正社員登用制度のメリットデメリットと利用する時の注意点

「正社員登用制度有り」という企業の求人広告を目にすることが多い現代で、実際に正社員登用されるケースや実績はどのくらいあるのでしょうか。正社員登用制度の実態についてまとめましたので、これから就職する方や面接を受ける方は是非参考にしてください。

正社員登用制度のメリットデメリットと利用する時の注意点

正社員登用制度を利用すれば本当に正社員になれる?

企業の求人広告や募集要項を見ていると頻繁に目にする「正社員登用制度あり」という文字。正社員でいつかは働きたいと考えている人であれば、正社員登用制度が設けられている企業で働きたいと考えるでしょう。

しかし、正社員登用制度が有るからといって、長く働けばいつかは確実に正社員になれるというわけでは決してありません
正社員登用制度の中身や実態を正確に把握し、正社員として登用される可能性の有無をきちんと見極めましょう。

正社員登用制度とは?

お花を持ちニッコリ微笑むフラワーショップの正社員

正社員登用制度とは、契約社員・パート・アルバイトのような雇用形態の労働者が正社員へと転換する制度のことをいいます。

制度の内容は企業によって大きく異なり、「○年以上勤務」や「○○の資格を保有している」といったように細かく条件が指定されている企業もあれば、明文化された条件は一切なく、責任者の判断に委ねられているといった企業もあります。

よくある例としては、入社して数ヶ月~数年の間に契約社員やアルバイトとして働いた実力が認められ、部署の責任者や役員・社長等との面接・面談、あるいは登用試験等を受けて合格すると正社員になれる…といったケースです。

企業によっては部署の責任者等から「そろそろ正社員にならないか?」と声がかかるまで待たなければならないケースもあれば、数ヶ月~1年の間に自己申告等をする機会が設けられており「正社員になりたい」という希望を企業側に申告が出来る制度を設けている企業もあります。

正社員登用制度のメリットとデメリット

正社員登用制度に限ったことではありませんが、企業が設ける制度には必ずメリットとデメリットが存在します。

正社員登用制度のメリット

お客様から伝票を受け取る喫茶店勤務のパート

初めから正社員として入社してみたら実はブラック企業だった、ということはめずらしくありません。
ブラック企業ではなくとも、一般的に、正社員と正社員以外(契約社員・アルバイト・パート等)では責任の範囲や企業からの期待値が異なる場合が多いです。

具体的には、正社員の方が正社員以外よりもお給料が高く、その代わり仕事内容のレベルが高い、仕事量が多い、責任が重いといったようなことがよくあります。

正社員としての働き方が自分の能力と見合っているかを事前に判断することは非常に難しいことですが、あらかじめアルバイト等の雇用形態で入社し働いていれば、周りの正社員の働き方を見てブラック企業かどうかはある程度判断できるでしょう。正社員に登用された後に「こんなはずではなかった」といったミスマッチをあらかじめ回避することができるのは大きなメリットです。

正社員登用制度のデメリット

砂浜に座り海を眺める契約社員

正社員登用制度が設けられていたとしても、必ず正社員になれるという保証はありませんし、絶対に正社員として登用しなければならないという企業側の責任もありません。法律的にも絶対的な強制力があるわけではありません。

「ここまで頑張れば」「これが出来るようになったら」といったような言葉に乗せられて長々とアルバイトで働いた挙句、契約満了で辞めざるを得ない可能性も十分に考えられるので注意が必要です。

正社員登用制度が多い職種や業界

アルバイトを多く雇っている業界や職種では、正社員登用制度を設けている企業が多い傾向にあります。

  • 業界…飲食・アパレル・ホテル・コールセンター・警備・清掃・運送など
  • 職種…受付・販売員・カスタマーサポート・警備員・清掃員・ドライバーなど

正社員登用制度有りの企業にアルバイトで入社する際の注意点

正社員登用制度の具体的な中身については、法律で詳細に決められているわけではありません。正社員登用制度はあっても「アルバイトから正社員になった人は過去に一人もいない」ということも十分あり得ます。入社してから後悔しないよう、以下の点を意識しておきましょう。

1 正社員登用制度の利用実績を入社前に確認しておく

正社員登用制度が実際に利用されているかを確認するためには、実際にその企業で契約社員やアルバイトといった雇用形態の労働者が正社員になっているかを確認するのが一番です。

会社に入社する前の面接の際に必ず正社員登用の実績を面接担当者に確認するようにしましょう。

しかし、確認する際に「正社員に転換した従業員がいるか」という確認の仕方はNGです。
この質問の仕方では、実態としてはほとんど正社員登用が無い(数年前にたった一人だけ正社員登用された人がいる等)といったケースが見抜けないからです。

質問する際は「正社員に転換した従業員は年で約何人いるか」といったような、具体的な質問をして確認するようにしましょう。

2 正社員の募集要項をあらかじめ確認しておく

企業側が契約社員やアルバイトといった雇用形態の労働者を正社員として登用する際、必ず「他の正社員と比べてどうか」という比較を行います。比較する内容は企業によって様々ですが、他の正社員と同等以上の能力があるか否かということは確実に確認されると言っても過言ではありません。

パソコンで調べものをしている女性

正社員のレベルを確認する一つの指標となるのが、正社員の募集要項です。
例えば、正社員の募集要項に「○○の資格を保有していること」や「大学を卒業していること」という明記があるとします。もしあなたがその資格を保有していなかったり大学を卒業していない場合、あなたの能力が優秀であるかないかに関わらず、正社員としての条件を満たしていないとみなされてしまうケースもあります。

まずは、あらかじめ正社員としての要件を満たしているか、もしくは数年勤務する間に正社員としての要件を満たすことができそうかを事前に確認しましょう。

3 正社員と同様の仕事を行うつもりで働く

正社員登用制度の内容が「アルバイトとして3年以上勤務した者は正社員として登用する」というような明確な内容であれば、とにかく3年働けば良いわけですから問題ありませんが、「正社員としての能力を有すると会社側が判断した者を正社員として登用する」といったようなアバウトな制度であることもめずらしくありません。

企業側としては、アルバイトから正社員に登用するということは、場合によっては支払うお給料が年間で数十万~数百万上がるということです。
企業にとってのあなたが「年100万円以上多く給料を払ってでも正社員として働いてほしい人」なのか「時給を100円上げて優秀なアルバイトとして働いてほしい人」なのかは大きく違います。後者の場合はアルバイトとしては重宝されるかもしれませんが、正社員としては登用されません。

重要なことは、アルバイトとして優秀であることではありません。
むしろ、アルバイトとして優秀であることはあたり前と考え、正社員と同等かそれ以上の活躍が出来ることを目指さないと正社員としては登用されない場合もあることを頭に入れておきましょう。

正社員登用制度で正社員になった社会人の体験談

実際に正社員登用制度を利用して正社員となった方の声を聞いてみましょう。

チャンスがあれば社員になれる

四国太郎(61歳  倉庫管理)


パート社員として家電の倉庫管理の仕事をしていました。具体的には商品の入荷出荷、在庫整理、パソコンでの在庫管理が主な仕事です。

うちの会社の正社員登用制度は、3年仕事に従事し、本人の希望と上司の推薦があれば社員として働けるというものでした。私も3年が過ぎた頃に社員になることを意識し出しました。自動的に社員になるというのではなくて、自分から申し出なければなりません。

社員になっても同じ仕事をするのですが、やはりパートと社員では責任も違うし、自分の仕事だけじゃなく、その部社全体を見て効率や生産性、数字を見なければなりません。そのためパートの方が気楽かなとも思っていましたが、将来のことを考えて社員になろうと思い申し出ました。

結果、この3年間の功績を認められ推薦して頂き、無事正社員になることができました。社員になるとやりがいが出て良かったと思います。いつかは社員へと思っている方には、非正規社員である今からでも、正社員になったつもりで仕事に従事してほしいです。

ガッツポーズを取る契約社員

初めての正社員は正規社員登用制度でなりました

なや(22歳 事務職)


私は当時事務職の仕事をしていました。半年間アルバイトのような形で仕事に就き、半年後に試験を受けて受かれば正社員といった形でした。それまで正社員として働いた経験がなかったので、この制度があると伺ったときは自分にとても合っているなと思いましたし、一生懸命頑張って正社員として働けるのであればとてもいいなと思いました。

実際に試験に受かって正社員になったのですが、アルバイトの時よりも待遇はもちろん休みもしっかりしていて、結果的にはやはり正社員になってよかったなと思いました。ただ、半年間は保険等に入ることができなかったのでこの点は少し困りました。

アルバイトや契約社員から頑張っているのであれば評価もされやすいですし、正社員を目指すなら、正社員登用制度を利用するのはおすすめです。

正社員登用制度では必ず正社員になれるとは限らない

正社員登用制度について一番大事なことは、「正社員になれない可能性も十分に想定しておくこと」です。

例えば、会社の業績が悪いのであれば、業績が悪くて正社員をリストラしなければならないような状況にある会社が、アルバイトを正社員に登用する可能性は極めて低いでしょう。むしろ、正社員を増やしたくないので、数年は正社員登用を行わないと会社側が判断することもあり得ます。

どんなことが起こるか分からない以上、「正社員登用制度があるからいつかは絶対に正社員になれる」というような過度な期待はし過ぎないことです。正社員登用制度に期待するのではなく、正社員として登用されるだけの能力を磨き、自身の価値を高めることを意識しましょう。

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