11月の時候の挨拶ビジネスで使える上旬・中旬・下旬の文例

11月の時候の挨拶や文例を紹介します。手紙をしたためる文化がなくなってきている現代、時候の挨拶を知らない方もいるでしょう。使ってみると季節を感じられ相手を労うことで心のこもったメールや手紙を作成できます。ビジネスでも手紙でも使える相手の心に刺さる11月の時候の挨拶を紹介します。

11月の時候の挨拶ビジネスで使える上旬・中旬・下旬の文例

ビジネスで11月の時候の挨拶をしたい

みなさんは、時候の挨拶を使って人にメッセージを送ったことはありますか。手紙をしたためる文化がほとんどなくなってきている現代ですから、多くの人が、時候の挨拶について学校で習った気がする、といったかすかな記憶がある程度だろうと思います。

社会に出れば使うのかというと、随分昔に比べれば使用する頻度はやはり減ってきていますが、それでも、全く使わないということはなく、社会人なりたての頃に一度は「時候の挨拶」の正しい使い方について調べた経験がある、という人がほとんどです。

すでに結婚や弔辞などを経験していれば、一度は触れたことがあるかもしれませんね。あるいはまた、純文学の中にでてくる、主人公から片思いの相手へのラブレターで時候の挨拶に触れた、という人もいることでしょう。

そのように時候の挨拶はビジネスはもちろんのこと、結婚や弔辞といった、人生の中でも重要なシーンでも使われる、大切な書き出しの言葉です。季節ごとの時候の挨拶をしっかりおさえておきましょう。

時候の挨拶を春夏秋冬の季節で使い分けるための文例集

それでは、11月の時候の挨拶はどのようなシーンで使われることが多いのでしょうか。

新暦(グレゴリオ暦)で表す11月は秋のくくりとなりますが旧暦では10月12月とともに、冬のくくりとなります。

冬の季節とされる11月は「霜が降り出す月」ということから霜月(しもつき)といい、師走(しわす)といわれる忙しい12月の時期を目前にして「そろそろ寒さも本格的に厳しくなりますし、いろいろと忙しい時期が迫ってきていますね」といった意味合いの文句を使い、相手への労いを伝えてあげるのが基本です。

時候の挨拶それ自体についてよく知らないまま、なんとなくわかったつもりで使ってしまうと、ふさわしくない表現を選んでしまうこともあります。正しい基本をふまえた上で、目的や使い方をしっかりと理解し、そのときどきによって相手の心に刺さるよう、様々な時候の挨拶を紹介します。

11月の時候の挨拶はどのように使えばいい?

抱えきれないほどの落ち葉を拾う子供

時候の挨拶を含む文章の構成は「こんにちは」といった書き出し部分の頭語(とうご)と「さようなら」といった末文にくる結語(けつご)のセットで成り立っています。時候の挨拶は、必ず頭語の後に続けるものと決まっており、多くの場合、そのときの心情や季節感を表現します。また、時候の挨拶は、相手の安否をたずねる挨拶をつづけて書くという決まりになっています。

はじめから終わりまでの文章構成

「頭語」+「時候の挨拶」+「相手の安否をたすねる挨拶」+本文+「結語」

時候の挨拶は、かしこまった場面で使用する漢語調と、頭語や結語を使わずややカジュアルな表現でまとめる口語調の2種類が存在します。差し出す相手によってどちらか適切なほうを選ぶとよいですね。
また、漢語調のあとには「〜の時期を迎えましたが」という意味合いの「〜の折(おり)」や「〜のみぎり」「〜の候(こう)」と続けることを覚えておきましょう。

秋のおとずれ「11月上旬の時候の挨拶」

11月に入り色づいてきた紅葉

11月上旬は、一言でいえば「秋もようやくおとずれはじめましたが」といった意味の時候を使います。

11月上旬の漢語調は「紅葉(こうよう)」「深秋(しんしゅう)」「暮秋(ぼしゅう)」「季秋(きしゅう)」「菊花(きくか)11月中旬まで」「霜降(そうこう)立冬まで」「氷雨(ひさめ)11月いっぱい」「残菊(ざんきく)立冬まで」などを使うのが適切です。

それぞれ意味や使うのに適切な時期などがありますので、まとめてチェックしておきましょう。

紅葉

「紅葉の季節になりましたが」という意味で使い、10月いっぱいから11月7日の立秋までに使います。

深秋

「秋もすっかり深まりましたが」という意味で使い、10月下旬から11月上旬まで使える時候です。

深秋は、紅葉にくらべると「自然がものがなしく感じられる季節ですね」といったセンチメンタルな意味もあり、使い方によっては少し大人びたな文章に使える表現です。

暮秋

「だんだんと秋も暮れようとしてきていますが」という意味で使い、11月7日の立秋までに使います。

季秋

暮秋と近く「秋の終焉が訪れようとしていますが」という意味で使い、11月7日の立秋までに使います。

菊花

「菊の花が舞うころになりましたね」という意味で使い、11月中旬までに使います。

菊花は中国では祝い事などに用いられ、不老長寿などを祈願します。表現が華やかに感じられ、縁起もいいので、特に女性に使うと受けがよいかもしれませんよ。

霜降

「霜が降りそうなくらい空気が冷たくなってきましたね」という意味で使い、11月7日の立秋までに使います。

氷雨

冷たい雨やみぞれを意味し「みぞれまじりの冷たい雨も降り始める頃ですが」という意味で使い、11月末までに使います。

残菊

「菊の花もまだちらほら咲き残っている頃ですが」という意味で使い、11月7日の立秋までに使います。

ただし、新暦での11月はまだ秋がはじまったばかりという頃。旧暦のまま使ってしまうと、今の時代で感じられる季節とは、ずれているように感じさせてしまいますので、必ずしも上旬までと決まっているわけではありません。そのときに体感する季節感によって、適切かどうか考え、使い分けていきましょう

口語調では「日毎に寒さが加わり」「めっきり寒くなってまいりましたが」「ゆく秋の寂しさ身にしみるころ」などがあります。こちらは前述の通り、頭語や結語「〜の候」といった表現は必要ありませんので、シンプルに使ってみましょう。

秋も真っ盛り「11月中旬の時候の挨拶」

道端に広がる紅葉した落ち葉

11月中旬は、一言でいうと「秋も本格的になってきましたが」といった意味の時候を使います。

11月中旬の漢語調は「晩秋(ばんしゅう)」「初霜(はつしも)」「深冷(しんれい)」「夜寒(よさむ)」「落葉(らくよう)」「立冬(りっとう)」などを使うのが適切です。

それぞれ意味や使うのに適切な時期などがありますので、まとめてチェックしておきましょう。

晩秋

「秋も深まり徐々に寒さも訪れてきましたね」という意味で使い、立秋を過ぎた頃から11月21日までに使います。下旬に使うと不適切なのでご注意。

初霜

「今年初めての霜が降り出してきましたね」という意味で使い、11月末までに使います。

深冷

「体が感じられる空気がめっきり冷たくなってきましたね」という意味で使い、11月末までに使います。

夜寒

「冷え込みが徐々に強まり、夜もだんだん寒くなってきましたね」という意味で使い、11月末までに使います。

落葉

「いよいよ落ち葉が舞う季節になりました」という意味で使い、11月末までに使います。

立冬

「冬の空気が立ちこめてくる季節になりました」という意味で使い、11月7日の立秋から11月21日までに使います。

口語調では「吹きすさぶ風に落ち葉舞うこの頃」「初雪の便りも聞こえる今日このごろですが」「そろそろこたつが恋しい季節となりましたが」「知らぬ間に吐く息もすっかり白くなってまいりましたが」などがあります。

秋よさようなら、冬よこんにちは「11月下旬の時候の挨拶」

雪に覆われた東北の渓流

11月下旬は、一言でいうと「もう冬が目前となり、寒さもぐっと厳しくなる時期ですね」といった意味の時候を使います。

11月下旬の漢語調は「霜秋(そうしゅう)」「向寒(こうかん)」「初冬(しょとう)」「初雪(はつゆき)」などを使うのが適切です。

それぞれ意味や使うのに適切な時期などがありますので、まとめてチェックしておきましょう。

霜秋

「秋もそろそろ終盤となり、霜が降る季節になりました」という意味で使い、11月末までに使います。

向寒

「秋も過ぎ去ろうとしており、冬の寒さが日増しにやってきていますね」という意味で使い、11月末までに使います。

初冬

「冬がようやくはじまろうとしていますね」という意味で使い、11月末までに使います。

初雪

「初雪がそろそろ降る時期がやってきましたね」という意味で使い、11月末までに使います。

口語調では「師走に入って一段と寒く」「年の瀬も押し迫ってまいりました」「忙月荒涼たる冬となり」「カレンダーも最後の一枚となりました」「めっきり寒くなりましたね」などがあります。

11月の時候を使って、書き出しの例文をつくってみましょう

親しい人に書く手紙の時候の挨拶を考える女性

それでは、11月の時候の挨拶を使って書き出しの文章をつくってみましょう。

例えば、最近徐々に冷え込みを感じてくるような天候が続いていれば、

  • 「暮秋の候、朝夕はだんだんと冷え込むようになりましたが、いかがお過ごしでしょうか。」

また、冬の訪れなど一向に感じないほど温かい気候が続いていれば、

  • 「紅葉の候、おだやかな小春日和がつづいておりますが、いかがお過ごしでしょうか。」

そのときどきの気候や出来事などを盛り込み、時候の挨拶が完成します。相手や場面など、適切な文句を選ぶよう心がけると、相手の心に響く文章として、まとまりますよ。

拝啓に続く文例とビジネスで使える時候の挨拶

11月の時候の挨拶からつながる結びの例文をつくってみましょう

時候の挨拶でメールを送るのが好きな女性

本文をしたため、文末の結びとなる結語はこのようなものを使ってみましょう。ここになくとも、状況に応じてご自身で文章を作成しても問題ありません。気持ちを込めてオリジナルのものを作成すれば、まとまりもよく、心のこもったレターの完成となります。

11月上旬の時候の挨拶例文

  • だんだんと寒さが増してきますので、風邪などには十分お気をつけくださいね。かしこ
  • 季節の変わり目は、体調を崩しやすい時期ですので、どうがお体ご自愛し、ますますご精励ください。謹言

11月中旬の時候の挨拶例文

  • 冷え込みも厳しくなり、季節の変わり目ですので、お体にはお気をつけ下さい。
  • 朝晩の寒さから冬を間近に感じはじめる季節となりましたが、気温の変化にはくれぐれもご自愛ください。

11月下旬の時候の挨拶例文

  • 向寒の候、ご家族みなさま、お風邪には十分お気をつけてお過ごしください。
  • 冬の身支度でお忙しいことと存じますが、筆を取らせていただきました。
  • 師走はもうすぐですので、食べ過ぎや飲み過ぎなど健康管理にはお気をつけて、健康第一にお過ごしください。

「拝啓」の書き出しの場合、文章の末尾には「敬具」「敬白」「かしこ」を「謹啓」の書き出しの場合、文章の末尾には「謹白」「謹言」「かしこ」が使われますが「かしこ」は主に女性が使用するものですので、男性はご注意。

11月の時候の挨拶をビジネスでも楽しもう

時候の挨拶は、現代の季節感と旧暦とのずれや漢語調といった日常では使わないものが多く、使うのが煩わしいですし、そもそも送る相手が理解していなければ意味がないとし、避けて通りたくなるものです。

実際、手紙をしたためることも少ないですし、ビジネスシーンでも、昔に比べるとだいぶシンプルなものが好まれる傾向にあります。
しかし四季折々を感じられるのは文章というのは日本ならではのもの。いろいろとご紹介しましたが、そのなかでも親しみやすい文句やなじみのある季語を入れるだけで、しみじみと味のでるレターが完成します。

多くの人が使わなくなりつつあるからこそ、時候の挨拶を使うことで、オリジナリティあるレターとして感じてもらえることでしょう。11月の時候の挨拶を機に、ぜひ使い慣れてくださいね。