転職活動での名刺のマナー
転職活動の面接では、面接官から名刺を受け取る場面が生じることがあります。ビジネス経験のある転職者にとっても、「名刺交換は必要か」「渡す場合は現職の名刺でよいのか」「受け取り方に何か注意点はあるか」と迷う方は少なくありません。
採用担当者の立場から見ると、名刺の受け取り方はビジネスマナーを確認できる場面のひとつです。意識しないうちに行った雑な扱いが、面接官の目に留まることもあります。この記事では、転職面接における名刺マナーの基本を整理します。
面接中に名刺を受け取るポイント

面接官から名刺を受け取る際には、次の5つのポイントを押さえておきましょう。ビジネスマナーに慣れた転職者でも、緊張から無意識に雑な対応をしてしまうことがあります。事前に動作を頭に入れておくことで当日落ち着いて対応できます。
立って受け取り、机越しにならないよう注意する
名刺を受け取る際は必ず立って、机や椅子などの障害物が間にない状態で受け取るのが原則です。面接官が部屋に入ってきたタイミングで立ち上がり、名刺を差し出す素振りを見せたら迷わず歩み寄ります。
テーブルを挟んだ状態での受け取りは、状況によってやむを得ない場合もあります。その場合は「机越しで失礼いたします」と一言添えてから受け取るのがマナーです。
両手で受け取り、ロゴ・氏名に指がかからないようにする
名刺は必ず両手で受け取ります。「ありがとうございます。頂戴いたします」とお礼の言葉を述べながら、一礼して受け取りましょう。このときに繰り返しペコペコとお辞儀をするのは却って印象が悪くなるので、礼は1回にとどめてください。
受け取る際の重要な注意点は、相手の社名・ロゴマーク・氏名に指がかからないようにすることです。これらの要素が印刷されている面を指で隠すのはマナー違反とされており、名刺に慣れた採用担当者の目にはすぐに分かります。
受け取ったらすぐにしまわず、名前と所属を確認する
名刺を受け取ったら、そのまま2〜3秒かけて名刺の内容を確認し、相手の名前と役職・所属をしっかり頭に入れます。受け取ってすぐにテーブルに置いたり、確認もせずにしまったりするのはNGです。名刺を見ないで即しまうのは、相手に対して失礼な印象を与えます。
受け取った名刺はテーブルの左側に置く

名刺入れを持参している場合は、自分の名刺入れを台として、その上に受け取った名刺を乗せてテーブルの左側に置きます。面接官が複数名の場合は、自分から見て相手の着席順と同じ順番で並べて置きます。こうすることで、面接中に誰と話しているかを把握しやすくなり、自然と名前で呼びかけることができます。
名刺入れを持参していない場合は、受け取った名刺を直接テーブル左側に置きながら「本日、名刺入れを持参しておらず失礼いたします」と一言断っておきましょう。
名刺をしまうタイミングは面接終了後
受け取った名刺は面接が終わるまで机の上に出しておくのがマナーです。面接中にしまってしまうのはNGです。面接官が書類や資料を片付け始めたタイミングを見計らい、名刺入れに丁寧にしまいます。退出の際に忘れて置いていくのは特に失礼にあたりますので、忘れずに持ち帰ってください。テーブルがない状況で受け取った場合は、目を通した後に名刺入れに収めてカバンに入れます。
面接で前の会社・現在の会社の名刺を渡してはいけない

転職面接の原則として、応募者側から名刺を渡す必要はありません。名刺は「会社を代表して」渡すものです。面接官は会社を代表して面接を担当しているため名刺を差し出すことがありますが、応募者は一個人として面接を受けているため、名刺交換の必要はないのです。
退職済みの場合、前職の名刺を渡すのはマナー違反です。すでに在籍していない企業の名刺を第三者に渡すことは、その企業の信用を誤使用することになりますので、絶対に避けてください。在職中の場合も、基本的には現職の名刺を面接の場で使うべきではありません。転職活動はあくまで個人の行為であり、会社の看板を使う場ではないためです。
面接官から名刺を求められた場合は、丁寧に断ることができます。謝罪の言葉を添えつつ、理由を一言説明するのがスマートです。
名刺を断る場合の例文
- 「申し訳ございません。本日は個人として面接に参っておりますので、現職の名刺は持参しておりません」
- 「申し訳ありません。すでに退職しておりますので、名刺はお渡しできない状況です」
- 「恐れ入りますが、私用で会社の名刺を使うことは禁じられておりますため、お渡しできません」
採用担当者の立場から見ると、「名刺を断れるかどうか」を意図的に確認している企業も実際に存在します。個人情報の保護やコンプライアンス意識の観点から、適切に断れる人物かどうかを見ている場合があるためです。慌てず毅然と、しかし丁寧に断ることができれば問題ありません。
転職活動で使うなら転職用の個人名刺を準備する

どうしても何か渡したいという場合や、名刺のやりとりに慣れていて一方的に受け取ることに違和感を感じる場合は、転職用の個人名刺を作成しておく方法があります。
個人名刺に記載する内容
- 氏名
- 電話番号
- メールアドレス
- (住所は任意)
会社名・役職名・部署名は一切記載しません。白地に黒文字のシンプルなデザインで、見やすさを優先したレイアウトにするのが基本です。個人名刺は面接のほか、転職エージェントとの面談や業界のイベントなど、転職期間中に幅広く使える場面があります。
なお、在職中の転職者で現職の名刺を持参するかどうか迷う場合は、求められたときだけ渡す形にするのが無難です。現職の名刺であることを先に伝え、「在籍確認が必要であればお渡しできます」という形にしておけば、会社を代表して渡す印象を和らげることができます。
転職コンサルタントに名刺を渡さなくてもかまわない
転職エージェントや転職コンサルタントとの面談の際も、現職・前職の名刺を渡す必要はありません。転職エージェントへの相談は個人としての行為であり、会社の代表として出向いているわけではないからです。面談担当者から名刺を渡された場合は、先述のマナーで受け取り、自分からは名刺を出さなくて問題ありません。
転職での名刺は特に必要ない
転職面接における名刺マナーの結論はシンプルです。応募者側から名刺を渡す必要はなく、面接官から受け取る際のマナーをきちんと知っておけば十分です。
受け取る際の基本は「立つ・両手・指かからない・2〜3秒確認・テーブル左側に置く・面接終了まで出しておく・退室時に持ち帰る」の7点。これを頭に入れておくだけで、名刺が出てきても落ち着いて対応できます。
採用担当者から見ると、名刺の受け取り方や扱い方は「日常のビジネス作法がどれくらい身についているか」を自然に示す場面です。面接の受け答えとは異なる文脈で人となりが見えることを意識しておくとよいでしょう。

















