フリーランスの仕事の探し方術、実は仕事がない時の方が忙しい

フリーランスの仕事は以前と比べると案件探しがずっと楽になっています。しかし、それでもフリーランスの人は、仕事がない時の方が仕事があるときよりも忙しいことが多いのです。フリーランスと仕事について紹介します。

フリーランスの仕事の探し方術、実は仕事がない時の方が忙しい

フリーランスってどうやって仕事を探してるの?

フリーランスがひとつの働き方の形として存在感を高めてきていますが、やはり多くの人が気になるのは仕事の探し方です。仕事の探し方さえわかれば、フリーランスとして活動してみたいという人も少なくありません。

大学生の酒井君は、フリーランスが気になっている人の一人です。酒井君は、フリーランスの仕事の探し方について、フリーランスの経営コンサルタントとして活動しているK・エーイ氏に聞いてみることにしました。

フリーランスだというだけでは仕事は無いのが普通

机の上で開いたままのラップトップ

―エーイさんはフリーランスとしてずっとお仕事されていますよね。やっぱり、仕事がない時もあったんでしょうか?

そりゃそうですね。フリーランスだというだけで仕事が来るなんてことはまずありませんからね。

―そうなんですか?フリーランスの人ってすごい実力があって、勝手に仕事が舞い込んでくるんじゃないかってイメージがあるんですが。

まあ、確かにそういう人もいますね。フリーランスっていうのはそもそも「個人として案件ごとに技術や知識を提供する事業を行っている人」ですから、働き方の種類なんです。実力の有無はフリーランスであることとは、実はあまり関係ないんですよね。

―じゃあ、実力が無くてもフリーランスはできるんですね。でも、実力がないと、やっぱり仕事は無いんじゃないですか?

実力があっても仕事が無いこともありますよ。フリーランスの仕事というのは、実力が決める面もありますが、探すか探さないかが左右する面が大きいんです。フリーランスだというだけでは仕事が無いのが普通だと考えてください。

フリーランスの仕事はある意味「何でもアリ」

デザインの仕事をするフリーランスの女性

―じゃあ、フリーランスの人ってやっぱり自分でお仕事を探しているんですね。

その通りです。みんなお仕事探しに頑張ってるんですよ。

―でも、フリーランスっていろんな仕事がありますよね。どうやってお仕事を探すんですか?

フリーランスの仕事って、ある意味では「何でも有り」なんですよね。ただ、役所などに出す届け出には事業内容について書く欄があるため、「自分の本業」はある程度みんな持っています。だから、自分の本業に合わせて仕事を探すのが普通です。でも、実際には他の仕事をして、兼業でアルバイトをしていたことにもできたりします。

―え?どういうことですか?

たとえば、私は経営コンサルタントをしているわけですが、バイトという名目でイラストを描いて販売するということもできなくはない、ということです。

―へぇ~。結構自由なんですね。

ただ、所詮は専門技能のない「アルバイト」でしかありませんから、稼ぐというにはちょっと物足りないですよね。やっぱり、自分の専門とする事業分野を持つことはフリーランスでは必要不可欠ですね。

―どんな分野が多いんでしょうか?

中小企業庁の「2016年版 小規模企業白書」では、「デザイナー」や「IT系エンジニア」、ライターや脚本家などの「著述家」、「翻訳家」などが多いですね。「マンガ家」や「俳優」などの芸術家もフリーランスが多いですね。

フリーランスの仕事探しの基本は人脈からの紹介

人脈から仕事の紹介へ

仕事探しと言えば、フリーランスが仕事をもらう時というのは、職種を問わず「紹介」が多いんです。

―へぇ~。誰が仕事を紹介してくれるんですか?

過去に取引のあったクライアントや、前職などで面識がある人、またフリーランス仲間などが多いですね。だからこそ、いい仕事をして、信頼を得るということが最低限必要になります。

―じゃあ、やっぱり実力が大事なんですね。

もちろん、実力も大事です。しかし、仕事として行うことですから、ある程度の質はもっているというのが前提だと思うんです。より大事なのは、「使える人脈」をいかに作っていくかですね。

―使える人脈というのは?使えない人脈もあるんですか?

当然そうです。たとえば、仕事はきちんとしたけど、何かウマが合わないという人から仕事が回ってくることはほとんどありませんし、条件も良くないことも多いです。知ってはいるけどアテにはできないのが使えない人脈です。やっぱり、いい関係で一緒に仕事ができた場合ほど仕事の質も量も期待できる、使える人脈になります。

―良い仕事ぶりと良い関係が大事なんですね。

その通りです。加えて言えば、関係が冷えないようにうまくコミュニケーションを取り続けること。やはり疎遠になればそれだけお願いはしにくくなりますから。

―でも、お仕事ももらってないのに連絡するって変じゃないですか?

そこを自然に上手くやるわけです。「以前の仕事に関係することで良い情報があった」とアフターフォローをしながら接触したり、取引先のセミナーなどに参加してみたり、近くに行く機会があれば挨拶しに足を運んだりとかね。

―うわぁ。人に会うのも技術なんですね!

そうですよ。フリーランスを長く続けている人ほど、人に会うことを大事にしている印象があります。やっぱり、仕事は顔を知っている人にお願いした方が安心ですから、顔を出すことは大事ですね。

人脈のない人はフリーランスにはなれないの?

クラウドソーシングなどのネットサービスで

―エーイさん。素朴な疑問なんですが、たとえば僕が大学を卒業してすぐにフリーランスになったとして、人脈がないからフリーランスとしては失敗するんでしょうか?

その可能性は割と高いとは思いますが、今は人脈がないとしても仕事は探せるようになりつつありますね。

―え!そうなんですか?

はい。今は案件ごとのマッチングサービスや、クラウドソーシングによって発注者とフリーランスをつなぐ仕組みが整備されているので、人脈が無くともフリーランス初心者でも仕事を探すことはできます。

―おお!ということは新卒フリーランスもできるんですね!

そうなりますね。ただ、「仕事がある」ということと、「仕事ができる」ことはまた別ですし、さらに言えば「その仕事で生活できる」はまた別です。誰でもできる仕事ほど報酬も安いですから。

―ああ、急に不安になってきました…。

酒井君はフリーランスがしたいんですか?もしフリーランスで仕事をするなら、最初は採算はある程度は無視しても、しっかり仕事をこなして実績を積みましょう。実績を積む中で、自分のスキルも上がりますし、どの程度の仕事ができるかがわかりますし、信頼や人脈も作られていきます。

―今はフリーランスにも興味はあるってくらいです。もしやるなら、そうやって最初は地道にコツコツやっていくことが大事ということなんですね。最初から大きな仕事はできないと考えた方が良いんでしょうか?

スキルにもよりますが、やはり信用面でフリーランスは弱いので、大きな仕事は受注もしにくいでしょう。受注できても、「やっぱりできませんでした」は最悪の場合は賠償問題になりますので、確実にできるところから実績を積んでいくべきですね。

実は仕事がない時のフリーランスは忙しい

外でスケジュール帳をチェックする女性

―仕事がない時も当然あるとして、そういう時にフリーランスの人ってどうしてるんでしょう?

人にもよりますが、実は仕事がない時の方が忙しいというフリーランスの人は多いんです。

―え?仕事がないのに忙しいんですか?

はい。フリーランスの人にとって、仕事がない状態というのは収入がない状態ですから、できるだけ早く仕事を取らなきゃと営業活動に従事することになるんですね。

―なるほど。でも、そんなにすぐ仕事って見つからないですよね?

当然そうです。そのため、時にはスキルと少々合わない仕事を受注したり、単価が安い仕事を請け負わないといけないケースも出てきます。仕事をする中でスキルが伸びたり、また単価が上がったりすることもありますが、一定期間は労働時間が伸びたり収入が減ったりするのは避けられません。

―うわ~。好きな仕事ばかりできるわけではないんですね。

まあ、それでも企業勤めの会社員よりはマシなんでしょうけどね。また、仕事がない時期には自分のスキルアップや人脈作りのために勉強会や交流会などに足を運んだり、Webサイトやブログを充実させたりと、仕事の土台作りをしていることも多いんです。決まった仕事がある方が、やることも収入も決まってて楽なことが多いんですね。

―仕事がない方が忙しいってそういうことなんですね。フリーランスにとって、仕事を確保するということがどれだけ大事なのかがわかる気がします。

今時のフリーランスは飛び込み営業はほとんどしない

ネットサービスで営業

―そういえば、営業活動と言えば「飛び込み営業」のイメージがあるんですが、今までのお話だとそういうことはしないってことですか?

飛び込み営業で初対面の相手の心を掴む成功の極意

そうですね。フリーランスの人は、今ではほとんど飛び込みの営業活動ってしないですね。昔はそういう人も多かったんですけど。

―それだけ、紹介や様々なサービスがあって便利になっているってことなんですね。

はい。本当に便利になりました。でも、いわゆる営業活動らしい営業活動ではないけど、ご近所づきあいなどをしながら名刺を渡したり、仕事について話して覚えてもらうなど、ゆるいスタイルの営業活動をしている人は多いでしょうね。

―じゃあ、営業が苦手な人でもフリーランスにはなれるんですね。

正確には「対面営業が苦手な人でも」ですね。今は営業方法にもいろんな種類がありますから。しっかり自分を売り込み、そして自分のスキルにきっちり値段をつけるという意味での営業力はフリーランスでは必須ですよ。

―わかりました!フリーランスの仕事事情がわかると、身近になったような気もしますし、かえって遠く感じるような気もしますね。エーイさん、ありがとうございました!

フリーランスの仕事は種類も探し方も様々だけど待ってるだけではダメ

フリーランスを取り巻く環境は大きく変わり、仕事の種類も探し方も様々になって、ひと昔前と比較すると仕事探しはずっと楽になっています。しかし、どんなに実力があっても待っているだけで仕事が来るわけではありません。仕事の受注に少しでもつながるよう、常に動くことが大切です。