小1の壁の乗り越え方対策は子供メインに考えよう

「小1の壁」という言葉は広く浸透していて、実際多くのママさんが小学校入学を期に仕事を変えたり辞める人が増えます。保育園とは違い多くのサポートを受けられなくなる小学校入学のタイミング。今までの働き方、子供の面倒の見方を変えて、柔軟に対策して仕事と子育てを両立させ乗り切りましょう。

小1の壁の乗り越え方対策は子供メインに考えよう

小1の壁とは?働くママと子供にとって大きな転換期である小学校入学

お子さんの小学校入学は、家族に幸せと喜びを与えたことでしょう。今までの保育園という小さなコミュニティから、小学校というたくさんの人が集まる世界に仲間入りをして、家族には大きな変化が出てきます。
子供にとっては友だちが増えて、本格的な勉強がはじまって、今までにない行事があったりと、変化は幸せな思い出を作ってくれますが、ときには今までの生活を大きく変える必要に迫られる場合もあります。その代表的なものが「小1の壁」です。子供と働くママとパパに大きな影響を与える小1の壁にどう立ち向かうのか、選択できる対策をシミュレーションしてみましょう。

「小1の壁」とは?

入学式を迎えた笑顔の小学生の女の子

「小1の壁」とは、共働きの夫婦の家庭における、子供が小学校に入学する段階で発生する問題を表す造語です。

  • 親の出勤時間と小学校への登校時間
  • 親の帰宅時間と小学校の下校時間・学童保育閉園時間
  • 子供が1人で留守番しなければいけない
  • 夏休みや冬休みなど学校が長期の休みの時の子供のお昼ご飯
  • 小学校の平日の行事やPTAへの参加依頼
  • 突然の休校・午前授業

小学校に入学するまでに子供が所属していた保育園では、延長保育など働くお母さんをサポートする制度があるところも多く、ある程度遅い時間まで子供を預かってもらうことが可能です。しかし、小学校にあがると、授業が終わった後は下校が基本で、学童保育はありますが遅い時間まで預かってくれるような施設・仕組みはありません。

夫婦どちらかの両親の協力が得られるのならば、下校時間からお母さんの仕事が終わるまで預かってもらうことも可能ですが、現在では両親と離れて暮らす家庭が多く簡単に協力を得られません。しかも、小学校には夏休みや平日の短縮授業という変則もあり、いっそう子供の預け先に困る事態になります。そして、預かってもらえる施設が見つからなければ、仕方なくお母さんが働き方を変える必要に迫られます。結果として共働きでなければ家計を支えられないにもかかわらずお母さんの収入が不安定になったり、職場を変えないにしても勤務時間の変更が必要になったり負担が大きくなってしまいます。
保育園の対応が至れり尽くせり最高レベルのコンシェルジュかと思えてしまうくらいの落差に、たくさんのお母さんが悩まされた結果、「小1の壁」という言葉がつくられ定着してきたのです。ここからは「小1の壁」にぶつかったお母さんたちが選んできた「小1の壁対策」を選択肢別にご紹介します。

小1の壁対策1.子供を学童保育に預ける

正面を見て微笑む保育園の先生と子供達

小学校下校後の預け先を考えたとき、最初に思い至る選択肢が学童保育です。学童保育とは、共働きの夫婦など昼間に小学生の子供を保護監督する人がいない場合に、放課後や長期休業日など保護者にかわって保育してくれる施設。運営は自治体やNPO、学校法人や父母会に民間企業など様々です。
親の働く権利と家族の生活を守る役割を担っているのですが、公的な学童保育は通常18時で終わってしまうところが多く、保育園よりも子供を預かってくれる時間は短いので、仕事からの帰宅時間によっては結局子供は家で独り親の帰りを待つことになります。しかし、預け先が無いよりはよっぽどいいので、選択肢として一番はじめに検討されることが多いのが学童保育です。残念ながら学童保育は無料ではなく、基本料金の月額と状況に応じたオプションサービス料金が設定されているのが一般的です。

学童保育の基本料金

学童保育の基本料金は、施設にもよりますが多くは平日の18時か19時の閉園時間まで子供を預かる料金となります。多くの施設でおやつ代を利用料とは別に負担しなければいけません。

学童保育の料金設定は、公的運営施設か民間運営施設かの違いや、地域によってかなりの幅があります。公的運営の学童保育施設でも、基本料金が無料のところもあれば2万円に近い料金のところもあります。全国学童保育連絡協議会の全国調査報告によると、公的運営および民間運営の基本料金の平均は1.5倍の違いがあります。

  • 公的運営学童:6000円程度/月
  • 民間運営学童:9000円程度/月

利用者の増加に伴い、公的運営の学童保育施設では、保護者の仕事の時間や内容、家庭環境により必ずしも希望すれば学童保育を利用できるとは限りません。公的運営学童施設では、自治体の規定により家庭の収入に応じて、利用料の減額や免除を受けらえることもあり、人口密集地域では保育園と同様に学童を利用できない学童待機児童が増えています。
民間運営学童保育では、基本料金の中に入会金や一部オプションサービス料金が加算されていて月額基本料金が他よりも高額になっているところもあります。

学童保育のオプション料金

学童保育におけるオプション料金とは、平日の規定閉園時間を超える場合の延長料金や、土曜日や日曜日に施設を利用する際に発生します。民間運営の学童では、夕食を提供したり最寄り駅までの送迎サービスや、学習指導を行う施設もあり、保育園と同様に22時まで預かり保育を行う施設も増えています。

年齢制限がある学童もある

学童に入ることができたから安心という訳ではありません。学童によっては3年生までと学年制限が決まっている施設があり「小4の壁」と言われたりします。「3年間だけでもとりあえず…」と上手くいけば良いのですが、子供によっては「学童に行きたくない!」と言い出す子も。それでも面倒を見てくれるところがないからと、行きたくない子を無理やり学童に預けるのが良いのか考えてみましょう。

小1の壁対策2.子供に合わせて親が働き方を変える

パソコンのモニタを見て仕事をしている会社員の女性

子供の小学校入学のタイミングで、働き方を変える人は多く、特に女性の割合が多くなります。子供の帰宅時間と、勤務時間と勤務地の兼ね合いから転職先を選ぶ人が多く、転職しないとしても勤務時間を減らしたり、出勤・帰宅時間をずらして対応する人もいます。

現職で勤務時間や勤務形態を変える

転職せずに勤務時間などを調整できるかについては、働いている会社がどのくらい子育てと仕事の両立をサポートしてくれているかを調べる必要があります。育児・介護休業法による勤務時間短縮措置をもとに、多くの会社では小学校入学まえまでは短時間勤務やフレックスタイム制を利用できますが、小学校に入学した後は支援のほとんどが利用できなくなってしまう場合が多くなります。
ただでさえ預け先に困るのに、会社の勤務時間も一般社員とほぼ変わりなくなって、子供の面倒を見る時間を確保するためには、有給を利用したり遅刻早退をしなければいけなくなります。年に数回で済むなら良いのですが、頻繁となると子育てと仕事の両立はかなり困難となります。
そのため正社員という立場をあきらめ、勤務時間がある程度自由になるパートにならざるを得なくなる人が多くいます。勤務している会社で、子育てをしている先輩がどんな風に「小1の壁」を乗り越えたのかを聞いてみたり、人事や総務の担当者にどのくらいの支援制度があるのかを確認することが重要です。もしうまく制度を活用できたとしても、時短勤務や不規則な休みで上司や同僚に迷惑をかける罪悪感や、仕事をうまく回せないプレッシャーを抱えることになるので、子育てとの両立は本当に大変です。しかし、今まで職場で培った信頼やスキル、立場や収入など全てを投げうって転職することが、総合的に見て本当に最善なのかを夫婦で相談して決めましょう。

転職先を探す

現職での子育てとの両立が難しい場合は、転職を選ぶしかありません。勤務地や勤務時間、収入とのバランスを考慮した上で、負担とストレスの少ない子育てと仕事の両立を実現できる転職先を探す必要があります。
家計への心配や、夫が働いているのに自分だけ転職活動をするという罪悪感から解放されるために、急いで転職先を決めてしまうことだけは絶対に避けてください。必ず夫婦で話し合うべきなのが、「夫婦で子育てを分担できないか」ということです。「子育て=妻の仕事」という概念は、共働き夫婦が増加している現在の社会では不似合いであることは、女性・男性にかかわらず感じているでしょう。だからこそ、妻のみが子育てのためにそれまでの仕事を諦めたり、負担を我慢して両立を続けたりという選択をしてはいけません。しっかりとお互いに納得がいくまで話し合って決めなければ、溜まっていくストレスは必ず家庭に不協和音をもたらします。必ず夫婦で協力して幸せな家族を作りましょう。

学校・学童・職場に合わせて引っ越すのも小1の壁対策になる

通勤時間・送迎時間、子供の通学路の状況を時間を考え、小学校入学に合わせて引っ越しをする人もいます。学童に関しては、子供の好き嫌いがあるため、行かなくなる可能性がありますが、小学校と職場はそうそう変わることはありません。特に、今通勤時間が長い人なら、職場が近くなることで朝の時間を確保できますし、無駄な時間が減ることから結果的に子供と過ごす時間も増えます。
もちろん、旦那さんの職場のことも考慮することで、家族みんなが通勤・通学が楽になり、一緒に過ごす時間を確保できるので、引っ越しを検討してみるのもオススメです。

子供が小1の壁にぶつかったら子育ての協力者を得よう

子供とお絵かきをしているベビーシッター

子供が小学校に入学することで、夫婦だけでは仕事との両立が難しい場合は、協力者を得ることを考えてみましょう。一番の候補は、やはり夫婦それぞれの両親です。しかし、近年の家族形態は祖父母と遠く離れて暮らすことが主流で、協力を得ることは難しくなっています。そこでぜひ検討いただきたいのは、ご近所や同じ学年の家族とのwin-winな関係性の構築です。
たとえば、学童保育に入所している子供の友だちを伝って、家族ぐるみの付き合いに進展させる。そしてお互いに子育てで困ったときにサポートし合うのです。この協力関係は、祖父母とは違い一方的に頼るばかりではいい関係性を築くことが出来ません。自らも他の家族が困っているときは、率先してサポートすることが絶対不可欠な条件となります。

ご近所付き合いの希薄さを考えるとハードルが高く感じるかもしれませんが、子供の友だちの家族と交流を持っておくことは、子供自身の社会性を身に着けさせるためにもとても役に立ちます。相性はあるのですが、子供は両親の影響を受けて性格が作られるものです。子供が仲良くなった人の家族なら、あなた自身も仲良くなれる可能性は十分にあります。

小学生も利用可能なベビーシッター・キッズシッターやファミリーサポート

最近では、シッターの制度を利用する家庭も増えています。日本ではあまり普及していないため、乳幼児の面倒を見てもらうベビーシッターが一般的かもしれませんが、小学生まで面倒を見てくれるシッターサービスもあります。学校や学童保育、塾から家までの送迎、子供の面倒を見るだけではなく、家事代行として掃除や晩御飯の準備などのサービスも合わせて利用できる場合もあります。
学校が終わってから両親のどちらかが帰宅するまでの時間、子供の送り迎えや面倒をみてくれるシッターは、一見とても贅沢なもののように感じるかもしれませんが、今ではかなりシステムや料金も汎用性があるものへと進化しています。ただし、いかんせん、最初はよく知らないひとに大切な子供を預けることになるので、夫婦でしっかりとシッターさんの人間性を見極めることをお勧めします。

ファミリーサポートとは、自治体が提供するサービスで、会員登録するこことで講習を受けた登録者に子供を預かってもらえるサービスです。0歳から小学生まで預かってもらうことができ、登録料金は無料で利用料は1時間につき500円から1000円程度と安く、送迎から預かりまで行ってもらえるサービスです。
講習を受けた会員の多くが、子育て経験者で保育士や看護師の有資格者もおりますので、自治体のファミリーサポートセンターを確認してみましょう。

面倒を見てくれる人がどうしてもいないなら子供に留守番してもらうしかない

留守番中に宿題をしている女の子

全てのサービスを利用することができず、誰も面倒を見てくれる人がいないなら、子供に家でおとなしく留守番してもらうしかありません。いずれは覚えてもらうお留守番を、小学1年生からさせるのは難しい部分もありますが、ルールを決めて練習することで小学1年生の子供でも1人で留守番している子はいます。
常時連絡がとれるように、キッズ携帯をもたせ、常にどこにいるのか、何をしているのかを把握できるようにすることが大切ですが、小学校によっては学校への携帯電話の持ち込みが禁止の場合もあります。事情を説明し決まったタイミングでしか使わせないことで、特別に許可がもらえないか相談する必要も。小学校には持っていかないとしても、家に電話が無い家庭も増えていますから、キッズ携帯は必須といえます。
子供に合わせて留守番時のルールを決める必要があります。

  • 鍵の持ち方・家での鍵を置く場所
  • 誰かが訪ねてきても対応しない
  • 家の電話には基本的には出ない
  • ガスコンロには触れない
  • 用意されたオヤツだけを食べる
  • 何かあった時は連絡する
  • 緊急時に行く場所を決めておく
  • 遊びに出掛ける前には必ず連絡する

基本的なルールを決め、「帰ってきたら手洗いをする」「宿題をする」など、簡単なことからできることを増やしていくことで、子供の自立心を育むこともできます。

小1の壁の乗り越え方は子供をメインに考える

転職や時短勤務によって収入が減る人がいます。かといって、子供によってはどうしても1人では留守番できない子もいます。小学校入学は、親の働き方を変えてしまうかもしれませんが、子供にとっても大きな環境の変化です。保育園と小学校では、子供同士の付き合い方、保育士から先生に変わることで子供を見てくれる時間が格段に減ります。いじめの問題は無くなることはありませんし、多感な時期だからこそ子供の様子をしっかりと見てあげる必要があります。

あなた仕様の「小1の壁」対策を見つけよう

保育園の手厚いサポート体制をどんなに懐かしんでも、子供成長は逆戻りしません。誰もが通る「小1の壁」をうまく乗り越えて、成長をとげた家族はたくさんいます。
鍵っ子で1人で留守番をして元気な子供は沢山います。でも、どんな子でもできるという訳ではありません。常に家に誰かがいてくれる環境でも、子供の心境の変化に気付かない家庭もあります。仕事はお金のためには大切です。せっかくならやり甲斐のある仕事をしたいという気持ちも大事。かといって子供に辛い思いをさせて良いという訳ではありません。
小1の壁は、入学のタイミングだけではなく、子供の成長に合わせて柔軟に対応していく必要があります。あなたの家族なりの乗り越え方を見つけましょう。