契約社員の退職手続きで注意したいポイント5つ

契約社員が退職する時は、契約の定めがあることに伴い、正社員が退職する場合とは手続き内容が異なります。契約している内容や期間によって、退職をするタイミングや退職時の処遇に影響が出る可能性もあります。契約社員の人は退職前に退職手続きの流れとポイントを確認しておきましょう。

契約社員の退職手続きで注意したいポイント5つ

契約社員の退職手続きで確認しておきたいこと

契約社員が退職する場合は、正社員が退職する場合とは異なり、気を付けておかなければならないポイントがあります。退職したいと思ったタイミングで退職をしようとすると、会社側と思わぬトラブルになってしまうこともありますので注意が必要です。契約社員が退職する時の手続きポイントを細かくまとめていますので、契約社員の方は退職する前によく確認しておきましょう。

契約社員が退職手続きで注意するポイント5つ

契約社員について考えてるスーツを着た男性

契約社員というのは、会社と個人が「いつからいつまで、この条件で労働する」という契約を結んでいるということです。この契約は、契約書にサインや捺印をして契約をしている以上、法律上有効な契約です。

会社の中で雇用形態が異なる人と一緒に組織の一員として働いていると、「契約を結んで働いている」ということを忘れてしまいがちですが、しっかりと忘れずに認識しておく必要があります。それを踏まえた上で、契約社員が退職手続きをする時の注意点をよく読んで理解してください。

1.契約書を確認する

契約社員が退職手続きをする時は、退職の理由が自己都合・会社都合のどちらであるかに関わらず、まずは契約書を確認することが重要です。

確認するポイントは、まずは契約期間です。契約社員の場合は、契約期間が満了するまでは働くということが大原則になるため、退職したい時期を契約期間が満了するタイミングに合わせる必要があります。契約書には、契約の期間や仕事の内容、給料の待遇が書かれている以外にも、退職する場合の手続きについても細かく記載されている場合がありますので確認しておきましょう。

それ以外にも、社内の規約・規則・規定等で「契約社員が○年以上在籍した場合は○○円を支給する」といった対応を行っている企業もありますので、ルールや規則・規約については一通り確認しておきましょう。

2.何日前までに退職を申し出る必要があるかを確認する

契約社員に限ったことではありませんが、退職したい場合は何日前までに退職する意思を表示する必要があるかを契約書等で確認しておきましょう。多くの会社では、一ヶ月以上前に申し出るのが原則になっています。申し出るタイミングが遅すぎる場合、希望するタイミングでの退職手続きが難しくなる場合もありますので注意が必要です。

3.契約途中の退職は原則不可

契約社員の途中退社を止めようとしてるスーツを着た女性

契約社員が退職する時は「いつからいつまで働く」という契約を会社側と結んでいる以上は、契約途中で退職することは原則出来ません。もちろん病気等のやむを得ない事情等があるのであれば契約の途中終了が会社側から認められますが、それ以外の理由では契約を途中で解約するということは原則出来ない決まりです。

例えば「別の仕事がやりたくなったので転職したいから退職します」というのは、やむを得ない事情には該当しません。このような個人的な理由で「次回の契約手続きを更新しない」というのは問題ありませんが、「契約途中での解約」する場合は、会社からNOと言われる可能性があります。

もちろん、会社側が認める場合はこの限りではありませんが、会社からNOと言われているにも拘らず無理やり退職手続きを進めれば、契約違反で法的措置を取られてしまうこともありますので注意が必要です。

4.退職の意思表示だけでは契約更新にはならない

会社によって、契約を更新する前に契約更新の意思を確認する面談を行うケースがあります。そのような面談の場で「次回も契約を更新する意思がある」ということを意思表示した後に退職手続きをしたいと思った場合は、契約満了後の退職であれば問題にはなりません。

契約締結は口約束や口頭での確認では成立せず、書面にサインや捺印をすることに成立するものです。そのため、契約を更新する旨の書類にサインをしていないのであれば、契約を更新せずに退職することは可能です。ただし、契約書にサインをして契約が成立した後に「やっぱり退職します」というのは原則NGとなります。

5.初回の契約終了時についての注意点

契約社員は、次回の契約更新手続きが無い場合は、あらかじめ会社側より「次回の契約は更新しない」という趣旨の意思表示や告知があります。

そのため、会社都合で契約満了になる場合はあらかじめ分かるということになりますが、初回の契約更新時については会社側から「次回の契約は更新しない」という意思表示や告知をしなければいけないという決まりはありません。つまり「契約日をもって契約終了」という扱いになりますので、会社側からも契約社員側からも契約終了の意思を伝えることなく契約終了になる可能性があります。

原則としては契約手続きを更新する・しないにかかわらず会社側から何らかの話がありますが、初回については確実に意思表示や告知があるというわけではないため、何も言われなければそのまま契約終了になる可能性があるということを頭に入れておきましょう。

契約社員の退職手続きは正社員の退職と何が違う?

契約社員が退職する時は、正社員が退職する場合と比較すると、考え方や手続きが異なりますので、以下でご紹介します。

契約期間に伴う退職の考え方が違う

契約書にサインをする女性社員

正社員は契約期間という概念がありませんが、契約社員には契約期間の定めがあります。つまり、有期雇用契約を結んでいるという点が、正社員と契約社員の大きな違いです。どのくらい長さの期間で契約するかということは会社によって異なりますが、契約期間が切れるごとに新しい契約書にサインをしています。

そのため、契約社員が退職を申し出るということは、契約途中で申し出る場合は「契約を途中終了する」ということになります。また、契約満了と同時に退職手続きをするということであれば「次回の契約更新をしない旨を会社側に伝える」ということになります。

退職時の条件が違う

会社によって異なりますが、多くの会社の場合は正社員と契約社員で賃金や待遇といった条件に違いがあります。これは退職時にも同様のことが言えますので、契約社員の場合は正社員がもらえる退職金等のお金がもらえないということが考えられます。

また、正社員はいつ退職しても原則として何もペナルティはありませんが、契約社員は契約を途中終了した場合に何らかのペナルティがある場合もあります。

契約社員が退職になる時はどんな時?

契約社員が退職になる場合には3つのパターンがあります。以下の通りご説明しますので、契約を結ぶ前に覚えておきましょう。

1.更新が初めから無い契約の場合

カレンダー

契約書には「更新の有無」や「更新する場合の判断の基準」について明記されていますが、その契約書の中に初めから「更新はしない」と明記されている場合があります。その契約を締結してしまえば、その契約が満了した時点で契約が終了し、退職になります。

2.契約社員側から契約を更新しない旨を申し出る場合

自分から次回の契約を更新しないという意思を表示した上で次回の契約を締結しなければ、現在の契約の満了日をもって退職となります。契約期間の途中で退職することは、やむを得ない事情が無い場合は原則として認められていません。

3.会社側から契約を更新しない旨を告知される場合

会社側から契約社員に対して、次回の契約を更新しない旨をあらかじめ言われる場合があります。ただし、契約書の中で「更新の有無」が「有」になっており、「更新する場合の判断の基準」を自らが満たしていると考える場合については、会社側に契約を更新しない理由を書面で確認することが出来ます。内容を確認した結果、内容に納得が出来ない場合は、企業と話し合うことで契約が更新になることも考えられます。

会社側が契約社員とこれ以上契約を更新しない場合、更新の契約書を渡す際に「今回は契約更新をするが、次回は契約更新を行わない」ということを伝えた上で契約を締結するというやり方が一般的です。この場合、渡される契約書の「更新の有無」の欄は「無」で渡されます。

契約社員の退職理由:自己都合と会社都合の違い

契約書を提示して話をしてる女性社員

契約社員が自己都合を理由として退職する場合は、「次回の契約は更新しない」という旨を決められた期日までに会社側に申し出れば、契約終了ということで退職になります。

一方で、会社都合が理由で退職になる場合もあります。会社都合が理由の場合、契約社員だからといって、何の予告もなく急に会社都合で雇止めになるようなことは原則ありません。

契約社員であっても、雇用期間が1年を超えている場合や、契約が合計で3回を超えている場合については、雇止めをする場合でも30日前には予告をしなければいけないという決まりになっています(注1)。

契約社員が退職手続きをする時は契約期間と契約内容に気を付けて

契約社員が退職するにまず気を付けておくべきポイントは「契約期間」と「契約内容」です。契約を締結している以上、契約を破棄したり、契約を途中解約することは原則出来ません。契約書はある程度、契約書を作る側の会社の裁量で条件を書けるため、退職時の状況によっては不利益を被ることも無いとは言えません。退職手続きをする前には必ず一度、契約書に細かく目を通しておきましょう。