「とりあえず」は敬語じゃない?連絡に使える表現5つ

「とりあえず」という言葉は、ビジネスシーンで敬語と一緒に使うと返って失礼にあたることから、口癖のように使っている人は要注意。ここでは、「とりあえず」を使わない敬語表現として、相手に失礼にならないような職場に適した正しい会話例をご紹介します。

「とりあえず」は敬語じゃない?連絡に使える表現5つ

「とりあえず」は敬語と一緒に使ってもマナー違反になる

誰でもつい口にしてしまう「とりあえず○○」という表現。実は、敬語と一緒に使ったとしてもビジネスシーンには適していないってご存知でしたか?どんな会話にもマッチするとっても便利な「とりあえず」ですが、意識せずに使っていると自分では知らない間に、周囲の人に嫌な印象を与えてしまう危険な言葉でもあるのです。

ここでは、「とりあえず」の意味や「とりあえず」を使うことがマナー違反とされるビジネスシーンで、それに代わる敬語表現や会話例をご紹介します。「とりあえず」が口癖の皆さんは要チェックです。

「とりあえず」の意味は?使う場面を間違えると大変!

上司に資料を報告する部下

社会人の皆さんや目上の方と会話をする機会がある人は、いくら丁寧な言葉で会話を心がけているとしても「とりあえず」の使用はNGです。順調に進んでいた会話の流れが「とりあえず」を使うことによって一瞬で空気が凍り付いてしまうこともあるので注意しましょう。

特に相手が目上の方であればあるほど、「とりあえず」という言葉に気分を害される可能性は大です。なぜ、それほどまでにビジネスシーンでの「とりあえず」の使用には注意が必要なのか、まずは「とりあえず」という言葉の意味を考えてみましょう。

「とりあえず○○する」という場合、「よく分からないけどその場しのぎのためにやっとく」とか「断定的な表現を避けるために曖昧な感じにしておく」というニュアンスで、何となく使っているという人が多いでしょう。

とりあえず(取り敢えず)は、「取るべきものも取らず」というのが本来の意味で、ほかのことは差し置いて優先的に行う場合に使われます。例えば、「とりあえずビール」という表現は、『他の飲み物は後回しにして…』とか『食事やつまみを食べる前に』のような意味が含まれていることから、あながち間違いではありません。

ところが、「とりあえず」には『やけどをしたら、とりあえず冷やす』のような、応急的な場合にも使われることから、次第に一時しのぎや急場しのぎのような印象を与えるようになってしまったのです。

「とりあえず」は投げやりな印象を与えてしまうことがある

取引先に電話営業をする会社員

例えば、とても大切な会話の中で「とりあえず検討してみます」とあなたが発言したとしましょう。決して前向きな発言とは言えません。

特に、取引先の方のような重要なポストの相手との会話では、このような投げやりなニュアンスを持つ言葉を発するだけで、あなたはもちろん会社の印象までもが「なんていい加減なんだ!」と不快に思われてしまうのです。

【敬語の使い方】ビジネスシーンで恥をかかないためのマナー

「とりあえず」を完璧な敬語に変換するおすすめの表現例5

資料を報告する女性社員

丁寧な気持ちで使っているつもりでも、相手に対して失礼な言い回しになってしまう「とりあえず」。使い慣れている人は「気にし過ぎじゃない?」なんて軽く流してしまいそうですが、ビジネスシーンでは避けたほうがいいワードのため、「とりあえず」を使ってしまいそうになった場合は、他の無難な言葉に置き換えるのがおすすめです。

それでは、「とりあえず」はどのような言葉に変換すると、ビジネスシーンにでも使えるパーフェクトな敬語になるのでしょうか。ここでは、私たちがついつい職場でやってしまいがちな「とりあえず」のNG会話例と、それを完璧な敬語フレーズに変換する方法をご紹介します。

NG例1「とりあえず書類をここに置いておきます」

これは「自分がまとめた書類を上司に渡す」という動作についての発言ですが、書類を渡される上司には、「とりあえずな仕事を持ってこられている」と受け取られてしまう可能性もあります。

おすすめワード~「ひとまず」

「部長、ひとまず書類をこちらに置いておきます」という言い方にすると、書類が出来上がったので、一旦区切りをつけて上司に確認をしてもらう…というニュアンスになります。

NG例2「先日のプロジェクト案をとりあえず送って頂けますか?」

取引先の方に「とりあえず送ってくれ」というのは、かなり失礼に当たる表現です。いくら丁寧に言っているつもりでも、「とりあえず」を使うことで偉そうで投げやりな印象を与えてしまいます。

おすすめワード~「さしあたり」

「さしあたって、先日のプロジェクト案をお送り頂けますか?」という言い方にすると、「とりあえず」よりは緊急性が低いものの、書類の送付を優先してほしいというニュアンスになります。

NG例3「とりあえず報告書を読みました」

お客様先に営業へ向かう会社員

上司:「田中君、報告書には目を通したかな?」
部下:「とりあえず読みましたけど…」

部下にとっては、読むことは読んだけれど、内容を完璧に理解したと思われないための安全策として「とりあえず」をつけただけなのでしょうが、上司にしてみると「ちゃんと読んだのか?!」と注意を受けてしまうこともあります。

おすすめワード~「一通り」

上司から報告書を読んだのか?と聞かれた際、「はい、一通り読みました」と答えると、内容を理解しているかどうかは別として、ちゃんと読んだということは伝わるはずです。

NG例4「とりあえず、資料の5ページ目をご覧ください」

会議の席で発言をするとなると、誰もが少々緊張してしまいますが、そんな時に普段使い慣れている言葉を連発してしまう恐れがあるので要注意。「とりあえずってなんだよ」と、相手の見る気が失せてしまうような投げやり感を秘めた一言になってしまいます。

おすすめワード~「まずは」

「まずは、資料の5ページ目をご覧ください」というさり気ない言い方に変えるだけで、シンプルできちんとした印象の会議にピッタリな発言に早変わりします。

NG例5「とりあえず来週には、新規の取引がまとまりそうです」

上司に対して、大切な商談について「とりあえずまとまる」なんて報告をしてしまうと、まとまるものもまとまらないような印象を与えてしまいます。特に、取引先からは「本当に契約する気はあるのか?」と思われてしまう恐れがあるので、絶対に使ってはいけない表現です。

おすすめワード~「○○の予定です」

「○○様との取引ですが、来週中には話がまとまる予定です」という言い方なら、場合によっては変更になるかもしれないけれど、何もなければ契約がまとまるということが、上司にもきちんと伝わります。

ビジネスメールでの「とりあえず」は「取り急ぎ」の敬語がおすすめ

正しい敬語を教えてくれる社員

ビジネスメールにおいて、「とりあえずご報告までに」などの表現を使ってしまいがちですが、メールであっても「とりあえず」はNGです。とりあえずを使いたくなった時は、似た表現に「取り急ぎ、メールにて失礼致します」という結語があります。

慣れるまではなかなかメールの最後の締め方が分からないものですが、内容よりも目に留まりやすい部分なので、次のような正しい敬語表現を身につけておきましょう。

ビジネスメールの結語の文例

・取り急ぎ、メールにて失礼を致します。
・取り急ぎ、メールにてご報告申し上げます。
・先ずは、取り急ぎご報告申し上げます。
・先ずは、ご報告申し上げます。

上司へメールを送るときに気を付ける6つのポイント

「とりあえず」に変わる正しい敬語を身につけよう

私たちが普段口にする言葉の中には、日常で使う分には問題がなくても、ビジネスシーンには相応しくない表現がたくさん存在します。そんな中で今回ピックアップしたのが「とりあえず」です。

「とりあえず」という言葉には、曖昧でいい加減なイメージがあることから、いくら丁寧な言い方をしても悪い印象を与えかねません。今回紹介した「とりあえず」に変わる敬語を覚えて、ビジネスシーンで正しい言葉遣いをできるようにしましょう。