なりたい職業ランキング上位の変化は「憧れから安定へ」

なりたい職業ランキングで上位、または下位にランクインする職業を性別や年齢別にご紹介します。また、それらが人気、または不人気である理由や、世相を反映しているといった背景についても触れていきます。

なりたい職業ランキング上位の変化は「憧れから安定へ」

なりたい職業ランキングは移り変わっている

昔と今、そして年齢によって、なりたい職業というものはそれぞれ移り変わっていくものです。あの頃自分はこうなりたかったけれど、今の若者はどう考えているのだろう、などと考えた事がある方も多いのではないでしょうか。

職業や働き方の選択の幅はどんどん広がっていっています。まずは、昔と今のなりたい職業の違いをご紹介します。

なりたい職業は「憧れから安定へ」ランキングが変化している

なりたい職業について議論する大学生

世相が変わるのに従って、なりたいと思う職業は移り変わっていきます。昔、まだ好景気と呼ばれていた時代は一貫して憧れが先行していたと言えます。もちろん野球選手など今でも不動の人気を集めている職業もありますが、現在は比較的安定志向に変わっています。不景気だと騒がれている事を知っている大学生や、安定した職業が良いと子供に勧めている親を持つ小中学生などに影響が及んでいます。

なりたい職業として男女問わず公務員や医師などが人気

なりたい職業ランキングなどを見ると、今は年代問わず公務員が圧倒的人気を誇っています。昔から教師という職業への憧れは全体的に高かったようですが、現在は教師以外の公務員、国家公務員や地方公務員、警察官などへ目を向けている学生がたくさんいます。

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また、医師も男性、女性ともに人気が高い職業です。学費も難易度も高い職業ですが、人の役に立てる上に高給というところに人気の理由があります。医療関係でいうと女性人気が高いのは看護師です。これは昔から今まで常にほぼトップにランクインするほどの人気を集めています。また、現在では薬剤師を目指す人も増えてきています。

昔からエンジニアは一定の人気を保ってきましたが、そこに加えて近年ではゲームクリエイター、またはその他のクリエイター業が急激な追い上げを見せています。以前はあまり脚光を浴びていなかった職業ですが、インターネットの普及も手伝って現代人の心を掴んでいるようです。

なりたい職業で人気が落ちているのはサラリーマン・OL・キャビンアテンダント

一方でサラリーマン、OLは昔より人気が下がっているようです。男性も女性も資格を持って安定した働き方を選びたいと考えている傾向にあります。なりたい職業を問われて「サラリーマン」と答える人が減っているという事でしょう。

また、昔は子供のなりたい職業ランキングに常に入っていたスチュワーデス(今はキャビンアテンダント)が現在あまり人気と言えないのは、おそらくその夢を叶えるための道のりの険しさに気付いた子供達が増えた事が一因と言えそうです。

なりたい職業ランキングの上位を紹介!

ここからは大学生、高校生、中学生、小学生と世代別のなりたい職業の上位にきているものを見ていくことにしましょう。併せて、海外の子供たちのなりたい職業についても紹介しているので、要チェックです。

男子大学生のなりたい職業ランキング上位

将来音楽関係の仕事に就きたい大学生

なりたい職業ランキングで男子大学生に人気なのは、公的機関、金融業といった安定とやりがいを兼ね備えた職業です。具体的にはどんな職業が挙げられているのでしょうか。

公務員

この場合の公的機関は、教師以外の公務員を指します。国家公務員、地方公務員はもちろんのこと、弁護士や会計士などの国家資格を必要とする公務員を目指している人が多いです。教師を志す学生も一定数いますが、公務員人気には及んでいません。資格を取るまでには相当な苦労が必要とされるので、将来の安定性を考えると学生のうちに頑張っておこう、と自分を奮い立たせている人が多いのでしょう。

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金融業

金融業は女子大学生にも人気がありますが、男子大学生にも高い人気があります。銀行や証券系は、給与や待遇が良く、安定性があり離職率が低いところが魅力です。高収入や安定性の面では大手総合商社も人気の職業です。ここでもやはり求められているのは安定性が一番で、その次に収入面だと言えます。現在の不況を鑑みると、無理に高給を狙うよりも、まずは安定して離職の可能性を潰しておきたいといったところでしょうか。

医者

医師の人気も昔から変わらず高く、医療系の専門職に就きたいと考えている学生も多くいます。どの時代でも必要とされる職業である事や、社会貢献度も高く、医師という職業を一生続けていく事ができる事などが人気の理由であると言えます。

スポーツトレーナー

幼い頃からのスポーツ選手になりたいという夢の形を変え、スポーツトレーナーとして活躍したいと考えている学生も一定数いるようです。ジムなどの専属トレーナーになり、会員のメニューを作成したり、体づくりの手伝いをしながら自分自身も鍛えるという方法で、スポーツ業界に関わるという選択です。

IT関連

近年増えてきているのがSE、IT関連企業への就職希望者です。技術職としても人気が高く、文系、理系問わず就く事ができる職業であるため、多数の企業でステップアップを図る事を視野に入れている学生も多いようです。また、クリエイター希望の学生も多くなっています。ゲーム、音楽など、ジャンルは様々ですが、自分で何かを創り上げていく事に喜びを感じる現代人特有の憧れが人気の原因と言えます。

女子大学生のなりたい職業ランキング上位

夢に向かって進む女子大生

なりたい職業ランキングで女子大学生に人気があるのは、看護師や保育士といった医療系の専門職です。

看護師・保育士

看護師や保育士は今も昔も年代問わず、女性人気が圧倒的に高い職業です。手に職を付ける事で、一生どこでも働く事ができるという理由でこの職業を目指す学生も一定数おり、先を見据えた考え方が広まっていると言えます。

保育士であれば「子供が好きだから」といった理由であったり、看護師であれば「困っている人の役に立ちたいから」といった理由でその職業を選ぶ学生も多いようです。その職業を好きだから選ぶ、という気持ちが先に立つ、情熱を持った志望者も後を絶ちません。

薬剤師

医療系専門職としては、薬剤師も注目されています。医師も男子大学生同様人気のある職業ですが、手に職をつけ、一生を通して働き口を見つけやすいなどといった理由から薬剤師を目指す人もいます。

商社・メーカー

公務員や教員も一定の人気を保っていますが、大手商社やメーカー業界を就きたい職業に挙げる女子大学生も多いです。これは女性が働きやすい環境である事や、厚待遇である事に注目しているからです。産前産後休業、いわゆる産休と呼ばれるものですが、その後に育児休暇も加えて両方がとりやすく、休み明けに職場に戻りやすい職場であるかどうかが女性にとって重要であるため、女子大学生としては考慮しておきたい点だと考えられます。

金融・旅行業

金融業、旅行業も女子大学生に人気がある職業です。これらも大手であれば安定性が見込めますし、高給も夢ではありません。現代では女性が社会で活躍する事が当然とされる向きが強くなっていますし、また、女性側としても自分の力を社会の中で発揮したいと考えている人が多くなっているため、長く安定して働く事ができ、かつ女性である事をデメリットとしない職業が人気となっています。

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高校生のなりたい職業ランキング上位

職業体験中の高校生

高校生は、なりたい職業に関して大学生に近い考えを持っている傾向があります。ですが、安定性を求めてはいても、それ以上に自分の好きな事や憧れなどが強く表れている事が見てとれます。特に芸能界を希望する人も大学生よりも全体的に多くいます。

男子高校生がなりたい職業は公務員や建築士など

男子高校生に人気なのは教師、またはそれ以外の公務員です。ここでも公務員人気は安定しています。やはり安定性が決め手となっているのか、採用試験が目前に迫ってきて、進学との分岐点が現実味を帯びてきているからでしょうか。

また、会社員やエンジニア、プログラマー、IT関連業は全体的に人気が低めですが、男性には人気があるようです。近年では建築士を目指している人も多く、人気の変遷が見られます。

女子高校生がなりたい職業は保育士や看護師など

女子高校生に人気なのは保育士、教師、看護師です。これらは大学生に続き、高校生にも人気が高い職業です。保育士や看護師は、結婚後の復帰のしやすさ、年齢によって勤務状況が左右されにくい事などが人気の理由です。また、働き口に困らない、堅実に貯金ができるなど、現実的な意見も多く飛び出すのが女性の特徴です。一方、教師以外の公務員に対する人気は男性よりも低いようです。

男女共に人気があるのはやはり医療関係です。医師や薬剤師は人気が高く、理想の職業として挙げられています。ここでもその職業への憧れが強く見受けられます。

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中学生のなりたい職業ランキング上位

将来なりたい職業に就くため勉強中の中学生

中学生にとってなりたい職業は、少し具体性を帯びてきたといったところでしょうか。色々な職業がある事を次第に理解してきていながらも、まだ憧れのほうが強い傾向にあります。

男子中学生がなりたい職業はスポーツ選手や教師など

男子に人気なのは昔から変わらずスポーツ選手です。高校生のランキングではあまり見られなかった職業ですが、中学生にとってはやはり憧れの的です。そして教師、医師がそれに続きます。やはり男子中学生にとっても安定した人気を誇っていますが、教師以外の公務員の人気は高校生よりも更に下がり、あまり安定性を求めている向きはなさそうです。

また、ここでは芸能人の人気が高校生よりも更に高く、自分の可能性を試したいと考えている事が見受けられます。男子中学生においてはゲームクリエイターも人気を集めていますが、これは幼い頃からゲームに触れて育った事が一因でしょう。楽しむ事から、それを創り出す事へと興味が移っていくといった夢に変わっていったというところです。

エンジニアや建築士など、技術職や専門職にも目を向けている人が増えています。漠然としたイメージを少しずつ具体化していった先にこのような職業に行き着いたと考えられます。サラリーマンは下位で、あまりなりたい職業とは言えないようです。

女子中学生がなりたい職業は保育士や看護師など

女子に人気なのは不動の人気を誇る保育士と看護師です。この点は女子高校生と変わりません。男子とは違い、教師への興味は薄いです。女子中学生では幼稚園の先生を理想に挙げる人も多く、子供と触れ合う機会の多い職業に就きたいという考えが広まっている事がわかります。

ケーキ屋やパティシエは昔から変わらず人気を保っており、女子にとって一度はなりたいと思う職業だと言っても過言ではないほど、脚光を浴びています。また、美容師やイラストレーターといった美的センスを求められる職業にも人気が集まっています。さらには、芸能界に入りたいと考えている人も多くいます。

小学生のなりたい職業ランキング上位

夢がたくさんある小学生

小学生にとっては、なりたい職業=夢と考えても良いでしょう。テレビや漫画で知った身近な職業に強い憧れを持ち、華やかな世界で活躍したいと考えている人が多く見られます。

男子小学生がなりたい職業はスポーツ選手やゲームクリエイターなど

男子に人気があるのは、やはりスポーツ選手です。自分の好きな競技に没頭する時間が多く確保でき、テレビやスタジアムでの観戦などできらびやかさを感じる機会が多いため、憧れの的になっています。 そのほか、人気があるのはゲームクリエイターです。やはり中学生と同様ゲームに触れる時間も長く、楽しさを見出せるところが人気の理由となっています。

研究職など堅実な職業への希望もある中、インターネットで活動するフリーランスの仕事に興味を持つ人も多く、インターネットが普及した現代の世相を反映していると言えるでしょう。

女子小学生がなりたい職業は保育士やペットショップ店員など

女子に人気があるのは、保育士です。それに続いて、ペットショップなどの動物に関わる仕事に人気が集まっていますし、ケーキ屋の店員やパティシエもなりたい職業ランキングの上位に入っています。また、漫画家や歌手、女優などになりたいと考えている人も多くいます。

海外におけるなりたい職業ランキング上位

海外でも人気がある教師の仕事

では、海外ではなりたい職業として子供たちに人気なのは、どのようなものなのでしょうか。医師、教師は年齢に関わらず日本と同じく人気の職業で、医療や教育に対する関心の高さがうかがえます。また、芸能界への憧れが強い国もあり、華やかな世界への憧れは世界共通のようです。

シンガポールでは起業家を目指す人も多く、意欲的な職業への道を進みたいと考えている層の存在を感じます。タイでは医者やアスリートの他にシェフが人気職のようで、タイ特有の料理への誇りのようなものを感じます。

さらにフランスではサッカー選手、パイロットなどの花形職業が人気を集めるかたわら、エンジニアの人気も高まっています。アメリカでは野球、アメフト、バスケ、アイスホッケーなど多種多様なスポーツ選手が人気です。

エンジニアやソフトウェア関係の職業が脚光を浴びる国も多い中、欧米では消防士や警察官が不動の人気を誇っています。

女性と男性のなりたい職業には時代と年齢、働き方の違いがある

なりたい職業や人気のある職業について考えると、女性は比較的昔と今で変動が少なく、看護師や保育士を挙げる人が多いことから一貫して「誰かの役に立ちたい」と考えていることが分かります。これらは年齢に関係なく、人気の職業と言えます。

一方で男性は、年齢によって少しばらつきがあるものの、年齢を重ねるごとに安定性を求める傾向が高まっていく事が見てとれます。高給を望む人ももちろん多くなり、夢として描いていたなりたい職業とは離れていくことも少なくありません。

また、近年急激に増加してきたのが、フリーランスという働き方です。これは特定の企業にとらわれずに依頼を受けて、仕事を遂行するものです。主にウェブ上で活躍する人が多く、ライター業やデザイナー業が着手しやすいのではないでしょうか。インターネットが年齢を問わず、誰にとっても身近なものになった今、この働き方に憧れを持つ人も多くいます。

ランキングを参考に自分のなりたい職業について考えてみよう

世代や性別、個人の置かれている状況によって、なりたい職業は変わってきます。将来なりたい職業というものは、夢のような漠然としたものから、現実的な具体性を帯びたものに至るまで、様々な思いが込められています。

これからの進路に迷っている人は、今回紹介した人気の職業ランキングを参考にしながら、自分のなりたい職業についてよく考えてみましょう。また、なりたい職業に就くためには、身につけるべき必要なスキルなどを細かく調べておくことも忘れてはいけません。