昇進を拒否することによるリスクと断る場合の注意点5つ

昇進を拒否する人が増えていますが、その理由は様々です。会社側には人事権があり、昇進はその執行にあたります。従業員がもしも昇進を拒否するなら相応の理由が必要で、場合によっては不利益を受ける可能性もあることを理解しておく必要があります。

昇進を拒否することによるリスクと断る場合の注意点5つ

昇進を拒否したいという人が増えている

近年、会社で昇進や昇格、出世をすることに対して拒否したいと考える社会人が多くなってきています。給与の問題や労働条件、拘束時間など理由は人によって様々ですが、安定して落ち着いている現状を大きく変えたくないという気持ちが背景にあります。

また、日本の以前の職場環境と比較して、昇進そのものにあまり魅力がなくなっていることも起因しています。多くの階層ができ、昇進によって待遇は変わらず、一方で仕事量は増えるということも多くなっていることから、決して納得できない話ではありません。

昇進を辞退・拒否したい場合に考えられるリスクや、拒否する際の注意点について考えてみましょう。

昇進が拒否できるかできないかは就業規則次第

就業規則を破る男性

元々の労働契約には、ある程度の業務内容が決まっているものです。しかし、昇進というのは当初の雇用契約の内容と違う仕事を依頼するという側面もあり、文書化などはされていないものの、労働契約の変更ということにもなり得ます。そのため、労働者の同意なしに労働条件を大きく変えることは難しいものです。

ただし、就業規則の中に「昇進については一般的な社会的通念において合理的であると考えられる理由がない限りは受諾するものとする」などの規定がある場合は話が別です。この場合、規定には納得済みで入社し働いていることになりますので、余程の理由がない限り昇進を拒否することはできません。

企業には適切なポジションに人材を配置する人事権があります(注1)。労働者側の生活などを大きく変えるようなケースにおいては同意が必要であり、それを理由に解雇したり不当な扱いをするということは許されていませんが、人事権における企業の裁量は大きく、正当な辞令に対して拒否した場合には懲戒や解雇を命じることもできます。

昇進を拒否するための適切な理由とは?

車いすに乗って戸外を移動する老人

企業には人事権があり、従業員を「企業活動を最適化するために」配置する権利を持っています。昇進を拒否することは制度上可能ですが、実際には正当な理由がなければ断るのは難しい面があります。

今、昇進を拒否する人が増えている理由のひとつに「残業代がつかなくなるから」というものがありますが、これについては「企業活動の最適化」という視点と真っ向からぶつかるものとなってしまいます。

残業をすることによってそれ以上の利益を会社に提供している人であればいいですが、そうではなく会社にとっての損失を発生させているようであればこれをカットすることには正当性があり、そのための穏やかな方法として昇進が使われている場合もあります。この場合には拒否することは難しくなります。

昇進を拒否する事情として、「介護を必要とする家族がいて仕事の時間が増えると困る」「持病の関係でストレスや長時間労働には医師から注意されている」というような事情であれば正当性があるものとして昇進を拒否することも可能です。

少なくとも「妥当と思われる就業時間の範囲内」においては、従業員は所属する組織の企業活動の最適化のために努力する義務があります。それを大きく逸脱するような内容の昇進でない限り、個人の事情は適切な理由なしには通用しないと考えておいた方が良いでしょう。

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昇進を拒否した方が良いケース

突然できた新部署を見上げるビジネスマン

昇進を拒否した方がおそらく良い結果になるというケースもあります。それはどういう場合かというと、突然生じたポストへの昇進です。具体的に言うと、役職名はつくものの、今までの仕事とは全く求められるスキルも違っているような場合です。

中には専門性も発揮することができず、また昇進とは言うものの部下がおらず、結局は上司に自分が管理された中で仕事をしなくてはならないという「悪意ある辞令」である可能性があるのです。

普通、企業における部署組織の構成は企業の戦略に合わせて決定されていきます。企業の戦略上、特にその部署の必要性が感じられないような部署が新設され、そこに配属されたり管理職として回されるような場合には、昇進は拒否しておいた方が無難です。

このケースにおける昇進を拒否したことで不当な扱いを受けたり、懲戒や解雇になるようなことがあれば、労働組合や労働基準監督署に訴えることもできます。

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昇進を拒否する際に注意しておきたいこと

従業員が昇進を拒否する際には、いくつかの注意点を押さえておくことが必要です。

1 感情的な拒否の仕方をしない

昇進を思い悩む男性

もしも昇進について話があった場合、どんなに嫌だったとしても感情的に拒否してはいけません

感情的に昇進を拒否した場合には、何か良からぬ理由があるのではないかと疑われる原因になってしまいます。また、会社の指示に対して感情的に反発したということで印象が悪くなり、ペナルティを受ける可能性が高まります。

2 次のチャンスはなかなかめぐってこない

昇進を拒否できる環境であったとしても、一度昇進を断ってしまうと、次のチャンスはなかなかめぐってこないものと思っておいてください。

昇進のチャンスを狙っている人は多く、昇進したくないと思っている人は少ないのです。そのため、チャンスを一度逃すと、同年代や後輩にチャンスが移り、自分に次にめぐってくるまでは長い時間が必要となります。

3 正当な理由には証拠が必要な場合も多い

昇進を拒否する際に病気や家族の介護など様々な理由を説明する必要がありますが、会社によってはその裏付けとなる証拠の提出を求められる場合もあります。

証拠の一例としては、例えば医師の診断書であったり、家族と同居しており介護が必要となっている状況を証明するための書類などが挙げられます。虚偽の申告がバレた場合には、昇進した上で印象も悪くなるという個人として最悪の結果になるので注意が必要です。

4 昇進だけでなく昇格・昇級にも影響が出ることもある

ソファに倒れこむビジネスマン

昇進は役職が上がること、昇格は職務の遂行能力を資格のようにランクに分けたものですが、昇進を拒否した場合、昇格・昇級についても影響が出る場合もあります。
ある程度の役職がついたポジションでないとその能力が評価できないケースもあり、昇格や昇級が進まなくなる可能性があるのです。

5 昇進を拒否した場合に解雇されることもある

昇進を拒否した場合には会社側から解雇されることもあります。これは昇進をする目的が正当であり、拒否する理由が正当でない場合に起こりうるものです。

組織としては、昇進させたいほど優秀な人材として評価していたとしても、会社の事例に従わないという場合には職務の不履行ということになりますので、懲戒や解雇を命じる権限が会社側にあることは考えておかないといけません。

昇進というのは「辞令」であり、会社からの「命令」です。個人が決める「進路」とは違う性質のものであることをよく考えておく必要があります。基本的に昇進は、個人に自由な決定権があるものではありません。

昇進を拒否できるかどうかは企業側とじっくり相談を

昇進を拒否するかどうかについては、「拒否ありき」ではなく、まずは企業側とよく相談するのがベストです。

昇進が嫌だという人は多くなっていますが、企業側にも昇進させたい理由があります。もしもその昇進が嫌な理由が待遇面にあるのなら、そのことを正直に言えば交渉ができる可能性もあります。

また、危惧していることがあれば、理由の正当性を問わずきちんと話すことによって今後の人事考課の際の参考にしてもらうこともできます。

企業側の意図も要確認

人事担当者と話し合う社員

企業側の意図も聞いてみることも重要です。本当のことを話してくれるかはわかりませんが、しっかり考えられた正当な人事であればきちんとした理由があるものです。

逆に悪意ある人事の場合には他の人でも良いような理由が並べられる可能性が高く、その場合には拒否した上で、今後の事を考えると転職などを考えておいた方が良いでしょう。

理由によっては昇進を拒否できない可能性もありますが、事情を告げることができれば、それ以上の昇進は止めてくれたり、または他に適材がいれば降格させてくれる可能性もあります。「話しても無駄」と思わず、まずはしっかり話してみる姿勢が大切です。

昇進を拒否する場合は将来までよく考えて

労働環境の変化やライフスタイルの多様化の中で、職場での昇進を拒否するという話も多く聞かれるようになっています。しかし、将来にわたって大きな影響をもたらす問題となりますので、本当にそれで良いのかはよく考える必要があります。

管理職は管理される人の数よりも少ないものですし、一般社員ではできない経験も多くすることができます。その経験の積み重ねが自分と他の人の大きな差別化になり、転職市場で輝くこともあります。

昇進を拒否するなら、将来までよく考えた上で、正当な理由をもって企業側と話し合いましょう。

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