面接で聞かれる「座右の銘」のスマートな答え方と回答例文

面接では様々な質問がありますが、「座右の銘」はその中でも価値観を量るために面接官が聞いてくる機会が多いものです。この質問はあまり掘り下げられず、十分な用意をしておけば使いまわしのできる内容でもあります。しっかり準備をして面接に臨みましょう。

面接で聞かれる「座右の銘」のスマートな答え方と回答例文

面接で「座右の銘」について聞かれたら

面接で尋ねられることのひとつとして「座右の銘」があります。この質問は好きな言葉やモットーなど他のパターンもありますが、やはり人気の尋ね方は「あなたの座右の銘はなんですか」というもの。就活生のほとんどは自分の座右の銘を持っていますが、肝心なのはその質問をしてくる企業側の意図を汲み取ることです。

今回は面接で「座右の銘」を聞かれたときのベストな答え方や回答例について解説します。企業はなぜそんなことを聞き、何を知りたいのかを踏まえてどう答えていくべきかを知り、何の準備もなしに「え~」「え~と」などとしどろもどろの状態になることのないよう、きっちりと相手の心を掴むような答え方を身に着けておきましょう。

面接で「自分を動物に例えると?」と質問された時の回答例

そもそも「座右の銘」とは何?

緩急自在が座右の銘

座右の銘と言えば、学校で書き初めをする際に「どんな漢字にしようかな」と迷っている子供をイメージします。皆さんも自分にピッタリな漢字や英語、できれば簡単なものなどと工夫を凝らして迷った経験があるのではないでしょうか。

中学生までの子どもならそれでいいでしょうが、就活をする大人がそれでは困ります。そもそも、座右の銘というのはそんな行き当たりばったりで決めるようなことではないのです。

座右の銘とは自分の中心にある言葉であり、行動基準や自分を奮い立たせるような言葉です。言葉には力がありますが、その中でもとりわけ自分にとって影響している言葉のことを指します。これがないと大人ではないとまでは言いませんが、やはり厳しい社会で生きていくにはこうした心の支えが必要です。

面接で聞かれることを想定して、就活生の多くが座右の銘を準備しています。よくある例としては以下のような内容が挙げられます。

例えば?

  • 一期一会
  • 初志貫徹
  • 急がば回れ
  • 勇往邁進
  • 一意専心
  • 謹厳実直

もちろん、座右の銘は一つ選べばOKです。選ぶ際には自分でいいと思った理由を意識するようにしましょう。「何となく見た目が良い」などの外見ではなく、中身である「意味」や「思い」を大切にしてください。それを選んだあなたの「価値観」を大切にすることで、面接の際に伝えられることが増え、相手にあなたの中心にある考え方を披露することができます。

また、座右の銘はその昔、皇帝などが信頼のおける臣下を座の右に置いていたことに由来します。この由来からも「信頼している」「頼りになる」ということを示していることが分かります。面接で聞かれる座右の銘は、自分が信頼している・大事にしている価値観は何かを伝えることができる質問として受け止めておいてください。

面接で企業が座右の銘について質問してくる理由

夢の一文字が座右の銘

座右の銘と聞くと、飲み会での雑談などでも上司から尋ねられそうな内容に感じてしまいますが、この座右の銘を尋ねることで見えてくるのがその人の価値観です。

この価値観というものは、ビジネスを一緒にやっていく者には共有しておかなくてはならない項目のひとつです。たとえ教養がありスキルに問題がなくとも、価値観の違いによりビジネスパートナーになり得ないことは十分に考えられます。そのため、面接では履歴書などからは読み取れないその人自身の価値観をしっかり把握しておくことが重要です。

座右の銘とはその人の中心にある言葉ですので、その人がその座右の銘を選んだ理由を探ることで価値観を推測することができます。つまり、座右の銘はその人の価値観をはかる一つのテストなのです。

面接で座右の銘を聞くことで価値観と適応性をチェックしている

面接官は価値観をあなたから聞き出すために「座右の銘」について聞いています。その座右の銘から導かれるあなたの大切な考えの根本を知っておくためです。ただし、知って終わりではありません。

企業はすべての考え方を受容できるわけではありません。必ず好ましいと思える考え方があります。そうした面から適応性、つまりその会社になじめるかという点を審査しています。

もし、その考え方がその会社に馴染めないと判断されれば大きなマイナスとなってしまいます。だからと言って会社のために人間がいるわけではないので、無理に会社に合わせるような発言は控えた方が良いでしょう。

面接で座右の銘を聞かれたときの上手な答え方のコツ

実際に面接で座右の銘を相手に答える際には、いくつかの注意点があります。単に「私の座右の銘は一期一会です」と答えても、採用担当者には「それで?」と聞かれるかしかめ面をされて終わりです。

自分の思っていることをしっかり伝えられてこそ良い面接です。中でも座右の銘の紹介は自分の価値観を伝える大切なものですので、相手にしっかり理解してもらうコツを掴んで面接に臨んでください。

1 「特にありません」はあり得ない

まず、「特にありません」という回答はあり得ません。面接では何かしらの準備をしておくものですが、それでも行き当たりばったりでも答えられる内容でもあります。もし本当にないのであれば言葉を軽んじていると思われる恐れがあります。

座右の銘がないと答える女性

また、座右の銘がないということは、言葉で自分の価値観をうまく捉えられていないとも言えます。表現の幅が狭いということになりますし、使う気もないのであればこれからも淡泊なコミュニケーションが取られる恐れがあります。そのため、「特にありません」という答えは絶対にしないでください。

2 秘訣は述べる順番

座右の銘を紹介する順番

自分の座右の銘を紹介するには述べていく順番が重要です。その順番は次の通りです。

  • 座右の銘を紹介する
  • 選んだ理由
  • 自分のエピソード

まずは座右の銘を伝えなくては始まりません。「私の座右の銘は○○です」と簡潔に答えるのも良いですが、面接官がその言葉の意味を分からない場合も考えられます。そのため座右の銘とその意味を一緒に答えるのがベストです。

次に、その座右の銘をなぜ選んだのかを述べます。ただし、この理由は簡潔にした方が良いです。なぜなら次の自分のエピソードの方が面白く、また理由はそのあとにもう一度述べることで効果的に伝えることができます。自分のエピソードからどれだけその言葉に親しみがあるのかをアピールできるようにしておくことが良いでしょう。

3 座右の銘と自分自身とつなげられるようスピーチする

座右の銘は誰かから聞いた言葉としてではなく、自分にとって大切な言葉であるべきです。何かしらの自分のエピソードを踏まえて紹介していくのが理想的です。そうした点から、その言葉を代表するような出来事があったかと考えるよりは自分史と照らし合わせて座右の銘を選択する方が良いでしょう。

選択された座右の銘は自分のどんな一面を表しているかを伝えることが重要です。その一面がしっかりと伝えられるようにしておきましょう。

4 自らのエピソードを活用する

自分のエピソードを活用することで体験したことの重みを相手に感じさせることができます。それだけに自分のエピソードを語る際は慎重にならなくてはなりません。そのため2つの注意点があります。

  • 自他の視点があるか
  • その体験はその座右の銘に合っているか

この2点を押さえておきましょう。自分が体験したことですが、周りの反応や環境がどのようなものであったかを把握することは重要な力と言えるでしょう。また、文脈からその座右の銘が連想できるようにしておくことは相手に好印象を与えることができます。

5 選んだ理由は簡潔に述べる

時計を見てうんざりする面接官

いくらその言葉に思い入れがあっても何分もかけてダラダラと説明されるのは苦痛です。なぜその言葉を選んだのかは、エピソードに組み込みながら簡潔に述べる工夫をしましょう。例えば、一期一会を例にすると次のような紹介が考えられます。

回答例

「私の座右の銘は一期一会です。意味は一度きりの出会いを大切にするということです。高校時代、私はあまり友人がいる方ではありませんでした。今思い返すと、あの人ってどんな人だったのだろうか、もっと仲良くなっていればできることも増えていたのではないかなどと後悔しており、大学入学後にはそうした後悔を再びしないために積極的に人と触れ合うようにしてきました。その結果、一人では気づけなかったことに触れあうことができ、新しい視点での行動ができるようになりました。そのため、人との出会いを大切にする一期一会という言葉を座右の銘としております」

面接で座右の銘を聞かれたら堂々と答えよう

企業は面接で座右の銘を聞くことであなたの価値観を推し量り、その価値観が対応できるかをチェックしています。当然、その会社に合うように答えた方が良いのですが現実的には難しいでしょう。そのため、会社に合わせることを意識するよりも自分が考えていることを素直に話すこと、その内容をスムーズに答えられるようにしておくことが重要です。

この質問にはコレといった正解はなく、人によって様々な答え方があります。しっかりとした答えであればそこまで執拗に掘り返されたりしませんので、堂々と答えるようにしてください。