結婚報告の順番は間違えてはいけない上司が一番の理由とは

職場の結婚報告の順番マナーを守りましょう。結婚の報告の順番は、社会人としてのマナーが問われる部分でもあります。ビジネスマナーとして、自分の立場や都合だけでなく、相手や周囲の立場や都合を考慮して考えると、誰にまず何を報告するべきかがわかってきます。

結婚報告の順番は間違えてはいけない上司が一番の理由とは

結婚が決まっても油断しちゃダメ!報告の順番には注意が必要

結婚をアピールするカップルとクールな男性

人生の大きなイベントのひとつである結婚ですが、結婚が決まったとしてもそれで安心し、油断していると思わぬトラブルを招いてしまいます。実は、職場における結婚報告はトラブルの種になりやすく、間違った順番で報告をしてしまうと周りに迷惑をかけたり評価を落とすことになってしまいます。

大学生の酒井君はそんなことを考えたこともないですが、会話の中での認識の薄さを経営コンサルタントのK・エーイ氏に指摘されます。社会人らしい結婚の報告とその順番について、一緒に考えてみましょう。

職場では結婚が決まったときの報告に順番がある

酒井君

-エーイさん、こんばんは。

K・エーイ氏

こんばんは。あれ?酒井君、何かあったんですか?礼服なんか着ちゃって。

酒井君

―はい、実はさっきまで従兄弟の結婚式に行ってまして。折角なので礼服でウロウロしようと(笑)。

K・エーイ氏

そうだったんですね。おめでとうございます。

酒井君

―ありがとうございます、って僕じゃないんですけどね(笑)。でも、なかなか面白い経験ができました。

K・エーイ氏

結婚は人生の大きなイベントですし、今は結婚式もいろいろ凝っていて面白いですよね。

酒井君

―はい。いろんな演出があって楽しかったです。でも、挨拶された上司の方が一番面白かったですね。「直前まで結婚することを全く知らされておらず別の部下から知らされ、心臓が止まるかと思うくらい驚きました。オイ、○○!このバッカモ~ン!」ってなかなか人前でスピーチできないですよ(笑)。

K・エーイ氏

うわ~。ユーモアでまとめてくれてますけど、これって一歩間違ったら大惨事ですよ。と言うよりも、実際のところは大惨事だったんじゃないですかね。

酒井君

―え?何でですか?

K・エーイ氏

だって、結婚の報告って、職場だったら「直属の上司が一番先」っていうのが一つの形式なんです。それが完全にスルーされていたってことですから、きっと本気で怒っていたんだと思いますよ。

酒井君

―結婚の報告って順番とかあるんですか?先に両親や家族ってくらいしか考えたことなかったです。

K・エーイ氏

社会人になればそうは言っていられませんよ酒井君。間違った報告の仕方や順番は、自分の評価を落としてしまったり、周囲にも迷惑をかける原因にもなりかねません。結婚が決まって浮かれてしまうのは仕方ないかもしれませんが、自分たちの好きなように進めてしまうと反感を買うこともありますから、しっかりしておくべきですね。

間違えてはいけない!職場の結婚報告の順番は直属の上司が一番になる理由

椅子にふんぞり返る上司

酒井君

―どうして、職場では結婚の報告は直属の上司が一番先になるんですか?

K・エーイ氏

理由は細かくは色々あるのですが、一つは「恩義」の面から、そしてもうひとつは「業務上の問題」の面から、直属の上司に先に報告しておくのが適当なんですね。

酒井君

―「恩義」ってどういうことですか?仲人(なこうど)とかそういうことじゃないですよね?

K・エーイ氏

そういう時代もありましたが、今は結婚するのに仲人がいるケースはほとんど無いですね。ここで言う恩義とは「日頃お世話になっている」くらいの意味です。しかし、実際、直属の上司って、親の代わりに社会人としての成長を見守ってくれている部分がありますから、結婚が決まったら親のように思って一番先に報告するのが慣例なんですね。

酒井君

―なるほど。じゃあ、手当たり次第に役職が上の人に報告ってことではないんですね。

K・エーイ氏

はい、普段の接し方にもよりますが、基本的には普段から教育や管理をしてくださっている上司の方が最初の順番になります。当然、メールやSNSのメッセージで報告するよりも、ちゃんと時間を取ってもらって、周囲に人がいない所で直接伝えるのが望ましいですね。

酒井君

―報告の順番だけでなく、報告する方法や時間、場所なども気にするんですね。

K・エーイ氏

当然です。報告するのが結婚のことだと場合によっては込み入った話にもなりますし、また周囲では他の人が仕事をしていますからね。周囲の人に配慮することは社会人として大事なマナーです。

酒井君

―なるほど。それでは、「業務上の問題」って何ですか?別に結婚はプライベートなことじゃないんですか?

K・エーイ氏

はい、結婚はプライベートな問題です。でも、そのプライベートな問題で多くの人を巻き込むからこそ、直属の上司に先に報告し、様々な仕事の調整、段取りを事前に考えてもらう必要があるんです。

酒井君

―結婚が多くの人を巻き込む?結婚式とかですか?

K・エーイ氏

結婚式もそうなんですが、結婚式の準備があるからしばらく出張は入れないで欲しいとか、式の後も新婚旅行で1週間ほど休みを取りたいとか、いつ頃結婚式があるから部署の皆と一緒に参列してほしいとか、いろいろ出てきますよね。

酒井君

―なるほど!確かに結婚することでいろんな人に仕事上も迷惑をかけることになりますね。

K・エーイ氏

加えて、たとえば結婚に伴って退職や、妊娠・出産などの予定が無いかの問題もありますし、姓をどうするかの問題もあります。また、社会保険などの変更手続きや扶養の有無など、労務上も色々な手続きが発生するんです。仕事のスケジューリングのためにも、早く知っておきたい情報ですよね。

酒井君

―結婚って会社には関係ないことだと思っていたんですが、そうでもないんですね。確かにこういう事情がわかってくると、報告をちゃんとすること、直属の上司に一番先に報告することって大事だと思えてきますね。勉強になります。

どうして結婚報告の順番が親しい同僚よりも先に上司になるのか?

酒井君

―でも、結婚報告の順番って親しい同僚が先でもいいような気がするんですが、ダメなんですか?

K・エーイ氏

まあ、親しい同僚が先でいけないというルールは無いんですが、それでも上司を先にした方がいい理由がちゃんとあります。ひとつは先の業務上の調整が発生するため、早めに知らせておいた方が良いという理由です。遅くとも1ヶ月前には報告しておくべきです。

一か月前に報告してねの上司

酒井君

―それは納得できます。でも、遅くなってしまわなければ順番は別にどうでもいい気がします。

K・エーイ氏

ここで二つ目の理由です。それが社会人に問われる「相手を立てる」というものです。直属の上司は成長を見守ってきたいわば親のような立場です。しかし、ここで知らされずに他の人を通してその話が耳に入った場合、その面子を潰すことになってしまいます。

「相手を立てる」ことこそビジネスマナーの極意

酒井君

―直属の上司の面子を潰すって、ちょっと考え過ぎじゃないですか?

K・エーイ氏

いいえ、もしも上司本人が報告の順番を気にしないとしても「あの上司は部下と良い関係ができていない」と管理能力を問われてしまうこともありますし、結婚をする人も「恩知らず」と思われてしまうことがあります。別に結婚の報告をしてもらいたくて上司をしているわけではないですが、それでも一番先に報告してくれると嬉しいんだそうですよ。

酒井君

―そうなんですね。

K・エーイ氏

直属の上司よりも先に親しい同僚に結婚報告をしてしまうことはよくあることです。自分で必要なところに報告するから秘密にしてねと言っても、人の口に戸は立てられないですから、いつの間にかどこからか話が広がっていたりするんですよね。これが三つ目の理由です。

酒井君

―う~ん、それは確かにありそうなことですね。

K・エーイ氏

すると、結婚そのものもそうですし、その報告をされたかどうかも話題になってしまうんです。「え?結婚?私まだ聞いてないんですけど」「何で早く言ってくれなかったんだ」など不要なトラブルを招くことになってしまいかねません。

酒井君

―職場って色々面倒な所なんですね。知らなかったです。

K・エーイ氏

だから、直属の上司に報告すると共に、いつ、どのような形で周囲に情報を伝えていくかも相談するんです。上司一人に話しておいて、他には情報を出さないようにすることで余計なトラブルを防ぐことができますし、適切な範囲に情報が伝わるようにコントロールもしやすくなりますから。

椅子に座りゆったり脚を組む余裕の男性とパニックの男性

結婚報告の順番が上司が先になることで仲の良い同僚は寂しく思うか

酒井君

―でも、ちょっと思ったんですけど、職場で仲の良い同僚がいて、結婚の報告が上司よりも遅れて耳に入ってきたら寂しく思ったりはしないんですかね?

K・エーイ氏

まあ、そこは寂しく思うんじゃないですか。個人差はあると思いますけど。

酒井君

―それなら、結婚報告の順番は、仲の良い同僚を先にしてもいいんじゃないでしょうか。

K・エーイ氏

ダメではないですけど、少なくとも同僚への報告が多少遅くなることは、上司への報告が遅れることと比べたら失礼でも何でもありませんよ。少なくとも「水臭い!」って怒ることはあっても「失礼な!」って怒られることはないでしょうし、周囲からあれこれ言われることもないはずです。

酒井君

―そうなんですか、職場の礼儀って難しいんですね。

K・エーイ氏

はい、難しいものなんです。特に学生のうちは企業の組織の仕組みなどは想像しにくいでしょうから、報告・連絡・相談がいかに周囲に影響を与えるかって考えにくいでしょうね。企業活動は団体戦ですから、報告体系を守り、そのリーダーたる直属の上司にしっかり報告をすることはとても重要なんですよ。

報連相(報告・連絡・相談)ほうれんそうで仕事ができる人になろう

酒井君

―覚えることがいっぱいあり過ぎて大変です。ビジネスマナーなんて無ければ楽なのに。

K・エーイ氏

何を言ってるんですか。ビジネスマナーがあるから楽なんですよ。マナーの前に人間には感情がありますから、ちょっとしたことで不愉快に思ったりするんです。不愉快になる人が少なくなるようにマナーがあるんですから、順番を間違っちゃいけません。マナーがあることで、みんながその人の結婚を喜びをもって祝福できるんですよ。複雑な気持ちを抱えながらの祝福は、受ける側も気持ち悪いでしょう。

酒井君

―そうですね。エーイさんの仰る通りです。認識を改めなくちゃいけないところですね。どうしてもマナーって話を聞くと、形をどうこうしないといけない暗記科目みたいなイメージになってしまうんですよね。

社会人のビジネスマナーで大事なことは「相手を立てる」こと

K・エーイ氏

ビジネスマナーを暗記科目にしないためには、根本の考え方を理解して日々意識することが大事ですね。そのうちに自然とマナーは身についていきますから。

酒井君

―そういうものなんですか?でも、根本の考え方ってどういうことを言うんでしょう?

K・エーイ氏

社会人のマナー、ビジネスマナーと言われるものの根本は、「相手を立てる」とか「相手を尊重する」とかそういう気持ちですね。これがなく、ただ形だけを真似ても失敗するだけです。

酒井君

―「相手を立てる」ってヨイショするみたいなイメージですね。

K・エーイ氏

違います。「相手を立てる」というのは、相手の状況や立場を理解し、大事にしてあげるということです。今回の例なら、親心を持って成長を見守り支えてくれている上司の立場を理解し、結婚が決まったのなら真っ先に報告してあげることが相手を立てることになります。

酒井君

―そうですね、上司の立場への理解が足りなかったと思います。もし学生だったら担任の先生に報告するってことですよね。

K・エーイ氏

はい、そういうイメージですね。部下が思っているよりも、上司は部下のことを大事に思ってみてくれていると思ってくださいね。逆に部下が思ったように懐いていない、遠ざけられているというのは息子や娘に相手にされないような悲しさを感じる人も多いんですよ。

酒井君

―わかりました。社会人になったら、ぜひ上司の親心を充足させるような可愛い部下になってみせます(笑)。

K・エーイ氏

狙ってそういう態度でいるとヨイショだと思われてしまいますよ。自然でいいんです。でも、部下の公私における成長を喜んでいる人が多いのは事実ですから、ぜひ可愛い部下になってください。敬語よりも所作よりも、そういう気持ちが伝わることが最も大事なことですから。

いい感じの上司と部下と野次馬

結婚の報告は順番だけでなくタイミングにも注意

酒井君

―そういえば、結婚の報告ってどのくらいでするものなんですか?

K・エーイ氏

決まりはありませんけど、いろんな調整を考えると1ヶ月以上前にはした方がいいですね。披露宴などに参加を求めるなら、会場や日取りが決まってからできるだけ早い方がいいです。

酒井君

―なるほど。たまに結婚式の招待を受けることがあるんですが、半年前から言われてもって思ったことがありました。先日は親が「結婚式って今月じゃないか。行けるわけないだろ!」って怒っているのを見ました。

K・エーイ氏

あはは。それはタイミングが悪い例ですね。まあ、婚約が決まった後にすぐ一次報告をして、式などの予定が決まってから二次報告をするパターンもありますし、カップルの婚前準備の進め方によって様々ですね。ただ、「相手の都合を考えてできるだけ早く」が鉄則です。

酒井君

―結婚の報告って本当に難しいんですね。

K・エーイ氏

まあ、結婚の報告だけでなくいろんなことが同じですよ。たとえば酒井君がオリンピックの代表選手だったら、選手に選ばれたという報告から本番までの様々な調整なども、やはり直属の上司を先にできるだけ早く行う必要がありますし。

酒井君

―やっぱり報告にはビジネスマナーが大事だってことですね。プライベートと仕事が両方関係することは、自分で判断せずにちゃんと相談するのが良いんだなと思いました。こういう話が聞けるなんて、礼服のまま出歩いていてよかったです。エーイさん、ありがとうございました。

結婚の報告の順番は、社会人としてのマナーが問われる大事なところ

結婚の報告の順番は、社会人としてのマナーが問われる大事なところです。関係や相手を立てるということ、そして業務上の必要性からも、まずは直属の上司に報告するのが良いでしょう。組織の形態によって報告先はケースバイケースではありますが、基本的なマナーや考え方が理解できていれば、誰からどの順番に報告していけば良いかは自然と見えてくるはずです。