大学院生の就活対策はいつから?成功させるために大切なこと

大学院生は就活では不利と言われがちですが、ネガティブなことばかりではありません。大学院生の強みを生かした就活をするために必要なノウハウについて、体験談を交えながら情報をまとめて紹介しています。

大学院生の就活対策はいつから?成功させるために大切なこと

大学院生は就活では不利と言われるけれど本当?

大学院生と言えば、昔は研究職などの登竜門として大学の中でもエリートが進む道という印象を持たれていましたが、気づけば「大学院生は就職活動では不利」と言われるようになってしまっています。これは、大学の研究分野も企業の事業分野もどんどん広がっており、そのために専門性を活かせない形での就職が増え、大学院で身に着けた専門性が十分に活かされていないことに原因があります。

加えて、何となく大学院に進学する人も理系で増え、学校推薦なども競争が激しくなって一般の就活の場に放り出される人も増えており、時間的にも厳しい中で十分な就活対策ができずに学部生に後れを取るケースも少なくありません。就職を考える大学院生は、大学院生の強みを活かした就活の形について考えてみる必要があります。

大学院生の就活は自分の価値に自信を持つことが大事

専門書の書棚の前に立つ大学院生

大学院生は学校推薦でなければ就活で不利と言われてしまいがちですが、決してそんなことはありません。大学院生は専門性や思考力において、学部卒の人よりも平均レベルが高いことは疑う余地がなく、企業にとって非常に貴重な戦力になれるポテンシャルを秘めています。

今は産学の連携によって商品開発などが行われることが少なくありませんが、その際に共同研究の雰囲気を知っていたり、様々な専門家・教授などにコネがあったり名前を知っている、研究内容や著作を知っていることが大きな武器になることもあります。

また、若い労働力が不足する中で、人工知能が活用されたり、海外からも多くの労働力が日本に流入してきていますが、高度な教育を受け、専門性を持った人材を代替することはできません。大学院生は、高卒、学部卒以上に替えが利かない能力を秘めている貴重な人材です。

就活で大学院生であることに引け目を感じるようなら、その雰囲気は周囲に確実に伝わります。大学院生の価値に自信を持たなければ、強みを強みらしくアピールすることもできなくなりますから、まずは大学院生としての自分の社会的価値に自信を持ちましょう。

大学院生の就活対策は研究したことを正しく出す4つのポイントを意識する

大学院生の就活においては、専門性を正しく出すことがポイントになります。大学院生であることの強みを正しく企業にアピールするのです。

対策1.企業に合った専門性ならしっかりアピールする

理系の学生がフラスコで実験

企業の事業分野に合った分野に専門があるなら、理系文系を問わず、その専門性はしっかりアピールしておくべきです。特に理系の研究職や技術職の場合は、面接の際に人事担当者だけでなく現場の社員も参加するケースも多く、専門用語を使っても問題がない場合もあります。自分の研究テーマや特に関心の高いことについて、知識があることや研究意欲が高いことをアピールしましょう。

対策2.担当者に伝わる言葉でアピールする

大学院生の中には、相手の知識レベルを考えずに研究室の関係者に話すように自分の専門分野をアピールする人もいますが、それではアピールにはなりません。また、自分の知識量を示すために、わざと相手が知らない・理解できないだろう内容を話す人もいます。これは間違ったアピールにしかならず、「社会性が無い」と評価されてしまいます。

就職し、ビジネスの世界に身を置くことになれば相手に配慮した話し方、伝わる言葉でアピールすることが求められます。誰にでも理解できやすい伝え方ができるよう、日ごろからよく考えておきましょう。これは知識量ですることではなく、サービス精神と推敲によって行うことですので、しっかり考えて文章を作る時間を確保してください。

対策3.知らない相手に向かって論破・批評しない

研究では、以前からあるものに疑問を投げかけたり、理論的に破綻している部分を指摘したりすることも少なくありません。研究活動では「鋭い視点」と評価されますが、それを志望している企業や他の志望者に向けてしまえば間違いなく落ちてしまいます。

企業が第一に求めるのは「一緒に働きたい人」であり「鋭い視点を持った能力ある人」ではないことに注意しなければなりません。どんなに正論だとしても、よく知らない相手を論破したり批評するような人と一緒に働きたいとは思わないものなのです。

対策4.時間を守ってアピールする

学会発表などでも個人の発表時間は限られているものですが、時間を守って話す意識が就活では薄れてしまいがちです。制限時間が与えられているPRの時間はもちろん、時間が決まっていない面接の時間でも、自分の話に没頭して長々話してしまってはいけません。面接は、「発表」ではなく「対話」の場ですので、面接官の質問にちゃんと答える、一人で長く話さないことを意識してください。

就職ができました!大学院生の就活体験談

面接に臨む就活学生

ここでは、就活に成功した元大学院生3人の就活体験談を見ていきます。早い段階からしっかりと目標を定めて準備をしたことが功を奏し、比較的短い期間で就活を終えたことが分かります。

マイペース就活で内定ゲット

マリカ(31歳)


就活は大学院2年になった春に開始、その年末に内定をもらった段階で終えました。受けたのは5社ほど。大学時代の就活で合う業界や職業を見極めていたので、大学院時代は志望のマスコミだけにしぼってエントリーしていました。

修士論文を同時に仕上げなければならず、また周りが博士課程に進学して学校に残るという雰囲気だったので、就活仲間はできにくく、モチベーションを維持するのが大変でした。

大卒と比べて不利に感じることは特にありませんでしたが、学内で開かれる説明会やイベントに顔を出す時、周りがみんな若くてちょっと気まずかったです。しかし大学院時代の方が業界もしぼっていたので、エントリーシート作成に疲れることもなく、就活の流れも経験済みだったので、のびのびと活動できました。

大学院では好きな分野をとことん追求することが大切です。それを生き生きと面接で語り、興味をもって熱心に話をきいてくれる企業と縁があると思います。

準備は大事だが、フィーリングも大事

ルゼ(37歳)


私は大学院を卒業しており、就職活動は院生の1年生の秋口から始めました。実際に内定をもらったのは1年生の3月ぐらいで、よって、就職活動は半年間ぐらいです。

私は2社に応募しましたが、1社は練習のような感じでした。何故このように数が少ないかというと、大学院生しか採用しないということもありましたが、自分が何をしたいか?どんな企業で働きたいか?など、自分への問いかけの時間を多く持ちました。つまり、準備期間を多目にとり、自分という人間を客観的に評価したり、掘り下げたりすることに費やしました。

この期間を設けたことで、自分を知ることが出来、実際の就職活動や面接などでスムースな流れになりました。

準備は大切ですが、あとはフィーリングも大切です。企業研究や説明会に参加すると思いますが、あまり深入りせずに、直感を大切にして、ここで働いてみたいなぁ。と感じるか否かです。フィーリングは大切なので、皆さんも感じてみてください。

面接の対策をした方がよいです

たーすけ(32歳)


私が就職活動を始めたのは大学院1年生の3月に入った頃でした。会社説明会は何社か行きましたが、実際に試験を受けたのは第一志望の1社のみでした。結局その会社から採用していただき、就職活動は4月中には終了していたので、就活期間は1ヶ月程度でした。

私は理系の大学院生でしたが、同級生はほぼ皆、希望する会社しか入社試験を受けておらず、私を含めて就職活動で苦労している人はいませんでした。何十社受けても採用をもらえない、というような話をテレビなどで見ることがありますが、理系の大学院を出ていればそのような状況になることはほぼないと思います。

ただし、入社試験の面接の質問が少し専門的な視点からの回答を求められる場合もあるので、大卒の方よりも面接の対策をした方がよいと思いました。

大学院を出ているということは、採用する側はある程度即戦力として見ています。大学院までで学んだことが全て生かされる仕事に就けるとは限りませんが、大学・大学院での研究等を通じて、社会人に必要な論理的思考や問題解決力を身につけていただければと思います。

大学院生の就活はいつから始める?

スケジュール帳のカレンダー

大学院生の就活は、学部生と同じくできるだけ早くから始めた方がいいです。体験談では、大学1年生のうちから就活を始めています。就活の成功を望むなら、覚悟を持って早めに取り組んだ方が就活の失敗が少ないです。

大学院生の就活は何社くらい受けるといいの?

自分が研究をしている分野とかかわりが深い企業への就職を目指すなら、エントリー数は絞ってもいいかも知れません。学部生との違いは身に着けた専門性の違いにあるので、そこでは圧倒的に優位に立つことができます。反対に、自分が専門としていることと違う分野に進むなら、一般的な学部生と同じと考えた方がいいでしょう。

大学院生の就活のキモは早いスケジューリングに有り

大学院生が就活をする上で、最大のキモになるのはスケジューリングです。

大学院生の本文は研究活動ですから、何よりも研究をしっかりする必要があります。しかし、一方で卒業後のことを考えるとしっかりと研究活動と就職活動を両立させる必要があります

そのため、できるだけ早い段階、可能なら本格的な研究が始まる前にしっかりとスケジューリングをしておく必要があります。研究なら、おおよその流れと目安の時期をしっかり決めておき、出席が必要と思われる学会やイベントのスケジュールもあらかじめ調べておきます。しかし、就活なら、選考が始まる次期やエントリーが可能な時期、学校推薦のスケジュールなどをしっかり押さえておきましょう。

研究活動と就職活動で、スケジュールが重複してしまうことはどうしてもあると思いますが、その場合に仕方ないと諦めてはいけません。忙しい院生だからこそ、可能な限り自分の都合の良い形にスケジュールを調整するようにしましょう。日程変更であったり、他の人にお願いしたり動画を撮影しておけば一日なら研究を置いておけないかなど、「できる方法」を考えるようにしましょう。

スケジュールを作る、調整することは絶対的に必要であり、また就活が本格化してきた時にスケジューリング慣れておかないと無理がたくさん出てきます。研究活動と就職活動の両立を考えるなら、最初からスケジューリングについて高い意識と、優先順位に関する明確な方針を持ちましょう

就活では大学院生は情報収集をするだけで強みになる

情報収集する大学院生

大学院生は、学部生と比べて修士で2年、博士で5年は長く生きていますし、研究などで第一線に触れているため、学部生よりもずっと大人であり社会を知っています。そのため、同じ情報が与えられても、そこから考えられることがまるで違ってきます。

しかし、大学院生は就活における情報収集を学部生なみに一生懸命やっている人が多くありません。そのために、就活における情報戦で学部生に負けてしまっている人が多いのです。学部生ほど時間が無いために、十分な企業研究や業界研究ができないまま選考に入ってしまい、浅い回答をして落選することもあります。

大学院生は、研究活動では、様々な文献や資料を読み、問題を見つけ、課題解決のために常に頭を働かせています。そこで鍛え上げられた思考力や分析力を、就活での情報収集でしっかり活用するべきです。そのためのコツは、「しっかり時間を出す」ことにあると覚えておいてください。時間を出すことさえ怠らなければ、大学院生は情報収集をするだけで強みが生まれるのです。

大学院生の就活で年齢が高いのは損なのか得なのか

大学院生の就活では、年齢を気にする人も少なくありません。学部生よりも年齢が上になりますが、特に専門性が関係のない分野への就活となると、企業はより若い人材を得たいと思うのではないかと心配になるものです。

しかし、この点に関しては、よほど高い年齢でなければ問題はないと考えてください。今は就活をしても3年後に残っている人の割合は半分程度という時代です。育てて長く働かせることができなければ年齢は関係ありません。そのため、大学院に通っていた程度の年数であれば、誤差のようなものだと考えた方が良く、良い意味で年齢を気にさせないような人格や振る舞いを見せることが大切です。

昔と比べて結婚などのライフイベントの年齢も上がっていますし、また結婚を理由に退職する人も減っています。そのため、就活における年齢は気にするほどの影響を与えません。

ただし、年齢が高いことで得をすることもありません。年齢なりの落ち着きや常識などが感じられなければ、減点要素になりますので、相応の態度を常に意識しましょう。

大学院生の就活に足りないのはノウハウだけ

大学院生の就活は不利になりがちですが、問題の多くはノウハウが不足していたり、ノウハウを身に着ける前に就活に入ってしまうために生じます。学部生は様々なノウハウでガチガチに武装して就活に臨むのですから、よほど優秀な人でなければそのままで違いを作り出すことは難しいです。

逆に言えば、しっかりノウハウを身に着けることで、大学院生の強みをアピールできれば学部生とは明らかな違いが生まれます。スケジュールに気を付けつつ、自分の強みに着目したアピールで志望する企業の内定を掴みましょう。