DTPオペレーターとは?実際の仕事体験談10

DTPオペレーターはデザイナーが考えたデザインを、実際に印刷物としてプリントされた時のことを考えながら修正を行う、いわば印刷業界の黒子です。デザイナーのイメージ通りの物が仕上がらないと何度もデータを修正しなくてはならず、コツコツとした作業が苦じゃない人でないと務まらない仕事です。

DTPオペレーターとは?実際の仕事体験談10

DTPオペレーターってどんな仕事をする人のこと?

DTPオペレーターとは、デザインを担当したグラフィックデザイナーの指示を仰ぎながら、印刷用のデータ作成をパソコンでする仕事です。DTPとは「Desk Top Publishing」の略で、雑誌や広告、チラシといった印刷物を作る際にパソコン上でデザインから印刷用データの作成までの作業を指すことからも、仕事内容が分かるでしょう。今回は、DTPオペレーターの仕事内容、なり方、資格について、体験談と共に紹介します。

そもそもDTPとは何か

DTPとは、ポスターやチラシ等の印刷物を
制作すること

DTPとはデスクトップパブリッシングの略で、DTPオペレーターはDTPソフトを使って仕事をします。以下、主なDTPソフトを紹介します。

使う定番ソフト1 QuarkXPress

バージョンアップされる頻度が低く、安定して使いやすいことから印刷・出版社業界で人気のレイアウトソフトです。現在は昔ほど広く使われなくなってはいますが、現在でもプロが使っています。

使う定番ソフト2 InDesign

Adobe社が発売したのがこのレイアウトソフトで、前述のQuarkXPressに比べると縦書きに強く不満なく使えるため、完全にInDesignへと移行したデザイン事務所や印刷会社も少なくありません。また、IllustratorやPhotoshopといった画像編集ソフト・イラスト制作ソフトと発売元が同じため、親和性が高いという点も定着の早さの一端でしょう。

使う定番ソフト3 Photoshop

写真の修整を目的としたソフトでしたが、画像を合成したりコンピュータらしい画像を描いたりといった、画像ソフトとしても利用できる汎用性の高さから多くのユーザーが付きました。

使う定番ソフト4 Illustrator

イラストやグラフなどの作成に使われるソフトです。特にグラフィックデザインの世界では制作の中心となるソフトとなることが多く、薄いパンフレットやポスターなどを作るときはデザインからレイアウトまでをIllustratorのみでこなすこともあります。

使う定番ソフト5 Acrobat

文書をPDFに変換するためのソフトです。どのソフトで作成された文書でもPDFに変換できるため、どのパソコンでも内容を確認したり印刷したりできるようになりました。

DTPオペレーターの仕事内容

DTPオペレーターの仕事内容は、勤務先によって変わってきます。広告代理店やデザイン事務所、編集プロダクションといった制作を中心とした職場の場合はデザインスキルを如何なく発揮できるクリエイティブな業務に携われるでしょう。対して出版社や印刷会社といった職場では、入稿された後のデータに手を加えて印刷物として実際に作った場合のことを考えながらコツコツと修正等をしていく業務が多いです。

DTPオペレーターと似たDTPデザイナーという職業がありますが、オペレーターは「デザイナーが作成したデザインを元に、修正・加工して印刷用のデータを作成」し、デザイナーの方は「文章や写真などのレイアウトを考えてDTPソフトを使ってデザインする」のが仕事です。しかし業務にはっきりとした違いがないため、デザイナー・オペレーターどちらの仕事もこなす人も少なくありません。

DTPオペレーターになる方法

学校のパソコンでデザインの基礎を学ぶDTPオペレーター志望の学生

DTPオペレーターになるために必要な免許や資格等はありませんが、デザインに関する知識や技術が必要です。独学でもDTPオペレーターになれないことはありませんが、基礎的な知識を偏りなく身に着けるために学校へ通うことを薦めます。

専門学校で学ぶ

就職できる会社の幅広さが通信講座よりも良く、大学よりも学費がかからないことが魅力です。DTPオペレーションになることを謳った学校はないので、デザインやDTPを学ぶコースがある専門学校を選びましょう。先に紹介した主なDTPソフトを中心に、アプリケーションを使う為の技術、印刷の基礎知識などを学びます。

通信講座で学ぶ

専門性の高いデザイン事務所や会社の場合、あらかじめ知識をつけてきた専門学校の卒業生よりも、デザインを学んでいない人の方が歓迎されることがあります。なぜなら、会社の仕事内容に沿ったやり方・方法を学んでほしいという考えがあるため、通信講座等でDTPソフトの基本的な使い方が身に付いている人は好まれる可能性があります。

大学で学ぶ

DTPオペレーターを目指すだけなら大学を卒業する必要はありません。後々グラフィックデザイナーへの転身を目指しているならば大学へ進学すべきですが、DTPオペレーターとして働いていたいという方向けではありません。

DTPオペレーターの就職活動で有利になる資格

DTPオペレーターとして働く場合、特に必要な資格があるわけではありませんが、取得しておくと就職活動の時に有利になる資格があるので紹介します。また、独学でDTPソフトを使っている方は、自分の力量が印刷業界でも通用するかをはかるために受験してみても良いでしょう。

DTPエキスパート

第46期DTPエキスパート認証試験の合格率

公益社団法人 日本印刷技術協会(JAGAT)が行っている、「よい印刷物を作る」為に必要とされる能力や知識を時代に合わせた試験内容で能力をはかる資格試験です。

印刷業界だけでなく、様々な分野・業界の方が印刷物にかかわるようになったため、それぞれの業界や人の意図や表現方法の差異を埋めるために行われています。専門領域をこえた協力の際に役立つ資格でしょう。

DTP検定

株式会社ボーンデジタルが運営する資格です。社団法人 全日本能率連盟に登録された資格ですので、認定教育機関がいくつかある検定です。

デザインやレイアウト、オペレーション能力といったDTPを実際に使いこなせるかどうかの技術と知識をはかります。試験にはディレクションとビジネスがあり、それぞれ70%以上の正解で合格になります。

Photoshopクリエイター能力認定試験

株式会社サーティファイが主催しており、Adobe社のPhotoshopの操作能力をはかります。エキスパートとスタンダードの2階級に分かれており、画像編集技術に関する知識を問う問題と、提示されたテーマや素材から指示・ニーズに合わせたコンテンツを作成できるかを判断する実技試験があります。

Illustratorクリエイター能力認定試験

株式会社サーティファイが主催しており、Adobe社のIllustratorの操作能力をはかります。エキスパートとスタンダードの2階級に分かれており、ドキュメントデザイン技術に関する知識を問う問題と、コンテンツを指示やニーズに合わせて作成できるかどうか判定する実技試験があります。

DTPオペレーターの仕事体験談

かたちになる喜び

ナカムラ(27歳)


私は6年間、DTPオペレーターとしてデザイン事務所で働いていました。その頃の勤務時間は9:00~18:00、昼休憩は1時間の基本8時間勤務でした。休日は月に6~8日、土曜が隔週休日でした。

私がしていたお仕事は旅行会社のパンフレット制作で、指示された文章を読みやすく組み校正を行なったり、表紙や中面のデザイン業務も一部を行ったりしておりました。

やはり締め切りがあるお仕事ですので、契約通り隔週土曜日がお休みできるというわけではなく、締め切り前には休日出勤が続いたり22:00頃まで残業したりと大変な時期もありました。私の働いていた事務所はその分、お仕事が空いてきた時期に代休や有給を積極的に取るよう、お休みの取りやすい環境を作ってもらえていたので、それを目標にモチベーションを上げて頑張ることができました。

DTPオペレーターをしていて1番嬉しかったことは、なにより制作物が冊子として出来上がることです。電車の中で、私が制作に携わったパンフレットを読んでいる人を見かけた時は話しかけたくなるくらい嬉しい気持ちになりました。

DTPオペレーターの実情

あびやん(35歳)


基本的に勤務時間は8:00~17:00です。休日は原則週休2日で月8日ですが、連休などで月の休日が多い場合は土曜出勤になる場合があります。

仕事内容は顧客から提供されたテキストデータ、画像データなどを専用のDTPソフトで加工して、書籍や雑誌、チラシ、ポスターなどといった印刷物の紙面を作成します。場合によってはデザイナーの仕事も求められることがあります。

この仕事で大変なのは修正作業です。原則3回の校正を行いますが、実際にプリンタ出力された「ゲラ」と呼ばれるものに、手書きで「赤字」といわれる訂正が入りますので1字1字直さなければなりません。内容がまったく変わってしまうほどの訂正が入る場合もありますので、大変根気が要ります。

 やりがいはなんといっても、完成した書籍などが、書店に並んでいるのを見つけたときです。自分が作ったものが形になっているのが実感できます。

仕事で制作した本を書店で見つけて嬉しいDTPオペレーター

DTPオペレーターの仕事

三田(42歳)


DTPオペレーターとして複数の会社で働いていました。休日は通常土日になり、平均で月に8日前後休んでいました。月に1~2回、土曜に出社する会社もありました。

出版系では主にInDesignを用いて書籍などの組版データ制作、印刷系では主にイラストレーターやフォトショップで簡単な広告や名刺などのデザイン作業、印刷用データの修正・加工などがお仕事になります。細かい文章などを扱う仕事なのでストレスは結構たまりやすいですし、活字に弱い方はミスを連発しやすいでしょう。日本語の印刷物は意外と手強いものなのです。

DTPオペレーターの仕事は、必ず最後に冊子やチラシといった成果物が実際に出来上がります。世間に流布されるものなので、完成した物を手にするとそれまでの苦労が報われたように感じます。

DTPオペレーターの仕事について

みみ(29歳)


勤務時間は8:30から17:30でした。休日は土日祝がお休みだったので、月に8日から10日程度の休みがありました。

仕事内容としては、ポスター・チラシ・商品パッケージの作成を行っていました。仕事をしていて大変だったのは、お客さんの意見をデザインに落とし込む作業でした。デザインの知識が無い人は、めちゃくちゃな要望を出してくることがあります。それでもお客さんの要求に応えないといけないので、何度もやり直しさせられるときは苦労しました。

DTPオペレーターをしていて良かったなと思うことは、実際に自分が作った商品が店頭で並んでいたり、ポスターなどが貼られているのを見たときです。自分の目の前で作ったものを購入してもらえると、本当に嬉しいです。

DTPで社報づくり

むーこ(45歳)


少し昔の話ですがDTPソフトを使った仕事をしていました。勤務時間は8:30~17:30でし、休日は毎月土日休日でした。

仕事内容は、当時働いていた会社の社報を作っていました。文字入力だけなら楽なのですが、会社の業績や活動報告の執筆時に専門的な用語が出てくると、内容が難しく理解するのに一苦労しました。意味が分からないと、どうレイアウトしたらいいのか、見出しはどうしたらいいのか、何をアピールしたらいいのかと悩むことになるからです。

それでも無事に社報が完成すると達成感があり、嬉しかったことを覚えています。「文字サイズは?文字体裁はどうする?」と悩んだりしましたが、そういう知識を習得できたため、ワードもExcelもある程度使えますし、子どもが小学校に上がりPTA広報の作成するときなど苦もなく作成できたので、知識があって良かったです。

DTPオペレーターをやってみて感じたこと

ぽっち(33歳)


勤務時間は9:00~17:00でしたが、集中して取り組む仕事でしたので時間がたつのは早かったです。休日は繁忙期だったため、週1回のお休みでした。

短期で3ヶ月程度、DTPオペーレーターを経験しました。卒業アルバムの制作を行っている印刷会社で、卒業文集やアルバムの制作補助のお仕事でした。私がやっていたのは、主に文集の原本をスキャンし、大きさや角度を印刷できる状態に整え、映り込んだ小さなゴミ(黒い点)を消す作業でした。簡単な作業ではありますが、ひたすら同じ作業の繰り返しなので根気がいります。そして、作業したものが実際の商品になるので、責任重大です。ページが抜けているとか、文字が消えている等は大きな問題になります。

コツコツ、黙々作業が大丈夫な方なら、向いていると思います。同じ作業の繰り返しなので、飽きっぽい方には不向きかもしれません。ですが、自分の携わったものが商品になるというやりがいはあるかもしれません。実際、出来上がったものを見るとやっぱり嬉しくなります。

良かったよと言われると素直にうれしいです

かぷきち(46歳)


DTPオペレーターとして仕事をしていた経験があります。勤務時間は8時からの早番と10時からの遅番の日があり勤務時間はそれぞれ8時間でした。年末、年度末などは残業時間は100時間を超えることもありました。休日は一応週休二日ではありましたが、前述のとおり忙しいときはあってないようなものでした。

仕事で大変なことは、突然の仕事が入ったり、締め切りが極端に短かったりするのが常でしたので、身体的にもきつかったし、プライベートの予定が立てられないのが悩みでした。家族旅行をドタキャンしたことも1度や2度ではありません。しかし、時間をかけただけいい仕事が出来るのもこの仕事のいいところです。お客さんからの反応が良かったと言われた記憶が忘れられず、ついつい無理をしてしまう自分がいました。

DTPオペレーターの経験

おすかー(35歳)


勤務時間は9:30~18:30でした。土日祝は基本休みでしたが、月末の土曜は出勤日でした。

仕事内容は求人情報の募集枠を作成する仕事で、正社員であるチームリーダーが営業から来た原稿をパートに振り分けて、営業の指示通りに作成をすすめるというようなものでした。フォントの大きさや使って良いグレーの%や掲載内容などの規定が頻繁に変わり、混乱するのでその都度確認などが必要でした。また、人の入れ替わりが多く、社員やパートだけでなく上層部でも辞める人が多かったです。

DTPオペレーターをしていて良かったことは、アドビソフトのイラストレーターの使い方を覚えることができたこと、要望に従ってデザインすること、自分なりに要望に対して質問するといった思考力がついたこと、DTPオペレーターという経験を積んだ後、DTPデザイナーの仕事が出来たことです。

仕事に打ち込むDTPオペレーター

少し我慢すればその後は楽ちんかも

かずきっく(28歳)


勤務時間は9:00~18:00で、休日は土日祝日が休みです。だいたい月に8日程度ありました。

仕事内容は、お客様からの要望を聴きカタチにしていく、提案型のオペレーター業務です。多種多様な業種のお客様の名刺からパンフレット、会社案内などを作りました。ときには販促ツールを作成するので、うちわなどの季節商品も取扱います。

仕事で大変なことは、良い発想が思いつかず自分が作ったものに納得がいかないまま、納期が来て納品しなければならないことです。丁寧にこだわって作り込みたいが、納期によっては納得行かない仕上がりで終わってしまうことがありました。

オペレーター業務をしていてよかったと思えるのはグラフィックに強くなることです。手に職がつくと、3年もすれば転職も有利になりますしフリーで働くこともできます。また副業もできるため人生の役に立ちます。

以前働いていたときの事

しまねこ(41歳)


勤務時間は基本9時から17時で、残業がある日は22時近くになることもありました。休日は土日と祝日でしたが、忙しい時は土曜出勤もありました。

DTPオペレーターの仕事内容は印刷物の版下(シルクスクリーンなどに転写するためのフィルム作り)でした。印刷物は0.01ミリ違うだけでもミスとして認識されるので、作業は慎重にやっていかなくてはいけないところが大変でした。他には作業用のパソコンが古く買い替えもしてもらえなかったので、たまにフリーズすると最初からやり直さなくてはいけなかったりして急ぎの時は特にやきもきしました。

DTPオペレーターをやっていて良かった事は、無事仕事が出来上がって何事もなくお客さんのところに届く事や、良く知っている製品の版下を作ってそれが印刷されてお店などに並んでいるのを見た時です。

DTPオペレーターの仕事は縁の下の力持ちタイプの人に向いている

DTPオペレーターは、デザイナーのように人々の前に出て賞賛を浴びるという華やかな仕事ではありません。しかし、デザイナーの思い描いたデザインを実際の印刷物に反映させるには、DTPオペレーターの知識と技術が必要なのです。細かな指示に応え、何度も指摘される修正も地道にこなしていく、職人気質が必要になるでしょう。