BtoGとは企業と行政間の取引のことBtoBやBtoCとの違いは?

BtoGというビジネス形態がありますが、行政機関を対象にしたビジネスでも、ノウハウがわかれば中小企業や個人でも参入が可能です。他ビジネスとの違いや特徴についてBtoGビジネスの基本的な情報について紹介します。

BtoGとは企業と行政間の取引のことBtoBやBtoCとの違いは?

情報が少ないBtoGビジネス、どのくらい知っていますか?

現代はビジネスの形態が多様化しており、BtoCやBtoBなど、主体と取引相手との立場をもとにビジネスを区分する言葉もたくさんあります。情報量が多くは無いものの、産業界で注目されるのがBtoGというビジネス形態。行政を対象とする取引のことを言いますが、具体的な内容や方法などは知らない人も多いのではないでしょうか。

大学生の酒井君は、就活サークルの事業研究でBtoGという形態を知ったばかり。BtoGの実情を知るために、経営コンサルタントであるK・エーイ氏の元を訪れるのでした。

BtoGは企業と行政の間のビジネスのこと

BtoGは企業と行政の間のビジネス

―エーイさん、おはようございます。今日はお時間をいただいてありがとうございます。早速なんですが、「BtoG」というビジネス形態について教えていただきたく思っています。

おはようございます。BtoGですか。確かに、情報量が決して多くはない分野ですから、よくわからないかもしれないですね。

―はい。一応、言葉の意味として企業と行政の間での取引だということは理解できるのですが、その中身であったり、わざわざビジネスを区分する必要がどこにあるのかなど、何かモヤモヤしているところがありまして。

じゃあ、まずひとつ質問をしましょう。酒井君は、「代表的なBtoG企業」って何か浮かびますか?

―いや、全然浮かびません。

そうですよね。それが普通なんです。きっとこれは、どこに聞いてもそうだと思います。BtoGはその性質上、アテにできるビジネスではないんですね。だから、看板に大きく「BtoG企業です」とアピールするような企業は基本的には無いはずです。

―そういうものなんですか?

はい。BtoGというビジネスがわざわざ区分されているのは、行政の持つ独特のルールや、企業側が対応として求められるものが一般的なビジネスとは大きく異なるからです。そのため、独特なノウハウが必要になりますし、もう少し言えば経営を安定させるためにはBtoGに頼り切るのは良くないんですね。

BtoGビジネスが他のビジネスと違う点は「入札」が行われること

各社で競う入札

―BtoGのビジネスが他のビジネスと違う点って、たとえばどういう所があるんですか?

たとえばですね、イメージしやすい所だと「規模が大きい」という所でしょうか。

―「規模が大きい」ですか?

たとえばですけど、役所なんかは地域によってすごい人数の人が働いています。それこそ大企業の本社クラスの人員を持っているわけです。規模にして数百人から千人以上の場合もあります。まあ、役所の顧客にあたる住民数を考えれば数万人、数十万人にもなりますから、当然といえば当然ですよね。

―言われてみると、それだけの顧客を抱えたお店だとしたらすごいことですね。

そこでは、当然多くの事務用品が使われますね。ペンや紙、プリンタのインクなどの消耗品、蛍光灯やトイレットペーパーなどもそうです。これらをもし受注できるだけでも、企業はものすごい売上が期待できるでしょうね。

―なるほど。BtoGのビジネスって受注できたら企業としては美味しいんですね。

そうです。しかし、行政機関というのは税金で動いていますので、自由にお金の拠出ができないように法律で決まっています。たとえトイレットペーパーひとつでも、備品として購入する以上は「入札」を通さないといけないというルールになっているんですね。

―「入札」って聞いたことはありますけど、何なんですか?

まあ、簡単に言えば書類で行う競りのようなものです。ある案件に対して、それぞれの企業が「私達ならこの価格でできます」と提案を出し、最も価格の安い提案を出した先に決まるという仕組みです。

―なるほど。税金の使い方としては納得感のあるルールですね。

まあ、問題もあるんですけどね。問題は後で説明するとして、この入札は、当然行政の予算内で都合をつけないといけないですし、また他企業の入札価格はわかりません。そのため、カンが問われると言っても過言ではありません。

―それって、カンで価格を決めるってことですか?

はい。もちろん、企業が利益を出せる金額を考えた上でですよ。だから、上手にやらないと利益は小さくなってしまいます。そういうわけで、経営の軸にBtoGを据えると受注できなかった場合や、利益が出ない取引をしてしまうと企業経営が傾くため、安定した基盤の上でBtoGを行うのが基本なんですね。

BtoGビジネスの方法は「一般競争入札」「指名競争入札」「随意契約」の3つ

BtoGビジネスの3つの方法

―BtoGビジネスの特徴はわかった気がするのですが、入札で決まるってことは誰にでもチャンスがあるってことですよね?

はい。そういうことになります。しかし、入札については気をつけるべきことも多いんですね。

―気をつけるべきこととは?

契約方法は入札だけでなく、実は複数あるんです。大きく分けて「一般競争入札」「指名競争入札」「随意契約」の3つの形態があります。

―どう違うんですか?

「一般競争入札」は先程言った通りの入札方法です。しかし、契約先が本当に信頼できる企業なのか、技術を要する仕事であれば適切な技術や管理が行われているのかなどを、総合的に判断する場合があります。入札価格だけで決定するものを「最低価格落札方式」と言いますが、提案内容を総合的に考えて判断するものを「総合評価方式」と呼びます。

―じゃあ、単純に価格だけでは決まらないんですね。

はい。優れた提案ができるだけでなく、ある程度の実績が無いと難しいということですね。

―そうか、誰にでもチャンスがあるということではないんですね。

「指名競争入札」というのは、案件に対して適切な水準を持つ複数企業に行政側が入札への参加を依頼し、入札に参加した企業の提案で取引企業を決める方法です。提案の水準が高いことや、入札数が少なくなることで事務側の負担が大きく減ります。

―でも、そういう企業ってどうやって決めるんですか?

過去の実績や、知名度などがものを言いますね。また、地元企業だと多少優遇されるかもしれません。もう少し言えば、上場企業だったり、ISOなどの認定基準を取得しているなどの外部評価もプラスに働く可能性がありますね。

―なるほど。最後の「随意契約」って?

「随意契約」は、行政機関が特定の企業を指名して選ぶ方法です。能力や実績のある企業を選定して取引するので、行政側は高いパフォーマンスを期待することができます。その分、契約に要する価格の抑えが利きにくいという欠点があります。

―入札方法にも色々あるんですね。単純にビジネスチャンスに結びつけるのは難しいのかな。

こうした入札制度の特徴から、BtoGビジネスのマーケティングの基本は、「入札に関する情報を集める」「企業の実績や知名度の向上」、そして行政機関や担当者へのアピールを欠かさないといった所が求められるんですね。

―行政機関や担当者へのアピールって?

基本的には続けて入札に参加することですが、個人的な付き合いを作ったり、小さくとも他の自治体などで行政相手の受注実績を作る、受注した企業で下請けを行って実績を作るなど、そういったことを続けていく必要がありますね。

BtoGと言えばゼネコン?

ゼネコンの社員がスーツ姿で工事現場に立つ

―行政機関が相手の仕事だと、よくニュースでゼネコンの話題が出てきますよね。やっぱりゼネコンは多いんですか?

そうですね。ゼネコンは案件が多いというよりは、案件の規模や範囲が大きいんですよ。河川整備だったり、ダムの建築工事だったり、下水道や道路の工事など、インフラ整備が主な仕事になりますから。

ゼネコンの仕事内容とは?勤務体系や魅力と苦労

―なるほど。そういえばそういったものは行政の仕事ですけど、行政で技術者を抱えているわけではないですものね。

はい。ゼネコンの仕事では、非常に大きな金額が動くことになりますし、ゼネコンは下請けも含めてたくさんの企業にお金を分配しながら仕事を進めていくことになりますから、経済効果も大きいと言われています。いわゆる公共事業は、仕事を与えることで市中にお金を還元するという役割もありますから、いわゆる「買い叩き」になりにくいということでも企業側のメリットは大きいんですね。

―へぇ~。そう考えると、やっぱりBtoGのビジネスって美味しいんですね。行政機関が相手だから、倒産の心配も無さそうですし。

その美味しい蜜を吸おうと、時折「談合」が生じることがあるのが問題ではあるんですけどね。

―談合も良く耳にしますが、具体的にはどういうことですか?

「談合」は、入札に参加する企業同士が相談して最終的な受注者と価格を決めて入札する方法です。入札価格は企業の提案で決まりますから、高値で落札価格がつくことになります。こうした入札を持ち回りにしたり、下請けなどに分配することで業界全体として益にしようとするわけですね。

―それってインチキじゃないですか!税金使っているのに!

そうですね。ですから、発覚した場合には厳しく取り締まられますよ。ゼネコンのみならず、様々なところでこういう談合のリスクがあります。BtoGを行う際には、巻き込まれないように注意が必要ですね。

BtoGは小さな企業でも参入できる

中小企業の技術開発

―お話を伺っていると、BtoGってどうしても大きな企業や知名度のある企業じゃないと難しいんじゃないかって思えるんですけど、小さい企業でも可能なんでしょうか?

もちろんできますよ。一般競争入札では入札をするのは自由ですし、落札できる場合もあります。

―そうなんですか?でも、かなり狭い門なんじゃないですか?

そうですね。かなり狭い門であるかもしれません。多くの場合は、受注した企業の下請けやパートナーなどの立場で仕事に関わることが多いのではないかと思います。ただ、そういった経験を経て、担当者と関係ができたりすると、特殊な案件などが回ってくることがあるんですよ。

―そうなんですか?

私の知人にも、個人事業主として文科省の推進事業で講師をしたり受講者用のテキストを作っている人がいます。元々は仕事で付き合いがあった専門学校が入札したプロジェクトに、お手伝いという立場で参加したのがキッカケで、数年後には直接声がかかるようになったそうです。

―そういう事例もあるんですね。

今は電子入札などもできるようになり、入札への参加はしやすくなっています。また、行政機関でどういう入札があるかに関する情報も多くなっていますから、チャンスは以前と比べたら大きくなってきていると思いますよ。また、これからは政府がテレワークや副業などを推進する以上、中小企業や個人事業主などへの発注も増えていくと思います。

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BtoG事業は普通の営業方法が通用しないことに注意

営業するベテラン社員

BtoG事業を考える場合に、注意しておくべきことがいくつかあります。

―そうですよね。こんなにいい話ばかりのわけがないですし。

そんなに斜に構えないで下さいね。注意と言っても当然の範囲のことですから。

―いい話ばかりだったので、かえって心配になっちゃいまして。すみません。では、注意すべきことについても教えてください。

BtoGでは、契約先の決定に客観的かつ明確な根拠が必要になります。つまり、入札においては接待で関係を作ったり営業トークで攻めるような普通の営業方法は通用しません。

―ふむふむ。逆に営業らしい営業をしなくて済むと考えると楽なのかもしれませんね。

そういう見方もありますね。また、営業上必要なのは入札制度の研究であり、自社の技術水準を高めてアピールしたり実績を作っておくことです。企業努力の方向性がBtoBやBtoCのビジネスとは違ってきますので、中途半端にならないようにビジネスの軸を決めておく必要があります。

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―BtoGに絞り込むのも難しいけど、中途半端にあれもこれも手を出すと本業も成り立たなくなってしまいかねないんですね。ちょっと怖い部分ですね。

そして、何よりも信頼性が大切だということです。必要な書類をしっかり出すことや、不正が無いこと、また受注できた仕事はしっかりこなすという意識を強く持っておく必要があります。信頼を失うと、その後の受注はかなり厳しくなってしまいます。

―なるほど。どれも当然と言えば当然のことですけど、BtoGについて理解できてくるとその重要性がましてきますね。BtoGについては具体的なイメージがありませんでしたが、色々お話を伺ってみて大分イメージがクリアになってきました。就活の際には、BtoGを行っている企業も少しチェックしたいと思います。ありがとうございました。

BtoGは他のビジネス形態とは違うものと考えるべし

BtoGのビジネスは、その性質がBtoBやBtoCなどの他のビジネスとは異なります。そのため、営業手法やマーケティング・ブランディングの方法などに違いがあることを理解しておく必要があります。事業として展開したい場合には、企業として全体のバランスに配慮する必要がありますし、専門的にBtoGを担当するチームなどが必要であることに留意しましょう。