「お手を煩わせる」とは?正しい意味と本来の使い方

「お手を煩わせる」という言葉は、ビジネスの場面においてたびたび耳にすることが多いです。しかしながら、正確な意味を把握したうえで使用している人は少ないのが現状です。コミュニケーションを円滑にする言葉の力を発揮できるよう、「お手を煩わせる」の正しい使い方を解説します。

「お手を煩わせる」とは?正しい意味と本来の使い方

「お手を煩わせる」とは?

「お手を煩わせる」という言葉は、特にビジネスの場面において耳にしたり、メールで使用したりすることがたびたびあります。しかしながら、正しい意味を把握したうえで使用している人は少なく、何となく多用されている現状があります。

本来の意味を正しくとらえて使用することで、ビジネス上のコミュニケーションを円滑に運ぶ一助となる「お手を煩わせる」という言葉について、詳しく解説していきます。

「お手を煩わせる」の意味

電話対応をしてる男性社員

「お手を煩わせる」は、ビジネスの場面を中心に使う機会が多い言葉です。汎用性の高い便利な言い回しですが、正しい意味を理解して使うのと理解せずに使うのでは、相手への伝わり方が大きく異なります。

1.読み方

「お手を煩わせる」は「おてをわずらわせる」と読みます。「煩う」という漢字には少々堅い印象がありますが、その分、面倒をかけたことに対する謝罪の気持ちや、改まってお願いする真剣な気持ちが伝わりやすい言葉です。

2.意味

「煩う」には、「面倒」や「思い悩む」といった意味があります。相手の「手」を煩わせるということで、「お手を煩わせる」で「面倒をかける」「手間をとらせる」ということを意味します。

3.「お手を煩わせる」は敬語表現?

「お手を煩わせる」は、「お」がついているので丁寧語になります。「お手を煩わせて、誠に申し訳ございません」のように、敬語表現の文言を続けることが多いです。敬語表現と組み合わせて使用することで、より丁寧な印象を与え、相手に対する敬意も伝わりやすくなります。

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敬語の正しい使い方!ビジネスでも使える敬語マナー

「お手を煩わせる」の使い方

パソコンからメールを打ってる女性社員

「お手を煩わせる」はどのような場面で、どのような表現とともに使うのか、例文を用いて解説します。

1.使う場面

「お手を煩わせる」は、社内外を問わず、ビジネスの場面において使うことが多いです。一見すると堅苦しい表現にも思えますが、メールや手紙の文面に書く場合、または面と向かって直接言う場合のどちらにも使用できます。

2.使う相手

「お手を煩わせる」を使う相手は、取引先企業の人や上司、先輩社員など目上の人が多いですが、仕事を発注する下請け業者や、何らかの作業をお願いしたい相手など、幅広い相手に対して使われています。

3.使用例

上司に面倒をかけたとき

謝罪のため頭を下げてるスーツを着た女性

職場の上司の承認印が必要な書類を作成していたとします。書類ができあがり、上司に承認印をもらってから、書類に誤りを発見した場合、該当箇所を訂正のうえ新しい書類を再度上司に提出し、承認印をもらいなおす必要性が出てきます。

このような場合、上司に対して二度の書類確認と承認印を押すという「手間」をかけてしまったことになります。自身の確認が甘く、誤った書類を作成してしまったことの謝罪にプラスして、確認不足の書類を渡したことで結果として上司に二度手間をかけてしまったことに対する申し訳ない気持ちを「お手を煩わせる」を使って、誠心誠意伝えるのが最善の対応です。

「私の確認が甘かったため不備のある書類をお渡しし、お手を煩わせてしまい申し訳ございません。」というひとことを添えて、上司に改めて承認印を押してくれるよう依頼しましょう。

ただ「先ほどの書類に誤りがありました。もう一度承認印を押していただけますでしょうか。」と言うだけとは、気持ちの伝わり方とそれに対する上司の受け取り方が変わってくるであろうことが、おわかりいただけると思います。

取引先企業の確認がほしい場合

取引先企業とやりとりをするなかで、作業を進めるためには担当者の確認と許可が必要になってくる場面は多いです。取引先企業の担当者も忙しいなかで、期日までに確認をお願いしたいときに、「手間をかけて申し訳ないけれどもどうかご確認いただきたい」という思いを伝える際に「お手を煩わせる」使います。

「ご多忙のところお手を煩わせてしまい申し訳ございませんが、ご提案しました3案のうち、どちらの案にされるかご検討のうえ、決定案を〇日までにお知らせいただけますでしょうか。」といった内容で伝えるとよいでしょう。

下請け業者や外注先に複雑な仕事を依頼する場合

何らかの作業を依頼する下請け業者や、仕事を発注する外注先の担当者に対して、自身が発注元であるという上から目線の態度で連絡をとるのはよくありません。依頼する仕事には、多かれ少なかれ複雑な作業が含まれていたり、納品スケジュールで無理をお願いしていたりする場合が多々あります。

そのようなときに、たとえば「このようなタイトスケジュールのなか作業量の多い依頼となり、お手を煩わせてしまい申し訳ございませんが、何卒お力添えいただきますようお願い申し上げます。」といったひとことを添えるだけで、依頼された人には気遣われていることがよく伝わるはずです。

何の気遣いの言葉もなく、依頼事項だけを伝えてくる取引先と、「お手を煩わせて…」といったひとことを添える取引先とでは、どちらと仕事をしたいか考えてみてください。答えは明確に出ると思います。

「お手を煩わせる」の英語表現

ビジネスにおいては、海外の取引先企業の相手に対して面倒をかけることも多いでしょう。そのような場面において使用できる、「お手を煩わせる」の英語表現について例文を挙げて解説します。気遣いのある表現として、覚えておくと便利です。

「お手を煩わせる」の英語は?

仕事のミーティングをしてる外国人会社員たち

Troubleは、日本語でいう「面倒なものごと」、「困ったものごと」をあらわします。「お手を煩わせる」は、下記のような英語表現になります。

  • give somebody trouble
  • give 主語+述語 trouble
  • cause 主語+述語 trouble

「お手を煩わせる」の例文

I’m sorry to bother you,but could you please help me?
お手を煩わせて申し訳ございませんが、手伝っていただけませんでしょうか?

We are sorry for any inconvenience we may have caused you.
お手を煩わせて申し訳ございませんでした。

I’m sorry to trouble you,but will you pick me up at the station?
お手を煩わせてしまい申し訳ございませんが、駅まで迎えに来ていただけませんでしょうか?

「お手を煩わせる」の類義語

「お手を煩わせる」にはどのような類義語があるのでしょうか。言い換えに使用可能な表現も含めて下記に例を挙げます。

  • お手数をかける
  • お手間を取らせる
  • ご迷惑をかける
  • ご負担かける
  • 骨を折らせる

ビジネスの現場において最もよく使われているのは、「お手数をおかけする」でしょう。1日に何度も使用しているという人も多いはずです。ビジネスメールなどではよく、結びの文言として「お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。」が使われています。

ニュアンスとしては、「お手数をおかけする」よりも「お手を煩わせる」のほうが、実際に相手に面倒をかけている度合いが強いといえます。そのため、ビジネスメールで毎回「お手を煩わせて申し訳ございませんが、何卒よろしくお願い申し上げます。」で締めるのは少し大げさな印象があるかもしれません。

毎回、決まり文句として「お手数をおかけして…」ばかりを使うのではなく、そのときの状況や面倒をかける度合いに応じて使い分けると、より気持ちが伝わりやすくなるでしょう。

「お手を煩わせる」の本来の意味と離れた使い方

「お手を煩わせる」とは本来、相手に面倒をかけてしまったり、何か頼み事をしたりした際に、謝罪の言葉に添えることでより効果的に気持ちを伝える役割を果たしています。

一方で、大してお手を煩わせるわけでもなく、当たり前のことを依頼する際にも意図的に使用されている状況があります。間違いではありませんが、「当たり前のことを当たり前にこなしてもらえる」と思うのはおごりともいえます。

難なくみえる作業や依頼内容であったとしても、それを引き受ける人の立場に立って気遣いをするのを忘れないことが大切です。

「お手を煩わせる」を添えて人間関係を円滑にしよう

握手してるビジネスマン

「お手を煩わせる」をはじめとして、日本語にはビジネスの場面で使えるいくつかの気遣いの文言があります。わざわざつけなくても依頼事項や用件は伝わりますが、ひとことプラスすることで、相手を尊重したり思いやったりしていることが伝わります。

このような、コミュニケーションにおける柔らかなクッションのような役割をする言葉の正しい意味と、使うべき場面を社会人としてしっかりと把握し、実際に使ってみることで、想像以上に人間関係が円滑になることも十分ありえます。

気遣いや感謝の気持ちを持っていても、言葉に出さなければ伝わらないので意味がありません。気遣いと感謝の気持ちを伝えるひとことをプラスするという行いを積極的に自分からすることで、良好な人間関係を作っていくとよいでしょう。

ビジネスにおいても、プライベートにおいても、常に相手への感謝と苦労を思いやる気持ちをもって接することができるよう、心がけて行動しましょう。

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