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自己PRで前向きに取り組む姿勢をアピールする書き方

自己PRにおいて前向きであることをアピールすると、企業の反応も良いです。ただし、多くの人が前向きさをアピールするため、その中で埋もれないためには伝え方が大事になります。効果的な伝え方のコツについて考えてみましょう。

自己PRで「前向き」は使いやすい特徴だからこそ差別化が必要

就職活動を始めた学生の多くが、自己PRで何を話せば良いか、また自分の長所に自信がないと考えて迷ってしまうそうです。学生時代に目立った実績や役職を経験したり、留学などの特殊な体験が無いとしても十分にそのままの自分をアピールすることは可能です。

実は、多くの人が備えている「前向きさ」はアピールしやすく、かつ社会人に必須の能力として評価されるため、使いやすい特徴でもあります。しかし、上手にアピールしないと多くの「前向き」アピールの中で埋もれてしまいます。効果的にアピールするコツを紹介します。

自己PRで「前向き」が企業に好まれる理由

「前向き」であることは企業からも評価されることが多い特徴です。特に昨今の就活市場の中では、その重要性が増しているとすら言われています。

仕事への意欲が期待できるから

前向きな考え方ができる人は、就職した後に、仕事に対して意欲的に取り組むことが期待できます。新しいことに挑戦する必要が多くなる時、後ろ向きな人はまず否定的になりますが、前向きな人は果敢に挑戦し、また意欲的にノウハウを身に着けようとするため成長も速いのです。ポジティブ思考で仕事に取り組めることは社会人にとって大切な気質と言えます。

切り替えが早く、打たれ強いから

前向きな人は、失敗をしたとしても落ち込む時間が短く、うまく切り替えて前に進むことができます。また、くよくよと悩み続けることが少ないため、多く叱られてもすぐに自分のペースに戻ることができます。打たれ強い人は、指導する側も安心して叱ることができ、信頼関係を作りやすいですし、その結果仕事の効率も上がるのが早くなるのです。

消極的でネガティブな人より、明るく前向きな人と一緒に働いた方がいいのは誰しも同じです。前向きな人は、その人に接するだけで周囲も前向きな気持ちになりますし、また目標を共有してチームワークを発揮しやすくなりますから、周囲の雰囲気も良くなります。仕事というのは基本的に厄介事を解決していく必要がありますから、どうしても面倒でネガティブな雰囲気が出てしまいがちです。その中で前向きな人がいることは、周囲の活性化に非常に有用なのです。

自己PRの「前向き」アピールで使ってはいけない「なんとかなる」という表現

前向きであることは、非常に良い性質です。しかし、注意すべきことがあり、「前向き」をアピールする時には「楽天家」だと思われないように注意する必要があるということです。

「楽天家」というのは、深く考えずに前向きに考えている人で、根拠も無いままに良い結果になることを信じている人だと言えます。ある程度までは良いのですが、大事な仕事に関してそのような態度を取っていると、顧客や同僚の信頼を失うことになりますので注意しなくてはなりません。

楽天家の人によく見られるのが「なんとかなる」というフレーズです。「なんとかなる」というのは一見前向きな台詞に聞こえますが、その根拠がないまま使われることも多く、説得力に欠ける言葉だとも言えます。自己PRにおいても「なんとかなるさと思って頑張ったら上手く行った」というエピソードが散見されますが、「たまたまうまくいった」可能性も高く、企業側も採用をためらってしまう可能性があります。

「なんとかなる」という言葉を使う時、本当に根拠なくそう思っているのではなく、実際には深く考えれば成功に結びつくための根拠が実はある場合も多いです。考えを深くしていけば、「なんとかなる」理由がわかることもありますので、「なんとかなる」で止めてしまわずに前向きになれた根拠を探してみましょう。

自己PRで「前向き」なことをアピールする例文

楽天家だと思われないために「前向き」をどう表現するといいのか考えてみます。前向きをアピールする例文を確認していきましょう。

「前向き」をアピールする自己PR例文1

私は前向きな性格の持ち主で、幼いころから、くよくよと悩んだことがほとんどありません。

沖縄の言葉の「なんくるないさ」という言葉が好きで、この言葉の意味する「なんとかなる」という考え方がいつも自分を支えてくれています。何かあっても「なんとかなる」と信じることで、すぐに気持ちを切り替えることができます。

社会人になっても、前向きな性格を活かし、何にでも果敢に挑戦していきたいと考えています。よろしくお願いします。

前向きをアピールする自己PRで非常に多いのが例文1のタイプです。この例の場合、前向きなのだろうということは伝わりますが、社会人として好ましい前向きさではありません。

その理由は、エピソードに具体的な例がなく、また深みも無いために、「物事を深く考えない」人なのだと思われてしまうからです。どのような場面においても本当に前向きでいられるのか、また前向きさがビジネスの中でどのように活かされるのか、この自己PRの中からは見えてきません。

性格的に前向きな人ほど、こうした内容のままエントリーシートの提出や面接に突入することが多いため注意が必要です。エピソードの型やポイントを確認するよう心がけましょう。

「前向き」をアピールする自己PR例文2

私の最大の特徴は「前向きさ」にあると思っています。

大学時代はアルバイトで居酒屋スタッフとして働いていました。

しかし、私が働いて半年後に近隣に新しい店ができ、お客様を奪われて、経営が傾き始めました。バイトの中でも年長者だった私は、「アルバイトからお店を盛り上げよう」と周囲のメンバーに呼びかけ、店内の賑わいを出すための声かけを徹底する活動を始めました。

メンバーの中には「もうお店が潰れちゃうんだ」と暗くなっている子もいましたが、「大丈夫大丈夫!暗いこと考えるよりビールを一杯多く売ろう」と言って回りました。三ヶ月もすると、新規のお店はスタッフのオペレーションがずさんだという噂が広まり、私たちのお店にも多くのお客様が戻ってきて、むしろ活況となりました。

貴社に入社してからも、常に前向きな発言と行動で周囲を盛り上げ、顧客の問題の解決に貢献していきたいと思います。よろしくお願いします。

前向きをアピールした二つ目の例文です。具体的なエピソードがあることで、わかりやすい内容になっています。

「解決するべき問題」として、競合店とのお客様の争奪戦があり、また「お店が潰れるとネガティブになったメンバーがいる」ことなどがあります。「解決のための行動」として、そこを持ち前の明るさで声かけの徹底を促し、暗く考えるよりビールを一杯多く売るなどの行動によって変え、「成果」として活況を生み出したという内容です。要素をひとつひとつ考えていくことで、エピソードの流れにしっかりと軸ができます。

エピソードの中身と、冒頭の結論、最後の締めの部分に整合性があるので、すっきりとまとまっています。全体として伝えたいことにブレがないか、正しい書き方で作成できているか、最後に必ず確認するようにしてください。

「前向き」をアピールする自己PR例文3

私は、「決して諦めない」のが強みです。

学生時代は卓球部で活動していました。私は長く続けていますが、大会などで実績らしい実績がなく、周囲からも辞めた方がよいと言われることもありました。しかし、私は卓球が好きでしたし、ここで辞めたら負けだと思って、周りに追いつくための個人練習を頑張りました。

一流選手の動きを研究し、自分の動きもビデオで撮影して比較してみたり、またボールタッチを細かくチェックしたりと、家に帰ってからも多くの時間を卓球に注ぎました。その結果、最終学年では団体戦のメンバーとなり、無敗の戦績でチームの躍進に貢献できました。

私は社会人になっても、この卓球で鍛えた諦めない心と、努力で多くのことを吸収して、求められる成績を上げる人になりたいです。よろしくお願いします。

部活動などでは、大きな実績が無いとPRにならないと考えている人も多いですが、この3つ目の例のように逆境をエピソードにすると実績よりも過程が輝くようになります。「決して諦めない」という前向きな姿勢が努力を生み、努力が成果を生み出したことがよくわかります。

この例の良いところは、行動が具体的に描写されていることで、ただ頑張ったのではなく、具体的に考えて努力したことが伝わることです。「行動特性」とも言われる、個人の考え方や行動を企業の人事や採用担当者は評価しており、エピソードの中に行動特性が見えることで評価しやすくなります。企業に入っても諦めず、よく考えて努力してくれるイメージがわくエピソードです。

一点注文をつけるなら、最後の段落での社会人になってのビジョンはもう少し具体的な目標が示せると良いでしょう。企業研究をしっかり行い、仕事に取り組んでいるイメージを具体的に持てるようにしてみてください。

自己PRで「前向き」なことをうまく伝えるポイント

「前向き」という言葉は仕事への意欲を期待させます。自己PRで「前向き」なことをつまく伝えるために、ポイントになる部分を整理しましょう。

「前向き」と言わず具体的な表現を考える

前向きなことをアピールするために「私は前向きです」というのは基本的にNGです。前向きかどうかを判断するのは最終的には聞き手であり、自分がそう言ったからと言ってそうとは限りません。「前向き」という言葉は、漠然とした言葉ですので、その言葉を使うとアピールポイントもぼんやりとしてしまいます。「失敗しても次に活かせる」「くよくよせず切り替えられる」「最後まで諦めない」「粘り強く取り組める」など、前向きにも様々な種類があるはずです。前向きがどんな表現で説明できるのか再度考えてみましょう。

自己PRで粘り強さを上手にアピールするポイントと例文

「前向き」の裏にあるネガティブ部分に注意する

良い特徴は裏返せば欠点になることも少なくありません。前向きも裏を返すと、「深く考えない」と見られることもありますし、「失敗を気にしなさすぎる」といった心配をされる場合があります。業界や職種によっては、ネガティブなくらいがちょうど良い場合もありますから、自分の希望する仕事で求められる前向きさや、気になるネガティブ部分に注意はしておくべきです。

自己PRでは「前向き」を論証せず、個人の特徴と行動特性を伝える

「前向き」のような特徴は、非常に曖昧な概念であり、主観的な概念です。

そのため、「自分は前向きだ」と考えることができるかが大切です。しかし、自分でそうは思っていても、周囲から見るとそうは思えない場合には、傲慢だと思われたり、自己分析ができない人だと評価されることがあります。

ですから、前向きであるということを何度も繰り返しアピールすることは避けて、あくまで謙虚に、エピソードを通して前向きさが伝わるようにしましょう。前向きさをアピールするために、「私は前向きで、失敗してもくよくよしない性格で、すぐに切り替えができて、前向きな発言を心がけていて」と、いろんな例を取り上げても、それで前向きさが伝わるのではなく、むしろ何かあるように聞こえます。

自己PRでは、自分の長所について自分がそうだと感じていることをしっかり伝えたら、あとはエピソードからそれが確認できれば十分です。前向きであることを企業側は疑っていませんので、前向きであることを論証することが中心にならないようにしましょう。自己PRは結論とエピソードから、個人の特徴と行動特性を伝えることを中心にしましょう。それが就活で必要なアピールです。

自己PRで「前向き」を使う場合のエピソードの型

自己PRや自分の長所を伝えるときには、伝えるエピソードに型があります。型通りにエピソードを準備することで、話の展開も自然でスムーズになりますし、重要な要素が抜け落ちてしまうことを防ぐことができます。

最初は結論、「前向き」でPRしたいポイントを持ってくる

自己PRの最初には、質問・設問に対する回答・結論となる自分のアピールポイントをもってきましょう。先に自分の強みを伝えることで、後に続くエピソードの理解もしやすく、また伝える側も内容のブレが少なくなります。

根拠となるエピソードで「前向き」であることを理解させる

結論に続くのは、結論の内容を根拠づけるエピソードです。自分が前向きだと考えられる理由や、前向きな性格を活かしての活躍をアピールし、前向きであることを理解してもらいます。

根拠となるエピソードでは、「前向きであることが発揮された状況」を描写することになりますが、その際に「達成すべき目標、解決すべき問題」を明確にし、「その解決のために行った行動」を語ります。そして、最後に「行動の成果」を示すというのが王道パターンです。

この型をしっかり守ることで、見事なサクセスストーリーになり、冒頭の結論に説得力を持たせることができるようになります。また、自己PRでは内容がしっかり伝わるよう、自分の体験や経験を具体的に表現するように意識してください。

「前向き」で入社後のビジョンを語る

自己PRでは、自分の良さをアピールするだけでなく、入社後に社員としてどのように活躍したいのかビジョンを語って締めくくりましょう。前向きな性格であれば、「厳しい指導も喜んで受け入れ、同期の誰よりも早く成長して一番会社に貢献したい」など、今後の自分に期待している様子を入れると自然になります。どういったビジョンを持っているかわかると、配属や活躍の様子もわかりやすく、人事担当者もイメージがわくので評価しやすいのです。

自己PRでの「前向き」アピールは、伝えるべき内容をよく考えよう

自己PRでの「前向き」アピールは、伝えるべき内容をよく考えることが重要です。ただ「前向きな人間である」と主張するだけでは、自己PRに説得力がありません。具体的なエピソードや過去の実績を交え、自分自身がどのように困難を乗り越え、成果を出したかを説明しましょう。また、今後の目標や展望についても、自分自身が向上心や挑戦精神を持っていることを示すことが大切です。自己PR全体で、自分自身のポテンシャルを最大限に引き出す姿勢をアピールしましょう。