面接で志望動機を聞く理由は?
面接では必ずといっていいほど志望動機を聞かれます。「志望動機を聞かせてください」という直接的な聞き方のほか、「なぜ弊社を選んだのですか」「他社ではなく弊社を志望した理由は?」といった形で問われることも少なくありません。
採用担当者が志望動機を確認する理由は、大きく3つあります。
①志望度と入社意欲を確認するため
採用担当者の立場から見ると、入社意欲の低い応募者を採用しても早期退職につながりやすく、採用コストが無駄になります。経済産業省の試算では、中途採用1人あたりのコストは平均100万円超ともいわれており、企業は「本当に自社で働きたいか」を見極めることに真剣です。志望動機は、そのための最も直接的な手がかりです。
②企業との方向性のマッチを確認するため
応募者のやりたいことと実際の業務がかみ合っていなければ、入社後すぐに「思っていた仕事と違う」というミスマッチが起きます。採用担当者は志望動機から「この人は自社の事業内容を正しく理解したうえで来ているか」を読み取ろうとしています。
③「なぜ他社ではなく自社か」を確認するため
面接官が志望動機の中で最も重視するのは「この会社でなければならない理由」です。同業他社でも実現できることを志望動機にしてしまうと、「どこでもよかったのでは」と判断され、志望度が低いと見られます。競合他社との比較を踏まえた理由があると、説得力が格段に上がります。
面接で志望動機を分かりやすく話す3つのポイント
ネット上の例文をそのまま暗記した志望動機は、採用担当者にすぐに見抜かれます。同様の定型文を何十回も聞いてきた面接官の耳には、「またこのパターンか」と映ります。重要なのは、自分の経験や目標に裏付けられた、その企業でなければならない理由を伝えることです。
面接で志望動機を分かりやすく伝えるには、次の3つの要素を意識して組み立てましょう。
- この会社で取り組みたいことは何か(結論)
- なぜこの会社でなければならないのか(根拠)
- 入社後どのように貢献・成長していくのか(展望)
面接での志望動機の話し方:結論→根拠→展望の順で伝える
志望動機を面接で話す際の基本構成は「結論→根拠→展望」の順です。採用担当者の立場から見ると、結論が後回しになる話し方は「要点がつかみにくい」「論理的に話せない人」という印象につながります。最初の一文で「私が御社を志望した理由は〇〇です」と結論を明示してから、その背景と未来への展望を続けるのが最も伝わりやすい構成です。
①結論:この会社で取り組みたいことを一言で
「御社に入社して〇〇に挑戦したい」というビジョンを最初に示すことで、その後の説明が届きやすくなります。「御社の企業理念に共感しました」という出だしは、面接官が何度も聞いてきたパターンであるうえ、「では具体的に何をしたいのか」が見えないため、避けたほうが無難です。
②根拠:なぜこの会社でなければならないのか
志望動機の中で最も重要な部分です。自分の過去の経験・エピソードと、企業の特徴・強みを結びつけながら語ることで、「この人は本当に調べてきた」という印象を与えられます。競合他社と比較してこの企業を選んだ理由が入っていると、説得力がさらに増します。採用担当者は「他社でも同じことが言えるのでは」と必ず考えているため、この比較軸は意識的に盛り込む必要があります。
③展望:入社後にどう貢献するか
締めくくりは視点を未来に向けます。「入社後は〇〇部署で△△に携わり、〇〇を実現したい」というように、具体的な部署名や業務内容に触れると積極性が伝わります。面接官が知りたいのは「この人が入社した後、どう活躍してくれるか」です。漠然とした「貢献したいです」では弱く、3〜5年後のキャリアイメージを添えると実現性が高まります。
3つの構成を踏まえた例文
実際に上記の構成で組み立てた志望動機の例文を確認してみましょう。①〜③がどこに対応しているか意識しながら読んでください。
志望動機の例文(介護・福祉業界)
①【結論】私が御社を志望した理由は、高齢化社会の日本により総合的な福祉サービスを届けたいという目標を、御社でこそ実現できると確信したからです。
②【根拠】大学時代にボランティアサークルで地域の介護施設を複数回訪問した際、高齢者のニーズが訪問介護やデイサービスといった単一のサービスでは対応しきれないケースを多く目にしました。御社は訪問介護・デイサービス・居宅介護支援を一体的に展開しており、競合他社と比べて利用者の生活全体を支える仕組みが整っている点に、他社にはない強みを感じています。
③【展望】入社後は第一企画開発部で福祉機器の開発に携わりながら、現場の声を製品に反映させる役割を担いたいと考えております。
例文のポイントは、根拠の部分で「競合他社と比べて」という視点が入っている点です。採用担当者から見ると、この一文があるだけで「業界全体を調べたうえで自社を選んでいる」という印象が格段に変わります。
志望動機を面接で話す時の注意点は?
志望動機を話す時に使ってはいけないNGフレーズ
採用担当者が繰り返し耳にしてきたフレーズは、言った瞬間に「また使い回しか」という印象を与えます。以下のNGフレーズとその理由を確認しておきましょう。
| NGフレーズ | 採用担当者の受け取り方 | 改善の方向性 |
|---|---|---|
| 「企業理念に共感しました」 | どの企業にでも言える内容。企業研究が浅い印象。面接官が最も多く聞くパターンの一つ | 理念のどの部分が、自分のどの経験と重なるかを具体的に語る |
| 「御社で勉強させていただきたい」 | 受け身で即戦力になる気がない。「学生気分が抜けていない」と映りやすい | 「〇〇のスキルを活かして△△に貢献したい」と貢献姿勢に変える |
| 「給与が良く、待遇が魅力的なので」 | 「条件が同じならどこでもいいのでは」と判断される。志望度が低く見られる | 本音は持ちつつ、仕事内容や事業への共感を前面に出す |
| 「大企業だから・業績が伸びているから」 | 安定志向で主体性がないと見られやすい | その企業の具体的な事業・プロダクト・強みに触れる |
採用担当者が志望動機のNGフレーズを問題視する背景には、「早期退職リスク」があります。「待遇がよいから」「安定しているから」という理由で入社した人材は、待遇が変わったり思っていた業務と違ったりした際に離職しやすいと、多くの採用担当者が経験的に把握しています。NGフレーズを避けることは、単なるマナーではなく「長く働けるか」という評価基準への対応でもあります。
履歴書・ESと面接での志望動機は内容を合わせる
面接官は事前に提出書類を確認しています。履歴書やエントリーシートの志望動機と、面接で話す内容が大きく異なると「一貫性がない」「場当たり的な発言をする人」という印象を与えかねません。面接では書類の内容をベースにしながら、口頭だからこそより詳しく説明できる部分を肉付けする形で話すのが基本です。
深掘り質問への備えも必要
面接では「なぜその経験がこの志望動機につながったのですか」「他社も受けていますか」「なぜ競合のA社ではなく当社なのですか」といった深掘り質問が続くことがあります。面接官が深掘りするのは、志望動機の内容に興味を持っているからでもありますが、「本当に自分の言葉で話しているか」を確かめるためでもあります。準備した文章を暗記して話すだけでなく、各要素の背景にある自分の考えを整理しておくことが重要です。
面接で志望動機を伝える適切な長さは1分〜1分30秒
志望動機を話す時間の目安は1分〜1分30秒程度です。文字数に換算すると200〜350字が目安になります。長くなりすぎると「話をまとめる力がない」という印象を与え、企業側が質問する時間を奪うことにもなります。一方、あまりにも短いと「入社意欲が低い」「調べが足りない」と受け取られます。
面接官によっては「30秒で話してください」「2分でお願いします」と時間を指定してくることもあります。30秒・1分・2分の3パターンを用意しておくと、どの状況にも対応できます。
練習方法として効果的なのは、スマートフォンで録画しながら話すことです。時間の感覚をつかめるだけでなく、声のトーン・表情・視線の向き・口癖といった話し方全体を客観的に確認できます。オンライン面接が一般的になった現在、画面越しでどう映るかを事前に確認しておくことは、対面面接の練習以上に重要性が高まっています。
面接で話す志望動機は「この会社で働きたい理由」を明確にすることが大事
採用担当者が志望動機から読み取ろうとしているのは、熱意の強さよりも「この人は本当に自社のことを調べ、自分のキャリアと結びつけて考えているか」という実質的な理解度です。どれだけ熱を込めて話しても、内容が「どこの会社にでも言えること」であれば、その熱意は評価に結びつきません。
志望動機を作る際は、①自分の経験・目標の言語化、②企業の特徴・強みのリサーチ(競合他社との比較を含む)、③両者の接点を見つけるという3ステップで整理するとまとめやすくなります。この記事で紹介した構成チェッカーを使いながら、自分だけの志望動機に仕上げてください。


















