OB訪問後は必ずお礼を伝えよう
企業・業界研究で欠かせない手段の一つがOB・OG訪問です。実際に働く社員から話を聞くことで、求人票やWebサイトには載っていないリアルな職場情報を得られるだけでなく、就活全般についてのアドバイスをもらえる貴重な機会にもなります。
社員の方は、本来の業務時間を削って就活生のために時間を作ってくれています。訪問直後に口頭でお礼を伝えることは当然ですが、訪問後には形に残る方法でもお礼を伝えることが、社会人として求められるマナーです。採用担当者の立場から見ても、こうした細やかな配慮は学生の印象に大きく影響します。
お礼の手段には電話・メール・手紙の3つがありますが、電話は相手が対応できない状況でかかってくる可能性があるため基本的に避けましょう。メールは当日中に届き、相手が都合のよい時間に確認できる点で最も実用的です。手紙は届くまでに数日かかりますが、直筆の誠意が伝わる点で印象に残りやすい方法です。以下では、メールと手紙それぞれの書き方を解説します。
OB訪問のお礼メールの書き方

社会人へのメールは友人間のやり取りとは根本的に異なります。採用現場では、お礼メールの書き方ひとつで「社会人意識があるかどうか」を見ている採用担当者も少なくありません。今のうちから要点を押さえたビジネスメールが書けるようになっておきましょう。
1 件名の書き方
1日に数十〜数百通のメールを受け取るビジネスパーソンにとって、件名は開封優先度を判断する唯一の手がかりです。「何についてのメールか」が一目でわかるよう、短くても情報量の多い件名にすることが重要です。
先頭に【】で企業名とOB・OG名を入れることで、送り手側も誰に送ったものかを管理しやすくなります。
例:【企業名・○○様】OB訪問のお礼(□□大学■■学部◇◇学科 氏名)
2 宛名の書き方
本文の冒頭に、会社名・部署名・担当者名の順で宛名を記します。会社名と部署名の間で改行すると読みやすくなります。氏名の後には必ず「様」をつけ、漢字の変換ミスがないか必ず確認しましょう。
注意:役職名の後に「様」をつけると二重敬語になります。役職名は氏名の前に置くのが正しい書き方です。
| ❌ 誤った例 | ✅ 正しい例 |
|---|---|
| 株式会社○○ ●●部 ◎◎主任様 |
株式会社○○ ●●部 主任 ◎◎様 |
3 自己紹介を書く
OB・OG訪問を受ける社員は複数の学生と会うことが多いため、どの学生からのメールかが一目でわかるように自己紹介を入れることが必須です。大学名・学部・学科・フルネームを省略せず正式名称で記しましょう。
4 本文は簡潔にまとめる
本文はできるだけ短く、要点を絞って書くのがポイントです。長すぎる文章は読むのが負担になるうえ、何を伝えたいのかが伝わりにくくなります。採用現場では、冗長なお礼メールより、簡潔で具体的な内容のメールの方が好印象を持たれるという声がよく聞かれます。
以下の4点を軸にまとめると、過不足のない本文になります。
- 訪問日時・訪問した企業・お礼の言葉
- 話を聞いて学んだこと・得られた気づき
- 訪問を通じて感じたこと・印象の変化
- (任意)志望意欲・今後の抱負
お礼がメインのメールなので、ネガティブな感想は書かないようにしましょう。入社意欲を簡潔に添えるのも、アピールとして有効です。
5 改行・読みやすさに配慮する
スマートフォンでメールを確認する社会人は多く、長い文章が改行なしに続くと小さな画面では非常に読みにくくなります。意味の区切りや句読点のタイミングで適度に改行し、相手への配慮を示しましょう。
6 署名を入れる
メール末尾に氏名・大学名・学部・学科・電話番号・メールアドレスを記した署名を付けます。署名があることで、相手が返信や連絡をする際にわざわざ調べる手間が省けます。

署名はOB・OG訪問のお礼に限らず、就活で送るほぼすべてのメールで必要になります。あらかじめテンプレートを作成しておくと、毎回入力する手間が省けて便利です。
OB訪問のお礼メールの例文
以下にお礼メールの例文を示します。自分の状況に合わせて内容を具体的に書き換えて使ってください。送信前に必ず誤字・脱字がないか確認しましょう。
送信タイミングの目安:OB訪問当日〜翌日中(遅くとも24時間以内)が基本です。深夜・早朝の送信は避け、9:00〜19:00の間に送るのがマナーとして定着しています。
メール例文
件名
【企業名・○○様】OB訪問のお礼(□□大学■■学部◇◇学科 差出人の名前)
===================
本文
株式会社▲▲
△△事業部 主任 ○○様
こんにちは。
□□大学■■学部◇◇学科の鈴木太郎と申します。
本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございました。
○○様のお話を伺い、△△事業部の業務内容や職場環境についての理解が深まりました。
特に、海外案件で○○様が携わった●●プロジェクトのお話は、
私が最も関心を持っている分野と重なり、貴社で働きたいという思いがいっそう強くなりました。
今回いただいたアドバイスをもとに、企業・業界研究をさらに深め、就職活動に活かしてまいります。
また機会があれば、ご相談させていただけますと幸いです。
本日は誠にありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
──────────────────
差出人の名前
□□大学■■学部◇◇学科
電話:080-1234-5678
Mail:rirekisho@shu.com
──────────────────
メールを送る前に、以下のチェックリストで内容を確認しましょう。採用担当者から見て「きちんとしている」と感じられるメールには、共通して抑えられているポイントがあります。
OB訪問のお礼状(手紙)の書き方
礼状には一定の書式があり、それに従って書けば形式面は問題ありません。内容はメールと同様に簡潔にまとめることがポイントですが、手紙特有のルールもありますので、以下を参考にしてください。

書式の基本として、差出人の名前や「私」などの一人称が行頭に来ず、送る相手の名前や企業名が行の下(文末)に来ないように書くのがマナーです。また、内容は最高でも便箋2枚以内に収めましょう。
1 丁寧な字を意識する
「綺麗な字でなければ」と身構える必要はありません。丁寧に書かれた字であれば、文字の上手・下手よりも誠実さが伝わります。走り書きだけは避けましょう。
2 前文を書く
冒頭に頭語(「拝啓」「謹啓」など)と時候の挨拶を記します。時候の挨拶は月ごとに変わるため、その都度確認して書くのが確実です。
時候の挨拶(月別)
1月:「初春を寿ぎ」「大寒の候」
2月:「三寒四温の時節」「梅花の候」
3月:「春雨の候」「早春の候」
4月:「花曇りの昨今」「桜花爛漫の候」
5月:「青葉繁れる時節」「薫風の候」
6月:「入梅の候」「向夏の候」
7月:「盛夏のみぎり」「猛暑の候」
8月:「残暑厳しき折」「晩夏の候」
9月:「白露の候」「初秋の候」
10月:「天高く馬肥ゆる秋」「秋晴れの候」
11月:「菊花のみぎり」「向寒の段」
12月:「師走の候」「歳末の折」
3 主文を書く
主文はメールと同様、簡潔にまとめることがポイントです。文頭に句読点や送り仮名が来ないよう、文字の大きさや行の詰め方に気をつけましょう。手紙の本文では改行は必要ありません。
4 末文を書く
結びの挨拶と結語(「敬具」「謹言」など)を記します。女性が使う「かしこ」は改まった手紙には向かないため、就活の礼状では避けましょう。
頭語・結語の組み合わせ
一般的な手紙:「拝啓」→「敬具」
丁寧な手紙:「謹啓」→「謹言」
返信の手紙:「拝復」→「拝答」
5 後付けを書く
日付・自分の住所・氏名・電話番号、そして宛名を記します。手紙は届くまでに数日かかるため、いつ書いたものかを明記することは重要です。また、便箋2枚目に後付けだけが来るのはマナー違反なので、下書きで文量とレイアウトを確認してから清書しましょう。
OB訪問のお礼状の例文

以上のポイントを押さえたうえで礼状を書いてみましょう。便箋は白無地の縦書きのもの、筆記具は黒のボールペンか万年筆を使います。投函はOB訪問当日か、遅くとも翌日中に行いましょう。
以下は4月に行ったOB訪問を想定した例文です。他の月に訪問した場合は、時候の挨拶を該当の月のものに差し替えてください。
手紙の例文(4月訪問の場合)
拝啓
桜花爛漫の候、貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。
先日はご多忙の中、貴重なお時間を割いていただき誠にありがとうございました。
○○様のお話を伺い、△△事業部の業務内容や職場の雰囲気についての理解がさらに深まりました。特に、海外案件にて○○様が携わった××プロジェクトのお話は、私が最も興味を持っている分野と重なり、貴社への志望の気持ちがいっそう強くなりました。
今回いただいたアドバイスをもとに、企業・業界研究をさらに深め、就職活動に役立ててまいります。今後またご相談させていただく機会があれば、ご指導いただけますと幸いです。
丁寧にご対応いただきましたこと、重ねて御礼申し上げます。何かとご多用のことと存じますが、どうぞご自愛ください。
敬具
○○年4月○○日
〒000-0000 ○○県○○市……
電話:080-1234-5678
□□大学■■学部◇◇学科
差出人の名前
株式会社▲▲
△△事業部 主任 ○○様
OB訪問後のお礼は、採用担当者も見ている
メールと手紙、2つのお礼の方法を紹介しました。どちらも初めは慣れない作業ですが、ビジネスコミュニケーションとして今後の社会人生活でも必ず役立つスキルです。
採用現場では、OB・OG訪問後のフォローがされているかどうかを選考過程で参考にするケースもあります。直接の選考ポイントになるかどうかに関わらず、お礼ができるかどうかは社会人としての基本的なマナー感覚を示すものです。ポイントを押さえた丁寧なメール・手紙を送ることで、訪問後も良い印象を残しましょう。





















