事務職への転職で知っておきたい必要な資格と職種別仕事内容

事務は女性に人気の職種で、転職希望者が多いため求人倍数も低くなりますが、専門業務に携わる事務職では常に高い求人倍数となるため、業務の内容から求められる知識・スキルの証明となる資格取得者が転職を有利に進めることができます。

事務職への転職で知っておきたい必要な資格と職種別仕事内容

事務職へ転職するにはどうしたら良いか

仕事もそれほど難しくなく、定時に上がりやすいというホワイトなイメージで人気のある事務職。そんな事務職に、いつか転職したい…そう思っている方は大勢いるでしょう。事務への転職のコツ、求人倍率、未経験の場合でも転職できるのか、必要な資格やスキルなど、転職に有利になる情報を確認しておきましょう。

事務職の求人倍率

まずは、職探しの基本となる求人倍率から見ていきましょう。数字が大きいほど一人当たりの求人が多いということになります。ここでは、厚生労働省による一般職業紹介状況による有効求人倍率を見ていきます。

職業 常用(含パート) 常用(除パート)
事務的職業(合計) 0.42 0.38
一般事務の職業 0.32 0.29
会計事務の職業 0.71 0.62
生産関連事務の職業 1.77 1.38
営業・販売関連事務の職業 0.88 0.81
外勤事務の職業 3.77 4.22
運輸・郵便事務の職業 3.41 2.81
事務用機器操作の職業 0.59 0.40

注意していただきたいのは、パートを含む場合と含まない場合で見るということです。非正規の方がやはり正社員よりも有効求人倍率は高いです。
一般的にイメージされる一般事務の有効求人倍率は、パートを含む場合でも0.32、パートを除く場合では0.29と非常に低いことから、実は現在も狭き門だということが分かります。

電話に手を伸ばす事務職の女性

しかし、注目すべきは別の所です。例えば、会計事務。一般事務と比べ会計事務の有効求人倍率は2倍以上と、ぐっと求人数は増えます。会計事務は簿記や金融知識など、スキルや資格が必要とされる業務があるため、誰でも出来る仕事というわけではないというのが主な理由です。他にも、生産関連事務や営業・販売関連事務、外勤事務、運輸・郵便事務に関してはどれも高い有効求人倍率となっており、技術さえあれば決して狙えない転職先ではないと言えます。

主な事務職の仕事内容とは

一般事務とそれぞれ専門スキルを要する事務職が、実際にどのような業務内容なのかを種類別に確認しておきましょう。

一般事務

資料や契約書の作成、郵便物の仕分け、メールやFAXの送信、電話や来客への応対などが、一般事務の主な業務内容となります。一般的に「縁の下の力持ち」と例えられることが多く、様々な職のサポートをする職種です。事務と言えば一般事務を想像することが多いのではないでしょうか。

会計事務

領収書と電卓

会計事務とは、企業の財務状況に関する記帳、決算書、収支明細、財産管理などを扱うのが主な仕事です。
経営者や外部の金融機関、税理士など、関係する人は多岐に渡るため、正確な情報をきっちりと管理できる人に向いていると言えます。必須ではありませんが資格があると一定レベルの知識を有していることをアピールできるため、簿記と共に税理士の科目合格があると転職に有利とされています。

生産関連事務

生産関連事務は、一般的な事務職とは異なり、主にメーカーの工場など生産現場で働くことが多く、生産現場での事務、資材・製品などの出荷・受荷に関する事務の仕事を担当します。
生産工程の生産現場事務と、出荷行程の出荷・受荷係事務に分けられ、必要な資材の購入管理、納品期限からの生産調整、納品時などの業者との交渉など、自社と取引先との橋渡し的な役割も担っています。

営業・販売関連事務

営業・販売関連事務は、売上伝票の管理、顧客リストの作成など営業・販売に関する事務の仕事を担当します。
主に営業のサポートという立ち位置である場合が多く、営業の準備から、受注・納品・請求に至るすべての事務処理をします。営業資料や見積書・納品書・請求書の作成や、クライアントと営業職との連絡連携など、円滑に営業業務を行うためのサポート色の強い業務です。

外勤事務

テレビ・電気・ガス・水道・新聞料金などの集金、調査票への記入依頼・回収、電気・ガス・水道などのメーターの検針などの外勤事務の仕事を担当します。市場調査・統計調査のための訪問調査員も外勤事務に分類されます。検針業務は営業事務として分類されることがありますが、外に出て仕事をするという点が他の事務職とは異なる点です。

運輸・郵便事務

郵便局の事務を想像するのが分かりやすいです。主に運輸・交通機関で荷物の手続きや、出札・改札に関する事務の仕事を担当します。運送会社での伝票作成業務や電話対応なども行います。

事務用機器操作

キーボードを打つ女性の手

PCオペレーターやデータ入力などが該当する仕事です。Microsoftのワードなどのソフトを使った文章作成や、エクセルを使ったデータ集計、表やグラフの作成、パワーポイントを使ったプレゼン資料の作成など、通常事務でも求められそうな業務は本来、事務用危機操作という専門的な乗務に分類されています。他にも専門的なソフトを扱うなど、少し特殊な仕事もあります。

これがあれば未経験でも転職できる事務職に必要なスキルは?

事務への転職は、基本的には未経験でも可能ですが、やはり事務経験がある方のほうが優遇されます。また、スキルとして基本的なパソコン操作ができることは必須と言えます。特に、ワードやエクセル、パワーポイントといったOffice系の操作は一通りできるようにしておくべきです。

現状、特に倍率が高い場合、未経験で採用されるケースは非常に少ないです。そこで未経験の状態から採用されるようになるためには、以下の方法が近道となります。

  • 派遣やパートなどで倍率が低めの職場である程度事務職勤務し、経験を積む
  • 専門性のある資格を取得する

実際、よほど難関で専門的な資格でなければ、資格があるというだけで採用されるということは少ないため、ある程度経験を積みながら資格を取得し、自分の労働市場価値を高めるという方法が最も現実的と言えます。

事務職への転職に有利な資格

事務職は資格が必要とされないことが多いのですが、会計や経理など専門的な仕事では必須の場合もあり、また資格が必要な仕事は倍率も低くなる傾向があるため是非資格の取得をおすすめします。取っておくと有利な資格についてご説明します。

一般事務向け転職

勉強する女性

文書情報管理士(2級)(受験料10800円、夏冬2回試験開催)

近年マイナンバーや個人情報の保護のため、文書管理の重要性が求められています。特に自治体や公共団体などで文書管理のニーズが高まっているため、文書情報管理士資格は官公庁や自治体で事務職として働きたい方は必須と言えます。

日商PC(1級10,290円、2級7,200円、3級5,140円、Basic4,120円、ネット受験)

日商PCは、商工会議所による検定試験です。主にWord、Excel、PowerPointを使った実務能力の検定試験です。即戦力となるビジネススキルを得ることが出来るため、就職力をアップさせることが出来ます。受験料は1級10,290円、2級7,200円、3級5,140円、Basic4,120円とリーズナブルで、ネット試験がパソコンスクールや専門学校など多くの場所で行われており受験しやすいというメリットもあります。

MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)(受験料1科目10584円、月1回試験開催)

Officeの基本操作を一通り学べるMOSは、基本的なビジネススキルを備えていることを証明できる資格の一つとしておすすめです。資格を取得することで企業へのアピールと共に、Microsoft製品の幅広い知識を得られるため、業務効率化によう作業時間の短縮などが望め、スキルアップのために受験する人も多くいます。

経理向け転職

電卓で計算する経理事務の女性

日商簿記(2級以上)(受験料1級7710円、2級4630円、年2回試験実施)

経理や財務系の資格で有名な簿記は、企業の現場で使える2級以上がおすすめです。簿記1級を取得することができれば税理士受験の資格を得ることも出来るので、着実にキャリアアップしていきたい方におすすめです。

給与計算実務能力検定(2級)(受験料8000円、年2回試験実施)

給与計算実務能力検定はその名の通り、経理業務で必須とも言える給与計算業務を行うための知識を保持していることを証明できる資格であり、経理への転職を考えている人にとっては、採用時のアピールと共に実務でも使える知識を身につけられることから人気。内閣府認可・職業技能振興会認定の検定試験であるため、多くの企業への就職や転職において大きな武器になる資格です。

ファイナンシャルプランナー(2級)

税金、投資、住宅ローン、不動産、教育、老後、相続まで非常に多岐に渡るお金の知識を学ぶことが出来ます。特に不動産や金融関係は事務の求人が多いため、こうした資格を取得することで有利になります。ファイナンシャルプランナーの資格には国家資格であるファイナンシャルプランナー技能士1級・2級・3級と、民間資格のAFPとCFPがあり、まずは2級ファイナンシャルプランナー技能士の取得を目指す人が多いです。

転職であっても事務職の仕事には女性にとって働きやすさがある

男性職員に教える女性事務員

事務職に関する男女比は、4:6(男性:女性)と女性の方が高い割合を占めています。そのため、男性または女性ばかりというわけではなくバランスの良い職場と言えます。また日々の業務量の変動も少ないため、産休や育休、フレックスタイム制や時短制度が整っている職場が比較的多いという点で、女性が働きやすいと言えます。

事務職の転職活動が上手くいかない場合は転職エージェントを利用する

転職が難しい事務職の場合、転職エージェントを利用するのもおすすめです。エージェントを利用することで一般では求人が見られない企業を紹介して貰えたり、非正規から始めてそのまま正社員を狙うことも出来ます。また、契約社員として経験を積むこともできます。複数の企業で高評価を受け、エージェント内での評価も高まれば、より良い条件の企業に転職できる可能性もアップします。

転職エージェントの使い方!登録から内定までの主な流れと活用法

未経験可の事務職の転職求人を狙うのも一つの手

事務への転職は確かに倍率が高く経験者が優遇されるため難しいのですが、人手の足りない企業や小さな企業で正社員として働き、経験を積んでからキャリアアップすることもおすすめです。非正規でも確かに経験は積むことが出来ますが、重要な仕事はやはり正社員の方が経験しやすく、難易度の高い仕事も任されることで格段に経験を積みやすくなります。正社員として働くことが出来る環境の方は、未経験可の求人を狙ってみるのも良いでしょう。

事務職に転職したいなら資格を取っておくと有利

転職は難しい事務職ですが、経験を積んだり資格を取ることでスキルアップできると共に、格段に転職しやすくなります。
有効求人倍率は景気により変動するため、転職するタイミングも重要です。日ごろから景気の動向をチェックしておき、ここぞという時のために転職の準備をしておきましょう。不況の際でも、難関資格は非常に強力な武器となります。転職市場で少しでも有利になるよう、取得できる資格は時間があるうちに取っておくのが吉と言えます。