内定辞退の電話とメール 例文と手順ステッパーツール付き

内定辞退はいつまでに、どうやって伝えるべきか。電話後のメール送付が現在のベスト対応である理由、具体的な例文・会話スクリプト、絶対にしてはならないNG行動を採用側の視点でまとめた実践ガイド。

内定辞退の電話とメール 例文と手順ステッパーツール付き

内定辞退は正当な権利:まず基本的な考え方を整理する

複数企業の選考を並行して進める就職活動では、内定辞退は避けられない場面だ。キャリアチケットが2025年卒業の学生を対象に実施した調査では、内定辞退の経験がある就活生は6割を超えている。内定辞退は決して特別なことではなく、就活生の大多数が経験する一般的なプロセスだ。

また、法的にも内定辞退は民法627条に定められた「労働契約の解約権の行使」に該当し、理由のいかんを問わず認められている。「内定をもらったら断れない」「辞退するのは裏切り行為」という思い込みは正確ではない。自分の希望する企業を選ぶのは当然の権利だ。

ただし、権利であることと、誠実な対応をすることは別の話だ。企業は書類選考・面接・採用会議と多くのリソースを投じてその人を選んでいる。採用担当者の立場から見ると、内定辞退の連絡自体を責めることはないが、「連絡が遅い」「対応が雑」という場合は、その後の印象に確実に残る。

内定辞退はいつまでにすべきか

辞退の決断が固まったら、その日のうちか翌日中には連絡するのが基本だ。遅くとも内定通知を受け取ってから1週間以内、または企業から設定された回答期限内に連絡することが求められる。内定式の開催が決まっている場合は、内定式の日程より前に伝えることが礼儀だ。

採用担当者の立場では、辞退の連絡が遅いほど企業の対応が後手に回る。追加採用の判断、補欠候補への連絡など、辞退の報告が届いて初めて動ける対応が多い。1日の違いが採用計画に影響することも珍しくないため、「少し悩んでから連絡しよう」という先送りは企業への配慮の欠如として映る場合がある。

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内定辞退の連絡方法:電話・メールの使い分けと例文

電話が基本、メールはフォローまたは代替手段

内定辞退の連絡は電話が基本だ。声のトーンや言葉の温度感が伝わり、採用担当者に感謝と誠意を直接届けられる。また、その場で確実に伝わる点でもメールより優れており、企業が追加採用などの対応を迅速に取りやすくなる。

ただし、電話で伝えた後にフォローメールを送ることを強くすすめる。口頭のやり取りは記録が残らないため、メールで改めて辞退の意思を文面として残しておくと、言った言わないのトラブルを防げるほか、担当者が社内で情報共有しやすくなる。

メール単体での対応が許容されるケースは、採用人数が多い企業での大量採用選考、企業から「メールで連絡してください」と指定があった場合、電話を複数回試みたがつながらない場合などだ。

電話をかける時間帯

電話は平日の業務時間内にかけること。目安は午前10:30〜12:00、午後14:00〜16:30だ。始業直後(9:00前後)は朝礼・会議が集中しており、昼休みは不在になるケースが多い。終業間際は業務の締め対応で忙しいため避けるのが基本だ。

電話の会話の流れと例文

電話前に以下の4点をメモしておくと、緊張してもスムーズに話を進められる。

①大学名・氏名、②用件(内定辞退の連絡)、③感謝の一言、④辞退の意思(明確に)。

実際の会話の流れはおおよそ次のようになる。

電話の会話例(採用担当者につながった場合)

「お世話になっております。〇〇大学の〇〇と申します。採用担当の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか?」
→ 担当者につないでもらったら:
「先日は内定のご連絡をいただきありがとうございました。誠に恐縮ですが、今回の内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、大変申し訳ございません。」

辞退の意思は明確かつ穏やかに伝えること。「考え中です」「もう少し待ってほしい」という曖昧な表現では企業を困惑させる。辞退を決めているなら「辞退させていただきます」とはっきり伝えることが相手への配慮だ。

辞退理由は詳しく話す必要はない

理由を自分から詳述する必要はない。「自身の今後のキャリアについて熟慮した結果、別の企業へ入社することを決意いたしました」で十分だ。企業から理由を尋ねられた場合は、正直に他社の内定を選んだことを伝えても問題ないし、「一身上の都合」と答えても失礼にはあたらない。無理に嘘の理由を作ると、話に整合性がなくなって会話が不自然になる。

電話後に送るフォローメールの例文

電話後のフォローメール例文

件名:内定辞退のご連絡 / 〇〇大学 〇〇〇〇

株式会社〇〇〇〇
人事部 〇〇 〇〇様

お世話になっております。〇〇大学の〇〇(氏名)と申します。
先ほどはお忙しいところご丁寧にご対応いただき、誠にありがとうございました。
お電話でもお伝えした通り、誠に恐縮ですが今回の内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。
貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、ご期待に添えず大変申し訳ございません。
面接をご担当いただいた〇〇様をはじめ、採用に関わってくださった皆様には心より感謝申し上げます。
末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。

〇〇大学 〇〇学部
〇〇 〇〇(氏名)
携帯:090-XXXX-XXXX
メール:xxxx@xxxx.ac.jp

担当者が不在だった場合の対応

電話をかけて担当者が不在だった場合は、その場にいる人への伝言はしないこと。「担当者が在籍している時間帯」を確認し、改めてかけ直すか、またはメールで連絡する。その場合はメールに「先ほどお電話させていただきましたが、ご不在でしたのでメールにて失礼いたします」と一言添えると丁寧な印象になる。

エージェント(人材紹介会社)経由で応募した場合

就活エージェントや転職エージェント経由で応募・内定を得た場合は、企業に直接連絡するのではなく、まず担当エージェントに辞退の意思を伝えること。エージェントが企業への連絡を代行するケースがほとんどだ。

絶対にしてはならない3つの行動

1. 連絡せずにフェードアウトする

内定辞退の連絡を一切せず、期限を過ぎても無視することは絶対に避けなければならない。採用担当者が追加採用の手配もできないまま時間だけが経過し、企業の採用計画に深刻なダメージを与える。また、業界によっては採用担当者間で情報が共有されることがあり、のちの転職活動や業務で思わぬところで影響が出る可能性もある。

「断りにくい」「怒られそうで怖い」という気持ちは理解できるが、採用担当者の立場から見ると、辞退の連絡を誠実に入れてくれた就活生に対して怒る人は少ない。むしろ連絡がない状態が続くほど、企業側の心証は悪くなる一方だ。

2. SNSで辞退した企業の悪評を拡散する

辞退した企業についての否定的な感想をSNSに投稿することは、内定辞退とは全く別の問題を引き起こす可能性がある。匿名アカウントであっても、経歴や記述内容から本人が特定されるケースは実際に起きている。入社前のこの時期のSNS投稿は就職後の職場環境にも波及しうる。不満があれば信頼できる身近な人に話すにとどめておくのが賢明だ。

3. 整合性のとれない嘘の理由を伝える

「病気になった」「家族の事情ができた」など事実と異なる理由を持ち出すと、採用担当者から詳細を聞かれた際に説明が破綻する。また、正直に話した方が会話はずっとスムーズに進む。採用担当者は多くの辞退連絡を経験しており、「他社に決めた」という正直な答えに対して特別に責め立てることはほぼない。正直さの方が双方にとって楽だ。

内定辞退の連絡で採用担当者に好印象を残す対応とは

採用担当者の立場で「この就活生はきちんとしている」と感じる辞退の連絡には、いくつかの共通点がある。決断後すぐに連絡している、声のトーンから本当に悩んで決めたことが伝わる、感謝とお詫びの言葉が具体的だ、などが挙げられる。

逆に印象が悪くなるケースとして多いのは、回答期限を大幅に過ぎてからの連絡、言葉に誠意がなくそっけない対応、「他が決まったので」とだけ言って電話を切ろうとするケースだ。

内定辞退は悪いことではない。しかし、その連絡の仕方が社会人としての第一歩となる。誠実な対応は採用担当者の記憶に残り、業界が狭い場合には数年後に思わぬ形で再会することもある。丁寧な辞退連絡は、次のステージに向けての自分自身のためでもある。