保育士業界で良い就職をするには良い志望動機が大事
保育士と言えば最近は様々に取り上げられることが増え、需要の増加もあって就職はしやすくなっていると言います。しかし、需要と供給のミスマッチは多く、本当に就職したい園で働くためには就職活動のためのスキルが必要となります。特に志望動機は必須項目になり、良い印象を与えられるようにしておきたいものです。保育士として就職を考えている方向けに、印象の良い志望動機を作成するポイントを紹介します。
良い保育士の志望動機は企業分析と自己分析から生まれる
一般的な就職活動でも、保育士としての就職活動をするにも、良い志望動機を作るためには企業分析と自己分析が欠かせません。
企業分析とは就職を希望する先の企業(保育園)について調べることです。企業と比較して、保育園はまだまだ開示されている情報が少ないことも多いため、実際に訪れてみたり、子どもたちや保護者たちの様子を見たり、話を聞いてみたりして情報を集めることも必要になります。
自己分析とは、自分について正しく知ることです。仕事をすることについてどう考えているのか、そして自分の強みや特徴をどう考えているのかを把握し、仕事の適性や相性などを考える材料をしっかり探すことです。
最終目標は、企業分析と自己分析の結果から、「相手に合わせて自分を売り込む」ことにあります。相手に合わせるだけ、自分を売り込むだけでは良い就職をすることはできません。良い志望動機というのは、独りよがりの作品ではなく、相手にとっても魅力的に聞こえる志望動機なのです。
保育士の志望動機は自己PRとの違いがわかると混同しない
時折、自己PRと志望動機について混同する人がいます。たとえば、「志望動機を聞かせてください」と言われて、「私は幼少の頃からピアノを習っていて、コンクールで金賞を取ったことがあります。ピアノを通して子どもたちに良い音楽体験をしてもらい、成長の助けになれたらと思います」という具合の回答をしてしまうのです。
自己PRとは、自分の長所や経験をアピールしながらそこで働く資質が十分であることをプレゼンするものです。
しかし、志望動機は「なぜその園で働きたい」と思ったのかを理由をアピールすることです。ただし、ただ「園の雰囲気が自分に合っていると思ったから」というだけでは不十分で、その根拠を示しつつ、自分の良い部分もアピールすることが必要になります。
自己PRと志望動機はその性質が違うものです。しかし、志望動機を答える場合には、ただ志望動機について回答するだけでなく、その中に自己PRを混ぜるべきだということを覚えておきましょう。
保育士の志望動機の例文
保育士の良い志望動機の書き方について、NGとOKの例文を見ながら考えてみましょう。
保育士の志望動機の例文1:NG例
私が保育士を志望した理由は、子供が好きで、子供たちに関われる仕事がしたいと思ったからです。
大学で保育士の資格が取れることを知り、絶対にやりたいと思ってその大学に入りました。保育や幼児教育について様々に学ぶ中で、保育園の社会的な重要性がよくわかり、一層保育士として働きたいという気持ちを固めました。
貴園の教育理念にも共感できますし、私は家が近いことも強みになると考えていますので、様々な面でお役に立てるのではないかと思います。子どもたちの健やかな成長をサポートする保育士になりたいと思います。よろしくお願いします。
まず、最初の例文ですが、典型的なNG例です。
結論から始まっていますし、志望動機についても回答しています。そして、どうしてその園を目指しているのか、また自己PRの要素もあります。言葉遣いについても大きな間違いはありません。しかし、具体性がないために薄っぺらい、真実味のない内容になっていると感じられるのではないでしょうか。
このことからも、志望動機を作る上で最も大事なことは具体性であることがわかると思います。自分で考えた時には、様々な情報が脳内で補完されますから十分な内容に思えますが、相手の立場では同じようには伝わりません。できるだけ具体性があり、相手に十分なイメージを共有させるように心がけましょう
保育士の志望動機の例文2:NG例
私が貴園を志望したのは、園の教育方針である「自分で考える子供を育てる」という理念にとても共感できたからです。
保育実習である保育園に行きましたが、子供たちは遊んでいる時は自由にしていましたが、団体行動の場面になると、急に立っているだけの子供が多いことに気づきました。また、テレビやインターネットの動画に釘付けになっている時間が長いことに不安を覚えました。自分の興味関心のないことには取り組もうとせず、また言われてもすぐに動かない様子を見ながら、家庭でも大変だろうし、将来にも悪い影響が残りそうだと感じました。
乳幼児期は生活や社会活動の基礎を作る大事な時期でもあり、預かる時間を考えれば第二の家庭とも言える保育園の役割は非常に大きいと思います。私はできるだけ子供たちに指示をするのでなく、子供たちと共に考え、答え探しをサポートする保育を行っていきたいです。よろしくお願いします。
この例では、教育方針への共感が志望動機の核になっています。
保育実習に行った園での様子を通し、自分の保育観をしっかり作ってきたことがわかりますので、良い印象を与えるだろうと期待できます。保育士として目指す方向性がクリアなので、採用側もイメージが持ちやすいでしょう。
注意点として、子供たちや園の状況について完全な情報が無い場合は、できれば保育や園の体制を批判するような内容は避けた方が無難です。志望している園でも同様の内容があった場合には批判にも受け取られてしまうからです。
なお、保育園への就職活動では、相手のことを「貴園」「御園」と呼びます。ただ、「御園(おんえん)」は発音として言いにくく、「そちらの(保育)園」などの表現にした方がスムーズになります。
保育士の志望動機の例文3:OK例
私が貴園を志望したのは「表現を大事にしている」と感じられたからです。
姪が去年まで貴園におりまして、学芸会を拝見させていただきました。保育実習やボランティアなどで見てきたどの園の子供たちよりも、出し物に対して子供たちが積極的に参加している様子が見て取れ、4歳児のクラスでは主役の子が長い台詞もしっかり覚えて話していてとても感心しました。
聞くと、普段から絵本の読み聞かせもプロジェクターやスピーカーなどで演出を頑張っており、出し物の練習なども比較的時間をかけて準備していると聞きました。先生方にも行事は負担が大きいかと思いますが、皆が園の教育方針を理解しているからこそ一体感とやりがいを持って続けられているのだと感じます。
私は高校、大学と演劇部に所属していて、表現に強い関心があり、また技術にも自信があります。貴園でその強みを活かして、子供たちの情緒や心身の発達のサポートができたらと思います。よろしくお願いします。
こちらは少々マニアックな志望動機ですが、演劇部に所属していたと聞くと納得できます。
子供たちの行事への取り組みの様子から感じるところがあり、自分の考えだけでなく情報としての裏取りも行っていて、また園の内側まで良く考えていることがわかります。純粋な保育士としての仕事を見ての志望動機も多いですが、こうした「職場」としての観点で志望動機を作る方法もあります。
やりたいことや、自分の強みのアピールも「演劇」という一言でイメージが膨らみやすく、子供たちの人気者になれそうな予感がします。強い印象を与える例です。
保育士の志望動機作成で気をつけるべきこと
本当に自分が就職したい園で働きたいのなら、志望動機はしっかりと作りこむ必要があります。保育士の志望動機を作る際に、気をつけておくべきことを確認しましょう。
志望動機の中で「子供が好き」はあえて言う必要はない
保育士の志望動機の中で非常に多いのが「子供が好きだから」という志望動機です。しかし、保育士という仕事上、それは大前提であると考えておいてください。つまり、あえてアピールする必要はないということです。それでもエピソードを通して言外に子供が好きなことが伝わる内容を目指しましょう。
漠然とした志望動機にならないように注意する
志望動機で「貴園の教育理念に共感したからです」という内容を話す人も多いですが、その共感の内容が漠然としているケースも少なくありません。教育理念のどの部分に共感したのか、また自分のバックグラウンドの中から共感につながったエピソードを話すなど、具体性のある内容にすることが大切です。
園の労働条件や待遇を志望動機にしない
志望動機の中では労働条件や待遇などを理由にして選んだという人も多いのは事実です。しかし、それは別の言い方をするなら労働条件や待遇が合わなければ保育士として働かないということでもあります。求められるのは保育士という仕事が本当に好きで、誇りと責任をもって仕事や関係者と向き合える人ですので、環境面を中心にした志望動機はふさわしくありません。
志望動機の中でネガティブなことは言う必要はない
就職活動では基本的にネガティブなことを言う必要はありません。それは隠している、騙しているということにはならないので心配ありません。「踊るのは苦手です」「子供に怖がられることも多いですが」「親御さんへの対応には自信がありませんが」などとあえて話しても評価を落とすことにしかなりません。
きちんとした保育士の志望動機を作ることは本当に働きたい園に就けることにつながる
保育士の志望動機については様々なポイントがありますが、多くの保育園では人材不足の状況があるため、割と内定が出やすいとも言われています。
しかし、本当に魅力的な労働条件、環境、また保育の質などが整った園はまだまだ少なく、様々な状況が整っている園においては競争率が高くなってしまうのです。
批判の対象になるような「ブラック企業」的な保育園では、志望動機の質や面接の内容をさほど問わない形だけの選考を行っているところもあります。しかし、競争を回避するためにそうした園ばかりを選んでしまうと、志望者の健康やキャリアにも大きく響くことになります。
良い志望動機の作り方や就職活動の仕方を身に着けておくことは、保育士として良いキャリアを作っていくためにも非常に大切なことなのです。保育士の仕事は「やりがい搾取」に陥りやすく、その予防のためには就職活動の質を高めることが重要です。
保育士の志望動機の作成ポイント
保育士の志望動機の作成のポイントについて整理しておきます。志望動機を作ったら、ちゃんと書き方のポイントをとらえた志望動機になっているか、もう一度読み直してみてください。
結論から先に伝える
ビジネスマナーとして、質問に対しては結論から先に伝えて回答することを覚えておきましょう。結論を先にすることで相手にとっても主張が伝わりやすく、自分でも意見をまとめやすくなります。具体的な根拠はその後で説明していけばOKです。
志望動機の裏付けとなるエピソードは具体的に書く
志望動機の結論の後には、その裏付けとなるエピソードが続きます。このエピソードは他の人との違いを出すために大事な部分ですので、自分の体験談などからオリジナリティのある内容を考えてみましょう。具体的に表現することによって、説得力が高まります。
どうして保育士を選んだのか、その園なのかに言及する
志望動機の中では、「どうして保育士という仕事を選んだのか」、そして「数ある保育施設の中でその園を選んだのか」という点が特に大事になります。企業分析と自己分析の結果から、しっくり来る内容を伝えるようにしましょう。
保育士として自分の貢献できるポイントをアピールする
保育士の仕事の中で、自分が貢献できる、有利であると考えているポイントについてもアピールしましょう。「遅刻をしたことがない」「子供の頃から柔道をしていたので体力には自信がある」「趣味でピアノをし、学生時代もバンドをしていたので音楽関係に強い」「英語が得意」など、仕事に使えると思える部分にも軽く触れましょう。園で活躍しているイメージが具体的になり、採用担当者も評価しやすくなります。
保育士の志望動機では具体性のある内容を大切にしよう
保育士として働くにあたり、自分自身が果たすべき役割や使命感を持つことが重要です。そのため、保育士の志望動機を書く際には、自分自身が保育士として何を実現したいのか、どのような子どもたちに寄り添いたいのかを明確に伝えることが大切です。
保育士としての役割については、子どもたちの健やかな成長をサポートすることが挙げられます。保育士は、子どもたちの健康や安全、心理的なケアなど、多岐にわたる領域をカバーしなければなりません。そのため、自分自身が子どもたちと接する中で、彼らの気持ちや状況を的確に理解し、必要なサポートを提供できるコミュニケーション能力が求められます。
また、保育士はチームで働くことが多いため、チームワークも重要なスキルの一つです。自分自身が積極的に周囲と協力し、お互いの役割を尊重しながら、子どもたちに最善のサポートを提供することが求められます。
保育士として必要なスキルや資質には、細やかな気配りや子どもたちへの愛情、そして自己犠牲的な精神が挙げられます。例えば、子どもたちの身の回りの世話や、遊び相手になることはもちろんのこと、彼らの将来を見据え、教育的なアプローチも必要です。そのため、自分自身が子どもたちと接する中で、彼らの個性や可能性を引き出すことができるような、熱意や情熱を持って取り組むことが重要です。