かれた時は、まず初めに前職の給与額を答えると良いでしょう。
実際、企業は求職者のことをあまりよく知りません。求職者が今まで何の経験を積み、どのような成果を上げてきたのか。これを知ることができるのは、応募書類に書かれている経歴と、それを補足するように話す求職者の言葉のみです。しかし、これだけではあまりにも情報が少なく不確かです。

そこで、企業側が不確かな情報を確信に変えるため、希望年収額を質問として使い、求職者の市場価値を見極めているのです。
面接で希望年収を聞かれた際には、下記の3つの伝え方を参考に伝えるとよいでしょう。

  • 「前職では〇〇円頂いておりましたので、前職と同等の金額を希望いたします。」
  • 「前職では〇〇円でしたので、これを下回らない程度の金額を希望いたします。」
  • 「前職では〇〇円頂いておりましたので、その額と同等もしくはそれ以上を希望します。最終的には御社の規定に準じます。」

最後の例文のみ前職と同等額以上を希望するフレーズが入っていますが、「御社の規定に準じます」というフレーズを付け加えることで、あくまでも企業側に判断を任せているということを表しています。金額アップを目指す方は、こちらの伝え方を参考にしてみてはいかがでしょうか。

2 「年収はいくらでもいい」という会社任せの対応はしない

面接で給料はいくらでもいいと答える女性

絶対に採用されたいという思いから、希望年収額をあえて伝えずに「私はいくらでもいいです。御社で働かせてください!」と答えるケースがあります。一見、謙遜しているように見え、良い答え方の例とも思えますが、実はこの答え方は一番してはいけない答え方です。

企業は、答える希望金額で求職者の市場価値を判断しています。希望額が高い・低いということで合否の判断をしているのではなく、求職者の今までの経験やスキルを総合的に判断し、最終的に合否を決めています。採用結果を決める一つの判断基準として聞かれているので、「いくらでもいいです」「いくらでも大丈夫です」と言った回答は、「自分の価値がわかりません」「私には市場価値がありません」と言っているようなものなのです。

あくまで希望額というのは「求職者の価値」を示すものです。自分の欲しい金額を示すものではありません。その違いをしっかり理解することで、面接時に希望年収額を聞かれた場合にしっかりと答えることができます。

3 見栄を張った希望年収の提示は避ける

「実際の希望年収額を伝えてしまったら、何もできない人だと思われてしまうのではないか…」という考えから、前職での額よりも遥かに多い金額を答えるケースもあります。何度も言うように、希望年収はあくまでも「求職者の市場価値」を表すものという位置づけです。自分のスキルや経験とそぐわないような高い金額を伝えてしまうことは、面接官が求職者に対して不信感を抱くきっかけにもなります。見栄を張ることはやめましょう。

年収アップが狙える面接での希望年収の伝え方

面接時に伝える希望年収額は、求職者の市場価値や実力・レベルを示すものです。なかには転職をキャリアアップのチャンスと捉え、年収アップを狙っている方も多いでしょう。「見栄を張って高い金額を要求することはリスクがあるのでやらない。しかし、前職と同等の給与額では満足できない。」このような方は、希望年収を答える時には必ず「根拠」を説明できるようにしておくことが大切です。

希望年収の根拠を答える面接者

なぜ根拠が必要なのか。それは、希望金額が「自分の欲しい金額」ではないからです。年収をアップさせるためには、まず企業が納得できるような具体的な理由を説明できることが大前提です。実際の面接時に伝える時は、下記のフレーズを参考にすると良いでしょう。

  • 「私は〇〇ができますので、このくらいの額を頂きたいです。」
  • 「〇〇のスキルを獲得するために投資をしたいので、このくらいの額が必要です。」

スキルアップを理由に希望額を引き上げる場合は、必ず仕事で役に立つ、もしくは仕事を行う上で必要なスキルを答えるようにしましょう。自分の趣味や、プライベートでやりたいことを理由に答えることは絶対にしてはいけません。ただ自分の希望を伝えるのではなく、企業が納得できる理由をしっかりと伝えることが重要です。根拠となる理由を示し、希望額と求職者の経験・レベルが合致していると認識してもらうため、きちんとした理由を準備することが重要となります。

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面接で希望年収を聞かれたら前職をベースに答えるのがベスト

企業側が面接の時に問いかける質問は、全てに意味があります。希望年収に関する質問も例外ではありません。この会社に入って本当に活躍してくれる人材なのか、実力やレベルはどの程度のものなのかなど、求職者のスキルや経験、市場価値を見極めるために問いかけているのです。そのような場面で、自分を良く見せようと見栄を張った金額を伝えてしまうことや、謙遜の意味を込めて「いくらでもいい」と答えることは、自らの市場価値を下げ、企業側が不信感を抱くきっかけになるため絶対にしてはいけません。

このように、希望年収額を答える時には気を付けることがいくつもありますが、基本的には前職の年収を素直に答えることが最も適正に価値判断が下されます。これから転職を考えている方、既に転職活動をされている方は、前職の年収額をベースに答えるとスムーズに面接が進み、入社後の大きなギャップも感じることなく働くことができるでしょう。