インセンティブ制度とは?そのメリットとデメリット

インセンティブ制度をご存じでしょうか。導入している企業はまだ多くありませんが、働く人のモチベーションに大きく影響を及ぼす制度として、企業からも社員からも注目されています。インセンティブ制度がどのような制度であるか、インセンティブ制度のメリットとデメリットについても解説します。

インセンティブ制度とは?そのメリットとデメリット

インセンティブ制度とは

就職活動や転職活動をしていると、「インセンティブ制度」という言葉を募集要項で見つけることが増えてきたのではないでしょうか。インセンティブ制度とはどのような制度であるのか解説します。

「インセンティブ」の意味

図解:インセンティブ制度とは

インセンティブ(incentive)とは本来、「刺激」や「動機」を意味する英単語です。「目標を達成したり、ある行動に向かわせたりするための刺激、動機」といった意味で使用されることが多いです。

インセンティブ制度とはどのような制度?

インセンティブ制度とは、「個人の仕事の成果や成績によって支払われる賞与を変動させる制度」のことを指します。企業によっては、インセンティブ制度のことを「インセンティブプラン」や「変動賞与制度」と呼んでいるところもあります。

仕事をがんばって成果を出せば出すほど、賞与のアップというかたちで評価されるインセンティブ制度は、社員の仕事に対するモチベーションアップに大きな役目を果たします。

インセンティブ制度を導入しやすい職種は?

個人の仕事の成果がすべてであるインセンティブ制度は、その特徴から導入しやすい職種としにくい職種があります。同じ企業の中でも、インセンティブ制度を取り入れている職種と従来のボーナス制度のままの職種に分かれていることもあります。

圧倒的にインセンティブ制度を導入しやすい職種は営業職です。営業職は、契約件数や売り上げ達成率など、個人の仕事の成果や成績が誰の目にも明らかなかたちであらわれる職種です。

インセンティブ制度と通常のボーナス制度の違い

日本の企業の大多数は、インセンティブ制度ではなく通常のボーナス制度を導入しています。まずは、インセンティブ制度と通常のボーナス制度にはどのような違いがあるかを見ていきましょう。

ボーナス制度は「会社の業績」に対して支払われる

従来のボーナス制度は、一般的に夏と冬の2回、もしくは決算賞与がプラスされて3回、会社の業績に応じて、全社員に向けて賞与が支払われる制度です。つまり、会社の業績が良ければ、その期間に個人としての成績が振るわなくても賞与をもらうことができる制度であると言えます。

インセンティブ制度は「個人の成果や成績」に対して支払われる

インセンティブ制度とは、会社によって定められた期間における個人の成果や成績に応じた金額の賞与を支払う制度です。つまり、会社の業績がいくら良くても、個人として何の成果もあげられていなければ、報酬がプラスされることはないというシビアな制度と言えます。

インセンティブ制度のメリット

図解:インセンティブ制度のメリット・デメリット

インセンティブ制度は、まだまだ日本において導入している企業が多いとは言いがたいです。インセンティブ制度を導入することのメリットを挙げていきます。

モチベーションがアップする

インセンティブ制度は、個人として仕事の成果を出せば出すほど、賞与額がアップするというわかりやすい成果主義の制度です。よい成績でも悪い成績でも会社の業績が良ければ支払われるボーナス制度とは異なり、自分が成果を挙げなければ報酬のアップは見込めません。

そうなると、誰しも死に物狂いで成果を上げようとするでしょう。よい成績を残しているのに、自分より成績の悪い同僚と同額のボーナスをもらうよりは、はるかに仕事に対するモチベーションがアップします。

特に仕事の能力が高い人にとっては、さらなる高みをめざして仕事に真剣に取り組む動機付けとなるのが、インセンティブ制度の持つ大きなメリットであると言えるでしょう。

優秀な人材を集めやすい

ホワイトボードを指してプレゼンする女子社員

個人の成果給であるインセンティブ制度を導入していることは、高いスキルを持つ人に対しては正当な評価と報酬を得られる職場として魅力を感じやすくなります。

優秀な人材が企業に定着することを目的とするリテンションマネジメントと同じように、インセンティブ制度を導入しているその企業で確実に成果を出し、満足のいく賞与を獲得する自信のあるハイレベルな人材の応募を促進する効果が、インセンティブ制度には期待できます。

中途採用で即戦力となる優秀な人材を獲得したいと考える企業にとって、インセンティブ制度を導入することは大きなアピールポイントとなるでしょう。

リテンションマネジメントで優秀な人材をつなぎとめよう

社員のスキル育成に貢献する

インセンティブ制度は、仕事の成果を出さなければ収入アップは見込めない制度です。インセンティブ制度が導入された場合、会社員としてゆったりと仕事をして一定額の給与とボーナスを得ることはできなくなるため、「自分の能力に磨きをかけて常に成長しつづけなければいけない」という危機感を社員に植え付けることができます。

危機感は社員自らスキルアップを目指したり、仕事にこれまで以上に精を出したりすることを後押しする材料となります。つまり、インセンティブ制度の導入によって、各社員のスキル育成への貢献が期待されます。

インセンティブ制度のデメリット

それでは、インセンティブ制度のデメリットとしてはどのようなものがあるのでしょうか。

給与が安定しない

インセンティブ制度の社員側のデメリットとしてまず挙げられるのは、給与が安定しないということです。インセンティブ制度は、個人の仕事の成果や成績に応じて支払われる賞与であるため、成果があげられなかった社員には賞与が支払われないということになります。

通常のボーナス制度であれば、自身の仕事の成績が振るわなかったり調子が悪かったりした時期であっても、企業の業績に応じた賞与を受け取ることができますが、インセンティブ制度ではそうはいきません。

ボーナスを貯金に回したり、大きな買い物をボーナス払いにしたりする人は多いでしょう。しかしながら、支給時期になれば確実に賞与が支給されるボーナス制度とは異なり、インセンティブ制度には賞与の支給に確実性がないため、収支の計算や貯金の計画を立てづらくなるかもしれません。

先輩から売り上げを問い詰められている社員

モチベーションの差が開きやすい

インセンティブ制度では、社員それぞれの成績に応じて賞与の支給額が変動します。そのため、同じ企業の同じ部署、役職の社員間であっても、賞与の支給額に大きな開きが出てくるのは避けがたいことです。

仕事の成果をうまく出して、満足のいく賞与が支給されている社員は、高いモチベーションを維持して職務に一層励むことができますが、成績の悪かった人は賞与が支給されないことも十分あり得るのがインセンティブ制度です。

思うように成果が出ずに焦っている人にとっては、シビアなインセンティブ制度に精神的についていくことができなくなり、糸が切れたように仕事へのモチベーションを失ってしまうという事態に陥ることも、決して少なくありません。

インセンティブ制度を導入できる職種が限られる

インセンティブ制度は、仕事の成果を賞与の支給額に直結させる制度であるため、指標となる仕事の成果が誰の目にも明らかな数値で出るような職種でなければ、導入するのが難しいと言えます。

営業職は、契約件数や売上額といった数値で簡単に評価できるため、最もインセンティブ制度を導入しやすい職種です。一方、事務職や工場でのライン作業をする職種などにおいては、客観的な評価指標を掲げるのが大変難しく、インセンティブ制度を導入することは現実的に難しい状況であると言えます。

限られた職種でしか導入できないインセンティブ制度は、企業側としてはやはり導入に踏み切るのがなかなか難しい制度であるかもしれません。

インセンティブ制度のある企業で働くのに向いている人は?

モニター越しに指導されている新入社員

インセンティブ制度を導入した企業や部署で働くのに向いているのは、どのような人でしょうか。

チャレンジ精神にあふれている人

インセンティブ制度は、成果を出せば大幅な収入アップが見込めますが、成果を出せなければ大変厳しい収入になるという、いわばハイリスクハイリターンの制度です。「必ず成果をあげる」という重圧に耐えられる強い精神力がないと、インセンティブ制度のもとで働くのは厳しいかもしれません。

逆に言えば、「厳しい状況下で自分の力を試してみたい」というチャレンジ精神あふれる人にとっては、インセンティブ制度はもってこいの制度であると言えます。

仕事のスキルに自信がある人

言うまでもなく自身のスキルに絶大な自信がある人は、ぜひインセンティブ制度を導入している企業で働いてみることをおすすめします。「こんなにも評価してもらえるとは」という嬉しい驚きがあるかもしれません。

社員の志気を高めるインセンティブ制度

インセンティブ制度には、メリットもデメリットも存在します。ぼんやりと働いていては収入アップが見込めないため、社員は本気で仕事をするようになります。シビアな環境で脱落してしまう社員も出てくるかもしれませんが、社員同士が切磋琢磨しあい、社員の志気を高める一助となり得る制度です。

「一度きりの人生、自分の能力を試してみたい」といった、成長意欲の高い人にとって、インセンティブ制度は大変興味深く、チャレンジしがいのある制度であると言えるでしょう。