自己PRで研究内容を使うなら研究発表にならないように注意

自己PRの機会に「研究」をあげる人も多いですが、研究そのものの内容や実績がアピールになることはほとんどありません。企業の評価ポイントやニーズを理解した自己PRが大切で、独りよがりな「研究発表」にならないように注意する必要があります。

自己PRで研究内容を使うなら研究発表にならないように注意

自己PRで「研究」はアピールにならないもの?

自己PRは就職活動で避けては通れないものですが、その内容として研究を取り上げる人も理系分野では多くなっています。しかし、研究を就活の自己PRで使うというのは実は注意するべきポイントの多い「落とし穴多発地帯」であることを知っておく必要があります。具体的な落とし穴や、またその回避方法、研究を用いた正しい自己PRについて考えてみましょう。

「研究」がテーマの自己PRには落とし穴がひそんでいる

研究を自己PRとしてアピールしたい人は理系で多く見られますが、失敗するケースも少なくありません。主な理由は以下の通りです。

研究内容が企業のニーズに合っていない

企業の採用担当者が知りたいもの

学生にとっては就職活動ですが、企業にとっては「採用活動」であり、自己PRを求めるのも採用活動の一環です。しかし、企業のニーズを満たさない、求められていない自己PRをする学生が多くいます。たとえば、企業は研究の内容を知りたいのではありません。応募者の考えや行動などを知りたいのです。

研究内容の説明に終始する

研究リポート

研究の内容を説明することは、自分の努力の成果を認めてもらうために大事だと学生は信じて疑いません。しかし、企業が求めているのは研究の内容やそこに費やされた努力ではありません。研究活動を通じて現れる応募者の考えや行動であることを忘れないようにして効果的にアピールしましょう。

アピールしている研究内容が専門用語ばかりで理解できない

よほど自分の専門分野に精通している企業でなければ、専門用語が多くなるほど理解が難しくなります。相手への配慮が足りないプレゼンテーションは、コミュニケーション能力の欠如を示すことになりますので、誰にでもわかる明快なプレゼンにしましょう。就活は自分の知識を見せる場ではありません。

研究の実績ばかりをアピールしている

研究において表彰を受けたり、企業から支援を受けたなどの実績がある場合にはアピールすることは間違ったことではありません。しかし、実績者を探すなら中途で間に合っています。新卒の場合、実績よりも研究者としての今後の成長を期待させる研究姿勢などをアピールするのが正攻法です。

「研究」を扱った自己PRの例文

研究を扱った自己PRのNG例、修正例、良い例の3つの例文を見ながら書き方のポイントを確認してみましょう。

実験中の大学生

研究を扱った自己PRの例文1(NG例)

私の長所は、「研究」にあります。

大学では物理科学研究会に所属し、熱力学に重心を置いて様々な研究活動を行ってきました。研究室が違う教授にも多く指導をいただく機会も多く、甲斐あってかAIを利用した熱力学モデルの研究では学会発表を行う機会もいただき、特別賞もいただくことができました。現在、卒業研究についてテーマを考えているところです。

貴社では分野は変わるものの、研究活動を通して多くの貢献をしたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

これは研究を使った自己PRでありがちな例です。

まず、長所として「研究にあります」というのはそもそもおかしな表現です。研究は活動の名称であり、人間の特徴を示す単語ではないからです。「研究が長所」と言われても、採用側としては「その他の仕事は難しい扱いにくい人」としか思わないでしょう。応募したのが研究職だとしても、「研究ができるのは当然」で、企業は応募者が「どんな人なのかを知りたい」のです。

また、内容がほぼ研究に関することで、個人の特徴が見えてきません。これは実績のアピールであり、自己PRとは少し趣を異にするものです。企業は新卒で「一緒に働きたい人」を探しているのであり、「優秀な研究者」を探しているのではありません。そのニーズをしっかり捉えた自己PRが必要です。

研究を扱った自己PRの例文2(修正例)

私の長所は、「コラボレーション力」にあると考えています。

大学では物理科学研究会に所属し、熱力学に重心を置いて、様々な研究活動を行ってきました。研究室が違う教授にも多く指導をいただく機会も多かったことで、熱力学以外の分野も幅広く学びました。「AIを利用した熱力学モデルの研究」で学会発表を行い、特別賞もいただきましたが、既存の知識を組み合わせる新しい視点を評価していただけました。

400本の論文を読み、先行研究から接点を探す作業は苦痛でもあり、楽しくもありました。その中で得られた構想を教授や先輩と議論する作業も、多くの気づきがあって良かったです。自分の知識にこだわらないことが、コラボレーションの発想の土台になっていると思います。

貴社では違った分野での研究になると思いますが、周囲の方々にも多くを学び、自分の視点と発想をもって新たな可能性を探求することで結果を出したいです。どうぞよろしくお願いいたします。

これはNG例を幾分修正してみた例です。

冒頭では、研究をアピールするのではなく「コラボレーション力」というアピールにすることにしました。一つの知識ではなく、複数の分野を組み合わせる発想力を武器としていることがエピソードからも伝わるようになっています。

チームで研究する学生

また、研究に対する取り組み姿勢として、たくさんの先行研究に触れ、また周囲との議論を通して理解や知識を深めていることが表現されています。これも「コラボレーションの発想の土台」になっているという考え方からは、今後もこの望ましい習慣が期待できるでしょう。締めの文でも、「周囲の方々にも多くを学び」という姿勢を示しており、働き方もイメージしやすくなります。

こうした研究姿勢に裏打ちされてこそ、「学会での特別賞」という実績も活きるようになります。「一緒に働きたい」に加えて「優秀な研究者」であれば企業としても満足できるでしょう。

研究を扱った自己PRの例文3(良い例)

私の強みは「集中力」にあると考えています。

大学の研究室で今も卒業研究を行っていますが、担当の教授にもよく「熱心さでは研究室で一番だな」と言われています。自覚は乏しいのですが、論文などを読み、新たな知見を得るのが本当に好きで、周囲や時間が気にならないほど没頭することも少なくありません。朝9時に研究室に入り、論文などを読んでいたら終電を逃したこともありました。

研究室の同僚からは「よくそんなに集中できるな」と言われますが、私は研究室から出たら研究のことはあまり考えません。集中している時間と、そうでない時間がハッキリ分けられているから集中力が続くのではないかと思っています。無理をしているわけでもないので、体調不良で研究室を休んだこともありません。

貴社においても、時間においても制限がある中でアウトプットを求められると思いますが、持ち前の集中力で研究に取り組み、成果を出し続けたいと思います。よろしくお願いいたします。

これは自己PRの良い例です。この例では、アピールポイントは「集中力」となっています。研究ではよくあるテーマですが、どのように描写しているかに注目しましょう。

研究する学生

まず、「教授からの評価」という客観的な材料を使うことで説得力を高めています。「周囲や時間が気にならない」「朝9時に研究室に入り、論文を読んでいたら終電を逃した」のくだりも、没頭している様子が伺えますし、数字があることでリアルに様子がイメージできます。

また、デメリットになりそうな点を先回りして打ち消しているのもポイントです。集中力があり、没頭するタイプの人はしばしば無理もしがちですが、オンとオフがあり、無理はしていないことをアピールすることで安心を与えています。「体調不良で休んだことがない」というのは、企業にとってもプラス採点のアピールになります。

集中力があることは研究活動において当然プラスの要素ですから、研究職として頼りがいがありそうな応募者だと期待されるでしょう。うまく自身の特性にフォーカスしたアピールをしていきましょう。

自己PRで「研究」を扱う時は研究の特徴を理解したアピールを心がける

自己PRで研究を取り扱う場合は、「研究そのもの」ではなく、「研究の特徴を理解したアピール」にすることが大切です。研究の特徴には以下のようなものあります。

研究することで他の人よりもその分野に詳しくなれる

研究をすることによって、ある分野について周囲の人よりも詳しい知識を得るようになります。しかし、知識が評価されるというよりも、その知識を得るための研究への取り組み姿勢が評価されます。実績や知識ではなく取り組み姿勢をアピールしましょう。

研究では論理的思考が求められる

研究では、テーマの発見から仮説、検証というステップを踏んでいくことになります。これは社会人としても望ましい仕事の仕方で、この過程の中で論理的思考が磨かれていきます。高い論理性や、普段から仮説を立てて検証するような習慣があればアピールしやすいでしょう。

研究は中長期にわたって行われる

「研究」と名のつくもので、一日頑張って終わるようなものはほとんどありません。研究は中長期にわたって行われるからこそ、忍耐力や継続力、またスケジュールの管理能力などが求められます。社会人にとっても好ましい性質ですので、うまくアピールに使いましょう。

研究は周囲との連携や協力が欠かせない

キャンパスに集う仲間

「研究」というと部屋にこもって黙々と実験をしたり資料を黙々と読むようなイメージがありますが、実際には多くの人との連携や協力が欠かせません。しかし、典型的なイメージの研究が頭を離れないと、研究を通してコミュニケーション能力が磨かれたことを忘れてしまいがちです。多くの人との関わりや、人脈の使い方などを知るようになったことは大きなアピールポイントです。

自己PRで「研究」をアピールする際のステップ

自己PRで「研究」をアピールするポイントをおさえたら、次は自己PR作りに入ります。自己PRで「研究」を使ったアピールの作り方を、順を追って見てみましょう。

自己分析をする

パソコンで自己分析する学生

まず、研究は置いておいて、自分の性格や行動特性の中からアピールするべき内容を考えてみます。可能ならそれをインパクトのある表現にしてみましょう。「没頭できる」ことが自分の強みなら、「室内に蜂がいても動じないほど没頭できる」など掴みのある表現を考えてみましょう。

研究からエピソードを選ぶ

自分の研究生活の中から、自己分析から定めたテーマに沿ったエピソードを探します。書きたいエピソードが決まったら、5W1Hに基づいて一度内容を書き出してみましょう。

書き出したエピソードの中から不要な部分を削る

自己PRの内容として不要と思われる部分を削除していきます。良かれと思って研究内容について多くを書いたとしても、性格や行動のアピールとは関係ないなら思い切って削ります。

自己PRすることとビジネスとの関係を示す

最後に、自己PRでアピールした内容とビジネスへの関係を具体的に示しましょう。企業側としては、その内容を通して自社で活躍する姿がイメージしやすくなります。また、再度自分のアピールポイントを繰り返すことで印象づけやすくする効果もあります。

自己PRで「研究」を扱う際の書き方ポイント

自己PRで「研究」を扱う際の書き方ポイント

自己PRでは書き方にも注意が必要です。自己PRで研究を扱う場合の書き方ポイントについても整理しておきましょう。

ビジネスシーンでは「結論から」が基本

研究成果の発表でも最初にサマリー(要旨)がありますが、エントリーシートや面接などでも最初に結論を示します。これはビジネスシーンでは基本で、先に示すことで相手が趣旨を把握しやすくなります。続くエピソードでそのテーマについて理解を深める展開にします。

研究内容の説明は最小限にとどめる

自己PRは「自分のPR」であり、「研究内容の発表会」ではありません。研究を通した自己PRで誤解されやすい部分ですが、研究内容の説明は必要最小限にして、アピールしたい自分の個性や特性についてフォーカスした内容にすることが大切です。

研究の知識が使えそうな企業ならさりげなく自己PRに織り込む

研究分野によっては、企業に入ってからも基礎知識や研究内容が活かされる可能性があるものもあります。こういった場合は、本筋に支障を与えない程度に織り込むようにしましょう。

自己PRには数字を内容に織り込んでいく

研究活動では、日数や時間数、論文の本数や実験を行った回数など、数字にできる材料が非常に多いのが特徴です。エピソードの中に数字を入れることで、スケールも伝わりやすく、リアリティのある内容になって説得力が増します。

面接で聞かれた時のために「研究」以外の自己PRについても考えておくこと

研究以外の自己PRがない学生

エントリーシートではなく面接の場合、採用側から「研究以外での自己PRはありますか?」と聞かれる場合もあります。これは研究活動については評価するものの、自己PRとしては少し情報が足りないと感じられた場合に出てくる質問です。

この時、企業はあなたに対して前向きに興味を持っていることになります。しかし、ここで研究以外にアピールできるポイントやエピソードがないというのは残念です。アルバイトやサークル活動、また大学生活の中での内容など、いくつか準備しておくと良いでしょう。

バイトリーダーを就活の自己PRで上手にアピールするコツ

時々、「進学して研究を続けようとは思わなかったのですか?」という質問を受けることもあります。この時にも、前向きな回答ができるようにしておきましょう。「研究者として限界を感じた」など後ろ向きな本音をつい出してしまわないように注意してください。

自己PRで研究内容をアピールするときは「自分」を語ろう

自己PRで研究を使ってアピールしたいという人は、アピールする際の焦点が必ず「自分」になるように気をつけてください。研究そのものや、実績をアピールしても自己PRにはなりません。また、内定を得るための自己PRですので、企業側が採用したいと思えるよう、相手を意識した内容でアピールしましょう。独りよがりな「研究発表」にならないように、十分な注意が必要です。