雇用保険の加入条件と制度の仕組み

雇用保険の加入条件についてご説明します。まず雇用保険の制度や仕組みについて詳しく解説します。その上で基本的な加入条件や、アルバイトやパート、派遣で働く人や役員などが雇用保険に加入できるかについてご説明します。

雇用保険の加入条件と制度の仕組み

雇用保険に加入するにはどうしたらいい?

雇用保険という言葉はよく耳にしても、その制度がどのように運営されているものかまでは詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。雇用保険とは、そもそもどのような時に効果を発揮するものなのか、そして加入するためにはどのような条件が必要なのでしょうか。今回は、雇用保険がどのように働くもので、私達はどのように働きかけるべきなのかを詳しくご紹介していきます。

雇用保険とは

雇用保険があれば突然の失業でも雇用保険で再就職に向けて活動することができる

雇用保険の目的は、労働者の失業時などに生活や雇用の安定を保障する事にあります。労働者を雇用する事業は、強制的に適用されるものです。雇用保険は、失業の予防や労働者の能力の向上など、福祉開発を図る意味も持っています。

雇用保険加入の目的

労働者が失業して所得の源泉を失った場合や、雇用の継続が困難となった場合に適用される雇用保険は、「失業等給付」と、雇用安定及び能力開発の「雇用保険二事業」の2つに大きく分かれます(注1)。

雇用保険の料率が引き下げられた

雇用保険料率は、平成29年4月1日から引き下げられました。失業等給付の保険料率は、労働者負担・事業主負担ともに1/1,000ずつ引き下がり、事業主のみが負担している雇用保険二事業の保険料率は、引き続き3/1,000です(注2)。

雇用保険を受け取る日数

雇用保険における基本手当とは、被保険者が離職した場合に失業中の生活を問題なく過ごし、再就職までの期間を助けるために支給されるものです。基本手当を受け取る事ができる日数は、受給資格に係る離職の日における年齢や被保険者であった期間、離職した理由などによって決められ、それぞれ90日~360日の間で定められます。

特定受給資格者とは

倒産や解雇など、離職に特別な理由がある被保険者の事を特定受給資格者といいます。また、それ以外で期間の定める労働契約が更新されなかった事によって離職した者は、一般的な被保険者より手厚い給付日数となる場合があります。

給付日数には規定がある

特定受給資格者と一部の特定理由離職者の場合、被保険者であった期間が1年未満で30歳未満~60歳以上65歳未満なら90日であるように、給付日数が細かく定められています。なお、平成29年1月1日からは、これまで雇用保険の適用外であった65歳以上の人も、雇用保険の適用対象となりました。

保険料は事業主が払う

雇用保険の保険料は、労災保険と合わせて、労働局に事業主を通じて納められます。労災保険料は事業主が全額負担する事になっています。

給付されるもの

ハローワーク

求職者給付と呼ばれるものに基本手当と技能習得手当、寄宿手当、特例一時金、傷病手当などが含まれます。ほかに、就職促進給付に、再就職手当や就業手当、就業促進定着手当などがあります。

また、育児休業給付のように、子供を養育するために休業した場合、育児休業給付のように、子供を養育するために休業した場合、育児休業する直前の2年間で、賃金の支払われた日数が11日以上の月が12ケ月以上ある事を条件として給付される雇用保険もあります。

同じように「介護保険給付」というものもあり、これも同じ条件で、支給額は支給日数に応じて休業開始時賃金日額の40%が支払われるとされています。

なお、雇用保険の各種届出は、ハローワークで配布されており、一部はホームページからダウンロードする事ができます。

雇用保険の基本的な加入条件

雇用保険は国の社会保障制度であるため、本人の意思にかかわらず、原則として労働者は雇用保険の被保険者になるための資格を持っています。事業主は、労働者を雇用する場合、その業種や規模、人数などに関わらず、等しく雇用保険の加入手続きが必要です。これに適用される労働者が、基本的に雇用保険の被保険者となります。

被保険者とは

雇用保険が適用される被保険者とは、雇用関係によって得られる収入によって生活している人の事を言います。また、ここで言う「雇用関係」とは、労働者が事業者のもとで規律に沿って労働を提供し、その対償として賃金や給料などの支払いを受けている関係の事を指します。

労働時間と雇用期間

雇用主との契約上の労働時間が、1週間で20時間以上である事と、31日以上雇用の継続が見込まれている事が雇用保険の基本的な加入条件です。雇用保険の加入条件の基準は、1週間の労働時間と雇用期間により決定される事になります。基準となる1週間の労働時間は、全ての労働者が等しく20時間です。

「1週間で20時間未満の労働」であるという判断は、就業規則や雇用契約書などにより、通常1週間のうちに勤務するべき時間を基準として行います。通常の1週間とは、年末年始や夏季休暇、祝祭日などの特別な休日を含まない週の事を指します。

労働時間が1ケ月単位で定められている場合は、1ケ月の労働時間を12分の52で除した時間を、労働時間が1年単位で定められている場合は、1年の労働時間を52で除した時間を適用します。

なお、この場合の「労働時間」は全て「所定労働時間」の事であり、「1週間所定労働時間」とは、就業規則や雇用契約書などによって定められているものです。

雇用契約が途中で変更になっても変わらない

加入条件は、契約が途中で変更になった場合でも変わらず、週に20時間以上の労働が求められます。また、雇用契約の変更は退職扱いにはならない事に注意してください。

1週間の労働時間が能動的に変動する場合には、その周期における労働時間の平均を1週間の労働時間とします。1週間の労働時間が複数の週で定められている場合には、各週の平均労働時間を適用します。

雇用保険を受給できる適用期間

失業給付の場合に基本手当を受給できるのは、離職日の以前2年間に被保険者期間が12ケ月以上あるという条件を満たしている時のみです。被保険者期間は、雇用保険に加入していた期間のうち、離職日からさかのぼった1ケ月ごとに区切った期間に、賃金支払いの基礎となる日、つまり出勤した日が11日以上ある月を1ケ月として計算します。

アルバイトやパートは雇用保険に加入できる?

カフェでアルバイトをしている男性

雇用保険が適用されている会社、つまり法人・個人を問わず従業員を1人でも雇っている事業所で働く場合は、アルバイトやパートであっても、雇用保険に加入する事ができます。パートやアルバイトである事を理由に雇用保険への加入を拒まれる事はありません。

パートやアルバイトの労働者が雇用保険の被保険者となると、「短時間労働被保険者」と呼ばれ、「一般被保険者」と呼ばれる正社員と区別されます(注3)。

短時間労働者として働く条件

短時間労働被保険者として働くための条件は、1週間の所定労働時間が20時間以上である事、31日以上継続した雇用が見込まれている(予定されている)事、労働条件が雇用契約書か雇用通知書に明記されている事です。これら全てが満たされていれば、年収がいくらであるかは関係ありません。

短時間労働者が雇用保険を受給するためには

短時間労働被保険者が基本手当を受給するためには、離職したのちに働く意思と能力を持っている事と、離職直前の2年間で、1ケ月あたり11日間以上働いた月が、通算して12ケ月ある事が条件となります。11日間以上働いた月は間をおいていても良いという事になります。

また、病気やケガで30日以上休み、その間給料がもらえなかった場合、その期間は延長されます。失業給付金を受け取るためには、1年以上雇用保険を支払っている必要があります。

事業主はハローワークに短時間労働者雇い入れ報告の義務がある

アルバイトやパートである事や、本人が希望するかどうかは関係なく、条件を満たしていれば被保険者とならなければなりません。この時事業主は、「雇用保険被保険者資格取得届」を雇い入れ日の翌月10日までにハローワークに提出する義務があります。

アルバイトやパートだからといって雇用保険に加入できないという事はないので、突然職を失ったり、やむを得ない事情で離職せざるを得なくなった場合などに対しても、国からきちんとフォローがあります。

自分が雇用保険に加入しているかどうかを確かめるにはハローワークに聞く

自分が雇用保険に加入しているかどうか確かめたい場合は、ハローワークに行き、「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会票」を提出すると良いでしょう。この書類と身分証明書を合わせて提出すると、「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会回答書」をもらう事ができます。加入状況の確認には、この方法が一番確実であると言えるでしょう。

季節労働者は雇用保険に加入できるの?

重機を使って除雪をしている季節労働者

季節労働者とは、通常の仕事が季節的な要因でできなくなるために、他の地域などで仕事をする労働者の事を言います。例えば北日本などで、積雪などにより事業ができなくなったため、雪の影響を受けない他の地域で働くなどが代表的です。

雇用保険における季節労働者の定義とは、雇用契約期間が1年未満で、仕事の内容が季節の影響を強く受けるものであり、特定の季節のみ雇用される人とされています。

季節労働者は、4ケ月以上雇用されるという雇用契約であり、かつ、1週間の所定労働時間が30時間以上であれば、「短期雇用特例被保険者」という雇用保険の被保険者になる事ができます

短期雇用特例被保険者は、一般の雇用労働者とは違い、基本手当を受給せずに特例一時金を受給する事になります。そのためには、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ケ月以上ある事が必要です。

被保険者期間の計算方法は、1月中に賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を被保険者期間の1ケ月として計算する事としています。病気やケガで30日以上給料が受け取れなかった場合は、最大4年間まで遡って受給要件を緩和する事ができます。

これらの要件を満たし、特例一時金の支給を受ける事ができる資格を特例受給資格と言います。季節労働者もこれに当てはまりますが、特例一時金を受給するためには、離職によって資格を喪失したと確認された事が必要です。また、労働の意思や能力があるにも関わらず職業に就けない事が受給の条件となります。

派遣は雇用保険に加入できるの?

派遣社員でも雇用保険に加入する事ができます。常用型と呼ばれる派遣社員は、全ての人達に加入する権利があります。登録型と呼ばれる、仕事がある時にだけ派遣先に赴いて仕事をする社員にも、一定の条件を満たしていれば雇用保険に加入する権利があります。

まず、同じ派遣元(派遣会社)に31日以上継続して雇用されているか、その予定がある事です。次に、1週間の所定労働時間が20時間以上である事です。そして、同じ派遣元(派遣会社)との雇用契約が1年未満であっても、次の雇用契約との間隔が短く、その状態が通算して1年以上見込まれる(予定される)時です。

基本手当を受けるためには、退職する直前の1年間に1ケ月で14日以上働いた月が通算して6ケ月以上あるか、退職する直前の2年間に、1ケ月間で11日以上働いた月が、通算して12ケ月以上あるか、どちらかの条件を満たしている必要があります。

派遣元の会社を退職した時の雇用保険の手続きや基本手当の給付日数、給付制限などは、一般被保険者と同じです。失業手当は、離職前、11日以上出勤した月の6ケ月分の賃金を元に計算されます。

役員は雇用保険に加入できるの?

代表取締役、専務取締役、常務取締役、監査役は被保険者になれません。ただし、兼務役員と呼ばれる特別な役員は被保険者になる事ができます。兼務役員になるためには、あらかじめハローワークで認定を受けておかなければいけません。

株式会社における取締役であって、同時に部長、支店長、工場長など、従業員としての身分を持つ人については、労働者的性格が強いとし、被保険者とする場合があります。監査役は「原則として」被保険者になる事はできず、代表取締役は被保険者になる事はできません。

雇用保険の加入条件に年齢は関係あるの?

雇用保険には、年齢制限がありました。平成28年12月末日までは65歳に達した日の前日から引き続き65歳に達した日以後の日において雇用されている被保険者を除いて適用除外でした。

しかし、平成29年1月1日以降は、65歳以上の労働者も「高年齢被保険者」として雇用保険の適用対象となる事になりました(注4)。

平成29年1月1日以降に1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込みがある場合は、ハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届出」を事業主が提出すれば、雇用保険の被保険者となる事ができます。

平成29年1月1日以降に、平成28年12月末までに65歳以上の労働者を雇用し、平成29年1月1日以降も継続して雇用する場合も、対象者は被保険者となります。

平成28年12月末時点で高年齢継続被保険者である労働者を、平成29年1月1日以降も継続して雇用している事業主は、ハローワークへの届出は不要です。(対象者は自動的に被保険者として扱われます。)

雇用保険の具体的な手続きの仕方

雇用保険受給資格車に向けた再就職手当に関する案内

雇用保険の基本手当を受給するための具体的な手続きをご説明します。離職後、退職した会社から「雇用保険被保険者離職票」が手元に届きます。これを大事に保管しておきましょう。次にハローワークで求職の申し込みをした後、離職票を提出します。その際に必要なものは以下の通りです。

  • 離職票
  • マイナンバーカード/通知カード/住民票
  • 身元確認書類(運転免許証など)
  • 写真2枚
  • 印鑑
  • 預金通帳またはキャッシュカード

指定の日時に開催される雇用保険受給者初回説明会に出席してください。

  • それから4週間に1度、失業状態にある事の確認が行われます。指定された日にハローワークに行き、「失業認定申告書」に必要事項を記入した上で「雇用保険受給資格者証」とともに提出してください。
  • 受給は失業の認定から通常5営業日で指定した預金口座に振り込まれます。再就職が決まるまで、所定給付日数を限度として「失業の認定」と「受給」を繰り返しつつ仕事を探す事ができます。
  • 基本手当を受けられるのは離職の翌日から1年間です。1年間を過ぎると所定給付日数の範囲内でも基本手当が受けられません。

雇用保険はいざという時の命綱

雇用保険の重要性についておわかりいただけたでしょうか。突然解雇されたら、なんて考えたくはありませんが、そんな最悪な事態に瀕した際に、雇用保険に加入していれば、再就職までの生活は保障され、一命を取り留める事はできます。条件を満たしている事もあわせて、雇用保険に加入している事を確認しておく事をおすすめします。

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