営業トークの基本~お客様の心をわしづかみにする話し方

営業トークとはどういったものなのかという基本について詳しく解説した上で、もしお客様から否定された場合どう切り返せばいいか例文を交えてご紹介します。また、テレアポでの営業トークやクロージングでの例文もご紹介し、営業トークを覚えられないという方に役立ててもらいます。

営業トークの基本~お客様の心をわしづかみにする話し方

お客様の心をわしづかみにする基本の営業トークを覚えよう

営業トークは欠かせないスキルだけれど、なかなかうまくいかない……そんな人も多いのではないでしょうか。日常会話の中ではそれほど口下手ではないはずなのに、いざ営業トークをしようと思うと思うようにいかずに困っている、営業成績に伸び悩んでいる、など切羽詰まっている。

もしかしたらそれは、マニュアルを丸暗記しようとしているからかもしれません。こうしなければいけない、という形が覚えられないから上手くいかないのだ、というドツボにハマッていませんか?今回は、営業トークを根本から見直しました。お客様の心をわしづかみにする基本の営業トークをぜひ身に付けてください。

お客様に契約を結んでもらえる営業トークとは?

営業トークを使いこなす営業部長

営業トークとは、お客様に契約を結んでもらうための武器の事です。お客様に商品を買ってもらうには、パンフレットを見せるだけではできません。実際にここが良いのです、この商品を買う事であなたにこんなメリットがあるのです、と営業マンが売り込む事によって、その商品にパンフレットに書かれている説明以上の価値をお客様に伝えられます。

パンフレットは売りたい商品を説明はしてくれますが、お客様の勧誘まではしてくれません。最終的に契約を勝ち取り、営業成績を伸ばすために必要なのはトーク力です。営業トークが上手い人とそうでない人の差は、経験と研究によって生まれます。いかに毎日の業務の中で意識して営業に取り組んでいるかによって、周りとの差が開いていくのです。

営業トークは、商談を成功させるためには何としても身につけておきたい必須スキルのひとつであり、また、お客様に自ら商品を選んでもらうように誘導するためのテクニックのひとつであると言えます。営業トークをスムーズに組み立てるには、お客様に対する丹念な研究が必要です。常に同じトークでは、それぞれ異なっているお客様の心を掴む事はできません。

飛び込み営業で初対面の相手の心を掴む成功の極意

お客様の心をつかんで離さない営業トークの基本

営業トークの基本を部下に教える会社員

では、お客様の心をつかんで離さない営業トークの基本とはどのようなものなのでしょうか。営業トークを覚えられないという人は、マニュアルの丸暗記をするよりも基本を考えてみるといいかもしれません。人間は、暗記よりも自分で論理立てて考えた事の方が忘れにくく、実践しやすいものです。

お客様のツボを突く

営業トークの基本は、お客様のツボを突く事にあります。商品の全てを薄く広く説明するパンフレットでは、お客様の心に響かないというのは、お客様のツボを深く刺激する事ができないからです。相手が今何を必要としているのかを探りながら、ポイントを見極めつつ会話を進めていきましょう。

こちらからの一方的な説明は、お客様の気分を害してしまいます。商品の利点を伝えようという気持ちが前に出過ぎてしまうと、結局押し付けがましくなってしまいますし、相手は自然と情報をシャットアウトしてしまいます。基本的に相手の話を聞く割合が多いくらいがちょうどいいです。まずは、こちらからの質問に答えてもらう事を目標にしてください。

お客様に話す時間を与える

最初にお客様に話す時間を与える事で頭の中を整理してもらいましょう。相手の話に相槌をうちながら、そこに適切な質問を重ねていきます。その上で商品のメリットを挟むように話し、抜けている穴を埋めるようなイメージを持たせてあげてください。

雑談も効果的

お客様の本音を引き出す会話をするために、雑談のように質問を投げかけていくのも効果的です。こうする事で、ひとつずつ質問に答えてくれる可能性があるからです。話したくない、話してはいけない、と感じてはいるものの、ここまでは絶対に話さないと明確に決めている人は意外と少ないです。質問を重ねる事で情報を小出しにしてくれる事があります。

焦って答えようとしない

上手い質問を考えていても、態度で失敗してしまっては意味がありません。先走って案内しようとしたり、お客様からの質問に焦って答えようとしないように気をつけてください。あたふたと落ち着きのない素振りや、不安そうに視線を泳がせたり、余計な相槌や大げさな敬語も悪印象を与えてしまいます。一瞬でもそのような印象を持たれてしまったらアウトである、というぐらいの心づもりで臨んでください。

お客様のニーズに答えるポイントを考える

お客様のニーズに対して自分の手持ちの商品がどのように応えられるかを考えると、営業トークは一気にやりやすくなります。もちろん売りたい商品の研究は充分にしている事と思いますが、お客様に対する研究はどうでしょうか。相手がこの商品に対してどの点に食い付きそうか、今何を欲しがっていそうか、相手のニーズにこの商品はどのように応えられるかなど、商品についてどのような売り込み方をできるのかをもう一度見直してみてください。思いがけない見方ができるかもしれません。

また、基本的に、相手は商品に関して何の知識も持っていないという前提で話してください。専門用語や分かりにくい言葉の羅列は避けましょう。あくまでも相手が聞き取りやすく、頭に入りやすい話し方を意識してください。いちいち噛み砕いて理解しなければいけない話し方だと、あなたの話が進んでいる間にお客様の頭が立ち止まってしまいます。せっかくの知識も相手にうまく届かなければ意味がなくなってしまいます。

お客様は「○○様」と名前で呼ぶ

そして、お客様との距離を縮めるテクニックとしては、「お客様」と呼ぶのではなく「○○様」と名字に様をつけて呼ぶ方が良いでしょう。より親しみを持ってもらいやすく、個人的な付き合いだと思ってもらう事ができます。

営業トーク「切り返し」の例文

取引先で営業をするビジネスマン

営業をしていて一番困るのは、やはり「それはちょっと……」と断られる時ですよね。門前払いされる時もあれば、今のままでいいから変えるつもりはない、はっきりと言われる時もあるでしょう。では、そのような時の切り返しの例をご紹介します。

まず、否定をされたら否定し返さないでください。「違います。」と言った時に、「いや、それは違うんです。そうじゃないんです。」と返されたら、何でそんな風に言うんだろう、とあまりいい気分にはなりません。否定する時も語調が強くなってしまいがちです。

否定される事はあまり気分の良い事ではない、という事を念頭に置けば、自ずと「肯定すれば良い」という答えに辿り着きます。以下に例文を挙げます。

なるほど、その通りですね

なるほど、その通りですね。お気持ちはよくわかります。でも、もし○○すればこのようなメリットがあるんですよ。そうだとしたら、ご興味ありませんか?ぜひお話だけでもいいので、詳しく説明させていただけませんか?

と、一度相手の気持ちに同調してから、本当はどう思っているのかを素早く考えてください。相手はその段階では話に興味を持っていないために会話を終わらせたくて断っているので、何とか引きとめて自分の会話に誘い込む事が重要です。この会話をする事であなたにはこのようなメリットがありますよ、という事をアピールし、離れかけていた相手の心を引き戻しましょう。

また、「ここがだめだと思うんだけど?」と短所を指摘される事もあるでしょう。その場合も切り返す必要があります。

確かにおっしゃる通りです

確かにおっしゃる通りです。ですが、実は、そこは当社としては譲れないこだわりを実現するためには削らなくてはならない部分なのです。

と、短所を長所にすり替えて隠してしまえばいいのです。切り返しのポイントは、まずはお客様の気持ちに同調する事にあります。決して否定から入らないように気を付けてください。

営業トークで効果的なテレアポをするための例文

営業トークをするテレアポセンターの女性

営業トークでテレアポ、と聞くと大きな声でハキハキと、聞き取りやすく話す、というイメージがあるかと思います。しかし、本当にそれが万人受けするのでしょうか。そもそも誰にでも好感を持たれる話し方など、存在するはずがないのです。

まず、大きすぎる声やゆったりすぎるテンポは、相手によってはイライラさせる要素のひとつになってしまい、逆効果です。もちろんそれが聞きやすいという人もいるため、一概には言えません。ですから、まずは相手の話し方を少し聞く事が大切なのです。

相手の話すペースを掴んで、トーンを落としたりテンションを上下させたりしてください。向こうが明るく話しているのにこちらが淡々と話しているのでは、せっかくのチャンスを逃してしまう事もあるでしょう。

また、電話口の声は自分が思っているよりも、こもっていて低く聞こえています。そのため、相手は聞き取りにくくなっており、何度も聞き返さなくてはならなくなってしまうかもしれません。そういった手間を取らせないためにも、できるだけ高い声で話しましょう。特に名前や会社名などの固有名詞など、相手が初めて耳にするであろう言葉は、正確に伝えるためにもはっきりと発音するように心がけてください

内容に関しては、あまり詳しく説明しすぎてはいけません。会いたい、もう少し話を聞きたい、と思わせるくらいがベストです。約束を取り付ける事を意識して、全てをこの電話で伝えようと意気込む必要はありません

役に立つのは、普通のテンションで元気過ぎずに話すという心がけです。もちろんフランクすぎる態度は相手に失礼なのでやりすぎはNGですが、適度に砕けた話し方は、お客様の懐に入る事を目的とした営業トークとしては有効でしょう。

お客様の懐に入る営業トーク例

もし~でしたら、お役に立てる可能性がありますよ。~だからです。他のみなさんも同じようにご満足されているので、保証できますよ。

電話口でも対面と同じような言い方が有効です。また、相手が法人の場合は、伝えたい事はアポ日時が確定した後にするべきです。アポ取りを優先する場合は、「お伺いした際に詳しくお教えいただければと思いますが、何日の何時がご都合よろしいでしょうか?」というように、あくまでも実際に会う事を大事にしてください。

お客様の心をがっちり掴む営業トークのクロージング

お得意様へ営業をかける会社員

クロージングにおいても、営業トークは気を抜けないものです。契約完了間際でもお客様の心は揺れ動いています。ここでがっちりとその心を掴むには、どのようにトークを展開すればいいのでしょうか。

ここでお客様の背中を押すのが、「みんなやっているんですよ」という魔法の言葉です。自分に置き換えてみてください。例えば、同じスペックの商品Aと商品Bで何となく迷っていた時に、みんなAを買っていますよ、と言われたら、Aの方がいい物なのかな、という気がしませんか?何の根拠もないのに、みんなが選んでいるという事実は、なぜか絶大な信頼を与えてくれるのです。

余裕を持って「みんなやっているんですよ、いかがですか?」と言い切ってしまえば、だったらいい物なのかな……という気持ちになってくれる可能性が高まります。

また、堅苦しくならずに契約を勧める事も大切です。「それではご契約致しますか?」「こちらにご署名をいただいてもよろしいでしょうか?」などといった言い方は、相手に一気に緊張感を与えてしまいます。本当に契約していいのだろうか、と改めて考えさせてしまい、二の足を踏ませてしまうのです。「では、いいですか?」「お名前、いいですか?」程度の、会話の流れを途絶えさせない事を意識した勧め方をしてください。

営業トークは自分だけの特別感を与えるのが有効

「ここだけの話なのですが……」「今だけのサービスなのですが……」古くからある、よくあるフレーズのように感じるかもしれませんが、やはり、これも実際のところ現場では有効です。

お客様は、自分だけが特別であり、今この瞬間に契約をしないと損をするという状況に置かれないと契約を渋ってしまいます。逆に言えば、そのツボを突けば、契約をしてもいいかもしれないという気持ちになってくれるという事です。

営業トークを改善してお客様の心をがっちり掴もう

営業トークは、覚える、覚えられない、そういう問題ではないという事がお分かり頂けたでしょうか。一から考え、少し工夫する事が改善の糸口に繋がります。もしも営業に行き詰っているのであれば、ぜひ明日の第一声から今までと違った挨拶をしてみてください。

パンフレットを押し付けるように渡すのではなく、笑顔で挨拶をするところから始めましょう。誠心誠意、お客様のニーズに合わせた営業トークで、お客様の心をわしづかみにして営業を成功させてください。