やりがい搾取とは?気付いた時にとるべき3つの行動

やりがい搾取という言葉が今はニュースなどでも見られますが、どのような状況を言うのか正しく知る必要があります。また、やりがい搾取に陥りやすい属性や、企業の状況についても理解しておくと可能性を疑って対処をすることができるようになります。

やりがい搾取とは?気付いた時にとるべき3つの行動

何かと話題の「やりがい搾取」、陥らないように正しいことを知っておこう

今はインターネットの隆盛によって、日々様々な情報が飛び交い、人々の声や反応も伝わりやすくなっています。その中で、厳しい労働環境に対して「やりがい搾取」という表現で批判が行われることも多くなっています。

もともとは2007年に東京大学の教授が著書の中で使い始めたというこのフレーズは、すっかり市民権を得て多くの人に使用されています。ブラック企業や過労死など、労働環境を取り巻く様々な問題がクローズアップされる中ですので、「やりがい搾取」についてもしっかり理解しておきましょう。

「やりがい搾取」とはどんなもの?

経営者に搾取される会社員のイメージイラスト

やりがい搾取の意味について一言で表すなら、「従業員の労働に対し、経済的なもの以外の対価として強調し、不当に賃金を下方に抑えていること」です。ここで言う「経済的なもの以外の対価」の代表例が「やりがい」であり、それゆえに「やりがい搾取」と言われます。

やりがいは、仕事を継続していく上で非常に大切であり、また仕事を選ぶ動機としても重要です。そのため、やりがいをアピールすることや教えていくことは企業が従業員の意欲や満足度を高めていく上でとても大事なことです。問題は、それもひとつの報酬と捉えてしまい、本来は労働の対価に与えられるべき経済的報酬が不十分になっていることです。

意図的にやりがい搾取を企業側が誘導しているケースもありますし、知らず知らずにそうなっている場合もあります。また正社員だけでなく、アルバイトに関してもやりがい搾取は多く見られます。

やりがい搾取によって心身の健康を壊し、人生に重大な影響を及ぼしてしまったり、家族などにも大きな迷惑をかけてしまっている人も多いため、ひとつの社会問題になっています。

負けるな!やりがい搾取だと気づいたらときにとるべき行動3つ

やりがい搾取だと気づいた場合には、どのような対応をするべきでしょうか。やりがい搾取に気づいた時にとるべき行動をあげてみます。

ひきつった顔の男性と三つの取るべき行動ロケット

1.やりがい搾取をされている環境を早く変えたい人は転職するのが一番いい

一番良いのは転職することです。会社の体制や経営環境というのはすぐに変わることはありません。そのため、早く環境の改善を望むなら転職するのが一番です。周囲に対して申し訳ない気持ちが生じるかもしれませんが、仕事をするのは組織や同僚、顧客のためではなく自分や家族のためです。

2.やりがい搾取の証拠を揃えて労基署などの第三者機関に訴える

企業の人事部などにやりがい搾取を訴えても何も変わりません。人事部が経営陣の意向を反映して、率先してやりがい搾取をコントロールしている場合も多いからです。明らかにやりがい搾取と見られる状況があるなら、労働基準監督署などの第三者機関に訴えるべきです。その際には、客観的に労働基準法に違反していることを確認できる証拠が必要となりますので、様々な形で記録を残しておくと良いでしょう。

3.やりがい搾取されていることを逆手に捉えて最低限の仕事以外はしない

やりがい搾取を感じた時には、「最低限の仕事以外はしない」と自分ルールを作ってみるのもひとつの方法です。「やりがい搾取」の状況を自分自身が作ってしまっていることも多いため、報酬に見合った、もしくはより効率の良い報酬のために最低限の仕事でとどめて退社してみましょう。違った形でやりがいを感じられるかもしれません。

ただし、仕事の仕方を変えた途端に周囲から冷たくされたり指摘されるようなら、職場に見切りをつけた方が良いでしょう。

注意しよう!こんな会社は意図的にやりがい搾取をしているかも

企業によっては、意図的にやりがい搾取を行っていることがあります。覚えておくと「もしかしたらやりがい搾取されているかも」と気づくことができるでしょう。

操り人形な男性をバックにダークにほくそ笑む男性

成長や顧客の反応を給料に反映することなしに強調する会社

仕事によって成長したり、顧客の良い反応があれば、誰でも働いていて甲斐を感じますし、嬉しく思うものです。しかし、注意してほしいのは、「成長や顧客の反応が報酬の代わりに使われていないか」ということです。成長や顧客の満足度向上によって売上や利益が出れば、それが従業員に還元されるべきですが、それが正当に行われていないようなら注意が必要です。

役員や管理職が帰りにくい雰囲気を作る会社

役員や管理職といった人々が帰らないなら、部下たちも帰りにくいと感じてしまうものです。基本的にこうした人たちは残業代がつかないことが多いため、残業をすることにメリットはありません。そんな役員や管理職にいる立場の人が部下や後輩たちに、夢を語り、仕事観を語ると、部下や後輩たちが染められやすくなります。

あげた成果よりも労働量を表彰する会社

会社の中には、残業代などの上限が決まっているにも関わらず、その労働時間を褒める会社もあります。「A君は先月は身を挺して300時間も働き、あの難しい案件をまとめ上げた。文句なしで今月のMVPだ」と、全社員の前で表彰したりします。しかし、本来はビジネスでは労働量ではなく、成果によって評価を行うべきです。成果以上にその労働時間を意識させる会社は注意が必要です。

人件費を削減するために人事評価制度がコロコロ変わる会社

企業によっては人事評価制度がコロコロ変わります。多くの場合、企業で人事評価制度が変わるのは社員のためではなく、人件費を削減する必要があるからです。やりがい搾取を行う企業では、上の世代の人件費カットの口実としての実力主義・成果主義を導入したり、若年層のロイヤリティを高めるために成果主義を掲げたり、意欲や成長欲求などの利益と直結しない評価項目を増やします。また、さほど給与や権限の増えない役職を増やして与え、若手にやりがいを与えることも多いです。

気づけばやりがい搾取になりやすい企業の特徴

やりがい搾取を意図的にしているわけではなくとも、そうした体制に陥りやすい企業の特徴も知っておきましょう。

特徴1:なかなか利益が出ない

頑張っていても、なかなか利益が出ない企業というのはやりがい搾取になりやすいです。売上が伸びない企業なら、利益のためにはコストをいかに抑えるかが大切になります。人件費は割合も大きいので、伸ばさないようにと試行錯誤するとやりがい搾取に陥ってしまいます。公務員や、保育・教育などのサービスでは売上拡大は難しいために生じやすいです。

特徴2:「仲間のために」「組織のために」一丸となっている

スマイル仮面をつけて仲間を励ます胡散臭いチーム

組織が一丸となっているのはとても良いことですが、それも過剰になると「仲間のために」「組織のために」と犠牲になる人が出てきてしまいます。すると、周囲を巻き込んでしまい、サービス残業をしても構わない組織の雰囲気を作ったり、「アイツだけいつも先に帰る」と互いに見張り合うムードを作ってしまうことがあります。

特徴3:商品力が弱く、価格交渉ができない企業

商品力が高い企業であれば強気の価格交渉ができますが、商品力が弱いと販売するためにはどうしても価格を下げざるを得なくなります。すると、様々なコストは同じで売上が減少するため、利益が少なくなり、場合によっては赤字となります。それを補うにはコストを下げたり、またはより多くの販売数をこなす必要が出てきます。このために残業が増えたり、給与の伸びが抑制されてしまって、やりがい搾取の温床となります。

あなたは大丈夫?やりがい搾取に遭いやすい人

操り人形の男性とロボットのような男性のイメージ

やりがい搾取に遭いやすい人には一定の性質があると言われていて、「真面目で奉仕精神の強い人」や、「就職・転職したての人」、「職場復帰を果たした主婦など」で多いです。しかし、仕事そのものや成長、頼られることに甲斐を感じるからと言って、それがやりがい搾取に直結するとは限りません。

やりがい搾取に遭いやすい人というのは、根本的には自分に自信がない人です。自分の労働力を少しでも高く売ろうとできず、自分の仕事にもっと価値があると思えない人です。それができなければ、他の要素で自分の満足度を高めるしかないため、経済的な報酬以外の部分に依存するようになるのです。

やりがいを中心にした報酬でも満足はできますが、それによって体を壊すほど働くのはやはりよくありません。自分のスキルが熟練して多くの仕事をこなしても給与などに反映されないなら、それは不当です。また、年齢が変わっていけば同じような働き方はできないのですから、より仕事の効率を求めていく必要があります。今は良かれと思っていても、それが将来にわたって「良かれ」と思えないのであれば、やはりやりがい搾取の状況下にあると考える必要があるでしょう。

仕事のやりがいとは?前向きになるやりがいの見つけ方

やりがい搾取の可能性に気づくことがまずは大事

今は仕事と生活のバランスが問われる時代ですが、やりがい搾取が生じると、バランスを大きく崩す原因となってしまいます。やりがい搾取の判断は容易ではありませんが、まずは可能性の有無に気づくことが大切です。可能性があると判断できれば、対処方法もいくつかあるからです。

意図的に仕組まれている場合もあれば、仕方なくそうなっている場合もあります。どこで線を引くのか、働き方を変えるかは自分自身が決断することですが、心身に重大な影響が出てからでは手遅れですので、その可能性については定期的に考えてみることをおすすめします。