応募準備

塾講師の志望動機の書き方は企業研究を大事にするのがポイント

塾講師の志望動機は、学生にとって馴染みもあり、人気の職業だからこそイメージでも書けてしまいます。しかし、イメージだけで作った志望動機は、業界や企業の実情に合わない自己中心的なものになりがちです。適切な塾講師の志望動機の書き方について学びましょう。

塾講師の志望動機で効果的なアピールを考えてみよう

最近は有名講師の活躍や、動画による幅広いエリアへの講義が可能になったこともあり、職業としての塾講師の人気が高くなってきています。しかし、採用する側の塾や予備校の数は、少子化の影響もあって少なくなってきており、競争率は上がっています。憧れの塾講師の職に就くためにも、志望動機でも好印象を残す必要があります。

塾講師の志望動機は、そつなく書くだけでは周囲とさほど差別化し、印象付けることはできません。効果的なアピールについて一緒に考えてみましょう。

塾講師の仕事内容、正しく理解していますか?

学習塾や予備校に通っていたという人でも、講師の仕事内容を正しく知っている人は少ないものです。アルバイトで行ったことがあるなど、裏側の事情に通じている人であれば知っているかもしれませんが、多くの人は「授業」だけだと考えてしまいがちです。

実際には授業だけでなく、「生徒指導」も塾講師の大事な仕事です。生徒指導は生徒一人一人を気にかけ、素行上の問題があれば指導したりすることです。場合によっては進路や家族に関する相談など、よりプライベートな相談を受ける場合もあります。

加えて、プリントの作成やテストの採点、必要な書類の整理など事務作業も多くなります。授業は塾講師のメインの仕事ではありますが、実際にはその他の仕事も多いものです。ただ、どれも生徒の学力を伸ばし、希望する進路に進むためのサポートを行うことだということを忘れてはいけません。

塾講師は新卒でも即戦力になれる可能性がある

塾講師の仕事が他の職業と大きく違う点は、新卒の学生でも即戦力として企業に貢献できることです。特に、厳しい受験を乗り切ってきた人や、アルバイトでの塾講師の経験が豊富な人は即戦力候補として高く評価される傾向があります。

志望動機ですので、過剰に経験や実力をアピールするのは考えものですが、「アルバイトの塾講師の経験から、塾における学習指導は生徒の将来を大きく変えるやり甲斐のある仕事だと感じた」というような内容であれば自然です。不自然でない挿入ができれば、実力を示し、企業側にも良い印象を与えることができます。

ただし、やはり受験事情や地域環境、生徒の指導などに関する知識はベテランには到底及びません。あくまで即戦力になるのは講師として授業をする部分だけですので、周囲への敬意を失うことがないように、自己中心的な人だと思われないように気をつけましょう。

塾講師の志望動機の例文

例文から、塾講師の志望動機の書き方を考えてみます。

塾講師の志望動機の例文1

私が貴社を志望したのは、「少人数での授業を徹底しているから」です。

私は有名な大手予備校に通っていましたが、大きな教室で授業を受けていると遠くて板書が見えにくいことがストレスでしたし、後ろの席だと緊張感に欠ける部分がありました。一度浪人を経験していますが、一回一回の授業を受ける姿勢や質がもっと高ければ1年早く進学できたのにと後悔しました。貴社では、多くても20人程度と目の届く範囲で講師一人あたりの生徒数を抑えているので、私のような後悔をすることはないでしょう。かつ大手に見られるような動画任せの授業ではなく、しっかり講師が生徒と接する授業をしています。講師と触れることで受ける影響は学力の他にも大きいと思いますので、そのような授業をできる貴社に魅力を感じています。

私は一人一人の生徒をしっかり見て、タイムリーに必要な指導ができる講師を目指しています。知識を伝えるだけでなく、生徒の人生の大事な時間を守るためにも、貴社で効果的な授業をしていきたいと思います。

この一つ目の例文では、少人数制授業を理由にした志望動機になっています。「少人数制を徹底している」ということを志望動機の軸にしていますが、どうして講師を選んだのかの観点が無く、大手予備校での苦々しい経験がエピソードで紹介されているため、本当に塾講師がしたいのかという点で不安があります。ポイントをしっかり確認し、必要な内容が網羅されているか確認しましょう。

また、最後のまとめの部分では、少人数制に関係している内容が乏しく感じられ、前の内容とのつながりがわかりにくくなっています。自分では繋がっていると感じても、客観的にはそうでない場合もありますので、時間を置いて再度読み直すなどチェック方法も工夫しましょう。

この例文では「貴社」と企業のように表現していますが、塾の場合は「貴塾」でも大丈夫です。予備校なら「貴校」と表現することもできます。企業に就職するのか、また塾や予備校単体に就職するのかで使い分けるべきですが、難しく考える必要はありません。

塾講師の志望動機の例文2

私は生徒たちが知的好奇心を持つサポートをしたいと思い、貴塾を志望しました。

私の学生時代の経験になりますが、学校の授業はどうしてその内容を習っているのかわからず、ひたすら暗記したり、公式を使う訓練をしているようでした。正直つまらなかったです。大学に入り、様々な知識がどう使われているのかがわかって初めて、高校までの教育内容に強い興味を持つようになりました。

学校の教師では授業をこなすのに精一杯で、そうした知識の用途を伝えることまではなかなか手が回りませんし、知識も不足しています。私は教育が専門ではないですが、工学を学んだからこそ伝えられる理数系の面白さを知っています。塾なら学習意欲のある子も多いですし、その面白さを伝え、知的好奇心を持って勉学に励んでもらえると思っています。

塾講師は純粋に学問を教える立場だからこそ、学問の深い部分まで伝えてあげる必要があると思います。授業を受けた生徒のやる気を引き出せるような、好奇心を刺激する授業をしていきたいです。よろしくお願いします。

このふたつ目の例文では、「生徒たちが知的好奇心を持つサポートがしたい」という志望動機でエピソードが展開されています。自分の経験から、「つまらない」学校の勉強ではなく、面白い勉強をするべきであり、そのためには「様々な知識がどう使われているのか」などの「学問の深い部分」の解説などが必要だと考えていることがわかります。

こうした考えをもって塾講師になったことは十分理解できますが、塾の指導方針によって印象が良くも悪くも受け取られることに注意しなくてはなりません。特にこの例文では「どうしてその塾を選んだか」という点に触れていないため、相手のことを考えずに自論をアピールしているようにも見えてしまいます。

学習塾や予備校は競争が激しいからこそ生き残りをかけて差別化を図っています。そのため、指導方針や考え方が合う人の採用には積極的になりますが、合わない場合は消極的になります。志望する塾や予備校がどういった方針の元で授業をしているのかといった、企業研究は大事にしましょう。

塾講師の志望動機の例文3

私は子供たちの進路の自由を広げたいと思い、直接的にサポートできる塾講師を志望しています。

進路の問題は子供たちにとって大きな問題ですが、当の子供たちは進路選択の結果がどれほど重要かわかりません。私もそうでした。私は塾の先生に、「わからないなら将来の可能性を狭めないために勉強しなさい」と言われ、わからないなりに勉強しましたが、あの時勉強しておいて本当に良かったと思っています。学力をつけておけば進路は後から変更できますが、学力なしに進路の変更は難しいからです。

貴社を私が志望するのは、多くの塾の中でも特に中学受験を重視している点で、高校受験や大学受験にもつながって良い結果が出ていると考えます。早期に受験や進路に意識をもたせるキッカケにもなり、それが生徒たちの学習意識を高め、学力を高める結果になっていると感じます。

私も子供たちの進路の自由を広げるために、生徒指導に力を入れて学力アップに貢献できればと思います。どうぞよろしくお願いします。

この三つ目の志望動機例文では、塾講師を目指した理由が「進路の自由を広げることをサポートできる」となっており、企業を選んだ理由は「中学受験を重視している」という内容になっています。志望動機として必要な内容が明確に出ており、わかりやすい内容です。

今の受験環境でも、初受験の年齢はどんどん下がってきています。早期の受験に力を入れるという方針を評価していることで、塾としても良い視点をもった応募者だと期待を寄せてくれるでしょう。

生徒たちの学力アップのために、「授業」ではなく、「生徒指導」を選んでいるところも応募者の個性や考え方が出ていると言えます。塾講師という仕事をしっかり理解していることが伝わる良い例です。

塾講師の志望動機で書くべきではないこと

塾講師の志望動機では、内容としてふさわしくないものもあります。たとえば「高給」「有名になれる」「受験テクニックを指導したい」といった内容です。これらが志望動機の一端にある人は少なくはないですが、志望動機としてアピールするのは不適切です。

「高給」など待遇に関する部分を志望動機とすると、逆に良い条件さえもらえるなら他に移ってしまう可能性があるため、企業側も敬遠します。

また、「有名になれる」という理由で塾講師を選ぼうとしている人は現実感が乏しく、自己中心的だと言わざるを得ません。講師の仕事はあくまで生徒のサポートです。

そして「受験テクニックを指導したい」と考えている人は、塾の目的を「進学させる」ことだと考えていると見られます。実際、進学は塾の実績として重要ですが、あくまで学習塾の目的は「生徒に学力をつけさせる」ことであり、安易にテクニックを強調する人は講師としても不安を感じさせてしまうので注意しましょう。

塾講師の志望動機作成のための大事なポイント

塾講師の志望動機では、いくつか大事なポイントがあります。周囲を差別化がはかれ、そつのない志望動機にならないように覚えておきましょう。

業界研究・企業研究をしっかりする

塾講師の仕事を考える上では、業界研究や企業研究をしっかり行っておく必要があります。この時、業界は学習塾だけでなく、受験や地域に関することなど、生徒たちを取り巻く様々な状況について知っておく必要があります。また、企業研究では、塾ごとの特色の違いや指導方針などについて調べておきましょう。

自己分析を必ずする

志望動機を正しくアピールするためには、自分の体験や経験から志望動機を抽出していく作業が欠かせません。自己分析はそのためにも必要不可欠となります。特に「どうして塾で講師として働くのか」という点について、納得いくまで「なぜ?」を繰り返して自問してみましょう。

塾講師を選んだ理由をはっきりさせる

塾講師という職業を選ぶ際には、似たような仕事として家庭教師もありますし、また学校教諭という道もあったはずです。その中でどうして塾講師なのか、前向きな理由が問われます。自己分析をしっかり行うと共に、塾講師としての将来ビジョンなども明確に考えておくようにしましょう。

その塾を選んだ理由をはっきりさせる

たくさんの塾の中からその塾を選んだ理由はとても大切です。塾講師という仕事はその特性上、普通の仕事とは時間帯や休日が違うため、人によっては辛く感じられるものです。企業としても、採用するなら「塾はいくらでもある」という人ではなく、「この塾でなければならない」という人の方が安心しますから、応募する塾についてしっかり調べ、他の塾ではいけない理由を述べましょう。

志望動機作成の型をしっかり押さえておこう

志望動機の書き方には型があります。その型を守ることで、内容をわかりやすく伝え、内容の入れ忘れを防ぐことができます。

最初に設問への回答(志望動機)の核心を答える

ビジネスシーンでは、質問をされたらその質問にまず答えるのはどこも同じです。志望動機を聞かれていますから、最初は簡潔に志望動機の核心について回答しましょう。最初に回答を示すと、相手もそれを念頭に置いてその後の話を聞いてくれるので内容が伝わりやすくなります。

エピソードは自分の体験を具体性をもって伝える

続けて、用意したエピソードを伝えて志望動機の背景を捕捉します。この時、できるだけ具体性をもったエピソードにすることで共感を得やすく、相手に志望動機に納得してもらえるようになります。「私はこういう体験をした」「私はこう考えた」など、「私」が主語になるようなエピソード作りを心がけることで、他の人には無いエピソードが作れるようになり、差別化することができます。

最後に「まとめ」と、「アピール」を入れる

エピソードを伝えた後に、内容をもう一度まとめて、アピールします。できれば、企業に入ってから何をしたいのか意気込みなどもアピールしましょう。最後に繰り返すことで、聞く側もスッキリと理解できるようになります。

塾講師の志望動機は、仕事への正しい理解が重要

塾講師の志望動機を書く際には、仕事への正しい理解が重要です。塾講師は生徒たちの学習支援を行うことが主な仕事ですが、その中でも生徒一人ひとりに寄り添った指導を行うことが求められます。そのため、教育現場での経験や資格を持つことはもちろんのこと、生徒たちに寄り添う姿勢やコミュニケーション能力、チームワークなどのスキルをアピールすることが重要です。また、教育に対する熱意や責任感、自己成長意欲など、教育者としての心構えや志向性も重視されます。