履歴書の特記事項欄の書き方 採用担当者が見るポイントと状況別の例文

「特記事項欄は自由に希望を書いていい」は大きな誤解。採用現場でよくある失敗パターンとNG例、勤務地・育児・連絡時間帯など状況別の記載例をまとめました。書くことがない場合の正しい対処法も紹介します。

履歴書の特記事項欄の書き方 採用担当者が見るポイントと状況別の例文

履歴書の特記事項欄・本人希望欄とは何のための項目か

履歴書には、「特記事項」「その他特記事項」「本人希望欄」「通信欄」など、フォーマットによって名称が異なりますが、用途はほぼ共通した欄が設けられています。

この欄の本来の役割は、選考を進めるにあたって採用担当者に事前に知っておいてもらう必要がある情報を伝えることです。「希望欄」という名称から「自分の希望を自由に書いていい欄」と誤解されやすいですが、採用担当者はここに書かれた内容を「この条件が叶えられなければ入社できない」という絶対条件に近いメッセージとして受け取る場合が多いです。

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採用担当者の視点書類選考の現場から

特記事項欄に複数の希望条件が並んでいると、「この方はこの条件がすべて揃わないと入社できないのだろうか」と判断せざるを得なくなります。条件が求人の実態と合わない場合、スキル面では魅力的な候補者でも書類選考で見送りになるケースがあります。

「自分の希望」ではなく「伝えるべき事実」を書く欄

特記事項欄に書くのは「Wantの希望」ではなく、「伝えておかないと選考・入社後にトラブルになりうる事実」です。勤務地・勤務時間・入社可能日に関して、やむを得ない事情がある場合にのみ記載するのが基本です。

特別な事情がない場合は「貴社の規定に従います」と記載します。「特になし」「ありません」といった表現は、記入の仕方を把握していない印象を与えるとして、複数の採用支援機関が避けるよう推奨しています。空欄も記入漏れと区別がつかないため、必ず何かを記入することが必要です。

履歴書の特記事項は必ず記入する

特記事項欄を含め、履歴書に存在する項目はすべて記入するのが原則です。空欄は書き忘れと見分けがつかないため、「貴社の規定に従います」の一文でも必ず記入しましょう。

伝えたい内容がある場合は、箇条書きで簡潔に記載します。欄内の8割程度に収めるのが目安とされており、長文で書き込むのは避けましょう。項目が多すぎると「希望が多い人」という印象を与え、採用にマイナスに働くリスクがあります。

履歴書の特記事項に書くべき内容

採用担当者が特記事項欄を確認する主な目的は、「採用後にトラブルにならないかを事前に把握すること」です。以下の内容が該当すれば積極的に記載しましょう。

希望勤務地・希望職種(複数候補がある場合)

求人票に複数の勤務地や職種が掲載されている場合は、希望を明記しておくと採用側が判断しやすくなります。ただし、転居や異動が物理的に不可能でない限り、「絶対に○○のみ」という書き方は避け、理由とともに幅をもたせた表現にするのが無難です。

記載例:

同居中の親の介護があるため、首都圏での勤務を希望いたします(転居・単身赴任は難しい状況です)。

貴社の営業職での応募を希望しております(これまでの法人営業経験を活かしたいと考えております)。

勤務時間・曜日に関するやむを得ない制約

育児・介護など家庭の事情で勤務時間や曜日に制約がある場合は、理由とともに具体的に記載します。「家庭との両立のため」のような曖昧な理由では採用側が配慮しにくいため、「子どもの保育園送迎のため」「要介護の家族がいるため」など背景を明記するほうが双方にとって有益です。

記載例:

子どもの保育園のお迎えがあるため、9時〜17時までの勤務を希望いたします。事前に残業が分かっている日は、家族に代替対応を依頼することが可能です。

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採用現場でよくある失敗パターン

「残業は月30時間以内を希望します」「土日は必ず休みを希望します」など、特別な理由なく勤務条件の上限を一方的に記載するケースは、採用担当者から「条件にこだわりが強い」「入社後も権利主張が多そう」と受け取られることがあります。やむを得ない事情がない希望は記載せず、面接で確認するのが適切です。

健康上の事情・持病がある場合

定期的な通院が必要な持病がある場合など、業務に関係する健康上の事情があれば記載しておきましょう。入社後のトラブル防止のほか、採用側が事前に配慮の余地を確認できるという意味があります。業務に全く支障がなければ無理に記載する必要はありません。

記載例:

現在、○○の治療のため月1回通院しておりますが、業務に支障はありません。通院は○○病院(○曜日午前)で調整が可能です。

現住所が勤務地から遠い場合の転居の意向

応募企業の勤務地が現住所から遠く、通勤の可否に疑問を持たれる可能性がある場合は、転居の意向を明記することで採用担当者の懸念を払拭できます。

記載例:

現在○○県在住ですが、内定をいただいた際には通勤圏内への転居を予定しております。

連絡可能な時間帯(在職中の転職活動の場合)

在職中で勤務中は電話に出られない場合は、連絡がつきやすい時間帯を記載しておくと採用担当者の手間を省けます。ただし、相手方の営業時間外(早朝・深夜)を指定するのは非常識な印象を与えるため、一般的なオフィスアワー内で連絡が取れる時間帯を示すことが重要です。

記載例:

在職中のため、平日9時〜18時は電話対応が困難です。平日18時以降または土日は終日ご連絡いただけます。留守番電話へのメッセージを残していただければ折り返し連絡いたします。

入社可能日・勤務開始時期(転職活動の場合)

転職者の場合、採用担当者が把握したい情報のひとつが「いつから入社できるか」です。退職予定日や引き継ぎ期間を踏まえた入社可能時期の目安を記載しておくと、採用計画を立てやすくなります。

記載例:

現在退職に向けて調整中です。内定をいただいてから引き継ぎ等を考慮すると、○月頃の入社を想定しております。

勉強中の資格(応募職種に関連する場合のみ)

資格欄には取得済みの資格しか記載できませんが、応募職種と直接関連する資格の取得に向けて勉強中である場合は、特記事項欄に記しておくと採用担当者の目に留まることがあります。ただし、あくまで応募職種・業務と関連性が明確なものに限ります。趣味の延長で勉強している資格や、業務との関連が薄いものは記載しても効果が薄く、欄を埋めるためだけの記載は避けましょう。

記載例:

現在、○○資格取得に向けて勉強中です(○年○月の試験受験予定)。

履歴書の特記事項に書くべきではない内容

特記事項欄はフリースペースのように見えますが、書いてはいけない内容があります。以下は採用担当者に悪印象を与えやすいNG例です。

書くべきでない内容 理由・リスク
希望給与・希望年収 条件面へのこだわりが強い印象。面接の場で確認するのが適切
休日・福利厚生に関する希望 書類選考の段階での言及は自己本位な印象を与えやすい
志望動機・自己PR 専用の欄があるため、欄の用途を理解していないと判断される
業務内容への質問事項 応募要項で確認できる内容は特に不要。面接で質問するのが適切
特別な理由のない残業・休日の制限 「要求が多い人」という印象につながり採用に悪影響が出ることがある

履歴書の特記事項の書き方の例

実際の記載イメージを状況別にまとめます。いずれも簡潔な箇条書きで、必要最小限の情報を伝えることが基本です。

【例①】希望がない場合(新卒・転職共通)

貴社の規定に従います。

【例②】在職中で連絡時間と入社時期を伝えたい場合(転職)

・連絡先:在職中のため、平日9時〜18時の電話対応は困難です。平日18時以降または土日は終日ご連絡可能です。
・入社可能日:現在退職に向けて調整中のため、内定後○ヵ月程度での入社を想定しております。

【例③】勤務地の希望と転居の意向がある場合

・勤務地:関東エリアを希望いたします。
・現在○○県在住ですが、内定をいただいた場合は通勤圏内への転居を予定しております。

【例④】勤務時間に制約がある場合(育児・介護)

・子どもの保育園送迎のため、9時〜17時の勤務を希望いたします。事前に分かっている残業日は家族が対応可能です。

【例⑤】複数職種・勤務地の募集で希望を伝えたい場合(新卒)

・配属:マーケティング部を第一希望といたします。
・勤務地:関東を希望いたします。
・資格:○○資格取得のため勉強中です(○年○月受験予定)。

特記事項欄に書くべき内容かどうか迷ったときは、以下のチェッカーで確認してみましょう。

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特記事項に書いていいか?かんたん確認チェッカー 書こうとしている内容が特記事項欄に適切かどうか判定します