就活

アルマーニ制服を銀座の小学校で導入した問題をどう考える?

アルマーニ制服が銀座の小学校に導入されメディアで話題になりましたが、時事問題を考える練習としても格好の題材になっています。自分が意見を求められた際に、しっかり意見が言えるよう様々な情報を咀嚼して、自分なりに考えてみましょう。

アルマーニ制服が巻き起こした制服・公立学校に関する議論

2017年の初秋に話題となり始め、2018年4月には導入されて入学式が執り行われた、東京都銀座に位置する泰明小学校のアルマーニ制服。上下で4万円以上、洗い替えを含むとフルセットで9万円以上という価格設定は世間に衝撃を与え、今もなお様々な議論を巻き起こしています。

就職活動においては、こうした時事問題に対してどのような反応・意見があるかによって、自社との適性を判断したり、ポテンシャルを推し量る企業が多くなっています。

アルマーニ制服も大きな話題となりましたので、様々な考え方を知り、自分の意見を知っておくことで就活対策になります。大学生の酒井君と、経営コンサルタントのK・エーイ氏の二人の会話を聞いてみましょう。

アルマーニ制服が与えた衝撃は大きい

―おはようございます、エーイさん。聞いてくださいよ。今日、ついに見ましたよ、噂のアルマーニ制服!ずっと気になっていたんですけど、やっぱり見てみるとカッコイイですね。

おはようございます。酒井君、今日も朝からテンション高いですね。まあ、私もアルマーニ制服は気になっていましたから、銀座の近くで用があった際に、学校の近くを歩いてみたら見る機会がありました。

―ちょっと、エーイさん、不審者ですよ(笑)。

そんな。良識の範囲内で通っただけですよ(笑)。すぐそんな目で見るのだから、怖い時代になったもんです。

―それはともかく、アルマーニ制服ってかなり叩かれてたというか、話題になりましたよね。就活サークルでも、「これは時事問題に出そうだ」と注目されています。

そうですね。アルマーニ制服は時事問題としても面白い題材でしょうしね。いろんな面で衝撃がありましたからね。価格はもちろん、ブランドとか、制服のあり方とか、学校のブランディングとか、銀座という土地への考え方とか。

―そうですよね。色々な議論があったと思うんですが、撤回されることなく入学生全員が新しいアルマーニ制服で入学したという話ですし、入学者が激減したということでもない。さあ、この結果をどう考えるかは、今後の学校運営などに大きなインパクトがあるんじゃないかと見ています。

アルマーニじゃなくてもいいけれど学校の制服は何のためにある?

酒井君は、学校の制服は何のためにあると思いますか?

―制服がある理由ですか?「服装による格差を無くすため」じゃないかと思っていますが。

なるほど。とても合理的で納得のできる理由ですね。他に思いつきますか?

―「学校の生徒であることをハッキリ示すため」ですかね。

そうですね。自分の地域であれば、たいていは制服を見れば学校がわかったりしますよね。これは生徒の保護はもちろん、生徒たちが犯罪を犯すことへの抑止力にもなります。また、生徒たちにはアイデンティティにもなりますよね。

―エーイさんは他に何かあると思いますか?

まあ、ちょっとマイナーな理由かもしれませんが、「学校生活がしやすいように」というのがあるんじゃないかと思っています。さすがにドレスで掃除はしにくいですから。

―ふむふむ。確かに。

最近は「服育」と言って、衣服を通してTPOやマナー、国際性や文化、環境問題など様々なことを教えることも大事な教育という考え方が出てきていますね。当然、制服のオシャレさを求める人も多く、女子なら「制服のカワイイ学校に進学したい」という希望も多いそうですから、制服っていろんな役割があるんだなって思いますね。

アルマーニ制服を銀座の小学校が導入した問題点は何?

―アルマーニ制服が問題になったのって、結局何だったんでしょうね?やっぱり価格なんでしょうか?

そうですね。価格という点では間違いなく問題になるでしょうね。いくら銀座の商業地域にある小学校とは言っても、公立学校ですから、価格の点ではおそらく高いと感じるでしょうね。

―そうですよね。制服が高いということで通えない生徒もいるかもしれませんし。

ただ、そうとばかりも言い切れません。そもそも新らしくアルマーニ制服が適用されるのは新入学の生徒からでしたし、価格については保護者たちの承諾があれば問題はないはずです。入学人数が大きく変わらなかった点を見ても、価格設定にそこまで問題があったとは思えません。結果論ですが。

―え?でも、普通は2~3万円もあれば十分じゃないですか。それでも高いと思うこともあるのに。

そうですね。普通はそう考えますよね。でも、件の小学校の家庭の平均的な家計の状況によっては問題がないとも考えられます。「格差をなくす」というのは「標準的と思われるところに揃える」ということでもありますから、決して「一番下に揃える」ではないのです。

―わかるような、わからないような。

つまり、普段ちゃんとした服を着ている人が、「格差是正」の名の下に粗悪な服を着せられたら怒るでしょう?ってことです。オシャレさんが制服を「ダサい」って怒るじゃないですか。そんな感じです。

―なるほど。そういう考え方もあるのか。自分の目線でしか見ていなかったかも。

今回のアルマーニ制服の一番の問題は、制服やブランドを決める際の過程が不透明で、校長個人の考えに大きく依存しているのではという疑いがもたれてしまったことですね。結果的にアルマーニという世界的一流ブランドだったことから、騒ぎも大きくなってしまったという感があります。

―最近は何かと教育現場の物事の決まり方が問題になっていますから、そういったこともあって盛り上がっちゃったんですかね。

そうでしょうね。マスメディアは特に、今何を取り上げれば注目されるかというのをよく知っていますから。そして、常にネタは集めておいて、こういう注目されるタイミングで炸裂させることができるように準備していることもあります。

―ひえ~。そう考えると怖いですね。

怖いですよね。ただ、マスメディアが悪いということでもなく、それもメディアの仕事のひとつですから悪く言うこともありません。根本的には教育現場における意思決定過程やコンプライアンスの考え方がまだまだ日本では未成熟という部分が問題なんでしょうね。

―特に、今回のアルマーニ制服に関して言えば、やっぱり費用負担が家庭にあって学校にはないですから、このような問題は大きな問題なんだと思います。せめて学校が負担するとか、一部を負担するとか決まりがあればこういう決定にはならなかったんじゃないかという気もしますし。だから、ちゃんと話し合いや説明が必要だったんじゃないかなって思います。

アルマーニ制服で品質についての議論はほとんどない

ところで、私がひとつ懸念しているのは、このアルマーニ制服について、品質の議論がほとんどないことなんですよ。そのため、多くの議論は言いがかりにすぎないと思っています。

―へぇ。エーイさんはそういう風に考えているんですね。詳しく聞かせてください。

はい。普通、「値段が高すぎる」っていうのは相場に対してです。そして、価格相場というのは品質に伴う需要によって決定するものです。アルマーニの服という基準で考えると、今回の制服の価格は別に「高すぎる」というようなものではないんです。

―そりゃあ、ハイブランドですから、そのくらいの価格にはなるかもしれませんね。

そうです。品質という面を考えると、やはり高級ブランドの服って優れているものが多いんですよ。長く使えたり、通気性などが優れていて肌触りもよくかぶれにくかったり。縫製もしっかりしていて破れにくいとか。そういう品質上のメリットは、子供たちの健康管理や成長、学校生活上のメリットも多いと思うんです。

―でも、子供たちが遊んでいるうちに制服が汚れたり、穴が開いたりは避けられないのでは。

そうですね。それは仕方ない面はありますよね。体が成長することを考えると、1~2年使っては買い替える「消耗品」と割り切ることができるかどうかが問われます。制服の洗濯は自宅では難しいという話もありますし、維持費もそれなりにかかるかもしれません。

―個人的には、親から「服を汚すな」っていっぱい怒られそうに思いますし、活動も制限されるんじゃないかと思います。

そうかもしれません。このあたりは親の教育や意識の植え方が大事になるんでしょうね。少なくとも、活動を制限しているのは制服ではなく意識ですから。服には罪はありません。

―確かにそうかもしれませんね。でも、やっぱり高いと使いにくい気がします。

しかし、逆に学生だと、冠婚葬祭に制服をつけていくことも多いでしょう。そういう時に、どこに行くにも気後れすることも新たに準備する必要もないというのは、アルマーニ制服の品質ならではのメリットでもあるんじゃないかと思います。

―なるほど。言われてみるとそうですね。

ええ。高所得層になれば、家族でいろんなパーティーや会席へ出席する機会も多くなるので、そういった社交の場への召し物としてもアルマーニ制服が使えることを考えれば、高すぎるってこともないかもしれません。

―うーん、自分が庶民だって改めて思わされる発言。

まあまあ。あくまで可能性の話ですよ。ただし、このアルマーニ制服を着ることによって逆に犯罪者に狙われる可能性が高まる可能性もあります。メリットデメリットを両方考えて、慎重な判断と、そして導入後は適切な管理・保護が家庭や学校、地域で行われる必要があるでしょうね。

アルマーニ制服の導入に学校の思惑が透けて見えるという意見がある

―就活サークルの仲間と話していると、今回、アルマーニ制服の問題を通して学校側のいろんな思惑があると見ている人も多いですね。

思惑?どういったことですか?

―たとえば、アルマーニ制服にすることで入学者を選抜して、高所得層の子息子女を集めようとしているとか、学校側のマーケティング手段として使おうとしているという話です。

なるほど。まあ、そういう面もあるでしょうね。この小学校は、区内全域から児童を受け入れることのできる特認校ですから、逆に良い生徒を選別するという私学のようなことをするのは良くないのかもしれませんが。

―でも、そうとしか思えないっていう人もいますし、銀座に小学校を置く必要はないんじゃないかって人もいました。それに、裕福な家庭の子供たちの入学者が増えれば、学校も教育がしやすく問題児も少なくなるって考える人もいました。

そうですね。少子高齢化の中で、さらに銀座は商業地域ですから、学校としても生き残りを考える必要はあるんでしょうね。その中で、銀座という立地を活かした教育やブランディングを色々考えているのでしょう。でも、それを良くないとは私の立場では言えないですね。学校がひとつの企業なら、当然の対応だと思いますから。

―そうなんですね。でも、公立学校のイメージから遠く離れているようで、感情的な問題かもしれませんが理解しがたい部分があります。何か、「公正」「平等」って感じがしないんですよね…。

アルマーニ制服は導入が早すぎたのかもしれない

酒井君の言うことはもっともだと思いますし、きっと大多数の意見はそうなんじゃないかと思います。そういう意味では、アルマーニ制服は良いとか悪いとかじゃなくて、「早すぎた」のかもしれません。

―早すぎた?それはどういうことでしょう?

つまり、日本における制服や公立学校に関する考え方だったり、生活の格差に関する考え方だったり、そういった部分で今回のアルマーニ制服は受け入れがたいという反応ですよね。

―それってつまりは悪いってことじゃないんですか?

ちょっと違いますね。いろんな立場や、生活のあり方があるということを想像し受け入れるというダイバーシティや、人は世界の中の一市民であるというコスモポリタニズムなどの考え方が一般的になってくるなら、こうしたものも認められるべきと考えるようになると思うんです。

―そういうもんなんですかね?

はい。そういうものだと思います。もっとも、そうなった時にアルマーニ制服を導入する必然性や妥当性が学校にあれば、ということですけどね。たとえば、昔は子供に携帯電話はもたせるべきではないという考え方が教育現場では強かったのですが、今はどんどん変わってきています。

―制限はあるにしても、確かに子供の携帯電話は許可されるようになりましたね。つまり、最初から持ち込んでいいと言っていた学校は確かに批判もされましたが、それは時代が早かったってことなんですね。

はい。時代が変わって、人々の考え方が変わってくることで非常識に思えたものが常識になることもあります。私個人としては、スタンダードになることは無いとしても、今回のアルマーニ制服のような多様性を認める方向に世の中が流れていくのではないかと見ています。

―人によって考え方は色々なんですね。このアルマーニ制服の問題では僕とエーイさんの考えが全く違っていて、なかなか興味深い話が聞けたなぁって印象です。今後の様子を見ながら、今の議論の答えを確認することになるんでしょうね。ありがとうございました。

アルマーニ制服について自分の考えを持とう

アルマーニ制服については賛否両論がある中で、実際に導入されるようになっています。周囲の反応も様々にありますが、他人の意見ではなく、自分の意見を持つことが大切です。情報を受け売りにして説明するのと、情報を咀嚼して自分の意見を語ることは、内容は同じだとしても発言の深みや応用力が大きく違ってきます。就活における時事問題は、情報を覚えるのではなく、実際に自分で考えるようにしてみてください。