応募準備

志望動機で語る「企業の将来性に惹かれた」で差別化を図るポイントと例文

志望動機を問われた際に「将来性」を理由にする人は多いですが、実は様々な理由からあまり評価されない回答になっています。その理由を正しく知り、そしてしっかり対策をしてこそ、将来性を軸にした志望動機が魅力的なアピールになります。

就活の志望動機で企業の将来性に触れるのは良くない?

就職活動では、入社を希望する企業が将来成長するかどうかはしっかり考えておきたい項目です。しかし、会社選びの基準にはなるものの、それを志望動機としてエントリーシートに書いたり面接で話したりするのは良くないという話もあります。

実は、就活の志望動機で企業の将来性に触れるのはリスクが高く、どうしても触れたい場合は多くの注意を払わないといけません。どうしても企業の将来性を使ってアピールにつなげたいという人のために、志望動機で将来性を扱うのが良くない理由や対策を紹介します。

企業の将来性をテーマにするのは新卒の場合やめておいた方がいい

新卒で就職活動をしている場合には、基本的に志望動機で企業の将来性を取り上げるのは避けておいた方が無難です。新卒者が志望動機で「企業の将来性」について語るのを避けたほうがいいのには、次のような理由があります。

志望動機で就活生が語る企業の将来性は会社が知りたいことではない

企業が学生に志望動機を尋ねているのは、すでに述べたように「応募者の考え方や行動特性について知りたい」「本気で会社に入って働きたいのか知りたい」からです。そのため、その企業が好きで将来性を感じているというアピールを漠然としても、これは企業が知りたいことではないので、選考のポイントにはなりません。

そもそも志望動機は応募者個人について問うものであり、企業のことを問うものではありませんから、志望動機は応募者個人の考えや経験に基づいた回答の方が評価されます。

企業の将来性で会社と就活生の考えるポイントがずれていると失礼になる

就活生が考えている企業の将来性と、実際に業界の中で競争をしている企業が感じている将来性は全くの別物です。たとえば、就活生は企業を「スマホアプリなどを多く出しており、技術力がある」と評価していても、企業としては「技術よりも開発速度が最大のウリ」と考えているかもしれません。あるいは「多くのアプリを製作しているが、ヒットと言えるほどのものもなく、競合も多いため本数を増やすばかりで現場は疲弊している」と感じているかもしれません。

志望動機で将来性をテーマにした際に、企業が考えることとポイントがずれていると、おべっかになってしまう場合があり、失礼にあたるので注意しましょう。

転職希望者と違い新卒者は企業の将来性を語ってもプラス評価にならないことが多い

実際に同じ業界などで働いてきた社会人から将来性を評価されるのと、社会経験のない新卒の就活生に将来性を評価されるのとでは重みが違います。

また、転職希望者の場合は自分や家族の生計なども踏まえると、企業の将来性が大きな意味を持ち、就職を希望する理由として重要となりますが、新卒者の場合は会社の将来性はそこまで大きな意味を持ちません。そのため、転職希望者と同じように考えて新卒者が企業の将来性を評価するのは、志望動機としてプラスの評価にならないことが多いです。

志望動機で将来性を語る場合の重要ポイントと例文

どうしても志望動機の中で、企業の将来性を挙げたい場合にはポイントをしっかり押さえて説明していく必要があります。志望動機で企業の将来性をテーマにする際、気をつけるべきいくつかのポイントと併せて、NG例文と良い例文も紹介します。

企業の将来性を語る時は自分の考えや経験と紐付けしてアピールする

企業の将来性について話すことになると、企業が提供している商品・サービスなどの特徴をアピールしたり、その業界について説明したりする人が多くなります。しかし、あくまで志望動機を通して企業が知りたいのは応募者個人についての情報ですので、どんな内容を伝えるにしても自分に紐づけて、自らの考えを加えながら、自分の話として伝えることが大切です。

企業の将来性を語る時は具体的にどこに魅力を感じたかをアピールする

ただ漠然と「貴社に将来性を感じています」と言われても企業も困ってしまいますし、他の会社に対しても同じことがいくらでも言えてしまうため、企業としては入社希望の本気度を疑ってしまいます。

その会社にしかない特徴を具体的に挙げたり、具体的な数字や業界動向などの情報を加えたりすることで将来性を感じている旨が伝わるようにしましょう。それには、当然しっかりとした企業研究や業界研究が必要となります。

志望動機で語る企業の将来性が自分の描くキャリアプランにどう影響するかを示す

企業の将来性は、長く働く人でなければ実は気にする必要のないことです。志望動機で将来性を掲げるのであれば、企業に長く勤めていく中でどのようなキャリアプランを考えているのかを明確にし、企業の持つ将来性が自身のキャリアプランにどのように影響するのかを示すと効果的です。

就活に活かすキャリアプランの立て方と書き方

志望動機で企業の将来性をテーマにする場合の注意点

志望動機で将来性を取り上げる場合、以下のことに注意しながら話すようにしましょう。これらを考慮したうえで、良い評価を得られる志望動機を考えてください。

志望動機で語る企業の将来性を深掘りして色々聞かれても答えられるようにする

将来性を踏まえた志望動機でアピールするなら、面接でその内容を深掘りして聞かれる可能性を考えておくべきです。志望動機は履歴書などの書類に書く他、面接でも聞かれます。面接で志望動機を深掘りされ、何を聞かれても答えられるようにしておきましょう。

深掘りされて色々聞かれるということは企業側があなたに興味を持ってくれているということです。上手に回答できれば、より良い印象を与えることができます。

企業の将来性に惹かれたか理由をはっきりさせる

志望動機で将来性を扱う場合には、企業の将来性に惹かれた理由をはっきりさせなければいけません。それには根拠となる情報が必要となりますが、それがどこから出てきた情報なのかを明確にすることが大事で、この情報源が曖昧だと評価が下がることになりかねません。

たとえば、企業の事業方針などはWebサイトや発行されているIR情報、パンフレットなどから知ることができますが、そういった公式的なものではなく、「SNSで見た気がする内容」「ブロガーが記事にしていた内容」などが情報源だと信頼性に欠けます。

企業側は、自社について誤った認識があれば気になりますので、どこでその情報を手に入れたのかを知りたがります。自分がどこから得た情報に基づき企業の将来性を判断したのかを明確にし、面接などで情報源を聞かれた時に答えられるようにしておきましょう。

志望動機で企業の将来性を語る時は自らの考えややりたい仕事なども付け加える

志望動機の中心が企業の将来性にあったとしても、志望動機は自分のことですから、企業のことばかりにならないように注意してください。自分の考えやキャリアプラン、やりたい仕事など、自分についての情報も必ず加えるようにしてください。

志望動機は、自分を選んでもらうために売り込む材料です。「企業の将来性」ではなく、「企業の将来性を見抜ける自分の将来性」をしっかり売り込みましょう。

企業の将来性をテーマにした志望動機の例文

ここでは、企業の将来性をテーマにした志望動機の例文を紹介します。志望動機で会社の将来性について話そうと考えている就活生の皆さんは、参考にしてみましょう。

将来性を使った志望動機の例文1

将来性を使った志望動機の例文1

私は貴社の住宅設備分野に将来性を感じて志望いたしました。

住みやすい家であることはもちろんのこと、これからの家は様々なものがインターネットや無線を通して相互に接続するスマート化が標準になっていきます。貴社は数年前から住宅設備だけでなく無線通信のノウハウを磨きあげ、スマートハウスに欠かせないHEMS用の通信モジュールを自社開発し他メーカーにも提供できる強みがあります。私は大学時代の専攻だった通信ネットワークの知識と技術をさらに磨き上げ、貴社と共にIoT住宅設備のパイオニアになっていきたいと思っています。

将来性をテーマにした志望動機の例文ですが、ここでは住宅設備メーカーでIoT化に先進的な取り組みをしてきた企業であることを取り上げて将来性があるとしています。また、自分へのつながりとして「大学時代の専攻だった通信ネットワーク」を挙げて、「IoT住宅設備のパイオニア」としてこの分野に関わっていきたいという意欲を見せています。

しっかり下調べをした上での将来性の評価は、企業にとても嬉しいので高く評価されることが多いです。加えて、自分が会社に入ってからどのように活躍したいのかを語ることで、企業と共に職業人としてキャリアを積んでいく様子がイメージしやすくなります。こうした構成の志望動機になっていれば、企業の将来性をテーマにしたという理由で評価が下がることはありません。

将来性を使った志望動機の例文2

将来性を使った志望動機の例文2

私は貴社の事業に将来性を感じて志望いたしました。

コールセンターは一時期、地方にどんどん移転されましたが、スムーズに連携することが難しかったり、最低賃金の上昇により人件費が上がったりしています。貴社のようにAIチャットボットを使ったコールセンターのサポート製品はこれからどんどんニーズも増えていくと思います。AIは最先端の技術で様々な分野への応用ができると私個人も期待しており、開発力のある貴社だからこそ取り扱える商品も増えていくと思います。

私がメーカーの営業マンを目指しているのは、新しい技術で人々の生活を豊かにしていくお手伝いがしたいからです。貴社の開発を営業でサポートしていけたら幸いです。よろしくお願いします。

これは、コールセンターをサポートするための製品を扱っているメーカーを志望している場合の例文です。このくらいなら一般的な情報の範囲内になりますので、できれば商品名を挙げるなど、企業のことを詳しく調べ、具体的に考えている様子を見せると良いでしょう。

最後にメーカーの営業マンを目指す理由について述べられており、その動機が「最先端技術を持つ」企業の特性と合っていることを伝えています。ただし、この書き方の場合は、冒頭に持ってくる志望動機の中心を「新しい技術で人々の生活を豊かにしていくお手伝いがしたい」としてエピソードを展開すると、もっと個性的な内容で志望動機を作成できるでしょう。企業の将来性を冒頭に持ってきてしまうと、どうしても企業についての説明に字数を割く必要があるからです。

志望動機で語る企業の将来性に惹かれた理由を一段掘り下げて考えてみよう

企業の将来性を志望動機にする人の中には、残念ながら「将来性」という聞こえのよい言葉を前に出すことで考えることを止めてしまっていることが多いです。企業の将来性を気にしているのであれば、そこから一段掘り下げて考えてみると自分がその会社でやりたいことや、社会に対して貢献したいと考えているものが見えてくるでしょう。

志望動機は、企業を喜ばせる目的で話すものではなく、自分という人間について伝えるために作成するものです。「将来性」をどうして大事にしているのか、「なぜ?」と自分に何度も聞いて考えてみましょう。「腰を据えてじっくり仕事に取り組みたい」「ある分野のスペシャリストになりたい」など様々な理由が見えてくるはずです。

志望動機を企業が問う理由

企業が志望動機を問う理由は、一言で言えば「一緒に働きたい人を探すため」です。そのために志望動機から得たいと思っている情報は、以下の大きく二つに分かれます。

応募者がどのような考え方や行動特性を持っているか

志望動機を問う質問や、自己PRといった定番の質問が行われる背景には、企業側が「応募者がどのような考え方や行動特性を持っているのかを知りたい」というニーズがあります。

「行動特性」とは、ある問題にあたって個人がどのような考え方で判断や行動をするかという性質をいい、ビジネスパーソンとしてのポテンシャルを測る上で重要だと考えられています。志望動機の中に、自分の考えや経験が全く入っていない一般的な内容だと、この部分の情報が無いために評価がされない場合もあります。

この会社で働きたいと本気で思っているか

現在、就職しても数年内に辞めてしまう人が多くなっていますが、職業選択の自由とは言え、企業としては採用や教育にかけた時間やコストを考えると辞められれば損失でしかありません。

損失の発生リスクを減らし、企業内で重要な役割を果たせる人材になってもらうためにも、この会社で働きたいという気持ちが感じられるかを企業は厳しく見ています。ありきたりで、どの企業にも通じるような表現をしても、その会社で働きたいと思っているようには感じられません。明確な差別化の上で、「この会社で働きたい」スタンスを見せる必要があります。

志望動機で「企業の将来性」を語るなら理由をはっきりさせ自分に結びつけてアピールしよう

企業の将来性を語る際には、自分自身とその企業のビジョンや方向性が合致することが重要です。

例えば、その企業が新しい分野に参入することで将来性が高いと感じる場合、自分自身もその分野に興味を持っていたり、その分野での経験やスキルを持っていることがあるとアピールすることができます。

また、その企業が取り組んでいる社会的課題に共感している場合、自分自身もその課題について関心があり、その解決に貢献したいという気持ちを持っていることをアピールすることができます。

さらに、その企業が事業拡大や新規事業展開などで成長が見込まれる場合、自分自身もその成長に貢献したいという意欲をアピールすることができます。

以上のように、自分自身の志向や価値観とその企業の方向性や取り組みが合致することが、企業の将来性に惹かれた理由を明確にするポイントとなります。