報告書の書き方のコツは「わかりやすいね」を目指すこと

わかりやすい報告書を短時間で書く方法を覚え、だらだら長いだけで言いたいことが伝わらない報告書はもう卒業!読む側の負担を減らし、伝えるべきことはしっかりと伝えるシンプルでわかりやすい報告書を短時間でまとめる方法をご紹介します。

報告書の書き方のコツは「わかりやすいね」を目指すこと

ちゃんとまとまっている報告書の書き方を覚えよう

学生時代に睡眠時間を圧迫されたレポート、学生を締めくくる卒業論文。社会人になれば、その苦しみともさよならできると思った人は多いでしょう。しかし、現実は思う以上に厳しかった!社会人になってからも、頭を悩ませる文章作成と提出期限はなくならないのです。姿と名前を変えて、あなたの業務と日常を狙い続ける苦行の正体は「報告書」。この報告書提出が言い渡されるたび、通常業務と提出期限の間で焦りと苛立ちを感じようやく提出したと思ったら、上司から「もっとちゃんとまとめられないかな」と嫌味を言われる負の連鎖。
報告書の作成を時短して、上司の嫌味から解放されるにはコツがあります。良い報告を書くためのコツを理解すれば、ただ伝えるだけではなく自分の仕事上でも大きなメリットになります。

報告書は業務内容を共有するために必要なもの

上司に提出した報告書の内容を説明する会社員の女性

そもそも、報告書はなぜ必要なのでしょうか。時短のコツを把握する前に、なぜ報告書というものが存在するのか、それはあなたの業務にどんな影響を与えるのかをご紹介します。

報告書とは

自分の携わっている業務の過程や結果、今後発展する動き等を特定の人に向けてわかりやすくまとめたもの。

つまり、報告書を必要するのはあなたの業務を直接見ていないものの、流れと効果や問題点を把握しておきたい人ということになります。

直接仕事ぶりを見ていないからこそ、報告書には必要な情報をわかりやすくまとめる必要があります。忘れてはいけないのは、作成する側のあなたが通常業務と並行してまとめることになるのと同じように、読む側の人もあなたの報告書確認だけが業務ではないということです。

シンプルに見やすくわかりやすく必要情報をまとめ、誤字や数値の間違いなどで再提出という手間を発生させないという当たり前のことに加えて、読む側の業務の忙しさなどを考慮した対応ができると、読む側はストレスを感じずにがんばっているあなたの業務を確認できます。これを重ねれば、業務で困ったときにその人が力になってくれる可能性もでてくるくらいに、人のまとめたものを読むのは集中力がいるということを覚えておきましょう。

報告書を作成する時には陥りやすい罠があるので注意する

報告書の提出を指示されたとしても、通常業務がその分減るわけではありません。通常業務に追加して、期限をともなった段取りのつけにくい案件が飛び込んでくるのですから、ペースが乱されることはまず間違いないでしょう。報告書作成業務が発生した際に陥りやすい3つの罠に気をつけましょう。

通常業務が大変すぎて、報告書が後回しになる罠

キーボードを持ちながら電話応対をする会社員

報告書作成とか言われても「通常業務もやらないと終わらないし…」と悩んだ結果、期限に少し余裕のある報告書を後回しにしてしまうケースは少なくありません。
「大丈夫、大丈夫。まとめることは頭に入っている!」と思って報告書作成の段取りを決めずにおくと、期限直前まで報告書に取り掛かれずに時間が過ぎていきます。
待っているのは通常業務後の遅くまでの残業や、自宅に持ち帰って必死に対応する地獄。こんなに余裕のない状況では読む側に配慮したクオリティの高い報告書は書けません。

報告書に集中しすぎて、通常業務でミスを連発してしまう罠

逆に報告書の締め切りが気になりすぎて、通常業務の制度が落ちてしまうことも考えられます。
マルチタスクに慣れていないと、報告書を作成しながらのルーティンが回しにくくなり、結果としてミスを連発したり、対応しなくてはならない業務に抜け漏れが発生して、周りや取引先に迷惑をかけることになってしまいます。
報告書のせいで通常業務に支障をきたしたら本末転倒で、周りや取引先にまで悪影響が出る場合もあります。あなたの信頼はもちろん、会社間の信頼にも傷がついてしまう恐ろしい罠です。

報告書も通常業務もどっちも気になりすぎて、結局どっちにも集中できない罠

頭を抱えて焦りだすサラリーマン

最後はどっちつかずになって共倒れするパターンです。
一見うまく複数のタスクを管理できているように見えて、実際はどちらも進捗が思わしくない。この罠に陥るタイプの人は、並行して業務に対応しているうちに、どちらをどこまで進めていたかわからなくなってくることが多く、募る焦りも手伝って手詰まりになってしまいます。
結局、通常業務も報告書も低クオリティで提出してしまい後悔すること間違いなしです。

報告書を書く時はまとめたいことをイメージすることから始める

3つの罠をかいくぐり読む側に配慮した報告書を、余裕をもって作成するにはどうしたらいいのでしょうか。まずは、自分がまとめるべき「報告書」を思い描くことからはじまめしょう。

報告書作成で時短のコツ

  • 報告すべき情報の整理する
  • 報告すべき情報を作るために必要なデータを集める
  • 報告様式はWordかPowerPointかを判断する

いきなりPCに向き合ってソフトを開いてみても、何から初めていいのかわからないことが多いでしょう。そこでおすすめしたいのは、シナリオを書くように導入から結論までの情報をプロットとしてまとめてみることです。

読む側が求める必要な情報を書き出して、その周りに情報を経過にそって肉付けしていきます。情報を整理するのと並行して、添付するデータを手元に集めておくと実際に報告書としてまとめはじめたときにスムーズに書くことができます。

また、意外に重要なのがどのソフトで作成するかということです。もちろん、報告書様式が決まっているなら、テンプレに沿って書かなければいけません。
報告書として適したソフトとして代表的なものはWordとPowerPointですが、あなたの作成する報告書はどちらで作ったほうがより分かりやすく(伝わりやすく)なるでしょうか。
ざっくりと分類すると、Wordは項目を段落に分けて整理する文字中心の文書に適していて、PowerPointはグラフや画像を使用して視覚に訴える文書に適しています。

骨組みができたら一番報告書に書きたいことを考える

報告書を片手に持ち正面を指さすビジネスマン

骨組みを決めたところで、もう一度振り返ってみたいのが、その報告書で一番伝えたい、伝えなければならないことが何かということです。

これを仮に報告書のピークとしましょう。経過の報告をしたいと考えて作りはじめ、1から10までずらっと時系列で出来事を並べたとして、ボリュームはどのくらいになるでしょうか?
その超大作はあなたの疲労と引き換えにできたものですが、読む側は受け取ったときにげっそりしてしまうことは間違いありません。読んでもらったとして言いたいことの3割も伝わらないでしょう。

相手に伝わらない報告書の理由は、結局なにが一番大事なのかわからないからです。あなたも読む側にとっても、時間を使って報告書の作成・チェックをしたにもかかわらず、情報共有がまったくなされていないという、なんとも非効率的な業務になってしまうのです。

報告書の骨組みをもう一度見返してみてください。あなたの報告書で一番重要なピークはなんですか?この項目内に、一番伝えたいことという情報を2か所に配置しています。文頭と文末です。こうすることで、読む側にこの情報が重要なのだと暗に刷り込むことができます。一方で、率直にフォントの大きさや太さで重要度をアピールすることも文書作成の工夫としてとても有効になりますので、覚えておいて損はありません。

わかりやすい報告書にまとめるためのコツ

報告書を作るあなたがいるということは、読む上司がいますね。作成するあなたが時間をやりくりしてなんとか仕上げたように、上司も通常業務の合間を縫って報告書を確認し、がんばっているあなたの状況を把握しようとします。それは上司としてあなたを正しく評価するという意味と、なにか困っていることはないかを確認する意味の両方に支えられています。あなたが責任をもって業務を果たしたように、上司にもあなたを見守り育てる責任があるからにほかなりません。そんな上司に、すこしでもわかりやすい報告書を提出することが「win-win」を生み出す努力となります。
報告書を読む上司に配慮した構成の技をご紹介します。

報告書のはじめに結論を書く

よりシンプルに、かつ結論に重要度を置きたい業務報告(日報)などの際には、結論から伝える構成がおすすめです。
日付・所属・氏名や表題といった必要項目のあとに、まず言いたいことを配置します。
これは、ある程度読む側にも情報共有がされている場合に特に有効で、とにもかくにも「あの件どうなっているのか知りたい!」という希望をすぐにかなえられます。
ただし、そのあとにしっかりと概要をまとめておかなければ内容の薄い報告書になりかねません。

報告書は読み進めるほどに内容が充実するように構成する

報告書の種類にもよりますが、研修報告・会議議事録など長くなるものはこちらの構成をおすすめします。
日付・所属・氏名や表題といった必要項目の後に、報告書にまとめてある情報を箇条書きで記載する方法です。
それは目次のような役割もはたし、読む側に本当に時間がない場合は目次にそってほしい情報の部分飛んで確認することができる利点があります。また、箇条書き部分には伝えるべき情報が精査されるため、結果的にここに一番重要な情報が配置されることになります。

報告書は上司を唸らせるようにまとめ方を工夫する

書類をまとめたファイルを開き上司に内容を説明する会社員

ここまでは実際に報告書を作成する際に気を付けておきたいことですが、豆知識として、普段の上司とのやりとりに一工夫をするだけで報告書の助けとなります。
読む側に配慮した報告書はとても重要だということはご理解いただけたと思いますが、その配慮は本当に上司にとってうれしいものなのでしょうか?もし、まったく的外れなのだとしたら、それはあなたが上司を理解していないという現実です。相手への配慮も自分本位ではまったく意味をなしません。
日々の上司とのやりとりで、性格やどんなことが喜ぶのかをリサーチしておきましょう。「ほうれんそう」や簡易的な上司からの呼び出しだけでなく、何気なくかわす会話にも機会はあります。上司の人となりを知ることは、報告書作成だけでなく、いろいろな場面で役に立つことなので、見逃さないように情報収集をする習慣をつけましょう。

自分が理解できる報告書でなければ「わかりやすいね」にならないことを意識する

1日で区切りを付けられるような仕事でしたら、作業が完了したことを伝えられ報告書も書きやすくなります。日常での作業報告書を、相手に分かりやすく伝わる内容で書くためには、自分自身でどんな作業を行ったのかを把握していなければいけません。
自分が行った作業を把握するということはとても大切なことで、現在の進捗度合いやタスクの完了割合は、納期までに仕事を終えるためのスケジューリングには欠かせません。1日の報告書を書くことによって、現在の自分の仕事の達成率を把握することができ、明日の業務予定を立てることができます。今日の成果を報告するとともに、報告書を自分の進捗管理表として利用するのがオススメ。
自分のためではなく他人に報告するための文書であることを忘れなければ、相手にとっても自分にとっても報告書を書くことにメリットが生まれます。

報告書は「書けばいいんでしょ!」にさよならした書き方を!

報告書の作成は確かに面倒くさいものです。しかし、ちょっとしたコツをおさえるだけで読む側に喜ばれる報告書が提出できるようになれば、自然とあなたの評価はあがります。
今まで提出のたびに、ため息や嫌味にさらされていた報告書が「よくまとまっているね」という感想をもらえるツールに変わったとき、報告書作成業務はあなたのスキルになり、自分の成長を感じることできる楽しみに進化することは間違いありません。