OB訪問後に送るお礼メールとお礼状の正しい書き方

OB訪問後にお礼をするのは、社会人としてのマナーです。忙しい中時間を取ってくださった相手に向けて、感謝の気持ちを伝えるべきですが、電話や手紙、メール、どれが適切なのでしょうか。今回は企業への礼状の書き方や、押さえておきたい本文を書くポイントを、例文と併せて紹介します。

OB訪問後に送るお礼メールとお礼状の正しい書き方

OB訪問が終わったら先輩にお礼をしよう

企業の情報収集で欠かせない手段がOB訪問です。OB訪問では、自分が希望する企業で働いている社員に話を聞くことで、ネット上では分からない情報を手に入れることができます。それらの情報は企業だけでなく、業界研究にも役立ちます。就活を経験した先輩からアドバイスをもらえる大事な機会でもありますので、OB訪問にはぜひ参加しましょう。

社員の方々はOB訪問のために、普段仕事をしている時間を削ったり休日に出勤したりと、就活生のために時間を作ってくれています。もちろん終了直後に口頭でお礼を告げるのは当たり前ですが、OB訪問後にも形に残るものでお礼をしておくことが大切です。

お礼を伝える方法は、電話・メール・手紙が挙げられますが、電話は都合が悪いと出られないので控えましょう。その日に届いて、時間のあるときにチェック出来るメールを選ぶのが良いでしょう。また、投函してから相手に届くまでに時間がかかりますが、直筆なので気持ちがダイレクトに伝わる手紙も良いでしょう。以下、メールと手紙でのお礼の仕方について説明していきます。

OB訪問後に送るお礼メールとお礼状の正しい書き方

OB訪問のお礼メールの書き方

礼状の書き方を考える女性

社会人に対するメールは友達同士で送りあうメールとは異なり、様々な注意が必要です。今後も必要とされるビジネスマナーなので、今のうちから要点を押えた社会人として恥ずかしくないメールを打てるようになりましょう。

1 件名の書き方

1日に何通ものメールが届く人にとって、件名は読む優先度を計る大事な情報です。「何についてのメールなのか」をきちんと記す必要があります。メールを開かなくても内容が分かるよう、短い1文に纏めましょう。

また、先頭に【】付けで先方の企業名と名前を入れることで、送信者側からも誰に送ったものなのかを一目で判断できるようになります。

例:【企業名、(OB・OG名)様】OB(またはOG)訪問の御礼。(○○大学●●学部◎◎学科 差出人の名前)

2 宛名の書き方

本文の一番上に、誰宛に送っているのかを記します。会社名、事業部名、社員名の順に書いていきますが、会社名と事業部名の間で改行すると読みやすくなります。社員名のうしろには「様」を忘れず、名前の漢字の変換間違い等をしないように細心の注意を払いましょう。また、役職の後に「様」を付けるのは二重敬語となってしまう為、名前の前に役職名を書きましょう。

悪い例:株式会社○○
●●部 ◎◎主任様

良い例:株式会社○○
●●部 主任 ◎◎様

3 自己紹介をする

OB訪問をしている学生は大勢いるので、自分が誰なのかを明記しないと良いメールを送っても、どの学生から送られてきたのかが分からず意味がありません。大学名、学部、学科、フルネームを名乗りましょう。また、大学名などは省略せずに正式名称で書きましょう。

4 本文は簡潔にまとめる

いよいよ本題の「OB訪問のお礼」を書き始めますが、本文はなるべく短くまとめるのがポイントです。長々と書くと読むのが億劫になりますし、分かりにくい文章になってしまいます。

  • 何月何日何時からのOB訪問に参加をしたのか。
  • 話を聞いてどんなことを学んだのか。
  • OB訪問を通じてどんなことを感じたのか。
  • その企業の印象はどう変わったのか。

上記の内容を書くのが定番です。お礼がメインですので、あまりマイナスなことは書かないでおきましょう。エントリーシートではありませんが、ここで入社意欲を書くのもアピールの1つになります。

5 改行に気を付ける

相手がパソコンで読んでいる場合は問題ありませんが、スマートフォンやタブレットでメールを読んでいる可能性もあるので、見やすさを優先して改行を心掛けましょう。長い文章がそのまま書いてあると、小さい画面では非常に読みにくく感じます。意味の切れ目や句読点で、不自然でない程度に改行をして、相手への配慮を示しましょう。

6 署名を書く

最後に自分の名前、大学名、学部、学科、電話番号、メールアドレスを記入します。署名を記入しておくことで、相手が返信をする際に連絡先をいちいち調べる必要がなくなります。

スマホでメールを送信する女性

署名はOB/OG訪問のお礼以外にも、就活で送るメールほぼ全てに必要となるので、テンプレートを作っておくと大変便利です。

OB訪問のお礼メールの例文

以下にメールの例文を書きましたので、OB/OGへのお礼メールの参考にしてみてください。何度も読み直して、誤字・脱字がないかを確認してから送信します。

また、メールは原則OB訪問後24時間以内に送りましょう。夜中や早朝に送るのは印象が良くありませんので、なるべく就業時間である9:00~19:00の間に送るのがマナーです。

メール例文

件名

【企業名、○○様】OB訪問の御礼。(□□大学■■学部◇◇学科 差出人の名前)

===================

本文

株式会社▲▲
△△事業部 ○○様

こんにちは。
□□大学■■学部◇◇学科、鈴木太郎と申します。

本日はお忙しい中貴重なお時間をいただき、
ありがとうございました。

○○様のお話を聞いて、
△△事業部についての理解がさらに深まりました。
特に、海外出張にて○○様が携わった●●は、
私が最も興味のある分野だったので
貴社で働きたいという気持ちがとても強くなりました。

今回いただいたアドバイスを元に、
さらに企業研究をして就職活動に役立てていきたいと考えています。

今後、また質問をさせていただくことがあるかもしれませんが、
その時にはご指導の程、どうぞ宜しくお願い致します。

本日は本当にありがとうございました。
今後とも、宜しくお願い致します。

差出人の名前
□□大学■■学部◇◇学科
電話番号080-1234-5678
メールアドレスrirekisho@shu.com

OB訪問のお礼状の書き方

礼状には一定の書式があり、従って書いていけば問題はありません。内容についてはメールと同様、簡潔に書くことがポイントですが、メールとは違う決まり事もありますので、意識しながら書きましょう。

封筒と便箋とペン

差出人の名前や「私」といった一人称が行頭に、送る相手の名前や企業名が行の下に来ないようにするのが社会人としてのマナーです。また、最高でも便箋2枚に収まるように書きます。

面接のお礼状の書き方マナー

1 丁寧な字を意識する

お礼状を書くということで、綺麗な字を書かなくてはと思うでしょうが、丁寧に書いた字であればOKです。当たり前ですが、走り書きはしないように。例え綺麗な文字ではなくても、丁寧に書けば相手に誠実さが伝わります。

2 前文を書く

頭語(拝啓・謹啓など)と時候の挨拶を記します。手紙を書く習慣のない人にとっては慣れないことですが、テンプレートを参考にしていけば誰でも簡単に書けます。

時候の挨拶は季節によって変わりますので、その都度インターネットなどで調べてから書きましょう。以下、各月の挨拶をそれぞれ2つほど紹介します。

時候の挨拶

1月:「初春を寿ぎ」「大寒の候」
2月:「三寒四温の時節」「清廉な香り漂う梅花の候」
3月:「春雨の候」「寒緋桜が美しいこの頃」
4月:「花曇りの昨今」「桜花爛漫の候」
5月:「青葉繁れる時節」「薫風の候」
6月:「入梅の候」「雨に萌ゆる緑が目に鮮やかな季節」
7月:「盛夏のみぎり」「エコ活動の注目度を実感するこの頃」
8月:「残暑厳しき折」「夜風が涼しく感じるようになってまいりました」
9月:「白露の候」「残暑もいくらか和らぎ、過ごしやすい日が多くなりました」
10月:「天高く馬肥ゆる秋」「秋晴れに心も晴れ晴れとするこの頃」
11月:「菊花のみぎり」「向寒の段」
12月:「新雪の折」「師走を迎え、ご多忙の時期に恐れ入ります」

3 主文を書く

主文は、メールの場合と同様で簡潔にまとめるのがポイントです。ただし、改行の必要はありません。行の最初に句読点や送り仮名が来ないように、文字の大きさに気を付けましょう。

4 末文を書く

前文の対になる、結びの挨拶と結語(敬具・謹白など)を記します。差出人が女性の場合に使われる「かしこ」という結語は、改まった手紙には向きません。

頭語・結語の組み合わせ

一般的な手紙:「拝啓」「敬具」
丁寧な手紙:「謹啓」「謹言」
お詫びの手紙:「前略」「草々」
返信の手紙:「拝復」「拝答」

5 後付けを書く

日付、電話番号、名前、宛名を書きます。手紙は投函してから相手に届くまでに時間がかかるので、いつに書いたものかを記しておくのは大切なことです。また、郵送でのやり取りなので、自分の住所を書くのを忘れないようにしましょう。

ただし、便箋2枚目に後付けだけを書くのはマナー違反ですから、下書きでしっかりと文字の大きさや話の持って行き方を考えましょう。

OB訪問のお礼状の例文

便箋に礼状を書く男子学生

以上5つのポイントを押さえて、礼状を書いてみましょう。便箋は白無地で縦書きの物、ペンは黒のボールペンか万年筆を選びます。投函するのはOB訪問が終わった日か、遅くてもその翌日までには投函しましょう。

今回は、OB訪問が多い4月に出す手紙お礼状という設定で例文を書きました。他の月・季節に行われた場合は、その季節に合った内容に、例文を変えて書いてください。

手紙の例文

拝啓
清和の候、貴社ご盛栄のこととお慶び申し上げます。
先日はお忙しい中、貴重なお時間を割いていただき有難うございました。
○○様のお話を伺い、△△事業部についての理解がさらに深まりました。特に、海外出張にて○○様が携わった××は、私が最も興味のある分野だったので、貴社で働きたいという気持ちがとても強くなりました。
今回いただいたアドバイスを元に、さらに企業・業界研究に励み、就職活動に役立てます。今後、またご相談をさせていただきたいと存じますが、その時にはご指導いただけると幸いです。
丁寧に対応いただきましたこと、重ねて御礼申し上げます。
新年度を迎えられ、何かとご多用のことと存じますが、くれぐれもご自愛ください。
敬具
平成29年4月1日
電話番号 080-1234-5678
□□大学■■学部◇◇学科
差出人の名前

株式会社▲▲
△△事業部 ○○様

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OB訪問後にお礼をするのは社会人として当たり前のこと

お礼の仕方について「メール」と「手紙」2つの方法を紹介しました。どちらも慣れるまでは大変ですが、ビジネスマナーとしていずれは必要になるものなので、今のうちに習得しておきましょう。

直接選考に結び付かなくても、お礼をすることは人間として当たり前のことです。きちんとしたお礼が出来るということも、マナーが分かっているという自己アピールの1つになります。ポイントを押さえてきちんとしたメール・手紙を送り、社会人としての意識を身に付けましょう。

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