行政保健師の仕事内容とは?気になる勤務形態や年収の実態

行政保健師は女性だけの職ではなく、男性にも人気の職種となりつつあります。そこには行政保健師の役割がどんどん増えてきている背景と、公務員としての安定力が関係しています。今回は行政保健師の現状や、行政保健師になるために知っておきたい基礎知識を解説します。

行政保健師の仕事内容とは?気になる勤務形態や年収の実態

増え始める行政保健師と広がる活躍の場

皆さんは「地域包括ケアシステム」や「子ども・子育て支援新制度」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。地域包括ケアシステムとは、重度の介護レベルの状態となっても自分が住み慣れている街で自分らしい暮らしを続けていくためのシステムです(注1)。子ども・子育て支援新制度というのは、平成24年に成立した子ども・子育て関連3法に基づく制度です(注2)。そして、これらの内容を誰が主に扱うのかと言うと、行政保健師の名が上がります。

こうした制度の施行により活躍の場が増えている背景から、行政保健師の人員は増え続けています。育児がしやすく、公務員としての安定性が保障されている職業であり、開業する方も増えつつあります。
今回は、今後の動向が気になる行政保健師の仕事について詳しくまとめました。

行政保健師は公務員の保健師

行政保健師は公務員で女性が多いけど男性も増えてる

行政保健師は冠する「行政」という文字からわかるように、公務員としての職業です。その活躍の場は増えてきていますが、主に4つの職場があります。

  • 保健所
  • 保険センター
  • 地域包括支援センター
  • 老人保健施設

平成26年時点での厚生労働省の調査によると、現在48,452人の保健師が就業しています(注3)。増加している人員のうち、男性の保健師増加率が特に突出しており、女性の働き方の多様性にも大きくかかわってきています。

行政保健師の働き方は勤務地ごとに変わる

まずは、4つの働く場所を持つ行政保健師がそれぞれどのような役割を担っているのか、具体的な仕事内容をご説明いたします。

1 保健所

保健所で作業をしてる行政保健師

保健所勤めの場合では都道府県単位での活動となります。そのため広範囲での活動ができ、地域保健法の施行により専門的な活動ができます。例えば、ウイルス性の病気に対する保険サービスや危機管理など多くの専門内容があり、その点に関するエキスパートになります。

2 保険センター

保健所とは異なり地域密着型の保険サービスを提供することが主な業務です。管轄が市町村となりますので比較的狭い範囲での活動をして、地域住民に密に関わる業務があります。例えば、特定保健の指導や高齢者もしくは体の不自由な方への支援など、広範囲ではどうしてもできないような活動ができます。

3 地域包括支援センター

地域包括支援センターは市町村に設置されているため、保険センターに勤めるのと同様、地域に密着した活動ができます。ただし、ここでは行政保健師だけで行うのではなく、ケアマネージャーや社会福祉士の方たちとチームになって活動する点に違いがあります。

主に大人との対話が中心の業務であり、母子や要介護の高齢者と接する機会が多い職場です。健康教育や健康相談などを行い、地域を元気にする取り組みを行っています。また、母子手帳や乳幼児の健康に関する手続きも行います。

4 介護老人保健施設

老人の肩を支えてる介護施設で働く行政保健師

介護老人保健施設(老健)では保健師の裁量が大きく施設全体の切り盛りを任されます。4つの種類の中で一番地理的範囲が狭いものの一つの施設の運営というものは大変です。全体における健康管理の設定と進め方を決め利用者とのコミュニケーションをとり、安心して自分たちの地域に住んでもらうための重要な仕事であるためです。この職務では利用者だけでなく、関連するご家族に対するコミュニケーションスキルも求められます。

4つの主要な職場において共通する点は地域における健康サポートを行うという点です。そのサポート内容は範囲とともにさまざまですが、それだけ活動の場が広いということでしょう。

行政保健師になるには?

行政保健師になるためには公務員試験を受けなくてはなりません。しかし、試験内容は各自治体で異なるため、受験先の自治体ホームページで確認してみてください。
例えば、山口県の保健師の募集では一次試験に教養および専門知識、二次試験では論文および口述試験が課せられます(注4)。一般的にはこのような試験方式をとることが多いです。

教養試験の試験内容の概要とすると、次のようになります。

  • 文章理解(現代文・古典・英文)
  • 判断推理
  • 数的推理
  • 資料解釈
  • 社会科学
  • 人文科学
  • 自然科学

しかし、これら全てを学ぶには量が多すぎるため、自治体ごとに異なる試験傾向を見た上で自分の得点源となる内容から取り組んだ方が良いでしょう

教養試験の後には専門知識の試験があります。内容とすると公衆衛生看護学、疫学、保健統計学、保健医療福祉行政論などがあります。これまた自治体によって傾向が異なり択一式か論述式かでも難易度は大きく異なるため注意が必要です。

最後に面接試験があります。筆記試験が簡単にされている場合ではこの面接試験に配点が多く降られている場合があります。この試験では自分が保健師として何ができるのかを述べる必要があります。さらにその自治体を選んだ理由なども聞かれるので事前に用意しておきましょう。

もちろん、これで公務員になれるわけではありません。2次試験まで合格したとしても採用になるわけではないのです。この段階では採用名簿登録までしか進んでおらず、人材紹介の欄に載った程度の話です。その後、関係自治体からオファーが来て、関係書類を提出してようやく内定がもらえます。

行政保健師の平均年収

悩んでる女性

行政保健師は公務員ですので、各自治体の給与体系に準じて報酬が支払われます。もちろん保険などの待遇も完備されています。しかし、大学卒業や短大卒業などで若干の差が出てしまいます。詳しくは各自治体の給与体系を参考にしてください。
平均的な年収としては300万~400万円程度であり、30代後半には500万から600万円程度の年収となります。

行政保健師に求められること

現在の行政保健師に求められることとして、以下の4点が挙げられます。

  • 徹底的な地域主義
  • 地域の健康把握と企画・立案・評価の機能
  • 健康課題の客観的把握と地域連携
  • 地域性の違いを取り入れる積極性

行政保健師はある特定の地域において活動し、その内容を逐一鑑みなくてはなりません。そのため自らの置かれている現状を把握することが求められています。また、その内容を客観的なデータや地域住民の考えに沿ってまとめる技術が必要になります。よって、そのような情報を積極的に取り入れて地域住民に還元するような姿勢を持つ者が相応しいと考えられています。

現在の保健所数と保健師の数

保健師には独立開業のチャンスが!

現在、日本の72市に保健所が設置されています(注5)。その内実としては、やはり面積や人口密度の関係から設置数にばらつきがみられます。多いところでは横浜市の469名の保健師がおり、少ないところでは大牟田市の15名などのばらつきがあります。これはその場にあった需給関係に沿ったものとは必ずしも言えません。こうした点を手掛かりに働きたい自治体を探すのも一つの手です。

保健所に関しては公的な機関としてその数を増やしていくには限度があります。しかし、最初に述べたように今では保健師としての経験を活かして独立、開業されている方もいらっしゃいます。こうした中でも保健師の広がりは見られています。開業するというからには何かしらに特化させる必要があります。

また、開業というのは一人で行うのは難しいため、日本開業保健師協会がサポートしてくれます。サポートしてもらうには会員にならなければいけません。その会員にも「賛助会員」「準会員」「正会員」「プラチナ会員」といったクラスがあり、いずれかを選ばなくてはいけません。入会金や年会費とサポート内容を見比べて、自分に合った会員になることが望ましいです。

開業にあたり、保健師として開業するということがどういうことなのかも日本開業保健師協会は教えてくれます。開業する前に訪れてみて決意を固めるとよいでしょう。

保健師は少子高齢化のいま必要不可欠な存在

少子高齢化が進む現代において、行政保健師をはじめとする保健師の役割は非常に重要であり、まず人員は削減できません。現在では公務員としての保健師が多いですが、需要過多の状態で人材が集まらないことの方が多く、今後は民間の保健師も増えていくでしょう。つまり、後にどのようなことが起ころうとも保健師の仕事は減らないということです。

確かに苦労することもあり、ほぼ毎年のように新制度の憂き目にあわされる職種ですが、それだけ進化している職種でもあります。地域に密着した健康サポートをしたい方はぜひ行政保健師を目指してみてはいかがでしょうか。

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