リファラル採用のメリットとデメリット、社員紹介制度ってどう?

縁故採用と混同されがちなリファラル採用ですが、実はいくつかの違いがあります。企業の既存社員からの紹介となるためスキルや適性を見極めやすいというメリットや、求職者にとっては採用までのショートカットとなる可能性も。

リファラル採用のメリットとデメリット、社員紹介制度ってどう?

リファラル採用を知ろう

皆さんはリファラル採用とはどんな採用手法かご存知でしょうか。このリファラル採用、日本国内ではあまり耳にしない言葉ですが、アメリカでは当たり前の採用方法となっているのです。
今回はリファラル採用とは何か、その意味や求職者と企業にとってのメリット・デメリットについてまとめていきます。今後日本でも広く定着していく可能性の高い採用方法ですので、ぜひチェックしてみてください。

縁故採用のメリットとデメリットとは?コネ入社での注意点

そもそもリファラル採用とは?

リファラル採用は「リファラルリクルーティング」「社員紹介採用」「社員リファラル制度」とも呼ばれており、その企業に従事する社員からの推薦・紹介を受ける採用方法を指します。求職者の採用が決まった際には、その紹介者は企業から定められた額のボーナスを受け取ることができるシステムです(企業によっては紹介ボーナスを支払わないシステムのところもあります)。近年のSNSの普及によって人と人とのつながりが見えやすくなったことで浸透し始めています。

社員の人脈とネットワーク

2016年に行われたアメリカのキャリアコンサルティング会社CareerXroads社の調査によると、調査対象の204企業のうち、実に87.6%の企業がリファラル採用を導入していることがわかりました。さらに、新規採用者の27.5%がその企業の社員からの紹介を受けたという結果が出ています。このことからも、リファラル採用は非常にメジャーな採用手法であることが伺えます。

社員と企業の信頼関係が築かれているからこそ成り立つ制度

紹介ボーナスが設けられているということももちろん無関係ではありませんが、既存社員が「この会社はいい会社だ。ぜひあの人にも紹介したい」と思わなければリファラル採用は成り立ちません。
つまり、リファラル採用を導入している会社はそれだけ社員と企業との信頼関係が形成されており、魅力のある会社でもあるということになります。

リファラル採用は血縁者を中心に紹介する縁故採用とは違う

社員の人脈

リファラル採用の大まかな内容を理解すると、「それっていわゆるコネ入社(縁故採用)じゃないの?」と疑問に感じる方も多いことでしょう。

紹介者がいるという点においてはコネ採用と同じですが、リファラル採用の場合は企業に見合った候補者を募り、その人材の中から採用を決めるという特徴があります。
また、縁故採用で紹介されるのは血縁者が中心ですが、リファラル採用の場合は血のつながりなどは関係なく、知人や友人を通じて紹介するというのが一般的な認識です。

縁故採用のメリットとデメリットとは?コネ入社での注意点

企業がリファラル採用を取り入れるメリット

リファラル採用では、求職者と企業にとってどういったメリットがあるのでしょうか。それぞれの立場から見た利点について解説していきます。

企業のリアルな実態を知ったうえで応募してもらえる

リファラル採用は自分の適性やスキルを踏まえた上で紹介を受けるシステムです。そのため、書類選考の省略など、選考プロセスをショートカットできることや、入社後にはその会社の即戦力として早い段階で活躍できるといった利点があります。

技術者のチームが並ぶ

また、社内に知り合いがいるということで、その企業の労働環境や仕事内容についてリアルな実態を教えてもらうことができ、入社前後におけるギャップも少なくなります。その結果、職場にもなじみやすくなり、仕事のミスマッチも少ないため定着率がアップする、というメリットも期待できるでしょう。

求職者が期待するメリット

  • 選考時に優先されやすい
  • 入社後すぐに即戦力として働ける
  • 紹介者からのリアルな話が聞ける

仕事のミスマッチを防ぎやすい

通常、企業が求人募集する際には以下のような流れとなります。

  • 求人広告を打ち出す
  • 応募者を書類選考や面接でふるいにかける
  • 採用決定

書類選考や面接試験は求職者の人となりや能力を見極める段階ですが、スキルや適性については、実際に働いてみないとわからない部分が多いのが現実です。

しかしリファラル採用の場合、求職者や企業の両者をよく知る人物である既存社員からの紹介となるため、これらのミスマッチを防ぐことにつながり、即戦力となる人材を確保できる効果があります。その上、採用範囲を拡大しつつも、採用にかかるコストを大幅に削減できるというのも大きなポイントです。

ミスマッチが減るとサインを出すビジネスマン

企業が期待するメリット

  • 社員からの紹介のためミスマッチが少ない
  • 採用範囲を広げられる
  • 選考におけるコストの削減につながる

企業がリファラル採用を取り入れるデメリット

リファラル採用では、求職者と企業にとってどういったデメリットがあるのでしょうか。それぞれの立場から見た利点について解説していきます。

求職者と紹介者が良い関係でいられるとは限らない

頭を抱える社員

リファラル採用では、あなたをよく知る人物から紹介を受けることとなります。「この人が紹介するのだから優秀なのだろう」と期待されて採用されるだけに、入社後に企業から求められるスキルのハードルは高いものとなるでしょう。
しかしその一方で、「紹介してくれた方の面子をつぶすわけにはいかない」と、辞めたくても辞められない状況に追い込まれる可能性があります。

さらに、リファラル採用を通じて自分を推薦してくれた人との関係性が、入社後に良い方向に変化するとも限りません。むしろ、先に入社した推薦者は先輩であり自分が後輩ということで、今まで通りのフランクな関係を築くことが難しくなる可能性も考慮すべきでしょう。

求職者が懸念するデメリット

  • 求められるハードルが高い
  • いざというとき辞めるのが難しい
  • 良くも悪くも紹介者との関係が変化する可能性がある

不採用の場合、企業と紹介者のあいだに溝が生まれてしまうことがある

もちろん、採用経路の全てを社員からの紹介という形だけに頼ってしまうと、優秀な人材の確保にはつながるものの、その人材を確保するまでに長い時間がかかってしまいます。
さらに、紹介されたにもかかわらず、何らかの理由で不採用となってしまった場合、紹介者である既存社員と企業との間に深い溝が生まれる可能性もあります。

また、「紹介されたからとりあえず受けてみた」という受け身な理由で応募してくる求職者がいたり、万が一、新規採用者の紹介者が退職してしまった場合に、採用者のモチベーションの低下につながるのではないかと懸念する声や、紹介するにあたりボーナスを受け取ることに対し罪悪感を覚える方も少なくありません。企業がリファラル採用を導入する場合には、これらのデメリットにも目を向けた上でよく検討する必要があるでしょう。

企業が懸念するデメリット

  • 人材確保までに時間がかかる
  • 不採用となった場合に企業と紹介者の関係にヒビが入る可能性がある
  • 紹介者の退職後に新規採用者のモチベーションが下がる恐れがある

リファラル採用は日本でも導入する企業が増加中

アメリカでメジャーとなっているリファラル採用ですが、メーカーや外資系など、日本国内でも導入している企業が増加しています。近年では中途だけではなく、新卒採用においても導入されつつある手法です。

リファラル採用では採用者のスキルや適性が基準に達しているという保証があるため、通常の縁故採用とは違い、双方のマッチング率も高い傾向にあります。就活生や転職活動中の皆さんも、あらゆる知り合いとのつながりから自分との相性のよい企業への採用経路を探ってみるのもよいのではないでしょうか。